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ACキャラバトルロワイヤル番外編 風雲サタン塔通

1 :ゲームセンター名無し:05/02/28 20:57:48 ID:???
アーケードゲームキャラ達によるもう一つのバトルロワイアルを描く、リレー小説スレッドです
本家アケロワの番外編「風雲サタン塔」ですので、アケロワおよびかさぶたとは区別してください
基本的にsage進行です

前スレ ACキャラバトルロワイヤル 番外編
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/arc/1107693852/

感想スレ 風雲サタン塔感想スレ通
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/arc/1108135371/

風雲サタン塔専用お絵かき掲示板
ttp://bbs1.oebit.jp/satan/

●主催者はサタン様
●優勝者は何でも好きな願いを一つ叶えてもらえる
●人が死ぬ話はとりあえず禁止の方向で
●やむを得ず死亡してしまった場合はリタイヤ扱い(あとでサタン様に生き返らせてもらえます)
●誰かを殺してしまったキャラも強制リタイヤ&サタン様のおしおき

●二回戦
いよいよ本戦開始!サタン塔一階大ホールにてバトルロイヤル形式のタッグ戦だ!
43組86名の選手が4+αのゲームで激突する!

詳細なルールは>>2以降にあります

2 :ゲームセンター名無し:05/02/28 20:59:49 ID:???
二回戦ルール

・2VS2のタッグバトル。一度組んだチームは変更できない。
・会場内をチームごとに組んで移動する。相手チームと遭遇して勝負の合意に達すると、
 黒子が出現してくじを引き、戦い方を決定する。
・戦い方は、麻雀、料理、ケンカ、クイズ、スペシャル(作者が考えていい)の5種。
 (戦い方は作者が決めるが、作中ではあくまでもくじ引きで決定すること)
・スペシャルくじは「サタン様が決める」「じゃんけんに勝ったチームが決める」
 「抽選に当たった観客が決める」 の三種があり、くじに書かれていた方法で競技が決められる。
 「じゃんけんに勝ったチームが決める」は最大のチャンスカードで、最も数が少ない。
・それぞれの戦い方ごとのステージへ移動し、戦闘開始。
・会場には観客席が併設されている。
 各ステージに観客席はないが、その様子は会場の巨大スクリーンに映し出される。
 各ステージにはスクリーンがないので、他のステージの様子はわからない。
・戦い方ごとのステージは、サタン塔内だったり、その外だったり、外国だったり何でもアリ
 作中での扱いとしては「サタン様の魔力で飛ばされた」「サタン様の魔力で作った特設ステージ」など。

・試合中に死亡者が出た場合、その試合は無効試合となる。
・他殺の場合(故意、過失を問わず)、死人の出たチームは失格となる。
 殺したチームは失格となり、ペナルティ(罰ゲーム)が与えられる。
・他殺以外の場合(自殺、病死、不慮の事故など)、死人の出たチームは失格となる。

3 :ゲームセンター名無し:05/02/28 21:01:18 ID:???
・それぞれの戦い方のルールは以下の通り(作品によって多少の変更もOK)。
 ・麻雀:ルール自体は本物の麻雀と同じ。最終的に合計得点が多いほうのチームが勝ちとなる。
     4人で一卓を囲んで打つ。座る位置はその場でじゃんけんなどで決めてもらう。
     バレなければイカサマはOK。脱衣は不可。
 ・料理:黒子からのお題に基づき、制限時間45分以内に両チームが料理を1〜3品ほど作り、
     その味や手際、盛り方の美しさを競う。
     チームの片割れだけが料理を作るというのはアリだが、食器並べでもいいので片割れも必ず働くこと。
     互いのチームで試食も行うが、毒とか味を変化させる魔法のアイテムとか盛ってはいけない。
 ・ケンカ:両チームから一人ずつリング(およびそれに類するもの)に上がり戦う。
      控えチームメンバーとの交代はいつでもOK。
      リングに上がっていない選手が戦ったり、リングに上がっていない選手を攻撃してはいけない。
      どちらか一人が倒れた時点で、そのチームの敗北となる。
      武器使用は認められる(格闘ゲームを基準に考える。戦車や重火器は禁止)。
 ・クイズ:黒子が出題するクイズに、チームごとに早押しで答え、5問先取したチームが勝利する。
      クイズのジャンルは何でもよい。たまにクイズでなく大喜利などが出題されてもOK。
 ・スペシャル:内容ごとに作者が決める。

・勝敗は黒子によって公平に判断される。基本的に引き分けはない。
・一度勝負したチームとは二度と戦ってはいけない。ただし引き分けだった場合はこれに限らない。
・二勝したチームは、その時点で二回戦突破となる。
 速やかに勝者控え室に案内され、会場には残れない。
・三敗したチームは、その時点で失格となる。
 速やかに会場外に連れ出され、会場には残れない。
・二回戦突破チームが21組になった時点で、残りのチームは全て失格となる。
 同様に、失格チームが21組になった場合、残りのチームは全て二回戦突破となる。

4 :ゲームセンター名無し:05/02/28 21:02:40 ID:???
二回戦会場の概要

・二回戦会場はサタン塔一階の大ホール。
 コロシアムのような構造で、円周上に観客席が設置されている。
・ホールの東西南北には1枚ずつ巨大スクリーンが設置されていて、
 各チームの試合やサタン様放送が映される。
・会場内は警備員が巡回しており、迷惑行為や観客の選手への妨害、助太刀を見張っている。
・塔2階には医務室、事務室、協議室、各競技のステージ、
 勝ち抜いた選手の控え室などがあり、必要に応じて選手が呼ばれる。
  医務室…負傷した選手や死んでしまった選手が連れてこられ、黒子による治療・蘇生を受ける。
  事務室…ルルーや警備員が詰めている。選手は基本的に来ない。
  協議室…反則やルール違反の疑いがあった場合に選手や審判を連れてきて協議する。
  勝者控え室…二回戦突破のチームが案内される。一度連れてこられたら会場には戻ってはいけない。

5 :ゲームセンター名無し:05/02/28 21:03:55 ID:???
チーム一覧(チーム結成順)

【セイ・エイジャ ファイ・エイジャ チーム結成 チーム名:凄いぜエイジャ兄弟】
【ダニー デミー チーム結成 チーム名:戦争ごっこで遊ぼうズ】
【エドモンド本田 キサラ・ウェストフィールド チーム結成 チーム名:キサラ部屋】
【嘉納亮子 出雲良子 チーム結成 チーム名:YAWARA!】
【熱血隼人 火引弾 チーム結成 チーム名:熱きサイキョーの男達】
【ユリアン アーデルハイド チーム結成 チーム名:弟より優れた兄などいねえ!】
【ローズ 風間葉月 チーム結成 チーム名:シスタープリンセス】
【水無月響子 リオン・ラファール チーム結成 チーム名:リヒトブラウ】
【梅小路葵 シャルロット チーム結成 チーム名:リヴォリューション】
【パックマン バブルン チーム結成 チーム名:たいとうみうし】
【アレックス パティ チーム結成 チーム名:親を捜して三千マイル】
【ゼン マイト チーム結成 チーム名:赤の他人】
【委員長 真田小次郎(香織) チーム結成 チーム名:リーダーズ】
【ひびき蘭 鷲塚慶一郎 チーム結成 チーム名:バンキシャ侍】
【ロボカイ 藤堂竜白 チーム結成 チーム名:娘のためなら死ねる】
【ベガ 矢吹真吾 チーム結成 チーム名:正義の味方シャドルー】
【八神庵 双子のケットシー チーム結成 チーム名:蛇猫の拳】
【花郎 コスプレイヤー京子 チーム結成 チーム名:ぷよまん組】
【李超狼 イグニス チーム結成 チーム名:宇宙高年化エレガント問題】
【九戸文太郎 リョウサカザキ チーム結成 チーム名:弟・妹に困ってます】
【九戸真太郎 風間あきら チーム結成 チーム名:クールボーイ&ガール】
【睦月ヒカリ ルガール・バーンシュタイン チーム結成 チーム名:希望のヒカリ】
【ドラコケンタウルス ロック・ハワード チーム結成 チーム名:ドラゴン・ドライブ】
【コンバット越前 ザッパ チーム結成 チーム名:KOT症候群〜赤い扉〜】

6 :ゲームセンター名無し:05/02/28 21:05:06 ID:???
【結城小夜 神楽ちづる チーム結成 チーム名:みこみこガールズ】
【シモン・ベルモンド ジョン・フーン チーム結成 チーム名:野望に果てなどない!】
【シェン・ウー ジョニー チーム結成 チーム名:S&J】
【蔵土縁紗夢 シェゾ・ウィグィィ チーム結成 チーム名 紗夢飯店】
【リュウ かごめ チーム結成 チーム名:しろいとりかご】
【雷武龍 ボイド チーム結成 チーム名:レッツ・ゴォ三匹】
【キム・カッファン アラン・アルジェント チーム結成 チーム名:キム先生の正義教室】
【橘右京 ディズィー チーム結成 チーム名:幸せなら手を叩こう】
【スペランカー マスクドサタン チーム結成 チーム名:僕らはいつも維新電信(意味不明)】
【タテハ 楓 チーム結成 チーム名:二重覚醒】
【アルル・ナジャ メイ チーム結成 チーム名:素敵なお友達】
【金大正(キム・デジョン) 神楽マキ チーム名:頭文字K】
【KUSANAGI ミルキーパイ(※ウサギのみるく) チーム名:兎―野生のクローン―】
【ジェフリー・マクワイルド 真尾まお チーム名:ウルルン共闘記】
【睦月カヤ レオナ・ハイデルン チーム名:閑静なチーム】
【豪鬼 ニーギ・ゴージャスブルー チーム名:豪禍絢爛】
【テリー・ボガード アミティ チーム名:帽子チーム】
【ロジャー・サスケ エリ・カサモト チーム名:ミリタリー忍者】

7 :ゲームセンター名無し:05/02/28 21:06:13 ID:???
二回戦進出選手

【バーチャファイター】 3名
 ジェフリー・マクワイルド  リオン・ラファール  梅小路葵

【ストリートファイター】 8名
 リュウ  エドモンド本田  M・バイソン
 火引弾(ヒビキ・ダン)  アレックス  ベガ  ユリアン  豪鬼
【ジャスティス学園】 5名
 委員長  ひびき蘭  風間あきら  熱血隼人  水無月響子

【KOF】 13名
 矢吹真吾  シェン・ウー(神武)  八神庵  神楽ちづる  神楽マキ
 ジョン・フーン(全勲)  レオナ・ハイデルン  コスプレイヤー京子  KUSANAGI
 ルガール・バーンシュタイン  イグニス  アーデルハイド  ローズ
【餓狼伝説】 3名
 テリー・ボガード  キム・カッファン(金甲喚)  ロック・ハワード
【龍虎の拳】 2名
 リョウ・サカザキ  藤堂竜白
【侍魂】 3名
 橘右京  シャルロット・クリスティーヌ・ド・コルデ  風間葉月
【月華の剣士】 3名
 楓  鷲塚慶一郎  真田小次郎(※真田香織)

8 :ゲームセンター名無し:05/02/28 21:07:19 ID:???
【鉄拳】 3名
 雷武龍(レイ・ウーロン)  花郎(ファラン)  李超狼(リー・チャオラン)

【ランブルフィッシュ】 5名
 譲刃漸(ユズリハ・ゼン)  睦月カヤ  睦月ヒカリ  ボイド  アラン・アルジェント
【ギルティギア】 6名
 ロボカイ  ディズィー  蔵土縁紗夢(クラドベリ・ジャム)  メイ  ジョニー  ザッパ

【サイキックフォース】 2名
 マイト  パティ(パトリシア・マイヤース)

【痛快ガンガン行進曲】 1名
 キサラ・ウェストフィールド
【闘婚】 2名
 九戸真太郎  九戸文太郎
【ワールドヒーローズ】 1名
 出雲良子
【ファイターズヒストリー】 1名
 嘉納亮子

【メタルスラッグ】 1名
 エリ・カサモト
【悪魔城ドラキュラ】 1名
 シモン・ベルモンド
【アウトフォクシーズ】 2名
 ダニー デミ

9 :ゲームセンター名無し:05/02/28 21:08:31 ID:???
【デスクリムゾンXO】 1名
 コンバット越前

【式神の城】 6名
 結城小夜(ユウキ・サヨ)  金大正(キム・デジョン)
 ニーギ・ゴージャスブルー  ロジャー・サスケ  セイ・エイジャ  ファイ・エイジャ
【エスプガルーダ】 1名
 タテハ
【ソニックウイングス】 1名
 真尾まお

【ポップンミュージック】 1名
 かごめ

【ぷよぷよ】 6名
 アルル・ナジャ  アミティ  ドラコケンタウロス
 ふたごのケットシー  シェゾ・ウィグィィ  マスクドサタン

【美少女雀士スーチーパイ】 1名
 ミルキーパイ(※ウサギのみるく)
【対戦ホットギミック】 1名
 雀犬

【パックマン】 1名
 パックマン
【スペランカー】 1名
 スペランカー
【バブルボブル】 1名
 バブルン

10 :ファーストバトル:05/03/01 16:57:32 ID:???
「さて、2回戦が始まったわけだが。」
ルガールは腕組みをしながらパートナーである睦月ヒカリに話し掛ける。
「とりあえずここは手堅く1勝をって、あれ?」
気がつけばヒカリは側にいなかった。ルガールが見渡すとヒカリは1組のコンビに話し掛けていた。
見ると話し掛けているのはゴーグルを額にしている男子学生──名前はたしか九戸真太郎──と、
ライダースーツを着た女子学生──名前は風間あきら──の2人だった。
「ウホッ、いいカップル。 や ら な い か?」
「おい、勝手に申し込むな!」
ルガールは焦るが、申し込んだ相手を確認すると『これなら勝てそうだ。』と安心する。

一方、向こうの2人は相談していた。
「どうする? この人のパートナーラスボスだよ?」
「んーでも、いきなり断わるのもなあ。とりあえず受けてみるか?」
「そうだね。」
「んじゃ、よろしく頼むよ。ヒカリさん。」
「わかりました。頼まれたからには、粉骨砕身の心意気で頑張ります!」
「え、あなた敵でしょ?」
「ある時は敵、またある時は味方。そしてその実態は……ムグ」
ルガールは相変らず電波飛ばしているヒカリの口を押さえた。
「ああ、彼女の言葉は気にしなくていい。それより何で戦うかだ。」


11 :ファーストバトル:05/03/01 17:02:02 ID:???
と言うと、目の前に黒子が現われた。黒子は細長い缶を持っている。缶の中には割り箸が5本入っている。
『どうやらこれがくじびきというわけだな。』ルガールは思う。『だが、酷くマニュアルじゃないかね?』
「そこの2人。勝負を受けてもらった御礼というわけでもないが、そちらが引いていいぞ。フフフ。」
「むぐ〜むぐ〜。」ルガールはヒカリの口を抑えたまま不敵に笑う。
「んじゃ遠慮なく。」真太郎は缶から割り箸を一本取り出す。
割り箸の先には紙が貼ってあって「料理」と書いてあった。
その瞬間4人はワープする。それはキッチンスタジアムと呼ぶべきもので、
双方のチームが料理できる場所と中央にはありとあらゆる食材が置いてあった。

「テーマは『家庭料理』です。」黒子がお題を発表する。そして次にルールの説明があった。
「2回戦、希望のヒカリ 対 クールボーイ&ガール 料理闘技 始め!!」
こうして料理バトルの火蓋は切って落とされた。

「料理」という題目、ルガールにとってはスペシャル以外では最悪の題目だった。
「ケンカ」…ラスボスだし負ける気がしない。
「クイズ」…知識が豊富じゃなければ、ラスボスは勤まらん。
「麻雀」…得意ではないが、学生ごときには負けん。
「料理」…食べる方。厨房になんて立ったことがありません。



12 :ファーストバトル:05/03/01 17:05:07 ID:???
「おい、ヒカリ、私は料理はできん。メインは頼んだぞ。」
「合点承知の介! あたしゃこれでもランブル界のケン・ゲンサイといわれた女だぜ!」
「その人料理人じゃないぞ!」
少しどころか大いに心配だったルガールだったが、ここはまかせるしかない。
ヒカリとともに食材選びをする。
「これと、あれと……。ルガやん、そっちのキャベツ取って。」
「誰がルガやんだ!」といいつつ取ってあげるルガール。
向こうのチームも同じく食材選びをしている。
『九戸真太郎は料理はしなさそうだ。問題は風間あきらか……。』

実際、ルガールの見立ては間違いなかった。真太郎は料理をしなかったが、
あきらは家で料理を作ったりもしており、料理の腕としては普通の女子高生より若干上手なくらいであった。

「ルガやん、戻るよ!」どうやら食材を選び終えたらしく、ヒカリは戻っていく。
「だからルガやん……って帰るの早っ!!」

こうしてヒカリを中心に料理を開始した。ルガールもルールどおりいろいろヒカリを手伝う。
「ルガやん、ビターチョコレートとホワイトチョコレート、両方湯煎しておいて。」
「フン」
「返事は一回でいい!」
「もともと1回だけしかしてないぞ!!」
ヒカリはどうやらロールキャベツを作っているようだ。口ではボケているが料理の腕は真剣そのもの。
ルガールは少し安心する。チョコレートは飾りかそれともデザートで使うのか。
ルガールは馴れない料理に戸惑いながらも、ちょっと料理の喜びを感じたりして、料理はすすむ。


13 :ファーストバトル:05/03/01 17:13:23 ID:???
やがておいしそうなロールキャベツが出来上がった。
「フム、私にはわかる。これは上出来だ。あのチームには負けはしない。」
向こうを見るとハンバーグを作っているようだ。
「ところで私のチョコレートは何に使うのだ?」
「ふっふっふ、まあ見ていなさいって。世界で誰も食べたことがない、斬新なロールキャベツにしますよ!」
というとヒカリはロールキャベツを箸で持ち上げ、湯煎したビターチョコレートの中にロールキャベツを浸した。
「おい、浸すのか!?」
やがてヒカリはロールキャベツを回転させ全面にチョコレートを染み渡らせるようにする。
ホワイトチョコの方も同様にロールキャベツを浸し、回転させる。
「これ、旨いんだろうな?」ルガールは聞く。
「たぶん。」
「たぶん? ……お前、これ食べたことないのか?」
「はい。」
_| ̄|○とがっくりするルガール。ヒカリはそんなルガールを無視し、両方のロールキャベツを1枚の皿に乗せる。
黒と白のロールキャベツ、見た目は綺麗だ。うん。
「よし、ロールキャベツ〜白と黒のラプソディ〜完成!」
『もしかしたらおいしいかもしれない。』ルガールはそんなことを思った。


14 :ファーストバトル:05/03/01 17:15:03 ID:???
審査──
料理を食べる黒子3人の目の前に料理が運ばれてきた。
向こうのチームは普通のハンバーグ(デミグラスソース)である。
「普通のハンバーグですな。」「普通においしい。」「ライダースーツでの料理姿に萌えました。」
まずますの評価だ。
こっちはヒカリのアレ。
「これはおいしそうですな。」「色使いが素晴らしい。」「この白と黒はなんでしょう?」
「ビターチョコレートとホワイトチョコレートです!」
自信を持って言うヒカリに3人の黒子が固まる。
「ロールキャベツにチョコレート…、斬新というか画期的というか…」
「そういえば甘ったるい匂いが……。」
「とりあえず怖いけど食べてみますか。」
恐る恐る食べてみる3人。
「まあ、イメージ程には不味くはないな。」
「でも正直、普通のロールキャベツの方がいいなあ。」
「いや、これ美味いって。最高! 肉のジューシー感とチョコレートの感じが美味くマッチしてるよ!」
一人にはうけているようだ。ヒカリはそんな様子を見て満足そうに頷く。

そして判定の時が来た。「希望のヒカリ」なら赤の旗、「クールボーイ&ガール」なら白の旗があげられる。
「判定!!」掛声とともに旗が上がった。赤い旗が1つ。白い旗が2つ。
「クールボーイ&ガール」の勝利である。
喜ぶ向こうのチームを尻目に、ルガールは両方のチームの料理を食べる。
(こっちの料理を試食することを向こうのチームには丁重に断られた。)
ハンバーグは味も一般的な手作りハンバーグだ。普通においしい。
一方こっちのロールキャベツはチョコとロールキャベツが合っていない。
中身だけを食べると結構おいしかった。


15 :ファーストバトル:05/03/01 17:18:40 ID:???
「ルガやん、ドンマイドンマイ!」ヒカリはそうやって慰める。
「そうそう、気を切り替えて行かねばって、どう考えても私のせいじゃないぞ。」
ルガールはノリツッコミを習得した。
「黒子さんの1人はおいしいって言ってくれました。ツボに入る人は入るんですよ、この料理は。
 だから勝負に勝って、試合に負けたって感じなんです。それに、今度はソースとマヨネーズ味にしますから。」
「フン、まあいい、今度、料理だったら私がやる。」
「えー、ルガやん、料理できるのぉ〜?」
「お前の作るわけのわからんものよりはましだ。」
「まー、頑張れよ!」
「お前が頑張れよ! もっと!」

「この後、2人はとんでもない活躍をして2回戦を突破することになるが、
 今の2人にはそれをしるよしもなかった。」
「自分でナレーターするなよ!」
なんだかんだいってつっこむのが好きになりつつあるルガールだった。

○クールボーイ&ガール(1勝) 【料理】希望のヒカリ(1敗) ●


16 :激戦 1/12  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/01 20:48:17 ID:???
二回戦会場、サタン塔大ホール内。
86名43組のチームが詰め込まれてなお余りある広さを誇るこの空間で、いよいよバトルロワイヤル本戦は開始された。

「そこの侍と女、貴様らとの対戦を希望する」
その声を発したのは、懐に双子の仔猫を抱えた赤毛のバンドマン・八神庵。
「逃げるんじゃないにゃん!」「かかってこいにゃー!」
抱えられた仔猫は、こう見えても魔物である双子のケットシーだ。
仔猫を携えたのどかな佇まいに似つかわしくない凶相で、対峙する一組の男女を睨みつけている。
断ることは許さない、そういう意志が篭められた視線である。
「私たちですか?…右京さんが平気なら、お受けします」
「…拙者も構わぬ。ディズィー殿が良いのなら」
答えた二人は長い刀を差した男、橘右京と、小さな翼を持つ少女、ディズィー。
初戦、互いに手の内は未知。ならば避けることに意味はない。
そうでなくとももとより一期一会の戦である。この一度の会敵に全てを賭けるのみだ。


「えー、対戦方法は…」
数瞬の後に現れた黒子は手際よく司会を進め、競技種目を決めるため箱の中をごそごそと漁っている。
その様子を見つめながら庵は一心に祈った。どうかクイズが、せめて麻雀か料理が出てくれ、と。
庵は一生涯で二度もしないであろう天への祈りを捧げていた。ケンカだけは出ないでくれ、と。

17 :激戦 2/12  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/01 20:49:56 ID:???
二回戦ルールが公表され開戦されるまでの間に、庵は己のチームの戦力を分析していた。
パートナーは双子の仔猫、魔物とはいえこの二匹を殴り合いのケンカで戦力に数えるのは無理がある。
もし自分が大きな負傷をすればその勝負で敗北となるだけでなく、その後のゲームでも圧倒的不利となる。
基本の四種目の中で自分の専門分野はケンカだが、この戦いが連戦でありチーム戦である事を考えれば
後々への影響が特に大きいケンカは避けて通りたいところだが、それは運に頼るしかない。
もっともケンカの目が出る確率は1/5、最短2勝で済ませれば一度もその目に当たらない可能性も高いだろう。
――では次は、これから戦う相手の分析だ。
庵はルールと共に配られた選手の簡易プロフィールを眺める。

居合の名手、橘右京。
生体兵器ギアのハーフ、ディズィー。
右京の懐には容易に飛び込めないが、戦術に闇払いを交えれば庵には十分な勝機がある。
だが問題はディズィーだ。彼女はいわゆるボスキャラであり、身体能力は自分をはるかに上回る。
戦闘経験に関しては庵に一日の長があるだろう。だが果たしてそれだけで圧倒的能力差は埋められるのか?

もし自分が追い詰められれば、その時はオロチの力が覚醒する可能性もある。
かつて対戦で使用禁止にされた性能を誇る庵の暴走状態ならば、ボスキャラ相手にも互角に戦えるだろう。
しかし暴走しては抑えが利かない。ディズィーはともかく右京はそのまま殺してしまいかねないし、
なによりパートナー――双子のケットシーまでその手にかけてしまう可能性がある。
すでに敗れたはずの男、草薙京の言葉が脳内に再び響いた。
――同じ轍は踏まんぞ。
そして双子のことをちらりと見ると、庵は暴走だけはすまいと決意を固めた。

18 :激戦 3/12  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/01 20:51:14 ID:???
黒子が箱から手を抜き出した。そして、対戦方法が発表される。
「対戦方法は、クイズに決まりました」

祈りは天に通じたようだった。庵は表情を変えないまま、心の中だけで安堵の息を吐く。
双子のケットシーも、とりあえず怪我はしないで済むだろう対戦方法にホッとしていた。

一方の右京・ディズィー組も、対戦種目がクイズでホッとしていた。
肺病持ちのためあまり動くことの出来ない右京は体力を著しく消費するケンカは避けいし、
ディズィーはケンカならば自分が有利だろうことは判っていたが、やはり乱暴なことはしたくない。
そして二人とも麻雀のルールがわからなかったので、出来れば料理かクイズでと思っていたのである。

こうして、両チームにとって最も望ましいかたちで対戦は始められた。

サタン様の魔力によるものだろうか、不条理ながら彼らは一瞬でクイズ会場に移動した。
中央の司会者席に黒子が、それを挟んで黒子の左手側に右京・ディズィー組、
右手側に庵・ケットシーズ組が回答者席につき、両チーム対峙する。

「それではこれより、 幸せなら手を叩こう 対 蛇猫の拳 のクイズ対決を始めます。
 早押し形式で、五門先取した方の勝利となります。それでは早速いきましょう、第一問!」

「ふん、では行くぞ、侍と女!」
「「にゃんにゃん、覚悟するにゃ!」」
「右京さん、がんばりましょう!」
「…いざ!」

19 :激戦 4/12  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/01 20:53:12 ID:???
しばし沈黙して、黒子が問題を読み上げる声が響いた。

「RPG化やポリゴン格闘化など多方面に展開した『サムライスピリッツ』シリーズですが…」

「ガハアッ!!」
唐突に右京が血を吐いた。回答者席に血しぶきが舞う。
「キャア!う、右京さん、しっかりしてください!」
「そ、そうか!ダメだったんだ!全四部作の予定だったのに二作までしか出なかったRPGのことや
 『結局2Dと操作感が同じ』という微妙な評価をされたポリゴンの話をしてはダメだったんだ!」
「グゴハアッ!!」
「また血を吐いたにゃ!」「右京さんに謝るにゃん!」
敵同士にも拘らず、一丸となって右京の身を案じ慌てふためく回答者たち。
それを尻目に黒子は続きを読み上げる。
「謝りません。さて、このシリーズの第三作目のサブタイトルは何でしょう?」
ポーン。回答ボタンを押した音が発せられた。押したのは八神庵である。
「『斬九郎無双剣』だ!」
「八神選手、正解です」
ピンポンピンポン。正解を意味する音が鳴る。
さっきまで一緒に慌てていた庵だったが、抑えるところはキチッと抑えるつもりのようだ。
「クックック、すまんな右京よ。せっかく貴様の得意分野だったというのに」
吐血中だったとはいえ、解けた問題を逃したのはいかにも大きいミスである。
今の右京の顔が青ざめているのは、決して吐血のせいだけではないだろう。
「ごめんなさい右京さん、せっかくのチャンス問題を…」
「気に…するな…」

20 :激戦 5/12  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/01 20:54:27 ID:???
好調な滑り出しに、庵は密かに口元を吊り上げる。この調子であと四問勝てれば…!

「それでは第二問です。『八神という名のけもの』で歌手としても有名となった八神庵氏ですが…」

「ゴハァッ!!」
だがそう思った矢先、今度は庵が血を吐いた。回答者席を赤い霧が包む。
「に゛ゃあ!?」「八神さんが血を吐いたにゃん!!」
「そうか…!あまりに恥ずかしい題名な上に歌唱力のほうも微妙だったあの歌は、
 触れてはならぬ禁断の過去だったのだ…!」
「ゲハァッ!!」
「ま、また吐血した!謝ってください、八神さんに謝ってください!」
またも一丸となって慌てふためく回答者たち。はっきり言ってクイズとは思えぬ光景だ。
だがそのクイズを仕切る司会者・黒子は、いけしゃあしゃあと問題を続ける。
「謝りません。さて、その八神氏の格闘スタイルは八神流古武術と、プラス何でしょう?」
ポーン。二度目の回答ボタンの音は、橘右京によるものであった。
「本能…だ」
「橘選手、正解です」
ピンポンパンポン。正解を祝福する音が響く。
これもまた八神にとってはラッキー問題だったが、彼もまた吐血でそれどころではなかった。
「獣(けだもの)の 赤き血の咲く 火の庵
                      右京」
「貴様、なぜそこで挑発的な句を読む!」
「八神さん、大丈夫にゃん?」「結構シャレにならない吐血だったにゃ」
「右京さんも大丈夫ですか?」
「大…丈夫だ…」
ここまでは一対一。クイズはまだまだ序盤である。
だが回答者たちの胸中はすでに、うんざりするほど嫌な予感でいっぱいだった。

21 :激戦 6/12  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/01 20:56:10 ID:???
「第五問。橘右京氏にまったく出番がないことで有名なアニメ版『サムライスピリッツ』ですが、
 この作品で覇王丸氏の声を当てた有名アイドルは誰でしょう?」
「ウグハァッ!!」
ポーン。
「香取真吾にゃん!」「スマップの人にゃ!」
「ケットシーズ選手、正解です」

「第六問。八神氏やレオナ氏と言えばやり過ぎなくらいの暴走で有名ですが、
 その元ネタである社会現象とまでなったアニメ作品の題名は何でしょう?」
「ゴッパァッ!!」
ポーン。
「『新世紀エヴァンゲリオン』、だったと思います」
「ディズィー選手、正解です」

クイズだというのに、ケンカでも中々見られない大量出血(というか吐血)の応酬が続く。
サタン塔大ホールのスクリーンには、その光景が無用なほどにデカデカと映し出されていた。
画面いっぱいに踊る赤い液体…よりによってクイズでそんなものを見せられる羽目になろうとは
一体誰に予想できたただろう?観客たちは予想を裏切られすぎて盛り上がり切れない、というか引く。

「いやあ、八神も右京さん大変だな!」
「日頃の行いが悪いんだろうぜ…」
「叩けばもっと埃が出てきそうな人たちだよね〜」
だが敗退トリオこと京、K'、アッシュ組は、七転八倒する庵と右京の姿を見て楽しげである。
もともと性格が悪いことで有名で、しかも今は初戦敗退組したためいじけまくっている彼らだ。
対岸の火事など怖くはない、他人の不幸は蜜の味、恐らくはそんな気分なのだろう。

22 :激戦 7/12  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/01 20:57:34 ID:???
「第七問。万年高校生で有名な草薙京氏ですが、彼のクローンの京-1、京-2の好物である
 『メロ』『ホキ』とは何のことでしょう?」

「ゲフゥッ!!」
「く、草薙が血を吐いた!?」
「ダ、ダメだったんだよ!趣味が詩を書くことだとか、94年のころは赤い靴下だったとか、
 そういう部分に触れちゃダメだったんだよンワーオ!!」
だが対岸の火事は飛び火して、舐めていた蜜には毒が盛られていた。
まさか観客席でも吐血するものが現れるとは、周囲の観客の予想は裏切られるどころか飛び越えられた。
サタン塔、恐るべし。敗退して良かったと思うものいたことだろう。
「ア、アッシュ…テメエ…誰もそこまで言ってねえ…だろ…が…」
「「草薙ィ――――ッ…!!」」
桃園にて生まれた義兄弟、長兄・草薙京。観客席でまた敗れ、ここに散る。


それはさておき。
ポーン。
「「お魚の名前にゃ!」」
「ケットシーズ選手、正解です」
ピンポンパンポン。
クイズ会場では、ケットシーズとディズィーの熱い一騎打ちが続いていた。

23 :激戦 8/12  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/01 20:59:23 ID:???
庵と右京は吐血のしすぎで虫の息である。まさかクイズでこれほど消耗するとは思わなかっただろう。
「ディズィー殿すまぬ…拙者、何の役にも立てぬままで…」
「いえ、気になさらないで下さい。まだまだこれからです!」
弱気になる右京を励ますディズィー。まだまだこれから、一緒に頑張っていくのだ。
「八神さんはちょっと休んでるにゃん」「あたしたちにまかせるにゃん!」
「ああ、すまんな…しばらく休ませてもらうぞ」
ケットシーズの提案を素直に聞き入れる庵。今回は、チームメイトとともに勝利するのだ。

現状は右京・ディズィー組が三問正解、庵・ケットシーズ組が四問正解。
ディズィーは右京の容態が気になって集中しきれず、またケットシーズが意外に博識なこともあって、
庵とケットシーズの勝利はあと一歩というところまで迫ってきていた。
ここまで出血してしまったのは想定外だが、大きな負傷ナシで勝利できるならそれに越したことはない。
「あと一問だ…頼むぞ、双子!」
「にゃおう!」「まかせるにゃん!」
「ディズィーどの…!」
「はい、大丈夫です!」

「第八問。通称が『右渡』で有名な『ギルティギア』シリーズのゲームデザイナー、石渡大輔氏ですが…」

「ウグッ!!」
だがついに黒子の矛先はディズィーに向けられた。その矛は吐血に至らないまでも、充分に深くディズィーを打った。
「ディズィーどの…!!」
「そ、そうか!ギルティ勢には特に痛い過去はないと思っていたが、
 ゲームデザイナーについては現在進行形で痛みを伴う記憶だったのか!」
「チャンスだにゃん!」「それはそれとして謝るにゃん!」
慌てる右京と感心する庵、そして相手の心配をしつつ虎視眈々と勝利を狙うケットシーズに促され、
黒子は問題を最後まで読み上げた。

24 :激戦 9/12  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/01 21:00:59 ID:???
「謝りません。さて、彼の生まれた国は一体どこでしょう?」
ポーン。ケットシーズが電光石火の素早さでボタンを叩いた。
「日本にゃん!」「どう聞いても日本人の名前にゃ!」

「残念、不正解です」
ブッブー。だが流れてきたのは、不正解を意味する音であった。
「に゛ゃに゛ゃ!?」
そしてその隙を逃さず押されるもう一つのボタン。
ポーン。
「ブ、ブラジル、です…」
「ディズィー選手、正解です」
ピンポンパンポン。
回答したのは息も絶え絶えのディズィーであった。
さすがにボスキャラ、これしきのダメージでは倒れることはないのだろう。

「にゃ、にゃんで!?」「にゃんでそんなとこで生まれたにゃん!?」
「さあ、個人の家庭事情までは私は知りません」
さんざん場をかき乱しておきながら、しれっと答える黒子。
そして、重々しい口調で司会を続ける。
「さて、これでついに残り一問…次の問題で勝者が決まります」

両チームに緊張が走る。どちらも予想外に消耗してしまった、お互いにここは勝たなくては割に合わない。
青ざめた顔の右京、まだ少しふらふらしているディズィー、生気の失せた顔の庵、無傷のケットシーズ。
得点の上では互角だったが、コンディションはわずかに八神・ケットシーズが優っているか?

そしてついに、黒子の口から最終問題が告げられた。

25 :激戦 10/12  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/01 21:02:12 ID:???
「第九問。エイズ撲滅活動に参加するなど積極的な社風で知られたゲーム製作会社コンパイルですが…」

「うに゛ゃあッ!!」「お、お姉ちゃん?に゛ゃはぁッ!!」
凄まじい悲鳴をあげ、ケットシーズはもんどり打って気絶した。
「ふ、双子ォオ――――ッ!!」
「そうか…!ダメだったのだ!過去形で語るとかそういうこと以前にもう触れることさえタブーだったのだ…!」
「あ…謝って!猫さんたちに謝ってください!」
絶叫する庵。驚愕と共に事態を受け止める右京。そして涙を流し訴えるディズィー。
「謝りません。それはさておき、この会社のキャッチコピーは『のーみそコネコネ』と、もう一つは?」
だが黒子はそれらのことごとくを受け流し、冷酷無慈悲に司会を続けた。
戦場とはこれほどまでに過酷なものなのか。たとえクイズであっても命を賭けねばならないものなのか?
だが答えるべき問いはそれではない。今この戦いを終わらせるため、一人の戦士が慢心の力を篭めボタンを叩く。
ポーン。

「『愛気と勇気』…!」

ピンポンパンポンピンポンパンポン。
橘右京の答とともに、勝利の福音が降り注ぐ。
このメンバー中最古参である橘右京が瀕死の重態(いつものことだが)でありながら、見事に勝利をもぎとったのだ。

「橘選手、大正解!よって、『幸せなら手を叩こう』チームの勝利です!!」
「双子、しっかりしろ!双子――!!」
勝利を讃える黒子の声と仲間を案じる庵の叫びが、会場に同時に轟いた。

26 :激戦 11/12  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/01 21:04:21 ID:???
「猫さん!しっかりしてください猫さん!」
勝利の祝福を受けるより先に、ディズィーも双子の仔猫の名を必死になって呼びかけていた。
彼女のパートナー、右京はその様子を辛そうに見つめている。
泰平の世に生まれたとはいえ、彼はこの場の誰よりも戦いの何たるかを知っている。
自らの手が他人を深い淵に突き落とすその感触は、たとえ相手が死に至らなくとも己の心を大きく磨耗させる。
だが自分自身も無傷ではない。慣れているとはいえ、結構な量の血を流してしまった。
そして今一人の敵もまた、大量の流血を被っている。

流血の惨事の元凶ともいえる男、黒子はその被害者たちに向かって告げた。
「ケットシーズ選手、八神庵選手、橘右京選手は医務室でドクターチェックを受けていただきます」
ケットシーズの側に立ち尽くしたまま、八神庵は黒子の宣告を聞いている。
「…解った。オレには必要ないが、双子を頼む」
庵の表情は最初に対峙した時の凶相のままだが、声から読み取れれる感情の揺れからは悲哀が感じ取れた。
「ではディズィー殿、しばらくお待ちくだされ…」
新たに現れた黒子たちの手で運ばれる仔猫と共に、右京と庵は医務室へと向かう。
「はい。右京さん、お大事に…」
ディズィーは相棒に声をかけた後
「八神さん、猫さん…戦ってくださって、ありがとうございました!」
戸惑いながらも、庵たちに向けて感謝の言葉を述べた。

27 :激戦 12/12  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/01 21:05:49 ID:???
「フン…」
庵は振り返らぬまま右手だけを振って応え、そのまま医務室へと連れて行かれた。
その庵の様子を見て、ディズィーは辛そうなままでも少しだけ微笑むことが出来た。
そして右京もまた、ディズィーの様子を見て自分の不安が杞憂であったことを知った。
戦い相手を傷つける、そのことを受け止めらるだけの強さは彼女には充分にあったのだ。

「花尽きて 風に震える 橘を
    薄く飾りし 師走の白雪
               右京」

己の足りぬ力量と胆力を支え補ってくれる彼女に一首捧げ、右京も医務室へと消えていった。


「草薙、しっかりしろ草薙ー!」
「こんなところで死んじゃダメだよ!別に戦ってないけど!」
「ア、アッシュ…テメエはとりあえず…シ…める…」
そのころ会場でも、黒子たちの手によって敗退トリオが医務室に運ばれていった。


○幸せなら手を叩こう(一勝)【クイズ】蛇猫の拳(一敗)●
※両チームともしばらく医務室にて治療を受けます

●焔の煉瓦無式(惨敗)【卒業試験】高等学校(圧勝)○
※観客なので以後の試合に関係しません

28 :ITO 1:05/03/02 23:24:01 ID:???
「テーマは喧嘩! 死なない程度に相手をぶちのめしてやって下さい!ある程度の武器使用も認めます!」
あまりにも簡単なルール説明。
二組のチームは用意された喧嘩用の部屋に向かう。
「何だよ、いつも通りにやれってことか?」
「まーまー、あんま力まずにお手柔らかにしてくれよな?」
「……あの」
「大丈夫大丈夫! ……いいから俺に任せておけって」
「頑張って下さいね、霧島(仮)さん」
「だから誰なんだよ霧島って!」 
ケンカ用のステージにはリングがある。それぞれがコングが鳴るのを待っていた。

カーン!
「それではたいとうみうしVSぷよまん組、対戦始め!」


29 :ITO 2:05/03/02 23:24:47 ID:???

突進してくる相手を難なく避け、花朗はにやりと不敵に笑う。
最初は相手の奇妙な姿に驚いたが、所詮はそれだけ。
今まで戦った風間仁や三島平八に比べれば取るに足らない相手に見える。
「おせぇんだよ!」
蹴りの反動で相手が浮く。相手が宙に居られるのはほんのわずかだ。
その僅かな間に繰り出される追撃、黄色いボールの様な対戦相手がすっ飛ぶ。
「何だ何だぁ? でかいのは図体だけか!」
軽くステップを取りながら花朗は言う。
そしてよろよろと起き上がった対戦相手に、足を振り上げ次の連撃を繰り出そうとした瞬間。
「わーわわわ! 参った! 降参!」
「……はあ?」
「いやー、アンタ強すぎだって! 喧嘩でアンタに勝ち目ないのは分かりきってる!
 だからこの勝負、大人しく勝ちを譲ってやるって! だから頼む、見逃してくれ!」
あっさりと白旗をあげるパックマン。それに拍子抜けした花朗。



30 :ITO 3:05/03/02 23:26:13 ID:???

一方、京子は予想以上に早く勝負がついたので目を丸くしていた。
「え…か、勝ったの?」
思わずリングにあがり花朗に駆け寄っていく。
「すごいです、霧島(仮)さん!」
「あのな、俺には花朗っていうちゃんとした名前が……」
文句を言う花朗の相手をしようとしたが、ふと視線を感じ後ろを見る。
本当に白旗を振っているパックマンの横で、緑色の怪獣がこっちを見ていた。
「…ごめんね」
「ううん、平気」
何となく悪い気がして話しかける京子。
メインキャラではないせいか、こういう勝負の非情さにも慣れていない。
花朗を霧島(仮)とかアナザーK´(仮)とか好き勝手呼んでいるが、あれは天然のボケだ。多分、いやきっと。
それに対してバブルンは大したショックは受けていない様だった。
「お姉ちゃん、ごめんなさい」
「……?……」
だが京子に謝る彼の表情はどこか暗い。
京子はその謝り方に奇妙な違和感を感じたが、気のせいだと判断した。

黒子の声が会場に響く。
「勝者! ぷよまん組!」
勝負はパックマンのギブアップで決着が着いた。
「いよっしゃ! まずは一勝!」
ぷよまん組が三回戦進出への一歩を踏み出した瞬間だった。

(……つくづくお馬鹿さんだゼ、あんたら)
そして、蜘蛛の糸に二匹の虫がかかった瞬間でもあったのだ。



31 :ITO 4:05/03/02 23:27:18 ID:???

それは二回戦が始まる数分前のこと。
「ええー! 最初はわざと負けるの!?」
「シーッ、声がでかい! 誰かに聞かれたらどうするんだ!」

バブルンの口を塞ぎながらパックマンは慌てて周囲を見回した。勿論お約束の人差し指を口に当てるポーズも忘れない。
どうやら周囲はタッグを組んだ相手の交流に忙しいか、制限時間が迫ってて慌てているかのどちらからしい。
人目を引いている姿の二人だが、会話の中身までに興味を持つ者はいなかったようだ。
「だけど、何でそんな……」
「一番初めに負けておけばちょっとは気楽になるだろ?」
「そういうものなのかなぁ?」
「さっきも言っただろ、マジな本気を出すなって。2勝0敗より2勝1敗の方が目立たなくて済むんだよ」 
あまり納得のいっていないバブルンをとりあえず理論で押し切る、相変わらず主導権はパックマンにある様だ。

こうしてバブルンを説得して今に至る。
だがパックマンの言葉が理由の全てではない。彼の考えはもっと別な所にあった。
パックマンは最初からぷよまん組に目をつけていたのだ。


32 :ITO 5:05/03/02 23:28:23 ID:???

ぷよまん組が特別強いからという理由ではない、この策にうってつけの人材という理由だ。
コスプレイヤー京子。
情報によると、KOFを知る人間でも彼女の存在を知る人はあまり居ないという。
その女がラッキー7という余興により一回戦を簡単に通過した。
主催者に連れられて塔の入り口へエスコートされる彼女を他の参加者はどう思っただろう?
『脇役はひっこめ』『認知度低いのに目立ちすぎ』『マイナーな癖に何で待遇が良いんだよ』
少なからずとも参加者にその様な印象を与えてしまったのではないか?
根拠のない滅茶苦茶な噂まで流れてしまい、京子はタッグを組む時も苦労していたらしい。
つまり彼女が活躍すればする程、それは悪意となって自分の身に返ってくるという図式が出来上がる。
パックマンはその図式を利用した計算を考えてみた。
奴等にわざと負けて他の参加者へ偏った印象を与えるのだ。

『ぷよまん組は勝った。こいつらは調子に乗っている。なら本気で潰そう』
『たいとうみうしは負けた。こいつらは大したことない。ならいいカモだな』

この試合は会場内のスクリーンで流されているのだ、それを見ている参加者もいる。
馬鹿な参加者は自分達には油断して手を抜いてくるだろう。そしてぷよまん組を本気で潰しにかかるのだろう。
パックマンは誰にも見られないように一人ほくそ笑んだ。
(お嬢さん、せいぜい今の内に喜んでおくんだね? あんたはこれから地獄を見るんだからナー!)


33 :ITO 6:05/03/02 23:29:11 ID:???

「……おい」
そそくさとバブルンを連れて退散するパックマンを誰かが呼んだ。
「んんん? まだ何かあるのかな?」
とりあえず振り返ってみる。その先にはテコンドーの道着を着た茶髪の青年。確か花朗という名前だったか。
パックマンにとっては京子の様なイレギュラーと組んだお人よしの馬鹿、というイメージしかない。
「お前が何企んでいるか知んねえけどよ……」
花朗はパックマンと京子の間に横入りする、まるで彼女を庇うかの様に。

「あんま調子こいてんと蹴り倒すぞ、まん丸野朗」
「……一体何のことかな、ナナナナー?」

暫しの間、沈黙だけが流れる。
双方の間だけは明らかに空気が違っていた。
ちっと軽く舌打ちをして背を向けて歩き出す花朗。
あくまでとぼけながらそれを見届けるパックマン。


34 :ITO 7:05/03/02 23:30:38 ID:???

花朗はこの勝利に裏があるということを何となく察知していた。
この勝負、わざとこちらに勝たせたのだろう。恐らく奴の狙いは他の参加者を欺くことだ。
自分達はその為の礎にされたに違いない。
(はっきり言って胸くそ悪いぜ、畜生が……)
「花朗さん?」
花朗は我に返った。
悪趣味極まりないやり口にむかっ腹が立ってきて、苦虫をつぶした顔になっていた様だ。
「何でもねえ、大丈夫だ」
訳がわからずきょとんした表情で見つめる京子。
花朗はとりあえず横にある自分と同じ茶色の髪をくしゃくしゃと撫でる。
撫でられた本人が抗議の声を出そうとするが、花朗の行動が少し早かった。
「大丈夫だからな」
顔を覗き込みながら安心させる様に笑みを浮かべていた。
過去に集団詐欺を働いていた者とは思えない程、その表情は凛々しかった。

何だよ、この展開は。俺はお姫様を守る騎士かっての。
……俺はそういう柄じゃねえんだぞ、ったくよぅ。

花朗は京子の手を引いて歩き出す。
奴の意図を己の維斗で打ち砕ける様に。

○ぷよまん組(一勝)【ケンカ】たいとうみうし(一敗)●


35 :月華の雀士 ~月に咲く三筒、散りゆく七索~:05/03/03 22:12:02 ID:???
「うーん。」楓は麻雀の説明書ににらめっこしていた。
「3個の組み合わせが4つと2枚の同じハイで『上がり』か。」
「おい、この白いのはなんだ! 不良品か?」向こうでは鷲塚が近くに黒子に聞いている。
「それは『ハク』といいまして……。」黒子が説明している。

同じ作品同士ということもあり、楓のチームは鷲塚のチームに勝負を申し込まれた。
楓は勝負を受け、くじびきにより麻雀に決まる。
ところが、楓も鷲塚も麻雀を知らなかった。
なぜなら彼らの時代には麻雀はまだ生まれていなかったからだ。

「えっとぉ、同じマークを集めればチンイツかぁ。綺麗だなあ。」
こっちはタテハである。彼女の世界には麻雀はない。

「ドンジャラじゃなくてリーチね。ねぇ、オールマイティはないの?」
唯一、麻雀を知りえる時代に生活しているひびき蘭。だが彼女はドンジャラしかやったことがなかった。

ひとおり麻雀教室が終わり、いよいよゲームスタート。
席決めの結果は以下のとおり。
東 鷲塚 南 タテハ 西 楓 北 蘭

初心者同志のゲーム。全員が試行錯誤していたため、最初の動きは小さかった。
東2局で、楓が「リーチ、タンヤオ、ドラ1」を鷲塚から上がり、
東3局で、鷲塚が「リーチ、チートイツ」をタテハからあがった。
また、東2局でタテハが「ホンイツ(鳴き)、東」を上がったが、
楓からだったのでチームとしての得点移動はない。
南入時点で、「二重覚醒」チームが4500点のリードをしていた。
もちろん、いかさまをする余裕もない。


36 :月華の雀士 ~月に咲く三筒、散りゆく七索~:05/03/03 22:13:50 ID:???
ここまでの各人の手としては、
楓は大分慣れてきて、まだ相手の捨牌から手を読んだりはできないが、普通の初心者といえるだろう。
タテハは、染め手が好きなようで、捨牌からして何を集めているか容易に判断できるが、
このメンバーの中でそこまで頭を回す者はいないようだ。
鷲塚は絶対に鳴かず、テンパったら即リーチをするようである。
蘭はよくわからない。牌がカブったらすごく悔しそうにしている。これまでリーチもしていない。
テンパったこともないようだ。

南1局は、楓が蘭から「白、ドラ1」をロンあがりする。
南2局、ここで勝負が動いた。
今度は筒子を集めていたタテハ。リーチをかけたはいいが「何で上がれるんだろう?」とか言っている。
チンイツっぽいが複雑すぎて何が当たりなのかわからないらしい。
そして、リーチをかけて3順目、タテハがツモって来た時の事。
彼女は「う〜ん、こうかなぁ?」というと、牌をいろいろ入れ替えている。
そうやって試行錯誤すること5分。「あ、ツモった!」
どうやらツモってきた手で上がれたらしい。

親の跳満、18000点。同じチームの点移動を引くと12000点が、
「二重覚醒」チームにプラスされたことになる。
「えへへ、すごいでしょ?」「すごいですね。」楓は褒める。
これで約20000点のリードとなった。親の跳満直撃しても耐えうるリードである。


37 :月華の雀士 ~月に咲く三筒、散りゆく七索~:05/03/03 22:15:47 ID:???
次の南2局は流局(タテハノーテン)。そして南3局。
楓は普通の手だったが、鳴いたりしていて3色を目指す。中盤、その時それまで何の動きもなかった蘭が動いた。
「ドンジャ……じゃなくて、リーチ」六萬を横にするとともに、千点棒を台上に置く。
次にタテハもポンやチーで、結果ホンイツ・南で裸単騎となる。
楓がイーシャンテンから進まず、イライラしていた終盤。
「よし、ツモった!」蘭がツモってきた七萬を台上に置く。
「トイトイ出来た。トイトイ。」蘭が自分の手を晒すと…。

一一一七七竹竹竹◎◎◎◎◎  七
萬萬萬萬萬五五五三三八八八  萬

「これ、四暗刻ですよ。」得点計算係の黒子は言う。
「え、うっそ、マジ?」「マジです。役満です。」
「蘭殿、やりますな。」「蘭ちゃん、かっこいい」
客席からも拍手が起こる。(といってもプレイヤーは客席の様子はわからないが)

ドンジャラの経験しかない蘭は、同じ牌3つの刻子を4つとアタマで作るトイトイを作ろうと思った。
また、ドンジャラには「鳴き」のルールはないので、出来ることは知っていたが「鳴かずに」作ろうと思っていた。
ちなみに説明書の役満のところも、大三元や国士無双等、インパクトのあるところしか見ていなかった。
なにぶん鳴かずにトイトイを作るのは難しく(役満だから当たり前なのだが)、
それで今までテンパることもできなかった。

子の役満36000点。親の楓が18000、子の鷲塚とタテハが9000点ずつ。
一気に「二重覚醒」チームは逆転され、「バンキシャ侍」チームが約7000点のリードとなる。


38 :月華の雀士 ~月に咲く三筒、散りゆく七索~:05/03/03 22:17:00 ID:???
「や、役満だって……」その時、楓の黒髪の毛が金髪へと変化した。
「……負けてられるか!!!」

「……ここで覚醒!?」タテハはタテハで少年の姿へと変化した。
「……僕も僕も!!!」

「か、楓殿が覚醒した!」鷲塚は驚く。
「スーパーサイヤ人? あっちは男の子? これは特ダネだ!!」
蘭はカメラを取り出し二人を激写しはじめる。

5分の中断の後、覚醒した2人を交えオーラスの南4局。
楓の配牌は次のとおりだった。
(竹は索子、◎は筒子)

二四四九竹竹竹◎白白發中中
萬萬萬萬三五六一白白發中中

『こ、これはっ』楓は麻雀説明書をめくる。
『白發中3枚ずつで大三元じゃないか! 覚醒した甲斐があったってもんだぜ!』

2順目、タテハが白を捨てる。「ポン!」『ナイス相方!!』
5順目、發をつもってくる。『よしよしよし!!』
7順目、中をつもってくる。『おっしゃ!』
10順目、發をつもってくる。『うはwwwwwwwwおけwwwwwwwww』


39 :月華の雀士 ~月に咲く三筒、散りゆく七索~:05/03/03 22:18:30 ID:???
12順目でテンパった。

二三四四發發發中中中  竹竹竹白白白
萬萬萬萬發發發中中中  五六七白白白

一萬か四萬で上がれる。ドキドキしながら待つ楓。次の蘭が南を捨てる。
「あ、やっと出た! ポン!」タテハがポンをする。次に楓の番だ。
ツモったのは◎三。もちろんいらない。そのまま捨てる。「ロン!」
『え?』左から声がかかった。タテハである。
自分の牌をさらすタテハ。
「南のみ。1000点ですね。」黒子が採点をする。もちろん再逆転するわけがない。
「あっちゃー、やっすいなあ。同じ色じゃないとダメだね。」
「これにてゲーム終了です。チーム『バンキシャ侍』の勝ちです。」黒子が終了宣言をする。

「いやあ、蘭殿のおかげですぞ。」「あれはすごかったね。」「タテハちゃんの上がった手も綺麗だったよ。」
「でしょでしょ。」「それにしてもこの『まあじゃん』というもの中々面白いものであるな。」
「はじめてやったけど、楽しいね。帰ったらお兄ちゃんにも教えようっと。」「またやりたいね。」
台を挟んで感想を言い合う3人。
そしてその一方で、燃え尽きて髪が金から銀へと変わり、目は虚ろで、椅子にもたれながら、
「お、俺の大三元が1000点の手に……しかも味方にあがられてるし……」とつぶやいている楓がそこにいた。
彼の手には順番的に彼が次につもってくるはずだった一萬が握られていた。

○バンキシャ侍(一勝)【麻雀】二重覚醒(一敗)●


40 :月華の雀士 ~月に咲く三筒、散りゆく七索~:05/03/04 19:04:08 ID:???
>36の訂正
ここまでの各人の手としては、
楓は大分慣れてきて、まだ相手の捨牌から手を読んだりはできないが、普通の初心者といえるだろう。
タテハは、染め手が好きなようで、捨牌からして何を集めているか容易に判断できるが、
このメンバーの中でそこまで頭を回す者はいないようだ。
鷲塚は絶対に鳴かず、テンパったら即リーチをするようである。
蘭はよくわからない。牌がカブったらすごく悔しそうにしている。これまでリーチもしていない。
テンパったこともないようだ。

南1局は、楓が蘭から「白、ドラ1」をロンあがりする。
南2局、ここで勝負が動いた。
今度は筒子を集めていたタテハ。「何が来ればいいんだろう?」とか言っている。
チンイツっぽいが複雑すぎて何が来ればいいのかわからないらしい。
それから3順目、タテハがツモって来た時の事。
彼女は「う〜ん、こうかなぁ?」というと、牌をいろいろ入れ替えている。
そうやって試行錯誤すること5分。「あ、上がりだ!」
どうやらツモってきた手で上がれたらしい。

「チンイツ、ツモ」

親の跳満、18000点。同じチームの点移動を引くと12000点が、
「二重覚醒」チームにプラスされたことになる。
「えへへ、すごいでしょ?」「すごいですね。」楓は褒める。
これで約20000点のリードとなった。親の跳満直撃しても耐えうるリードである。

41 :月華の雀士 ~月に咲く三筒、散りゆく七索~:05/03/04 19:05:34 ID:???
>>37の訂正

次の南2局は流局(タテハノーテン)。そして南3局。
楓は普通の手だったが、鳴いたりしていて3色を目指す。中盤、その時それまで何の動きもなかった蘭が動いた。
「ドンジャ……じゃなくて、リーチ」六萬を横にするとともに、千点棒を台上に置く。
次にタテハもポンやチーで、結果ホンイツ・南で裸単騎となる。
楓がイーシャンテンから進まず、イライラしていた終盤。
「よし、ツモった!」蘭がツモってきた七萬を台上に置く。
「トイトイ出来た。トイトイ。」蘭が自分の手を晒すと…。

一一一七七竹竹竹◎◎◎◎◎  七
萬萬萬萬萬五五五三三八八八  萬

「これ、四暗刻ですよ。」得点計算係の黒子は言う。
「え、うっそ、マジ?」「マジです。役満です。」
「蘭殿、やりますな。」「蘭ちゃん、かっこいい」
客席からも拍手が起こる。(といってもプレイヤーは客席の様子はわからないが)

ドンジャラの経験しかない蘭は、同じ牌3つの刻子を4つとアタマで作るトイトイを作ろうと思った。
また、ドンジャラには「鳴き」のルールはないので、出来ることは知っていたが「鳴かずに」作ろうと思っていた。
ちなみに説明書の役満のところも、大三元や国士無双等、インパクトのあるところしか見ていなかった。
なにぶん鳴かずにトイトイを作るのは難しく(役満だから当たり前なのだが)、
それで今までテンパることもできなかった。

子の役満32000点。親の楓が16000、子の鷲塚とタテハが8000点ずつ。
一気に「二重覚醒」チームは逆転され、「バンキシャ侍」チームが約4000点のリードとなる。

42 :月華の雀士 ~月に咲く三筒、散りゆく七索~:05/03/04 19:06:43 ID:???
>>38の訂正

「や、役満だって……」その時、楓の黒髪の毛が金髪へと変化した。
「……負けてられるか!!!」

「……ここで覚醒!?」タテハはタテハで少年の姿へと変化した。
「……俺も俺も!!!」

「か、楓殿が覚醒した!」鷲塚は驚く。
「スーパーサイヤ人? あっちは男の子? これは特ダネだ!!」
蘭はカメラを取り出し二人を激写しはじめる。

5分の中断の後、覚醒した2人を交えオーラスの南4局。
楓の配牌は次のとおりだった。
(竹は索子、◎は筒子)

二四四九竹竹竹◎白白發中中
萬萬萬萬三五六一白白發中中

『こ、これはっ』楓は麻雀説明書をめくる。
『白發中3枚ずつで大三元じゃないか! 覚醒した甲斐があったってもんだぜ!』

2順目、タテハが白を捨てる。「ポン!」
5順目、發をつもってくる。『よしよしよし!!』
7順目、中をつもってくる。『おっしゃ!』
10順目、發をつもってくる。『うはwwwwwwww役満確定wwwwwwwww』


43 :ゲームセンター名無し:05/03/05 23:46:30 ID:???
ホシュ

44 :Cruel fairy tale 1/11  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/06 03:20:23 ID:???
――どうして人を殺してはいけないの?
誰かが言っていた、それを許すとみんなが殺しあってしまうから。
――どうしてそれはいけないことなの?
誰かに言われた、そうなるとみんなで一緒に暮らせなくなるから。
――どうして一緒じゃなきゃダメなの?
誰かは言った、みんな一緒じゃないと人間は生きていけないから。

『じゃあ独りぼっちにならないなら、いけないことじゃないんだね』。
だから幼い双子の姉弟は、いつも、いつでも、いつまでも、二人一緒にいようと決めた。


「やっぱりケンカでも殺しちゃダメなんだ。めんどくさいね、デミ」
「ええ。でもルールだからしょうがないわ、ダニー」
売店で買ってきた大量のお菓子やおもちゃを弄びつつ、双子の姉弟はスクリーンを観ていた。
アジア人が丸くて黄色い生き物を蹴っ飛ばしていたが、その丸い生き物はすぐに降参したようだ。
「もう終わっちゃった。これじゃあさっきのクイズのほうがずっと面白かったよ」
水鉄砲をパッケージから取り出しつつ、弟のダニーが試合の感想を述べる。
「私もそう思うわ。あんなに大げさな吐血、コメディだってやらないものね」
瓶ラムネを行儀よく飲みながら、姉のデミはクスクスと笑ってその意見に同意した。
「それじゃあダニー、準備はOK?」
「OK、デニ。準備も予習もバッチリだよ」
お菓子やおもちゃでごてごてに膨らんだコートをまとって、二人が立ち上がる。
「二人一緒に遊べるゲームだといいね、デミ」
「そうねダニー。二人一緒なら、きっと楽しいわ」
そう言って互いの頬にキスをすると、ダニー&デミは遊び相手を探しに出発した。

45 :Cruel fairy tale 2/11  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/06 03:21:32 ID:???
和装と洋装の少女二人が、スクリーンを見上げ立ち止まっている。風間葉月とローズである。
「うわあ、まーじゃんって難しそうですね。あんな遊び初めて見ました」
「ええ、わたくしも名前だけなら知っていましたが、実際に遊んだことはありませんわ」
スクリーンに映し出されている麻雀勝負に見入り、その感想を語り合っている。
「これも喧嘩と同じで、素人と玄人の差が大きく出てきそうな種目ですね」
「そうですね。選手目録によればプロ…玄人の方もいらっしゃるようですし」

彼女らは先ほどの試合を観て、喧嘩勝負では自分たちの勝機が限りなく低いことを強く感じた。
一応、くノ一の葉月は短刀の扱いに心得があり、ローズもフェンシングを得意としている。
そこで二人は売店で買った木刀の大小を武器にしたのだが、参加選手には格闘の名手がかなり多い。
練度の低いくノ一やお嬢様の手習い程度の技では、武器を持ったところでで付け焼刃というところだろう。
いや、木刀だけに刃が立たないと言ったほうが正確だろうか。
いずれにせよ、自分たちの力量では格闘家との喧嘩勝負に勝ち目はない。
そして確率1/5とは言え、全選手中の格闘家の割合を考えれば格闘家と喧嘩勝負になる可能性は高い。
従って彼女らは、『喧嘩のプロとは戦うな』という方針で敵を選ぶ事に決めたのだった。

そして今麻雀の試合を観て、新たに『麻雀のプロとは戦うな』という作戦が追加された。
「勝ち目の無い戦にはそもそも加わってはいけない、私もそう教わりました」
いわば戦の常道だ。とは言え、あまり避け過ぎては戦う相手が見つけられないのではないか?
否、である。もう一つの戦の常道に照らし合わせれば、自分たちが戦う相手に困ることはありえない。
「そして、弱者は自分よりさらに弱い者を狙ってくる…父もそう言っていましたわ」
つまり、『見るからに弱者である自分たちは、必ず多数のチームに狙われている』。
そして、『小細工を弄するその者たちの実力は、突き抜けたレベルでは無いはず』。
ならば、『こちらの戦術の質と量が勝りさえすれば、勝機は十二分のものとなる』。
自分たち自身を餌に勝てそうな敵を釣り、必殺の罠に嵌めるというわけだ。

46 :Cruel fairy tale 3/11  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/06 03:22:41 ID:???
「「ねえ、お姉さん」」

未だスクリーンを見上げていたはぁ月とローズの背中に、幼い声が二つ重なってかけられた。
ローズが驚きながら、葉月が慌てながら振り返った先には、小さな子供二人が手を繋いで立っている。
「私たち、一緒に遊んでくれる人を探しているの」
「お姉さんたちは、僕たちと一緒に遊んでくれない?」
女の子はお辞儀をしながら、男の子は直立したまま、そして二人ともうっすら笑いながら話し掛けてきた。

「あら、それはつまり、わたくしたちと対戦したいということかしら?」
笑顔でそう言いながら、ローズは子供の姿を観察している。
ルールブックの簡易プロフィールに照らし合わせるならこの二人、ダニー&デミという殺し屋だ。
殺し屋とは殺人のプロフェッショナルであって、戦闘そのもののプロフェッショナルではない。
両者を兼ね備えた者も少なくはないが、幼すぎるこの双子がそうだとは考えにくい。
子供でも扱える武器やトラップが専門なのだろうが、この大会では致命的威力の武器は使用禁止だ。
ナイフや拳銃は使用できないし、見ればこの双子は自分たちのような木刀すら持っていない。
そしてローズは、この双子についての重要な情報を、偶然にも入手していたのだ。

「へえ、君たちみたいに小さい子も参加してるんだ」
微笑みながらそう話しかけ、葉月は双子の眼を見つめている。
無邪気で屈託のない笑顔、その瞳も透き通っている。だがどこか、なにかが薄ら寒く感じられた。
忍びとは、本来ならば衝動によって起こる殺意を、理性によって行う殺人術として会得する。
そのための里…組織の中で生まれ生きていくのだ。教えられること自体ではその者の人格を壊しはしない。
だがそうではなく、ただ生きていくために殺していかざるを得なかった者たちは、必ず何かが壊れている。
そのような者たちが生まれ生きる世界はつまり、平和と幸福の影にある黒く暗い闇の世界に他ならない。
そして葉月は、壊れた眼をしたこの双子はそのような世界に生まれ生きてきたのだと理解した。

47 :Cruel fairy tale 4/11  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/06 03:23:50 ID:???
「「ねえお姉さん、一緒に遊ぼう?」」
双子は鏡写しのような姿勢で向かい合い、同じ顔で、同じ調子で、同じ言葉で誘いかける。

「ええ、解りましたわ」
そしてローズは、双子の誘いを受けることにした。
優雅な笑顔で答えながら、頭の中では策を練っている。
「ただし、条件があります」
葉月もまた、双子の挑戦を受けることに異存は無い。
彼女にしては珍しい凛々しい表情で、双子の言葉に応える。
「遊んでくれるの?ありがとう、お姉さん」
「それじゃあお姉さん、条件って何かしら?」
鏡写しは手を繋いだまま、そしてうっすらとした笑顔のまま、瞳を輝かせて身を寄せてきた。


「勝負方法は喧嘩!ただし両チーム同意のもと、ニ対ニの乱戦とします!
 チームメンバーのどちらかがダウン、もしくはリングアウトした時点で決着です!」
抜けるような青空の下、円形の闘技台に立った黒子が宣言する。今回のステージは屋外なのだ。

葉月とローズの策とは二対二、そして『多勢に無勢』であった。

ローズの父・ルガールは闇社会に君臨する武器商人であり、世界中の犯罪者にお得意様がいる。
そのお得意様の末端にこの双子もおり、父やその客から双子についての話を聞いたことが何度かあった。
曰く、常に二人一緒に行動していて決して離れることが無い。
曰く、常に二人で一つのことに取り掛かり別々に作業をしない。
即ち、この双子の戦術は『常に二人一組でいること』が前提になっている。
それも、チームワークや背中合わせというレベルではない。片時も側を離れることが出来ないレベルだ。

48 :Cruel fairy tale 5/11  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/06 03:25:01 ID:???
この双子がどのような環境で育ち、互いにどれほど深く依存し合っているかを葉月は見抜いている。
その半生は黒く暗すぎて余人には想像が及ばないものなのだろうと、想像することだけは出来た。
恐らくは、互いに互いが唯一の家族であり信頼出来る者なのだろう。
恐らくは、互いが互いに頼りあい助けあって生きてきたのだろう。
即ち、この双子は『ずっと二人一緒にいること』が絶対の処世術なのだ。
それは、殺すため、仕事をするため、ただ生きていくために、呼吸と同じ次元で必要な条件のはず。

結論、双子は決してばらばらには動かないし、動くことが出来ない。
主催者によって例外的なタッグを組まされていることからも、この推測はほぼ裏付けられる。
つまり二対二の乱戦と言っても実質的には『二対一』、人数の上でこちらが有利に立てる訳だ。
だが双子は今までもこの条件で殺しを成功させてきたはずで、やはり戦闘力そのものは双子が上だろう。
そこで効いてくるのが、『リングアウト』という勝利条件である。
リーチの長い武器を持ったローズが双子を牽制し、忍びの技能を修めている葉月が双子を追い込む。
このようにして双子の動きを封じリング端に追い詰めれば、リングアウトを狙うことは難しくはない。
万が一双子がばらけて動いた場合は、リング端から遠ざかる方を葉月がマークすることで対応する。
いかにプロとは言え、身の軽さだけで言えば本物の忍者である葉月には敵うまい。
そして一対一であれば、ローズのフェンシングで勝てないまでも相手を封じることが可能である。
フェンシングは中世ヨーロッパ貴族の『一対一の決闘』が起源であり、敵の動きを封じる技も豊富なのだ。

ここまでで勝率は七割、あと警戒すべきは双子が武器を隠し持っている可能性だろう。
火器やナイフなど『致命傷に至る武器』が使えないとはいえ、暗器の類をコートの中に隠している可能性は高い。
だがこちらの木刀より大きい得物の痕跡はないし、罠を設置するような時間はこちらが与えなければいいだけだ。
これで勝率は八割。勝負するに値する確率である。
そして勝利するのに充分な勝率九割には、葉月の『触媒能力』で身体能力そのものを底上げすることで到達した。
葉月の『他者の力を増幅させる能力』は、彼の天草四郎や魔界の王にも認められる程に劇的であるらしい。

49 :Cruel fairy tale 7/11  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/06 03:26:06 ID:???
「何故でしょう、わたくしったら葉月さんと一緒だと負ける気がしませんわ!」
「はい、なんだか私もローズさんがいつも以上に頼もしく見えますよ!」
気付かぬ内にドーピングしてしまっていた二人は、なにやら妙なテンションになっていた。
ローズははしたなくも長木刀をぶんぶん振り回し、葉月もいつの間にやら忍装束に着替えてやる気満々である。

「もーデミ、そっちのは僕が使うんだってば」
「あらダニーったら、レディファーストはしてくれないの?」
そんな少女二人と対照的に、双子ははしゃぎながら、しかしどこか冷めたように淡々とした調子だ。
どうやらおもちゃを取り合っての言い合いをしているようである。

「それでは両チーム共、リングに上がってください!」
そんな四人に、副審の黒子が試合開始の催促をする。
「さあ葉月さん、子供だからと言って容赦も油断も要りませんわよ!」
「解ってますローズさん、全力で作戦通りに展開しますよ!」
そう言って木刀を打ち合わせ、葉月とローズはリングに降り立った。
「さあダニー、二人で頑張りましょう」
「うんデミ、一緒に遊べて良かったね」
そう言って手を叩き、ダニーとデミはリングに跳び上がった。
そして両チームが配置につくと、主審の黒子が試合開始のゴングを鳴らした。
カーン!
「では喧嘩勝負、戦争ごっこで遊ぼうズ 対 シスタープリンセス 始め!」

試合開始と同時に、葉月とローズは左右に分かれじりじりとダニー&デミに近づく。
ダニーとデミはそれに押されるようにじわりと下がるが、しかし二人で固まったまま離れようとしない。
やはり予想通り、この双子は離れて行動することが出来ないのだ。

50 :Cruel fairy tale 7/11  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/06 03:27:14 ID:???
短木刀を胸の高さで逆手に握り、葉月はいつでも跳びかかれる姿勢のまま摺り足で近づく。
模擬戦ばかりで実戦に加わったことが無いためか、木刀の感触は本物の短刀より余程握り慣れていた。
長木刀を握った右腕を目の高さに、半身に構えたローズはゆっくりと間合いを詰める。
フェンシングの剣よりも重いものだが、その切っ先は双子の一挙手一投足をきっちりと追っていた。
ダニーが葉月とローズを見比べている。こちらが動く隙を伺っているのだろう。
デミが背後を振り返る。どうやら敵の狙いと自分たちの状況に気付いたようだ。
姉のその様子に弟も事態を察知し、そして双子は同時に懐に手を入れた。
――動いた。
先に駆け出したのは葉月だった。その足運びは未熟とはいえ忍びの技術、三歩で間合いを詰めきれる。
パートナーに遅れたとはいえ、ローズも普段以上に深く鋭い踏み込みで双子との距離を縮める。

敵に迫られながら、ダニーは腕を後ろに振り上げ、デミは両手を高く掲げて、
バシャン!
きらきら光る小さな何かの塊をばら撒いた。
「ッキャア!?」
「!? これは…」
飛散する何かから顔を庇いローズは立ち止まり、足元に散布されたそれによって葉月の脚は止められた。
双子の円周を、小さな金属片が囲んでいる。
「な、これって画鋲…?」
恐る恐る目を開けたローズは、その金属片の正体を看破した。
掲示物を貼り付ける為の文房具、画鋲である。それがリング上に大量に撒き散らされているのだ。
確かサタン塔広場の売店で一箱20本入りのものが売られていた。それを大量に購入したのだろう。
「撒き菱(マキビシ)…!」
葉月が目を細め、困惑した表情で画鋲を見つめている。
マキビシとは突き出た針を持つ小さな金属で、地面に撒いて敵の足を刺すという使い方が有名である。
画鋲をばら撒きマキビシにして遊ぶ子供は少なくないが、ダニーとデミはそれを実戦で使ってきた。

51 :Cruel fairy tale 8/11  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/06 03:28:51 ID:???
――これは不味い。
葉月は冷や汗をかいた。彼女の履物は草履であり、これでは画鋲の上を歩くことが出来ない。
そして彼女の忍装束もローズの衣裳も肌の露出がかなり大きい。もし転ばされれば全身に棘が刺さる。
またマキビシの用途はトラップだけではなく、敵の顔に投げつけ目を潰するための投擲武器でもある。
もしそのように使われたなら避けない訳にはいかないが、リング端で下手に動けば場外にもなり得る。
つまり、葉月はこれ以上双子に近づけず、靴を履いているローズでも不用意には動けないということだ。
対する双子は厚底のブーツに革手袋、そしてやたらと厚手なコートで身を包んでいる。
これならば、歩き回るどころか跳んでも跳ねても転んでもダメージにはならない。

動きを封じられリングアウトを迫られたのは、双子ではなく自分たちだった。

「もう、ダニーったら。女の子の顔は狙っちゃいけないわ」
だがそんな二人の緊張感を削ぐような声で、デミがダニーに抗議してきた。
「ごめん、そうだったねデミ。それじゃあどうしようか、コレをもっと撒き散らす?」
「それもダメ、転んじゃったらお肌に傷がつくもの。女の子のお肌も傷つけちゃダメよ」
葉月とローズが危惧していた戦法を、双子自ら封じてくれているようだった。
「うーん、そっか…わかったよ、デミ」
「でもどうしましょうか、これじゃあケンカが出来ないわね」
演技である可能性もあったが、この双子は言ったことは必ず実行するようにも思われた。
相変わらずうっすらとした笑顔で、双子が画鋲に囲まれたまま話し合っている。
そしてフットワークを封じられた葉月とローズは、この好機でも動くことが出来なかった。

「簡単だよデミ。怪我させなくたって、突き落としちゃえば僕たちの勝ちだもん」
そう言ったダニーの表情は、満面の笑顔だった。
じゃす、と足音が響く。
ダニーが画鋲を踏みしめて、行進を開始したのだ。

52 :Cruel fairy tale 9/11  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/06 03:30:08 ID:???
「! そちらからいらっしゃるのね…!」
ダニーの進路の先はローズだった。
突き落とすならば確かに、葉月と比べて格段に動きの遅いローズを狙うべきだろう。
「ローズさん!」
そのローズを援護するために葉月が駆け出すが、
バシャアンッ!
「くっ!?」
デミがさっきよりも大量の画鋲をぶち撒けたことで、葉月の往く道は塞がれた。
「ごめんなさいお姉さん、お怪我はないかしら?」
ダニーの後を追って歩き出したデミの表情はやはり、ダニーと同じ笑顔だった。
「はははっ、その撒き方は僕よりよっぽど危ないよ、デミ」
後ろにいるデミに振り返らず語り、じゃすじゃすとダニーが歩み寄ってくる。

――間合いに入ったなら即、斬る。
不気味ににじり寄る敵を目の前にして、ローズは出来る限りの平常心で間合いを測っていた。
敵に何かの策があるのは間違いない、ならばその策を打たれる前にこちらの初撃を当てるしかない。
即ち、刺突ではなく斬撃。フェンシングには突き合うイメージがあるが、実際には斬る攻撃も存在する。
刺突もまた見た目よりも複雑な体運びの技であり、打つと思ってから実際に打つまでの速さは斬撃が勝る。
だが子供に向かって本気で斬りつけることが、格闘家でもないただの少女に出来るのだろうか?
普通なら無理だ。葉月にも無理だろう。…だがローズには、少なくともその素質があった。
父親と同じ赤色の眼に凶暴な光が宿る。木刀を握る右腕と、踏み込みのための利き足に力が篭る。
脳を激しく揺さぶりダウンさせるために、振り抜けば切っ先がダニーの顎を掠めるように構える。
ついにあと一歩。その位置までダニーが近づいた。ローズの目が大きく開かれる。

だがダニーは、次の一歩を踏み出しながらコートの右ポケットに手を滑り込ませていた。
そして無音で、目にもとまらぬ速さでその右手が抜き放たれた。

53 :Cruel fairy tale 10/11  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/06 03:31:28 ID:???
さらに無音のまま、ローズの目がそれを捉えるより先に、見開かれた目に液体が叩き付けられた。
「ッ痛!?」
空いている手で両目を押さえローズが小さく叫んだ。木刀は握ったままだが構えは無茶苦茶に乱れる。
そして木刀を掲げたままの右腕にダニーが取り付き、全体重をかけてローズを思い切り引き倒した。
目はつぶったままだが、青空がくるくる回っているのが感じられた。
ドタンッ!
かはっ、と酸素が肺から押し出される。その一瞬、呼吸と共に意識も止まった。

「勝負あり!ローズ選手リングアウトにより、戦争ごっこで遊ぼうズの勝利です!」
そしてその一瞬の内に、ローズと葉月の敗北が言い渡されたされた。
「ローズさん!」
リングを跳び下り、画鋲を迂回してローズへ駆け寄る。ローズは背中から場外の地面に落とされたのだ。

そしてリング上では、デミがダニーを引っ張り上げている。
ローズと一緒に落ちかけたダニーは、デミに手を掴まれて場外を免れたのだった。
「ほらね、僕が持ってて良かったでしょ?」
そう言ってダニーは、場外に放り出された安い銀メッキの水鉄砲を視線で示した。
溢れ出した中身の水に、どこからか湧いてきた蟻がたかり始めている。
「ふふ、ラムネじゃ巣まで運べないわね」
ダニーは水鉄砲を使って、ローズの両目にラムネを撃ち込んだのだった。
炭酸水が目に入る痛みは水よりずっと大きく、とても目を空けてはいられない程である
そしてダニーの早撃ちは、葉月の能力で強化されたローズでも反応出来ない速度だった。
「お疲れ様。素敵だったわ、ダニー」
「お疲れ様。楽しかったね、デミ」
向かい合い、いつものうっすらとした笑顔に戻って、双子は互いの頬にキスをした。

54 :Cruel fairy tale 11/11  ◆6ggYSC7nV2 :05/03/06 03:32:55 ID:???
ローズが咳をしながら葉月に支えられて立ち上がると、既に彼女らはサタン塔大ホールに戻されていた。
「けほっごほっ、葉月さん、ごめんなさい…」
「そんな、私こそごめんなさい。助けに行けなくって…」
互いに敗北を慰めあう二人だったが、その敗因はまだ理解し切れていないだろう。
しばらくは敗けた事実をどう受け止めるか、それを処理するためだけに頭が働くからだ。
葉月のように思い悩むタイプと、ローズのようにプライドの高いタイプは特にそうである。
「お姉さん、ありがとう。とっても楽しかったわ」
「それじゃあ僕らはもう行くね。バイバイ」
双子は手を繋いだまま、やはり鏡写しのように互いに空いている手を振りながら歩み去っていった。

ローズの服は背中が土で汚れてしまっている。さっきまで凶暴な光を宿していた赤い眼も今は暗い。
もし戦って敗けたのが自分ではなく兄だったら、いつものような激しい怒りにかられたのだろうか。
だが今、自分で戦って敗けた感想は、ただ単純に『何も考えられない』だけだ。
敗けたときの兄はどんな気持ちだったのか、今までは少しも分からなかったが今は分かる気がする。

葉月は忍装束の上に着物を羽織っている。ローズが取り落とした長木刀は、短木刀と一緒に腰に差した。
自分の二人の兄は使う技も性格も色々なものが正反対だ。それだからこそ二人は競い合って強くなった。
だが今、戦って自分たちを下した相手は、ひたすら何もかもが一緒だった。
二人の兄は今は敵同士であるを思い出し、自分たちは一緒では強くなれなかったのかと疑問に思う。

ずっと一緒だという双子の背中を見送る二人は、その双子が少しうらやましい気がした。


○戦争ごっこで遊ぼうズ(一勝)【ケンカ】シスタープリンセス(一敗)●

55 :ゲームセンター名無し:05/03/08 00:55:16 ID:???
京子さん早くなりきり帰ったら?黒真吾なんてやってないで?

56 :熱き戦い:05/03/09 20:20:02 ID:???
「試合方法はスペシャルです!」
黒子がそう言うとダン、隼人、セイ、ファイの四人は試合会場にワープした。
試合会場には天井から9本の紐が吊るされていた。
「スペシャルと言うことで会場はランダムで選ばせて頂いた結果、対戦方法はロシアンルーレットとなりました。」
「「「「ロシアンルーレットォーーー?」」」」
四人揃って同じ事を言った。
「ルールは簡単です。天井から吊るしてある紐を順番に引いてもらいます。9本の内3本は「アタリ」となっており、アタリを引いた人は罰受ける&試合から外れてもらいます。最後まで残っていた人のチームが勝利となります」
じゃんけんで順番を決めた結果ファイ、ダン、隼人、セイの順番になった。
「なあ、ちょっといいか?罰ってのは何をされるんだ?」
「ああ、それはなってからのお楽しみです」
四人とも何か嫌な予感がしてきたようだ。
「さあ、先ずはファイさん、行ってください。」
黒子に言われ進みだすファイ。
(落ち着け俺、確立は3分の1、まずあたりゃしねえ)
そう考えながら右から2番目の紐を引いた。
ぐい
・・・・・・・・・

57 :熱き戦い:05/03/09 20:22:55 ID:???
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                   \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                      ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙      .'                            ヽ     ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:               ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                             ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、   .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´
ファイの足元が大爆発を起こした。

58 :熱き戦い:05/03/09 20:24:16 ID:???
「な!なんだぁ!?」
「ファイーーー!!」
「まさか罰って・・・」
「はい、あれが罰です」
あっさり言い放った黒子の言葉を聞き、三人のテンションは一気に下がった。
「とりあえず彼は医療室へ運んでおくので安心してください。次はダンさんの番です」
言われて一瞬ビクつくダン
(く、くそーいきなり凄ぇプレッシャーだぜ・・・つーかやりすぎだろ・・・)
などと考えながらダンは右から5番目の紐に手を掛けた。
「ああこのやろう!やけくそだーーー!!」
ぐい
・・・・・・・・・
しーん
「・・・あ?お、おっしゃあどうだこんちくしょう!!」
ハズレを引きホッとしながら引き返すダン。
「よかったですね、次は隼人さんです」
「おっさん、落ち着いてな」
「あ、ああ・・・」
相棒に励まされ少し落ち着きつつ右から4番目の紐に手を掛けた。
(大丈夫だ!確立は低い!)
ぐい
・・・・・・・・・

59 :熱き戦い:05/03/09 20:25:07 ID:???
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                   \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                      ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙      .'                            ヽ     ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:               ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                             ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、   .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
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                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´
アタリである。

60 :熱き戦い:05/03/09 20:26:33 ID:???
「おっさーーん!!」
(本当にアタリは3本なんだろうか・・・)
「医療室へ送りますのでご安心を、次はセイさんです」
しばらくの沈黙の後、紐の本へと向かうセイ。
そして一番左の紐のに手を掛けた。
(ここで終われば我等は不利になる。だから・・・)
「だから!!ここで終わるわけにはいかんのだぁーーー!!」
ぐい
・・・・・・・・・
しーん
「よし!!」
「おめでとうございます、では次は・・・・・・
その後、ダンとセイによる壮絶な(紐を引くだけだが)試合が展開された。

61 :熱き戦い:05/03/09 20:27:30 ID:???
そして紐の数は残り2本になった。
「紐の数が残り2本となったのでセイさんがアタリとハズレのどちらを引いても試合終了です。ではセイさん、最後の紐を引いてください」
セイはゆっくりと歩み出した。
そして2本の紐のうち左側の紐の前に立った。
そしてダンの方を向いた。
「いろいろあったが貴様との試合は楽しかった!もしよければ今度はルールなど無い真剣勝負を共にしてもらいたい!!」
「ああ、いいぜ!!つーか俺も言おうと思ってたぜ!!」
「感謝を!」
そう言うとセイは紐に手を掛けおもいきり引いた。
ぐい!
・・・・・・・・・

62 :熱き戦い:05/03/09 20:28:35 ID:???
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                   \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                      ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙      .'                            ヽ     ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:               ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                             ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
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                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´
アタリだった。
「おっさーーーん!!しっかりしろぉ!!」
倒れているセイにダンが駆け寄る。

63 :熱き戦い:05/03/09 20:29:44 ID:???
「ふ、最後の最後でヘマをするとはな、だがこれでお前の勝利だ。あと一勝でお前のチームは三回戦進出だ、武運を、祈っている・・・」
「?!お、おっさん!!目を開けろ!!死ぬなーーー!!」
「いや、死んでないから」
セイに突っ込まれて少し照れるダン。
しかし2人には男と男の熱き友情が芽生えていた。

一方そのころ・・・
「なんだか俺達は作者にとってはどうでもいい存在なんじゃないかと思えてきたぜ・・・」
「たしかに・・・言えてるな・・・」
医療室でダンとセイの試合をテレビで見ながらファイと隼人は愚痴った。

○熱きサイキョーの男達(一勝)【スペシャル】凄いぜエイジャ兄弟(一敗)●

64 :あらたなるちょうせん:05/03/11 15:04:37 ID:???
「試合方法はスペシャルです。」黒子がそう宣言した途端、
紗夢・シェゾ・ゼン・マイトの4名は別の場所にワープした。

そこは薄暗く狭い部屋、大きなモニタがあってその下にはいろいろな機材がおいてあり、
その機材からはケーブルが2本出ており、その先には2本のマイク。

『ということは……』ゼンは思う。「抽選の結果、カラオケになりました。」黒子が説明する。
「カラオケで1曲ずつ歌い、採点マシンの得点が高いチームの勝ちです。」
ルールは単純明快である。だが、カラオケなど行ったことがないゼンは困っていた。
「みなさん、この部屋はサタン様の魔力でイントロがかかれば自動的にメロディが分かるようになっています。
 ですから、自分の歌唱力のみが問われるわけです。」
随分、都合のいい魔力である。

じゃんけんの結果、最初は紗夢が歌うことになった。
「♪そらのなかのぎぃんがぁ〜」歌がはじまると彼女は普通に歌っていた。
得点は80点。

次はマイトである。
「♪なんばぁわんにならなくてもいい。もともととくべつな〜」
得点は78点。

3番目はシェゾ。
「♪さみしいよるはごめんだ。さみしいよるはくらいくらいくらい〜」
得点は61点。

さて、最後にゼンである。63点以上とればゼンのチームは勝利となる。
そしてイントロが流れてきた。同時に彼の頭にその曲のメロディと歌詞が浮かんでくる。
これならば歌えないことはない。だが…。『これは歌えねえ。』彼の声域ではなかった。
『ま、1回くらい負けてもいいだろう。どうでもいいチームだし。』彼は諦めかける。


65 :あらたなるちょうせん:05/03/11 15:05:36 ID:???
「お前はそれだけの男だったのか?」突然、目の前に半裸の男性が現れる。それは忘れもしない……
『グ、グリードォ!』
「戦いもしないで逃げる。譲刃漸はそんな男だったのか?」
『くそっ』それはもちろん幻である。しかし…。

「歌ってみたらいいと思うにゃー」今度は、アレンジされたナース服を着た若い女性が現れる。
『ガーネット…』
「肩肘はらなくていいにゃ。歌うのって案外楽しいにゃー。」
『むぅ』

「俺が代わりに出たかったなあ。」今度は、中華風の少年が現れる。
『…お前誰だっけ?』
「なんだと! 俺はなぁタ」

最後の人物はともかく、グリードとガーネットの言ったことは真実である。
闘わずに逃げる。そんなこおとはゼンのプライドが許さなかった。
『それに意外と楽しいかもしれない。』

やがて曲は前奏が終わり、歌うパートになる。
「♪いぇい、めっちゃほりでぃー。うきうきな〜」
彼は一生懸命歌った。何故かフリ付きで。そしてガーネットの言うように意外と楽しかった。


66 :あらたなるちょうせん:05/03/11 15:08:04 ID:???
レオナ・ハイデルンはランダムで睦月カヤと組んだが、最初の挨拶以来何も会話をしていなかった。
その時は、レオナは丁度モニターで別の試合をみていたのだが、隣でカヤの肩が震えているのに気がついた。
どうやらカヤはレオナとは別の試合を見ているようだ。レオナがカヤが見ているモニターを見ると、
硬派そうな男がアイドルの歌をフリ付きで歌っていた。
「……プッ」そのうちカヤが噴き出す声が聞こえた。
「もうダメ。アハハハハハ。」レオナが見ると、カヤはお腹を抱え目に涙を浮かべて笑いころげていた。

ルガールはいつの間にかヒカリがいないことに気がついた。
ルガールがヒカリを探すと、彼女はとあるモニターを見ていた。
そしてその表情は今までにルガールには見せたことがないほど真剣に、というかむしろ睨みつけていた。
ルガールがモニターをみると、もみあげの男がアイドルの歌を歌っていた。

────────────────────────────────────────────────

得点は65点。ゼンのチームは勝利した。
だがゼンは忘れていた。この勝負は他の参加者が見ていることを。
勝負には勝ったが、何か大事なものを失ったゼンだった。

○赤の他人(一勝)【スペシャル(カラオケ)】紗夢飯店(一敗)●

〇ゼン【めっちゃホリディ】カヤ●
※2回戦とは関係ありません。


67 :不揃いの林檎たち:05/03/12 18:27:18 ID:???
「先刻から煩いってんだよテメエら!そんなに灰塵に還してほしいのか!!ア”ア”ァ!?」
「わざわざ小難しい単語使って煽りやがって、オリジナルがあんなんじゃあ流石に必死みてえだなぁパチモン!!」
「オメどこ中だよ?オメどこ中だよ?この自慢の頭がフランスパンみてぇだとぉ!?オメどこ中だよ?」
「ッハ!悪かったなぁ?あんまりにご立派なもんでパカっと開いて波動砲でも撃ってくんのかと思っちまったよ!!」

風雲サタン塔二回戦会場大ホール、その会場の一角にてなにやら不穏な空気が流れていた。
見れば何やら四人の男が互いに睨み合いながら罵り合っている。
その様はまるで無秩序な学校内での不良グループ同士の抗争か、街角のチンピラ同士のいざこざのようだ。
しかしここは学校でもなければ街角でもない。
だがその罵り合いのレベルはやれ肩がぶつかっただの何ガンつけてんだコラだのオメどこ中だよ
といったチンピラ同士の罵り合いと同程度の物である。
…ぶっちゃけチンピラ同士のいざこざそのものがサタン塔会場で繰り広げられているというだけなのかもしれない。
しかしそれも無理からぬ事かもしれない。
この絢爛豪華なメンバーを見れば誰だってそう納得するであろう。

「なぁにが『神』の『武』でシェンウーだ!自分で言ってて恥ずかしくねえのか!!そもそもテメエ主人公チームなのにストーリーに関わってねえじゃねえか!?」
草薙京のクローンだったり草薙京の幻影だったりするのになぜか声は別人の男、KUSANAGI。

「おまっっバ!お前っっっバカ!!お前ってばお馬鹿!!こ、これからストーリーの核心にぐいぐい食い込んでいくんだよ俺は!!」
KOF2003の主人公チームの一員にして上海のチンピラキング、神の武と書いてシェン・ウー。

「男のくせにチャラついたナリしやがってよォ!!それでも日本男児かよテメエわぁコラァ!?オメどこ中だよ?」
金髪リーゼントにグラサンに改造ガクランにボンタンにサラシ、梅沢春人もマガジンヤンキーも真っ青な真の漢(ツッパリ)九戸文太郎。

「いやいや俺日本人じゃねえし!というか学校は関係ねぇ!!というかテメエにだけは格好の事は言われたくねぇぇぇぇ!!!」
気に入らなければタッグパートナーだろうが余裕で蹴っ飛ばす、韓国軍の核弾頭、花郎(ファラン)。

68 :不揃いの林檎たち:05/03/12 18:29:42 ID:???
どいつもこいつもちっちゃな頃から悪ガキで15で不良と呼ばれてきたようなヤツばかりだ。
それぞれが闘争の為の存在、我が人生是喧嘩也、売られた喧嘩は倍値で相手に売り返す、喧嘩上等殺人上等俺たちゃ無敵の未成年サマだぜ〜!!
などという連中ばかりなのだ。この結果は至極当然のモノなのだ。
この衝突は一体何が理由だったのか。だれが最初にだれに喧嘩を売って、どうやって膨れていったのか。
周囲の皆はワケが判らず、本人達ですらわかっていなかった。
……いや、当の四人には理由などどうでもよいのだろう。
ただそこに気に入らないお前が居た。それが全てなのだろう。
この四人が同じ空間に居るという時点でこの激突は必然であり運命だったのかもしれない。
そういう意味ではこの戦いは、どこまでも純粋な戦いなのだ。
そしてそんな四人を遠巻きから見守る三人と一匹の影。

「ふみゅふみゅ!!あれが地球のツッパリのセーフクなのぴょん!!」
言葉を喋る謎の兎、KUSANAGIのパートナーのミルキーパイ。
「やれやれ、まったくスマートじゃねえぜ…」
裸にコートと大胆な胸元がファッショナブルな伊達男、シェンのパートナーのジョニー。
「お、おい文太郎!とりあえず落ち着け!」
下駄でバイクを駆らせたら右に出るモノは居ないであろう極限流師範代、文ちゃんのパートナーのリョウ・サカザキ。
「…す、凄いわあのツッパリさん……!気志団も真っ青よ!!」
そしてなぜか文ちゃんを見て感動しっぱなしの少女、花郎のパートナーであるコスプレイヤー京子。
「…って感心してる場合じゃない!バカな事は止めてください仮島さん!」
「お前は黙ってな京子…コレは俺とクズ共の問題だからよというか仮島ってなんだよ!縮めんなよ!」
京子を制して花郎は言った。ちゃんと突っ込みを忘れずに。

69 :不揃いの林檎たち:05/03/12 18:31:46 ID:???
「誰が屑だァ!?コイツラの事はともかく俺の事は許さねえぞオラァ!!」
「いやそれはなんか間違って……ねえか。それはともかくザケンなてめえ!!」
「出しゃばるなやアマがぁ!!オメどこ中?オメどこ中?」
「クズをクズっつってナニが悪りぃってんだよっつーか中学は関係ねぇぇぇぇぇぇ!!」
クズ呼ばわりされた三人は一斉に反論し、花郎もソレにすぐさま暴言で返す。ちなみにツッコむ事も忘れていない。
先程からこんな感じで衝突を繰り返していた。しかし彼らは真剣だ。
そう、これはこれですでに戦いなのだ。
彼らにとってはこの罵りあい自体がサタン塔での戦いにも何ら劣らない、いや普段の殴り合いとも同価値である戦いなのだ。
そんな日々是闘争な四人が一つに集ったのだ。いまや、その空気は何時爆ぜてもおかしくないほどに危険なモノになっていた。
ナイフみたいに尖っては触るもの皆傷つけるに違いない。そうに違いない。
「…あの〜、皆さん、ここで喧嘩するのはやめてもらえませんか?」
どこからともなく現れた黒子が、四人の仲裁に入った。
「お!そうだ、喧嘩じゃあなく試合で決着ってのはどうだい?」
黒子の姿を見たジョニーはこの場を収めるために思いついた事を言ってみた。
「そ、そうです!せっかく皆さん選手なんですから試合で決着を…」
「あ、ああ、文太郎!俺もそれがいいと思うな」
「おお、やっと試合ぴょん?早くするぴょん!」
周囲もその発言に乗り出したが…
「いいだろう…テメエら纏めて紅蓮の炎で煉獄まで送ってやるぜ!!」
「クックック…ゾクゾクするねえ!!三対一ってぇのも悪かぁねえな…」
「そうだ試合で正々堂々三対一の…って、おお前らまさか!?」
「ま、まさか皆さん…!四人同時で試合するつもりですか!?」
悪ガキ四人の発想は周囲の予想を飛び越え、四人同時の喧嘩をするつもりのようだ。
「すいませんが、ルール上一度に試合に参加できるのはニチームまでになっていまして…」
黒子がいつもの調子でルールの説明を始めたが
「そんなモノ見えやしね―――!!オメエらにそのままガチンコキメたるぁ!!」
サタン塔ニ回戦が開始して数十分、ここで早くもルール改正の声が上がった。

70 :不揃いの林檎たち:05/03/12 18:32:50 ID:???
「そ、そんなぁ…」
京子が絶望の声を挙げる。
そしてこのまま四人でのガチンコバトルロワイヤル勝負が始まる―――

「く〜るし〜い時〜こそ〜 ニヤリとわら〜え〜……♪」

そう思われたその時、どこからともなく歌が聞こえてきた。
何やら無闇に男らしい歌詞の歌を口ずさみながら、一人の男が近寄ってきた。
「ヘヘヘ…嬉しい、ねぇ…」
「己の熱き衝動を何にぶつければいいのかわからねえ程に…不器用な熱いガキどもが、こんな所にもいやがるなんて、よぉ……」
ミイラの如く全身に包帯を巻き、喋る事すらつらそうな、竹刀を持った暑苦しそうな男…
「誰だ!!おまえは!?」
「おまえは、さっきの…」
それは先程のスペシャル試合で見事に爆散した男…
「あ、あんたは…!!」
そしてリョウも驚きの表情を見せ、ついに男はその名を名乗った。
「俺の名は熱血隼人…太陽学園の体育教師よ!!モノのついでにもういっぺん名乗ってやらぁ!!俺の名は熱血隼人だぁ!!」
地にカッ、と竹刀を突き立て、男は名乗りを挙げた。なぜか二回繰り返して。
「オウオウ腐ったミカンどもよ…何をそんなに息まいてやがんだい?」
ヨロヨロした足取りのまま、熱血隼人はいきなり腐ったミカン発言を突きつけた。
「先公には関係ねえ!!失せな赤ジャージ!」
「シャシャリ出てくんじゃねえ!!その赤さ、目に優しくねえんだよ!」
「いきなり人を腐ったミカンたぁ言ってくれるじゃねえかぁ!オオ!?オメどこ中だよ?」
「怪我したくなきゃあ消えなオッサン!!あと赤さは関係ねえし太陽学園っつってたろが!!」
しかしイキナリ腐ったミカン扱いされた彼らは当然猛反発だ。

71 :不揃いの林檎たち:05/03/12 18:34:19 ID:???


「こんのぉ…しくたれモノどもがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
バッシーン
「「「「ッグ…ギャァァァー!!!!」」」」


だが次の瞬間には、隼人の怒声と竹刀の炸裂音、そして悪ガキどもの悲鳴が響いた。
四人は某車田風に吹き飛ばされ、ドシャっと同時に地に落ちた。
ちなみに、竹刀の音は一つだったがなぜか四人同時に吹き飛んでいる。


「グッフゥ…お、おっさん…イキナリ何を…?」
吹き飛ばされた花郎は当然の疑問を口にした。
「なぜ殴られたかだとぉ!!そんな事もわからねえ奴が、ワケもわからず人様に喧嘩売ってんじゃあねえ!!オメエらは腐ったミカン以下よ……!この不揃いの林檎どもがぁぁぁぁ!!!」
会場内全てに轟かんばかりの大声で隼人は叫んだ。あと、隼人的には不揃いの林檎は腐ったミカン以下らしい。
「オメエらのその無駄に猛り狂った熱き衝動!!それをなぁ、自分でもワケわかんねぇ事で無駄に消費しちまってちゃあそれこそ無駄ってなモンだぜ!!」
その大声はサタン塔スピーカーに乗り会場全域に届けられた。
「その熱き衝動!憤り!!エネルギー!!!それら全てをこの大会にブッツけて、テメエの願いを叶えてみせろぃ!!!」
隼人の熱き姿は、巨大ビジョンにより会場全域に届けられた。
気が付けば、いつのまにやらこのいざこざの模様が映像に乗せられサタン塔巨大ビジョンにより流されている。
「有言実行!いやそれどころか不言実行!!イヤむしろ言われる前に、思いつく前に実行してみせろィ!!」
隼人の理論は最初から割と無茶苦茶だったが、ここにきてさらに無茶苦茶の度合いは高まってきていた。
「それが!それが真の漢ってモンじゃあねえのかぁ!?オメエ達のその拳は、その為のモンじゃあねえのかぁぁぁぁ!!?」
―――そして、サタン塔会場内に静寂が訪れた。
誰も何も言わなかった。ある者は呆気に取られ、ある者はなぜか涙をながし。
「オメエらのその信念…この大会で貫きな!俺が殴った理由を答えるのは…先ずはそれから、よ……」
そう言い放ち、隼人は医務室へと踵を返そうとした。

72 :不揃いの林檎たち:05/03/12 18:35:20 ID:???
(…う!?)
「―――!!」ガクッ
突然隼人が崩れ落ちた。限界を越えた肉体が、今にも崩壊しようとしていた。
「隼人ぉぉ!!」
その隼人を支えようとリョウが飛び出す。
ガシッ
しかしリョウよりも早く隼人を支えた腕があった。
「…ヘヘ、オッサンよぉ、ちっと無理しすぎだぜ」
その腕の主、それは隼人のパートナーであるダンであった。
涙を流しながら隼人を肩で支える。
「フン…オメエばっかに…良いトコ取られっぱなしだったからよ……」
「ッケ、あんたサイキョーに大バカだな……」
―――だけど、サイキョーにカッコイイぜ―――
そして熱きサイキョーの男達は、無駄に暑苦しく医務室へと消えていった。
「「く〜るし〜い時〜こそ〜ニヤリと笑え〜♪
  端か〜ら見て〜みな〜 漢(オ・ト・コ)だぜ〜…♪」」
無駄に男らしい歌を歌いながら。


残されたモノ達は、その多くが唖然としていた。
ある四人を除いて。

「…っけ!シラケちまったぜ……!」
「…全く、暑苦しい野郎だったな……」
kUSANAGIとシェンがそう呟く。しかし、その目はなぜか楽しそうだった。
「……ヨォテメエら、わかってんだろうんなぁ?」
文太郎が、何かを確認しようとした。
「へっ、テメエこそわかってんのか?」

73 :不揃いの林檎たち:05/03/12 18:37:17 ID:???
花郎が、ニヤリと不敵に笑い、他の三人もそれに続き笑い
「ゼッテーに勝ち上がってこいよ、テメエら!」
「コッチの台詞だなそりゃあよ!まあ、俺に恐れをなして逃げ出すとかなら仕方ねえかもしんねえがな!」
「言ってろやチャランポラン共!せいぜい首洗ってまっとけ!」
「おめえら全員、さっきの赤野郎共々、俺がぶっ飛ばしてやるよ…!」
各々が爽やかな表情で宣戦布告し、ザッと踵を返し、それぞれのパートナーの元へと戻っていく。
「オラ兎!気合入れてくぞ!!ドッカの童話みてぇに焼け兎にならねえように気をつけな!!」
「…なんだかわかんないけどとにかく良し!!ミルクも気合十分だぴょ〜ん!!」

「いやあ、見苦しいトコ見せちまったな…ま、行こうぜ」
「…あんた…俺程じゃねえにしろ中々の伊達男みてえだな……」

「すんません坂崎兄ぃ、みっともねえトコみせちまって……!」
「……いや、文太郎。これからもよろしく頼む!」

「さってと、んじゃ次の相手を探すとすっか」
「…はい!がんばりましょう花郎さん!!」

かくして、この事態は熱き男にしかわからないナニかによってなぜか円満解決した。
それは彼らの絆はより深くより強く成長させた。
サタン塔の嵐、それはこれより更に大きなモノとなっていくに違いない…。

74 :不揃いの林檎たち:05/03/12 18:41:08 ID:???
ダンの肩を借りて熱血隼人は歩いて行く。
「しっかしあのガキども、なんで自分達が殴られたのか本当にわかんねえようだったなぁ!」
「ああ、あったりめえよ…」
隼人は自身満々にそう答える。
(…ああ、そうさ。アイツらにわかるワケがねえんだ。なぜならよ―――)

(…俺にもわかってねえんだからなぁ!!)

(・・・俺にわかんねえ事が俺の半分しか生きてねえガキ共に、わかってたまるけぇ!!!)

少年よ、大志を抱け。
キッカケなど、なんでもいいのだ。
隼人は大笑いしながらそんな事を考えていた。

○炎の体育教師(熱血隼人)【青春群像】不揃いの林檎たち(KUSANAGI、シェン、九戸文太郎、花郎)●
※2回戦とは関係ありません。

75 :ゲームセンター名無し:05/03/16 02:09:49 ID:???
ホシュ

76 :ゲームセンター名無し:05/03/17 21:19:26 ID:???
ほしゅ

77 :ゲームセンター名無し:05/03/19 20:03:31 ID:???
ホシュ

78 :ゲームセンター名無し:2005/03/22(火) 00:29:03 ID:???
なんか冷めてきた

79 :ゲームセンター名無し:2005/03/24(木) 19:38:48 ID:???
そんな事言うなよ。楽しみなのに。

80 :ゲームセンター名無し:2005/03/26(土) 23:42:39 ID:???
気づいた時にはホシュ

81 :ゲームセンター名無し:2005/03/28(月) 12:00:15 ID:???
つまり保守れと

82 :ゲームセンター名無し:2005/03/31(木) 02:36:15 ID:???
みんな冷めてる

83 :ゲームセンター名無し:CREDIT1年,2005/04/02(土) 15:48:56 ID:???
(-.-)

84 :ゲームセンター名無し:2005/04/06(水) 02:03:46 ID:???
保守

85 :ゲームセンター名無し:2005/04/09(土) 00:56:56 ID:???
ほす

86 :ゲームセンター名無し:2005/04/10(日) 15:49:14 ID:???
アアゲ

87 :ゲームセンター名無し:2005/04/15(金) 00:09:58 ID:???
っぽ

88 :ゲームセンター名無し:2005/04/17(日) 23:50:53 ID:???
「何でこうなったのかなぁ」
「我が部下よ……、君にはアレが見えないのか?」
隣に居たベガ様が不思議そうな顔をして俺の顔を見る。
どうやら俺はたいそう酷い顔をして脂汗を流しながらガタガタ震えていたのだろう。
だが、後ろのよく似た柔道着の女の子二人も同じ反応を示したので勝負は互角。
――いや、俺の隣ではベガ様一人だけが笑っている。


89 :ゲームセンター名無し:2005/04/17(日) 23:52:20 ID:???
その頃。
「……アテナさん」
「あら、お久しぶりですねメイさん。どうかしました?」
「さっき抽選に当たった時、何であんなこと言ったの?」
「え? 私そんなに変なこと言いましたかしら?」
「だってさぁ、『超加速したジェットコースターに乗り先に気絶した方が負け』だなんて初めて聞いたよ?」
「私はよくテレビでやったりしますけど……そんなにおかしいんですか」
「そ、そうなんだ……大変だね、芸能人も」


90 :ゲームセンター名無し:2005/04/17(日) 23:53:29 ID:???

気がつくと俺は座らされてシートベルトを締められていた。
がたがたがたがたがたがた。
……なんで何も見えないっすか。この音はなんなんっすか。
がたがたがたがたがたがた。
規則正しい振動っすね。ちょっと不自然な格好で苦しいんですけど。


ああそうか、何も見えないんじゃなくて……これは空だ。
……空? 何で空が?













ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!




91 :ゲームセンター名無し:2005/04/17(日) 23:55:25 ID:???
グオオオオオオオオオオオォォォォォォォォ!!!


とっとっとととめててとめてててとめてとめてとめてとめてとめて
やめやめやめやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてめてめて

ヽ(´Д`:≡;´Д`)ノ

「すんませんすんません、もうしませんからぁっ!」

「先生! 花瓶を割ったの実は俺です! 白状しますから降ろして下さいっ!!」

「おおお、おちおち、落ちるなって! むしろ戻れってば! 高くなるな高くなるな!!!」

「謝るから、六百六十年の恨み分ぐらい今謝りますから! とめてェェ!!!」」

「ぎいゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ」

嗚呼、挑戦者の二人は似たような姿で既に失神してゐる。さすが似た物同士。
「そ、そう言えばベガ様は!? ベガ様大丈夫っすっか!?」
そう言った俺の隣で――

ベガ様は歯茎を見せながら笑ってゐた。
「koeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!」


92 :ゲームセンター名無し:2005/04/17(日) 23:56:52 ID:???
草薙さん二階堂さん大門さんK'さんマキシマさん京子さんセスさん燐さんおやっさんクーラちゃん
助けてください!助けてください!助けてくださーーーーーーーーーい!!!

そのときでした。
俺の願いに答えてくれたのか何処からともなく光が差し込んできたのです。
「もう泣くのはおよし、真吾や」
「その声は――天の曾お爺様!!!」
「真吾や、辛かった時は天井の染みを数えるのじゃ。さすればすぐに終わるであろう」
天国に居る曾お爺様は優しく教えてくれました。
そうか! ありがとう曾お爺様! よーし早速天井の染みを

曾お爺様――天井がない時はどうすれば(ry

「ひぃぃぃぃぃっ、風がっ、いてぇっ、痛いってばぁぁぁ!」

「俺が何したって言うんだーーーーーーーーーーーー!!!???」


93 :ゲームセンター名無し:2005/04/18(月) 00:01:52 ID:???
(以下、矢吹真吾の発言は不適切なものが多かったので削除させていただきました。ご了承下さい。)

94 :ゲームセンター名無し:2005/04/18(月) 00:03:45 ID:???



俺は腰が抜けたのかそれとも魂が飛んでったのかまともに立てなかったみたいでした。
そんな俺をベガ様が肩を貸してくれました。ああいい人だなぁベガ様。
どうやら勝負は俺とベガ様の勝利だったらしいですがもうどうでもいいです、はい。
俺はベガ様に引きずられるまま次の対戦相手を探しに会場へ向かった。
この先になにが待っているとも知らずに――

○正義の味方シャドルー(一勝)【スペシャル(ジェットコースター耐久勝負)】YAWARA!(一敗)●


95 :ゲームセンター名無し:2005/04/21(木) 11:26:30 ID:???
保守

96 :兎とクローンと狼と女の子 1/7:2005/04/21(木) 21:21:15 ID:???
「それでは第1問、まずは選択問題です!
初代ストリートファイターのボスキャラは次のうち誰でしょうか!
1、サガット、2、バイソン、3、ベガ!」
ポーン!
「一番!」
「テリー選手、見事正解です!」
正解の効果音と共に
「あ、当たりだ!なんで知ってんだ?!」
「人は三択を作れと言われた時、無意識に正解を一番に持ってくるんだ」
「な、なるほど…たしかに」
「これは一本取られたぴょん」
対するチーム、兎―野生のクローン―のKUSANAGIとミルキーパイがテリーの謎解説に何となく納得した。
よくよく考えればおかしい理論なのだが。二人ともあえて深くは考えなかった。
かつて訳の判らない解説でギースを「あ……あ……?」と言わせた男なのだ。これ位朝飯前だ。
「へー、テリーって物知りなんだね」
横で素直に感心しているのは彼のチームメイトのアミティ。
ユリアンにより心の傷を受けた彼女は結局立ち直るのに時間がかかり、チームを強制的に決められてしまった。
組まされた相手が変態だと嫌だなあと思っていたが、とりあえずまともそうな相手と組めたので今はホッとしている。
「……いや、テレビでやってた」
「受け売りなの!?」
……今は、なのだが。


97 :兎とクローンと狼と女の子 2/7:2005/04/21(木) 21:22:24 ID:???
「次の問題は名前当てクイズです!今からこちらの画面に一回戦敗退者を一人映しますのでその人の名前を当てて下さい!」
そして画面に映し出されたのは何ともファンキーなアフロの男が踊っている映像だった。
「イエーイ、ダンスダンス、ダンシーング!」
両チーム共、別世界に触れたせいか暫く固まって動けなかった。

ぱぽーん!
「アフロ頭だからアフロで決まりだ!」
「テリーのお馬鹿ーーーーーーーっ!!!!」
どさどさどさぁっ!
アミティの放ったおじゃまぷよが落下した。
「く…すぐ暴力に訴えるのは良くないぞアミティ。これはDVだ!」
DV(ドメスティックバイオレンス)は家庭内暴力だぞ、テリー。
ついでに犬福はそれ位なら余裕で食べれる(デブ福になるかもしれないが)
「ち、違うもん!あたしはやったのは暴力じゃなくてツッコミ!」
「なにっ!?俺が、俺がボケになっているだと?……そんな馬鹿な」
「何でそこで心底不思議そうな顔をするのっ!?」

「えーと、一応アフロという答えで正解なんですが……」
黒子が喧嘩している二人にそう告げる。
「………」
二人の荒い息遣いが虚しく互いの耳に届いた。
「…やめやめ。こんなことで仲間割れしている場合じゃないわ」
「体力がなくなって自滅するぜ…」


98 :兎とクローンと狼と女の子 3/7:2005/04/21(木) 21:23:41 ID:???
KUSANAGIは帽子チームの喧嘩を見逃さなかった。
「チャンスだ、相手は揉めているぜ。今の内に挽回するぞうさぎ!」
「わかったんだぴょん!」
というわけで、次の問題。

「それでは、次の問題です。
…犬福がりんごを10個持ってました。ネオがやってきて、更にりんごを5個くれました。
そこにお腹を空かせたジオがいたので、ジオに2個あげました。さて、犬福はりんごを何個食べられるでしょう?」
何故犬福。何故ネオ&ジオ。
ポーンとミルキーパイが回答ボタンを押した。
「犬福はそんなにりんごを食べれないぴょんっ!」
「そんな訳あるかーーーっ!!」
KUSANAGIの鉄拳が見事にミルキーパイにヒットした。
「な、何をしゅるぅ!?痛いんだぴょん!」
「勝手にアホみたいな答え出してんじゃねえよこの馬鹿うさぎ!」
「うにゅぅ!?馬鹿って言った方が馬鹿になるんだぴょん」
「んだとぉ!馬鹿って言った方が馬鹿って言った方が馬鹿なんだよコラァ!」
「馬鹿って言った方が馬鹿って言った方が馬鹿…」
「うるせえーーーっ!!」
KUSANAGIの声の方が100倍うるさいのだが。

「……13個」
揉めている二人を横目にアミティが答えた。
「アミティ選手、正解です!」

「………」
「………」
はぁ、はぁ。
二人の荒い息遣いが(以下略)。
やはり勝手に決められたせいか両チーム共、微妙に息が合っていないのだろうか。


99 :兎とクローンと狼と女の子 4/7:2005/04/21(木) 21:25:03 ID:???
「や、闇払い鵺摘み鬼焼き朧車琴月陽大蛇薙…」
「ポンチーカンリーチロンツモタンヤオピンフ…」

謎の呪文を交互に口にして、二人はまたにらみ合った。
「……負けるかよ」
「ここからが勝負だぴょん」

「麻雀でリーチをかけるには何点必要?」「1000点だぴょん!」
「映画AKIRAで主人公が乗っているバイクの色は?」「赤に決まってんだろぉ!」
「DNAの正式名称は?」「ドコサヘキサエン酸!」
「それはDHAだぞコラァ!正しくはデオキシリボ核酸、ちなみに科学名は20万7000字あるらしいぜ(byネスツの科学者)」
「この制服はどこのお店の制服でしょうか?」「アンナ○ラーズだぴょん!」「何で知ってんだよお前は……」
「テリー・ボガードの必殺技○○○パンチ。さて○○○に入るのは?」「サニー!その前に本人がここに居る!」
KUSANAGIとミルキーパイの怒涛の追い上げ。テリーも負けずにリーチを賭ける。

「次の問題です!これに正解した方が勝利となります!」
とうとう勝負は最終局面を向かえ、両者に緊張の空気が走る。
カカッっと、背景にイナズマが光った。


100 :兎とクローンと狼と女の子 5/7:2005/04/21(木) 21:26:32 ID:???
「それでは問題です……」
問題を読み上げようとした黒子があることに気づいた。
自分の持っていた問題用紙が白紙だったのだ。

「しまったー!アレは俺たちが放棄した奴じゃねえの!?」
「どうすんだよおいどうすんだよ、バレたらサタン様にお仕置きされるぞ!」
「それというのも問題作るの面倒臭いって班長が言い出したからじゃないですか!」
「班長、今すぐ謝ってこい!サタン様に謝ってこい!」
「どうせそんなに長引かないからって言ったのはお前じゃねえか!」
裏方で問題作成担当の黒子達がそんな風に揉めていたのはここだけの話である。

「あー……」
どうすればいいのか判らず問題読み上げ役の黒子は固まっていた。
「HEY!どうしたんだ、早く読み上げてくれ!」
「勿体つけてんじゃねえぞ!」
そう言われても問題自体が無いので黒子はどうすることも出来ない。
追い詰められた黒子はなかばやけになりながら問題を叫んだ。


「11163200700+65063293861−685101830はぁっ!?」


101 :兎とクローンと狼と女の子 6/7:2005/04/21(木) 21:28:11 ID:???
「何やってんだよあの馬鹿は!」
「そんな無茶苦茶な問題出すなよ、俺達の責任になるだろうが!」
「いやどっちにしろ責任取らされるのはこっちですし……」
「そもそもあいつ等に解けられるのかよ!」
「……どうしよう班長としてどうやって謝ろう……」
この事で裏方の黒子達はもはや大混乱状態になっていたのはここだけの話である。


ぽーん。
「75541392731」
即座に、淡々と、問題に答えたのは、


「……だぴょん」
ミルキーパイだった。

「え……で、出鱈目な回答を言っても間違えれば不正解ですよ!?」
いくら何でも即座に答えを言えるとは思っていなかった黒子は冷静を装いながらも驚いていた。
「出鱈目じゃないぴょん!75541392731で合ってるぴょん!」
「まさか答えも判らないで出題したんじゃねえだろうなぁ?」
とりあえずKUSANAGIもミルキーパイに加勢する。
「…う……」
とりあえず黒子はこっそりと電卓を叩いた。
75541392731。

「…………」


102 :兎とクローンと狼と女の子 7/7:2005/04/21(木) 21:30:08 ID:???

「正解!この勝負、兎―野生のクローン―の勝利です!」

「ふー、簡単な計算で助かったぴょん」
「……宇宙人にとってはあれが簡単なのかよオイ」
「ぬっおー!くっあー!ざけんなー!」
「落ちついて、落ちついてってば!あーん、この人もまとじゃないよー!」
スクリーンに映し出されたテリーはぶち切れて辺りを破壊し回っていた。
それを見たアンディは悲痛な叫び声を上げた。
「兄さん駄目だ!それ以上ボンボンに戻ったら駄目だ!!」

それはともかく問題作成担当の黒子達が後でサタン様にお仕置きされたのは言うまでもない。

○兎―野生のクローン―(一勝)【クイズ】帽子チーム(一敗)●


103 :魔性の女教師 水無月響子 ◆Fu21OaZL.g :2005/04/23(土) 04:42:14 ID:???

「あらあら、どうなさったのですか?」 
シャルロットと葵がちょうど不揃いの果実達が起こした騒ぎを止めようとしていた時だった。
響子がさりげなく彼女に声をかけてきた。
「いや、何やら向こうで騒ぎがある様なので少し注意をしようと思ってな」
「もう少し落ち着きを持ってほしいものですわね」
「ああ、それなら大丈夫よ。今うちの教師が止めに行きましたから」
響子はにっこりと二人に笑みを零した。

「こんのぉ…しくたれモノどもがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
バッシーン
「「「「ッグ…ギャァァァー!!!!」」」」

「ほら、だからあなた達が止めに入らなくても大丈夫ですよ?」
「その様ですわね」
「成る程な……それで、私達に何の様だ?」
「はい?」
と、響子はやんわりと問いに聞き返した。
「まさか用件はそれだけではないのだろう? 私達と試合をしたいのなら遠慮はいらないぞ」
「あら、随分と好戦的な方なのね? レディは年相応の振る舞いをするものよ?」
「……何?」
シャルロットは目の前に佇む響子を睨み付けた。普通の人間だったら、ちょっと怯むような視線を、響子は花が咲くような笑顔で受け入れた。
「ごめんなさい、気に障った様なら謝るわ。
……そうね、あなた達と戦うのは止めておくわ。見た所敵いそうにはないもの、強さでも若さでも」
「そ、そうか?」
思わずシャルロットの声が上ずる。

104 :魔性の女教師 水無月響子 ◆Fu21OaZL.g :2005/04/23(土) 04:43:21 ID:???
「自己紹介が遅れたわ、私の名前は水無月響子。また機会があったらその時はよろしくね」
にっこり。
満面の笑みを浮かべてシャルロットに握手を求める。シャルロットはそれにふむ、という風な顔で答えた。
交わされる握手。
その瞬間、微妙な間と空気が二人を包み込んだ。
「それでは」

「何だかよくわかりませんですけど、とりあえず友好的な方で良かったですわ」
葵は少し驚きながらも、去っていく響子を見送った。
「……いや、それはどうかな」
シャルロットは葵の言葉を即座に否定した。響子と握手した自分の手を見る。
「今の女、少なくとも私達に友好的ではない様だ」
と、シャルロットはゆっくりと葵に掌を見せる。
「シャルロットはん、それは……!」
思わず地の京都弁が出た葵。
その視線の先にある掌にはべったりとガムがへばりついていた。

「せいっ、はあっ!」
小次郎の腕が、刀を包丁に持ちかえて縦横無尽に舞わせる!
「よし! 委員長殿、全部切れたぞっ」
対しておたまを構えた委員長はゆっくりと、だが確実な調理法で料理を完成させてゆく。
「確か私の記憶が正しければあれをこうして……じゃあ次はお塩を持ってきて」
そこに派手さは無いが小次郎をうまくサポートさせ素早く作る所はなかなかのものだ。

105 :魔性の女教師 水無月響子 ◆Fu21OaZL.g :2005/04/23(土) 04:45:41 ID:???
「うーん……何だか向こうはかなり料理上手みたい」
リーダーズの方を見てまおは悩んだ。
勝負の対決方法は料理。
だがまおは最近アイドルとして多忙だったせいか、料理を全くしていなかったのだ。
「ト−ストしてバター塗る位しかやっていないのよね、困ったなぁ〜」
まさかトーストで対抗する訳にもいかない。
「そうだ、サンドイッチよ! 生のパンに具を挟めば終わりじゃない!」
おにぎりという手も考えたが握る過程で失敗すればかなり不細工になってしまう。
サンドイッチなら単純に四角に切れば見栄えもそれなりに見られる。
「よし、それで行こう!」
まおの明るい声が、厨房に響いたその時だった。
どさっ!
突如横から巨大な魚の丸焼きがまおの目の前に飛び出してきた。
いや、正確には置かれたといったのが正しいのだが。
「じぇ、ジェフリー、さん……?」
瞳をぱちくりとしながらまおは、いつの間にか傍らにいる魚を運んできた張本人に尋ねた。
「オラのふるさとで採った魚、そのパンに挟めばきっとウマイ」
「……それっておいしいの?」
「大丈夫! オラお前の腕信じる、お前もオラの漁師の腕信じろ」
自信満面な顔のジェフリーに、まおは首を縦に振るしか道が無かった。


「ふぅ……」
響子はその試合を観戦しながら優雅にティータイムを楽しんでいた。
ティーカップをテーブルに置いて、膝を組みながら考える。

106 :魔性の女教師 水無月響子 ◆Fu21OaZL.g :2005/04/23(土) 04:46:48 ID:???
「あ、あのー響子先生? 試合相手を探しに行かないんですか?」
「ええ、もうちょっとだけ見せてくれないかしら?」
「は、はいっ! 響子先生がそうおっしゃるのならっ!」
完全に響子の魅力に取り付かれているリオン。勿論紅茶セット等も、全部彼が用意したものだ。
(大したことないわねぇ、麻宮何とかといいアイドルなんてこんなものなのかしら?)
そう思ってはいても見れば見るほど、響子のテーブルの下で握られた拳がわなわなと震えてくる。
密かに逆ハーレムを望み調子に乗ってヒロイン化でもしようかしらとも思っている響子。
彼女にとってヒロイン候補にあげられそうな女性キャラは、はっきり言って邪魔だったのだ。
(今に見ているがいいわ……この大会の真のヒロインは私だってことを思い知らせてあげる!)

「所で響子先生、それはどうしたんですか?」
「……ああこれ? さっきガムをあげた人からお返しに貰ったのよ」
「は、はあ」
「全く……驚いたわね」
本当に驚いた様な顔をして、響子は大きくため息を吐いた。

テーブルには先程響子の手に少なからず傷をつけた一厘の薔薇が置いてあった。


107 :魔性の女教師 水無月響子 ◆Fu21OaZL.g :2005/04/23(土) 04:48:38 ID:???
「へー、豪鬼さんっていうのね」
「………」
豪鬼は戸惑っていた。

「なーんか面白そうな人、チョンマゲってことはもしかして世界忍者とか?私の知り合いにも一人似てるのがいるのよねー」
「………」
「その首に付けている数珠、何? もしかしてお守りか何かとか?」
「………」
「あっ、そうそう数珠っていえば一回戦でうさぎみたいな帽子のおっさんが数珠飛ばしてたなあ。
いきなり『貴様らもサイキッカーだな、滅せよ!』とか言っちゃってさ、それと似た様なものなの?」
「………」

豪鬼とそのパートナーとなったニーギ・ゴージャスブルー。
二人の周囲に異様な空気が立ち込め始めてきた。


108 :魔性の女教師 水無月響子 ◆Fu21OaZL.g :2005/04/23(土) 04:49:50 ID:???
「ぶへぇっ! な、何ですかこれは!?とてもじゃないけど食べれませんよ!」
「そんな! ちゃんと正しく作れた筈なのに!」
「正しくも何も、これ砂糖と塩を間違えてますよ!」
「……小〜次〜郎〜さ〜ん?」
「そ、そんな、そういえば確認してなかった様な……」
料理を吐き出した黒子。絶句するリーダーズ。

その様子を見ながら、響子はくるくると薔薇を弄び椅子から立ち上がる。
「まあいいわ、とりあえず試合相手を探さないとね」
薔薇を優雅に投げながら呟く響子。
「素敵です、響子先生!」

「あ、そっか。何で面白そうな顔なのか分かった。白眼だからだ!」
「!!!」
豪鬼の堪忍袋の緒が切れ声を張り上げようと口を開けたその時、


「あ」
「あ」
「あ」
「ぬう?」

響子の投げた薔薇が見事豪鬼の口に向かい、結果口の間にはさまってしまった

109 :魔性の女教師 水無月響子 ◆Fu21OaZL.g :2005/04/23(土) 04:51:04 ID:???


沈黙。

当事者達でさえ状況を理解するには暫しの時間が必要だった。
それほどまでに異様な光景だったのだ。
拳を極めしものが真っ赤な情熱の薔薇を口にくわえた姿は。

「…ぷっ」
沈黙を破ったのは少女の声だった。

「勝者、ウルルン共闘記!」

遥か向こうでそんな声が聞こえたが、豪鬼も響子もリオンも聞いてはいない。
「あっははははははははははははっ!!!」
大爆笑するニーギの声だけが他の三人の耳に聞こえていたのだっだ。

○ウルルン共闘記(一勝)【料理】リーダーズ(一敗)●


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