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スパロボキャラバトルロワイアル2

1 :それも名無しだ:2005/10/25(火) 18:52:58 ID:NG3AP12Y
【原則】
乗り換えのルールはこれが鉄板です、変更は出来ません。(詳しくは初代議論感想スレを参照の事)
前の人の話やフラグを無視して続きを書くのは止めましょう。
また、現在位置と時間、状況と方針は忘れないで下さい。
投下前に見直しする事を怠らないで下さい、家に帰るまでが遠足です。
投下後のフォローも忘れないようにしましょう。
全体の話を把握してから投下して下さい。
【ルール】
基本的に初期の機体で戦うことになりますが以下は特例として乗り換え可能です。
・機体の持ち主を殺害後、その機体を使う場合
・機体の持ち主が既に別の機体に乗り換えていた場合
・機体の持ち主が既に殺害されていて、機体の損傷が運用に支障無しの場合
弾薬は放送と同時に補給されます、また乗り捨てたor破壊された機体は次の放送時に消滅します。
【備考】
議論感想雑談は専用スレでして下さい。
作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
おやつは三百円までです、バナナは含まれません。
スパロボでしか知らない人も居るので場合によっては説明書きを添えて下さい。
水筒の中身は自由です、がクスハ汁は勘弁してつかぁさい。
これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。
初めての方はノリで投下して下さい、結果は後から付いてくる物です。
作品の保存はマメにしておきましょう、イデはいつ発動するかわかりません。

前スレ
スパロボキャラバトルロワイアル
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1125493403/
議論、感想はこちらへ
スパロボキャラバトルロワイアル感想・議論スレ2
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1129013604/

2 :それも名無しだ:2005/10/25(火) 18:54:34 ID:1qRQHyBr
HG「フゥゥゥゥ!!」

3 :それも名無しだ:2005/10/25(火) 18:57:53 ID:NG3AP12Y
ありがたいまとめサイト様
ttp://www.geocities.jp/suproy2/index.html
ttp://aribaba48.hp.infoseek.co.jp/

画像掲示板
ttp://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/0414/index.html

携帯の人はここを中継してみましょう
ttp://fileseek.net/proxy.html

4 :それも名無しだ:2005/10/25(火) 19:00:41 ID:jfafaVKI
ぺ様「・・・・!!!?」

5 :それも名無しだ:2005/10/25(火) 19:08:09 ID:NG3AP12Y
参加者一覧の名簿探したら、マサキと竜馬載ってるのねーし!!!
まとめサイト様のところに、見やすい一覧があるのでそちらを参考にしてくだちぃ

6 :ヘタレ道中記:2005/10/25(火) 19:42:12 ID:OcAkoSPH
『……それから、今後の放送は十二時間毎に行うこととする、精々聞き逃さん様にしたまえ』

「ほ、ほう……殺し合いはなかなか順調に進んでいるようだな……」
 参加者に向けた放送が響き渡る中、男は一人呟きを洩らす。疲れきった声、憔悴しきった表情で。
 ……ヴィンデル・マウザー。
 かつて戦乱の世界を築き上げようとして世界に反旗を翻した、ヘタレ小悪党その人である。
 この戦いが始まってから六時間。その間、多くの参加者たちが出会いと別れを繰り返していった。
 ……だが、そんな中にも例外はある。
「私は……私はまだ、誰とも出会えておらんというのに……」
 そう、それがヴィンデル・マウザーその人であった。
 あれから……ハロの軍団に白旗を振ってから、ヴィンデルは自らに与えられた機体――
ジャスティスガンダムを駆り、周囲の様子を伺う事にした。
 自分以外にも数十人規模の人間が殺し合いを始めている中、目立った行動を取る事は命取りとなる。
そう考えての行動ではあったが、もう一つ重大な理由が存在した。
 そう、それは――
『テキガコナイゾ、ヴィンデル!』
「ああ……そうだな……」
 ハロ。このコクピット内を埋め尽くす、なんだかよくわからない丸っこいペットロボの存在である。
 ペットロボと銘打っておりながら、ハロの性能は予想外に高い。
 実際、現在ジャスティスを操縦しているのは、脱力中のヴィンデルではなかった。
 ハロである。器用な事にマニピュレーターを駆使して、ハロは数体掛かりでMSの操縦を行っていた。
 ……その一方、ヴィンデルはといえば、コクピットの片隅で膝を抱えるばかり。
 親指の爪を噛みながら、涙を流しながらブツブツ呟きを洩らしていた。
「くそっ……私はヴィンデル……ヴィンデル・マウザーなのだぞ……?
 それなのに……それなのに、どうしてペットロボごときの命令に従わなければならんのだ……?」
『ウルサイゾ、ヴィンデル!』
「あっ! す、すんません、すんません! 静かにしてますから、どうか……どうか、修正だけはっ……!!」
 機体を操縦するのも、これからの方針を決定するのも、もはやヴィンデルの仕事ではなかった。
 ハロにボロ負けしてからこっち、ハロとヴィンデルの間には絶対的な立場の差が生まれていたのである。
 すなわち――『ハロ>>>(越えられない壁)>>>ヴィンデル』であった。


7 :ヘタレ道中記:2005/10/25(火) 19:42:52 ID:OcAkoSPH
「ううっ……アクセル……ラミア……私……私は…………」
 かつての部下の事を思って、ヴィンデルは一人涙する。
 だが、その部下といえば――


「ちっ、違うぞッ! 俺とルリちゃんは、そんな……」
「いやいや、言い訳は男らしくないんだな、これが。どっからどう見てもラブラブカップルにしか……」
「だ、だからっ……!」


「ゲームは順調に進んでいるようだ。このペースが続くようなら、お前の出番は当分先の事かもしれんな……」
「はい、ユーゼス様」


 ヴィンデルの事など、頭の片隅にも無かった事を記しておこう。


【ヴィンデル・マウザー ZGMF-X09A・ジャスティスwithハロ軍団
 パイロット状況:健康、めっちゃ脱力、ハロの下僕
 機体状況:損傷なし、ただしコクピット内がハロで埋め尽くされている
 現在位置:B-5
 第一行動方針:……ハロを切実になんとかしたい
 第二行動方針:アクセル、ラミア・ラヴレスとの合流
 最終行動方針:戦艦を入手する】

【時刻:18:20】

8 :信頼という意味    1:2005/10/25(火) 21:04:50 ID:NG3AP12Y
「良かったな」
「何がだ」
「どうやら、お前さんの探してるヤツは、まだ誰にも殺されちゃいないらしい」
「・・・ああ」

放送終了後。ここは、エリアG4と区切られたエリアの森の端
そこには、イキマとジュシュア・ラドクリフの機体の姿が有った
「やっぱ、今日はここらでキャンプかな」
ジョシュアが地図を見ながら言う
もうすぐ日が暮れる。このまま森を抜ければ、白地の目立つ彼らの機体は実に「よく見える」事だろう
イキマは直ぐにでも動きたい様子だったが、わざわざ危険を侵したいと思うほどの馬鹿でもなかったようだ
「ところでさ、」
「何だ?」
「そろそろ、顔を見せてくれてもいいんじゃないか?」
「・・どうしてもか?」
イキマは、これまでずっと通信も音声のみで、まだジョシュアに自分の顔を見せていなかった
顔を見せたら、自分が人間ではないのが知られたら、またこの男も敵になってしまうのか、それが不安だった
「まぁ、このゲーム終わるまでかもしれないけど、一応俺達・・仲間だろ。少しくらい信用してくれよ」
(まさか俺が、人間に嫌われやしないかと不安がるなんてなぁ・・)
操縦席で、ふふ、と思わず嗤った。ヒミカの元で戦っていた頃の自分では考えられない気持ちだった

思いきって、コクピットのハッチを開ける。数時間ぶりに外気に肌が触れる
「ほら、お望みの素顔だ」
地面へと降り立ったが、相手からは反応はない
自分の姿に驚いているのだろう。予想は出来たリアクションだが、それだけに辛かった
「・・・お、お前・・・」
「あぁ、残念ながら俺は人間じゃない。俺は・・」
「・・・・・お前・・・顔色悪いぞ・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
相手の機体のハッチも大きく開き、中から青年が降りてくる
「しかもこんなオッサンだったなんて・・あぁ、ゴメン、じゃない。すみません!俺より年上なのにお前とか言って」
目の前ですんません、を繰り返すジョシュアに呆れた顔のイキマが言う
「いや、そんな事は別にいいんだが・・驚いてないのか?」
「いや実は、ハッチ開くまでビビってた。脳に触手が生えた様な怪生物でも出てくるんじゃないかと・・」
「お前な・・どんな凄い妄想をしてるんだよ・・」
二人とも声を出して笑う。
「まぁ、最初の自己紹介でヤマタイ王国だのハニワゲンジンだの言われたら凄いの想像しちまうよな・・
 何かそれで、もっと物凄いおぞましい形の物体が乗ってるんじゃないかって思っただけだよ
 あ、別に人間じゃないとか、そんな事で俺は区別も差別もしないぜ?そういうの、けっこー慣れてるからさ
 まぁ、多少は信じてもらえてると思うけど・・改めて宜しく
 ・・えーと、イキマ・・さん?」
ジョシュアがイキマに右手を出した
「さっきまで通り、イキマで構わんよ。ジョシュア・ラドクリフ」
イキマは笑いながら、安心した顔でその手を握った


9 :信頼という意味    2:2005/10/25(火) 21:06:19 ID:NG3AP12Y
自己紹介はとっくに済ませた後だったので、二人とも地面に座るとゲームの事に付いて話しはじめた
残念ながら、(幸運にも)ジョシュアは誰とも遭遇する事は無かったので、話す事は少なかっため
専らイキマの話ばかりだったが・・彼が見知らぬ男に嵌められた事や、何故バランを探しているかをジョシュアに全て打ち明けた
「なぁ」
「何だ?」
「あのアルマナって子の亡骸、埋めてやらないのか?」
ジョシュアが、ノルス=レイの操縦席に積まれているだろうと思われる、イキマのマントにくるまれた少女の亡骸の方を見上げて言った
「ああ」
「でもこのままじゃ、3日も経たずに腐っちまうぞ」
「分かってる。だが、あいつも知ってるヤツに顔も見せないまま、こんな誰も知らない場所に埋葬されるのは嫌だろう
 バランとか言う男に会わせてやるまでは、亡骸を捨ててなんて行けん」

「・・お前ってさ、顔は悪役だけど意外といいやつだろ」
「何を言い出すんだ」
「照れてんのか?」
「馬鹿言え」
ジョシュアは、にやっと笑うと立ち上がり、尻に付いた土ぼこりをパンパンと手で叩く
「じゃ、まぁ冗談はさておき。友好の印って事でさ、晩飯でも喰おうぜ」
機体と一緒に配布された、機体のマニュアルやら地図等が入っているナップザックをごそごそと漁る
「ああ、晩飯か。それならそこらでウサギかネズミでも探してこよう」
不思議そうな顔でジョシュアが聞き返す
「え?最初に貰った携帯食料は喰わないのか?」
イキマはやや真面目な表情に戻ると
「携帯食料とやらが、ゲームが終わるまでずっと保つとは限らんし、これから先でどこでも食料が調達できるとは限らんからな
 火を使うのはあんまり褒められたもんじゃないが・・穫れる時はなるべく節約した方が良かろう」
「お前・・意外と考えてるんだな」
「・・バカにしてるのか?それに、主催者側の用意した食い物だ。何が仕込まれているか分かったもんじゃない
 まぁ即効性のあるようモノは、ゲームに影響があるから入れないだろうが・・喰って4日後にバタンじゃ、シャレにならんぞ」
「そっか・・んじゃ、俺も穫るの手伝うよ。どうすりゃいいんだ?」
「お前は取りあえず、そこらで地面に開いてる30センチ位の穴を探してくれ。それが巣穴だ。この辺の森なら多分居るだろうと思う
 穴に住むウサギは、野ウサギみたいには警戒しないからな。多分簡単に捕まえられる筈だが、逃がすと勿体ないんで見つけたら俺を呼んでくれよ」
「ああ、分かった。じゃぁ日が暮れる前にやっちまおう」
「そうだな」

日の光は沈みかけ、夜の帳が降りる
まだ会ったばかりの2人だったが、確実に友情の様なものが出来始めていた


【ジョシュア・ラドクリフ 搭乗機体:ガンダム試作2号機(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)
 パイロット状況:健康、核に重圧(仲間が出来たことで多少緩和?)
 機体状況:良好
 現在位置:G-4森の中(F側境界寄り)
 第一行動方針:イキマの探し人(バラン、ジーグ)を共に探す
 第二行動方針:主催者打倒の為の仲間を探す
 最終行動方針:イキマと共に主催者打倒】

【イキマ 搭乗機体:ノルス=レイ(魔装機神サイバスター)
 パイロット状況:健康
 機体状況:損傷なし
 現在位置:G-4森の中(F側境界寄り)
 第一行動方針:ジョシュアと共にバランを探す
 第二行動方針:アルマナを殺した男の殺害
 第三行動方針:ジーグ(司馬宙)の打倒
 最終行動方針:ジョシュアと共に主催者を倒す】

【時刻:19:12】

10 :山間の血戦:2005/10/25(火) 22:34:05 ID:7ItzEPbu
にらみ合いが始まって早4時間……
決して姿を見せずの交渉も失敗に終わり、一種のこう着状態となっていた。
「………………」
敵が攻撃するにも近い宣言をしてか4時間もの間、
ただただヤマタノオロチを狙い構え続けるヒイロのM9。
2時間ほど前に小型の機体がヤマタノオロチに入ったのは確認しているが、
それからは再交渉の動きも、いや通信すらない。
過去をさかのぼり内部___
「地球に住むカスどもを正し・・・・」
「ふむ・・・・」
ギレンとハイネルの交渉、と言ってもお互いの腹の探り合いのようなものだが・・・・
交渉が行われていた。
「ギレン殿、貴殿の気持ちはよくわかった。ともにあの仮面の下郎を倒そうではないか」
「おお、それはありがたい」
「しかし、今は狙われておるようで、この要塞を動かすわけにもいかん。」
「そうですか………(あのカスは今は捨て置くとするか・・・)」
「ならば動けるまで待つとしましょう」
そして放送も終わり今に至る。
しかし相手はあのヒイロである。もう5時間は動きが無いと思われたが………


11 :山間の血戦:2005/10/25(火) 22:34:43 ID:7ItzEPbu
変化は2方向から訪れた。
「いた………!」
アムロは岩場のそばにいる鈍重そうな機体を見つけた。
「向こうは気付いてないのか………?だったら!」
幾ら異星の技術と言えども、500年前に出来たベミドバン。
センサー周りではサザビーに敵うはずもない。
3基のファンネルを飛ばすサザビー。
ヒュン・・・ヒュン・・・
「ん?」
ジ−グが気づいた時にはもう遅かった。
あたりを照らすフラッシュバックとともにファンネルからビームが放たれる!
「なんだこいつ!?」
急いでファンネルを打ち落とそうとするが、機敏に周囲を回るファンネルに即応できない。
その隙にアムロのサザビーが距離を詰め、
「2つ!」
あまり長く伸ばしていないビームトマホークが胴体の関節の間に滑り込んだ。
「うわぁ!」
コクピットなら即死、そうでなくても、重要なパーツが多い
胴体を貫くこのダメージではまともに動くことは出来ないだろう。

ただし、普通の人間なら、だ
「よくもやったな!!この野郎!」
鉄球を振り回そうとしてサザビーを引き剥がすベミドバン。
確かにジーグも無傷ではないが、浅く刺し入っただけであったため、
まだ動くことが出来る。
もっとも普通の人間なら蒸し焼きだろうが………
「どこの誰だか知らないが相手になってやるぜ!」
鉄球を振り回すベミドバン。
「どりゃぁぁ!!」


12 :山間の血戦:2005/10/25(火) 22:35:54 ID:7ItzEPbu
そしてもう一方………
「参りましたね………」
よりにもよって彼がいる場所には、戦闘した要塞がここ一帯に下りており、まだ動いていないため、うかつに移動するのもはばかられた。
この戦艦型では確実に見つかってしまう。
しかし、このままでは人を見つけることは出来ないため、動くことを決断した
浮上を始めるグダ。
しかし、
「!新たな機体の反応……!」
咄嗟に向きを変え、そちらも狙おうとするとするヒイロ。
が、それがミスとなった
「む!?そこか!」
明らかに音をたててしまい、大まかな位置が悟られてしまった。
そこに首を生やし、龍の首火炎をまきちらす
「…!」
間一髪かわすヒイロ。しかし、かわすために狙撃の姿勢をといてしまった。
同時に浮上を始めるヤマタノオロチ。
「やはりいましたか」
グダもヤマタノオロチを確認すると逃げるための煙幕変わりか、戦う気ははわからないが、
恐竜ジェット機を発進させる。ギレンは中にいるためか出撃はしていないが、
ほぼここにいるもの全員の潰し合いが始まった。


13 :山間の血戦:2005/10/25(火) 22:36:46 ID:7ItzEPbu
しばらくの間、ヤマタノオロチとグダはお互いが牽制しあう展開だったが、
副長にゲームに乗る気はない。ゆっくりと前を向いたまま後退を始めた。
ここまでヒイロは位置を知られることと、両方から狙われるのを避けるため、
アクションを起こしていなかった。副長はその存在気気付いていない。
「ターゲット確認……!」
そして2発のマズルフラッシュ。同時に移動を始めるヒイロ。
ヒイロのはなった2発の弾丸は、グダの下部、トカゲでいうなら腹部に正確に着弾した。
エンジン周りをやられたためか傾くグダ。
「この機を逃すな!」
ハイネルの言葉と共に、ヤマタノオロチごと龍の首が恐竜ジェット機を押しのけ
突撃してくる。
「!」
そして背中につく艦橋は3匹の龍の首に蹂躙され、落ちていくグダ。コントロールを失った恐竜ジェットもバラバラと落ちていく
2つの首をしまい、回避行動に移り始めようとしたとき、
ヤマタノオロチに衝撃が走った。
首をしまうため空いていた内部への隙にヒイロが打ち込んだのだ。
壊れ、大きな穴をさらすヤマタノオロチ。回避運動を取ろうとするが、
さらに穴に打ち込まれる弾丸が傷をえぐる。
先ほどしまった首を伸ばし、あたりに火炎をまきちらすヤマタノオロチ。
一面はあっという間に火の海となった。
しかしヒイロはそれを致命傷にならないと判断すると、神域の射撃を見せた。
動くもの相手に、2発目が当たった場所と全く同じ場所に3発目を打ち込んだのだ。
「!?まさかこんなことが!?」
西に落ちていくヤマタノオロチ。
「ターゲットの撃破の確認を行う」
そう言ってM9はヤマタノオロチの落ちた方向へ進み始めた。


14 :山間の血戦:2005/10/25(火) 22:37:48 ID:7ItzEPbu
こちらもまた決着が付いていた。
あたり一面が火の海となった森で激突するベミドバンとサザビー。
タイプは正反対であったものの、お互いが一進一退を繰り返してきたが、
火炎によってその決着は付いた。
「近づけない・・!?」
「このぉ、死ねえ!!!」
ベミドバンが少し押し始めた頃、火炎は回りに吹き荒れた
「くっ!ヤマタノオロチめ、ちくしょう!」
火炎にまかれジーグの集中力が途切れたのだ。
「今……!いけ!今しかないんだ!」
ジーグに接近し組み付き、腹部に凶暴な光がもれ始める。
そのままメガ粒子砲をほぼ零距離で発射し、先ほどビームトマホークを突き入れた
場所にビーム・ショットライフルを突き入れ3発、さらに最大出力のビームトマホークを突き入れた。
もうベミドバンは動かない
「はぁ・・はぁ・・」
「2つ・・・・・!」

最後に・・・
ヤマタノオロチが落ちた場所でギレン・ザビは目を覚ました。
彼は戦闘が始まった時、もしものために機体に乗っていたのだ。
「手駒は失ってしまったか・・・まぁいい、もう一度見つければい」
最後までギレンが何かを言い切るのより早くなにかがコクピットに直撃し、
そのまま彼は絶命した。
茂みから現れるM9 。6発打ちつくしたライフルを棄て、
ヒイロは静かにつぶやいた。
「任務、完了」


15 :山間の血戦:2005/10/25(火) 22:38:39 ID:7ItzEPbu
【プリンス・ハイネル 搭乗機体:幻魔要塞ヤマタノオロチ(鋼鉄ジーグ)
 パイロット状態:死亡
現在位置:E-5
 機体状況:大破

ヒイロ・ユイ 搭乗機体:M9ガーンズバック
 パイロット状態:健康
 機体状況:装甲表面が一部融解
 現在位置:E-6
 第一行動方針:現在なし
 最終行動方針:最後まで生き残る】

【ギレン・ザビ 搭乗機体:RX-7ナウシカ(フライトユニット装備)(トップをねらえ!) 
 現在位置:E-6
  パイロット状態:死亡
 機体状況:コクピットを吹き飛ばされる

【司馬宙 搭乗機体:ベミドバン(第3次スーパーロボット大戦α) 
 現在位置:C-6の岩山直前
 パイロット状態:死亡
 機体状況:中破、コクピット使用不能

【副長 搭乗機体:メカザウルス・グダ(ゲッターロボ!)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:バラバラ

アムロ・レイ 搭乗機体:サザビー(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
 パイロット状態:疲労
 機体状態:シールド、ファンネル3基破壊。装甲表面が一部融解
 現在位置: C-6の岩山直前
 第1行動方針:目立つ動きを取って敵を釣り出す   見つけたら先制攻撃
 最終行動方針:ゲームに乗る。生き残る】



16 :夕焼け空、狂気の闘将:2005/10/25(火) 23:17:35 ID:zJKNDUvH
『アラド・バランガ、アルマナ・ティクヴァー……』
聞こえてくる声を、うすらぼんやりと彼女は聞く。
彼女の機体が握り締めた刃には、細かな肉片が付着している。
その先端を地面に突き立て、彼女は焦点の定まらない瞳でモニターを見つめ続ける。
そこにあったはずのエヴァ初号機が消え、男の声が響いてきたとき、ようやく彼女――惣流・アスカ・ラングレーは振り乱していた手を止めていた。
『……フェルナンド・アルバーグ、三輪防人』
羅列される死亡者名が耳に入ってくる。だが、そんなことはアスカにとってどうでもよかった。
もはや標的はいないのだ。誰が死のうが関係ない。
 
 殺す。
 誰であろうと殺す。全て殺しつくす。
 そうすればいずれ辿り着く。シンジを殺した人物に。
 そのために殺す。シンジを殺した奴を殺す。そいつを探し出すために殺す。
 ころすコロス殺す。

『以上、12名だ。……なかなかの結果じゃないか。その調子で、快適な殺し合いを楽しんでくれ』
死亡者は以上。その意味を理解するのに数秒かかった。そして、アスカははっとする。彼女の虚ろな瞳がゆっくりと光を帯びていく。
 希望の光などとはほど遠い、ギラついた光だ。
「ふふふっ……あはははは、ははははははははははっ……!」
コクピットの中、アスカは凄絶な哄笑を響かせる。それは狂気と、殺意と。そして、悦びが入り混じって響き渡る。
 まだ自分にはチャンスがある。この手で、碇シンジを殺すことができる。
 そう思うと、笑みが止まらなかった。

 勢いよくダイモシャフトを引き抜く。そのとき、放送が続いて聞こえてくる。
『続いては禁止エリアだ。今から二時間後、D-3とE-7は進入禁止となる。
 進入すると、君たちの首輪が起動するので注意することだな……』
アスカは現在地を確認する。近い禁止エリアは西。アスカはそこを避けて進路を考える。
 エヴァ初号機は大破していた。ということは、運よく脱出したというコトだ。
 機体を失った場合、シンジならどうするか。その答えを、アスカはすぐに出す。
「逃げるに決まってるわよ。臆病なバカシンジならね」
そう一人ごちると、地図を確認する。東に森が広がり、その中心に何か施設らしきものが記されている。
森にしろ施設にしろ、機体を隠すこともできそうだ。ならば、人間が単独で逃げるならもってこいのルートだろう。
「今度こそ、私がこの手で殺してあげる」
先ほどの戦闘で、エヴァ初号機を十分に嬲った。今度は生身のシンジを、直接いたぶることが出来る。
 そう考えるだけで愉悦が走る。シンジが恐怖に怯える姿をイメージするだけで、込み上げる笑いを抑えられない。
「待ってなさいよ、シンジ……」
浅黄色をした夕焼けの空へと、狂気を内包した闘将は飛び立った。

【惣流・アスカ・ラングレー 搭乗機体:ダイモス(闘将ダイモス) 
 現在位置:F-6(G-6へ移動中)
 第一行動方針:碇シンジの捜索
 最終行動方針:碇シンジを嬲り殺す】

【時刻:18:10】

17 :第二の出会い:2005/10/26(水) 03:32:17 ID:kHrRGry0
「……十二人、か。ゲームが始まってから六時間、三十分に一人が死んでいる計算になるな」
 ゲームの進行状況を伝える放送を聞きながら、シロッコは陰鬱な溜息を吐いた。
 ゼオラ・シュバイツァーにより機体を破壊されてからこっち、シロッコは機体の修理が可能な工場を求め、市街地の探索を行っていた。
 このダンガイオー、決して弱い機体ではない。マニュアルを見る限り、スペックとしてはMS以上のものを持っている。
 だが、片腕を失い、また機体の性能を完全に引き出す事が出来ない今の状態では、それも宝の持ち腐れである。
 この過酷な生存競争が行われている中でそれでも生き抜く事が出来ると信じられるほど、シロッコも現状を楽観視してはいない。
 それで、なんとか片腕の修復だけでも行えればと、修理工場の類が無いか捜索を続けてはいたのだが……。
「少なくとも……この周辺に、機体を修理可能な設備は無いようだな……」
 探索の結果、得られた物は多くなかった。
 商店や生産工場の類が無いわけではなかったが、ロボットの修理とは無関係なものばかり。
 無人の商店から水や食料品等を手に入れる事は出来たが、最大の目的である機体の修理を行う事は出来なかった。
 となれば、シロッコの取り得る手段は――
「他人の機体を奪うか、もしくは盾となる人間を見付けるか……」
 だが、そう思って他人に声を掛けた結果がこれである。
 事は慎重に運ばなければ、こちらの命に関わってくる。
 故に、シロッコは座して悩み続けていた。これから自分が取るべき行動の指針を決めかねて。
 ……そう。センサーに、新たな機体の反応が現れるまでは。

18 :第二の出会い:2005/10/26(水) 03:33:45 ID:kHrRGry0
「はぁッ……はぁッ……!」
 逃げなきゃ……どこか、遠くへ……!
 冷静な思考を失ったまま、キラ・ヤマトはただひたすらに逃げ続けていた。
 怖い……どうしようもなく、怖いっ……!
 極限状態の殺し合いと、いきなり受けた“敵”からの攻撃。
 気付いた時には、キラは我を失っていた。自分でも気付かないうちにビームソードを抜き放ち、ガイキングへと攻撃を仕掛けていたのだ。
 どうしてそうしてしまったのかは、自分でもわからない。
 追い詰められての破れかぶれな行動なのか、それとも他に理由があったのか……。
 ともあれ、そうした一連の出来事によって精神を磨り減らしたキラは、とにかく安全な場所へと逃げ出そうとしていた。
 ……逃亡の途中で聞こえた、ユーゼスの放送。それもまた、キラの精神を追い詰める要因となっていた。
 もしかしたら、自分もまた死亡者の中に入っていたのかもしれない。
 あの放送で呼ばれたのは、もしかしたら自分だったのかもしれない……!
 その恐怖がキラを突き動かし、がむしゃらな逃走を行わせていた。
 だが、それも長くは続かない。
 モビル・トレースシステムは、搭乗者の動きを機体に伝えるシステムである。
 機体を全力で走らせようとするならば、そのパイロットもまた全力疾走を行わなければならない。
 そう。闇雲に逃げ続けているうちに、キラの体力は限界に達しようとしていたのだ。
「うぁッ……はっ……! はぁ……はぁ……!」
 やがて、ゴッドガンダムは立ち止まる。いや、立ち止まらざるを得なくなる。
 そう……いつの間にか辿り着いていた、市街地と思わしきその場所で……。

19 :第二の出会い:2005/10/26(水) 03:34:30 ID:kHrRGry0
【パプテマス・シロッコ 搭乗機体:ダンガイオー(破邪大星ダンガイオー)
 パイロット状況:良好
 機体状況:右腕損失、全体に多少の損傷あり(運用面では支障なし)
 現在位置:A-1
 第一行動方針:反応があった機体の様子を伺う(使えるようなら手駒にする)
 第二行動方針:首輪の解析及び解除
 最終行動方針:どうにかして脱出
 備考:コクピットの作りは本物とは全く違います、
    またサイコドライバー等を乗せなければサイキック能力は使えません】

【キラ・ヤマト 搭乗機体:ゴッドガンダム(機動武道伝Gガンダム)
 パイロット状況:良好(精神状態に乱れあり)
 機体状況:損傷軽微
 現在位置:A-1
 第一行動方針:安全な場所への逃走
 第二行動方針:自分の安全の確保
 最終行動方針:生存】

【時刻:19:20】

20 :第二の出会い・続き:2005/10/26(水) 06:35:15 ID:kHrRGry0
「はぁッ……はぁッ……」
 荒い呼吸を繰り返し、キラはコクピットの中で座り込む。もはや体力は限界に達し、集中力は散漫しきっていた。
 故に、気付かない。すぐ近くの市街地から自分の様子を伺っている、まだ見ぬ参加者の存在に。

「あの機体……ガンダムか!?」
 その一方で、その場に座り込んで動かない機体を見て驚きを隠せなかったのがシロッコである。
 宇宙世紀において伝説的な存在となっている、ガンダムタイプのMS。しかも、自分にとっては未知の機体。
 その存在を目の当たりにして、シロッコは胸が騒ぎ立てるのを感じていた。
 ガンダムを敵に回す恐ろしさは、嫌と言うほど良く知っている。
 だが、気掛かりな事が一つ。あの機体、動く様子が見られない。

「……ふむ。これはつまり、攻撃の意思が無い事を表明している、というわけかな」
 センサーの反応によって、相手も自分の存在には気が付いているはずである。
 実際にはパイロットが疲労の極限に達しているせいで、センサーを見る余裕が無いだけなのだが、シロッコはそう判断した。
 積極的に戦いを仕掛ける意思の無い、ガンダムタイプのMS。交渉を行うには充分な相手だと、そうシロッコは判断した。

21 :第二の出会い・続き:2005/10/26(水) 06:35:51 ID:kHrRGry0
「そこのガンダムパイロット、応答願いたい」
「えッ……!?」
 疲労のあまり、倒れ込んでしまったキラ。いきなり聞こえた知らない声に、彼は驚きの表情を見せる。
 だが、キラも頭の回転が鈍いわけではない。それが外部からの通信である事に気付き、通信回線の周波数を合わせる。
「あっ、貴方は……?」
「私の名はパプテマス・シロッコ。君と同じ、このゲームの参加者だ。とはいえ、この殺し合いに参加する気はないがな」
 ……そう、現状では。
 その一文を心中で末尾に付け足し、シロッコは通信相手の様子を観察する。
 まだ若い、気弱そうな印象の少年だ。戦場に挑む兵士の顔でも、血に酔いしれた殺人狂の顔でもない。
 どの時代でもありふれた、ごく普通の少年の顔である。
 ……思ったとおり、このパイロットは自ら戦いを仕掛ける側の人間ではないようだ。
 自分の読みが当たった事に、シロッコは胸を撫で下ろした。

「し、シロッコ……さん……?」
「そうだ。君の名前は?」
「あ……き、キラ・ヤマト……です」
 通信回線の向こう側で顔を見せたのは、落ち着いた印象の男性だった。
 殺し合いに参加する気がない。その一事を耳にして、キラは微かに安堵を覚える。
 ……だが、心の片隅では怯えている。
 口では“殺し合いをする気がない”と言っておきながら、それは自分を騙す方便ではないのか……?
 もし自分が油断を見せたら、その隙に自分を殺すのでは……?
「……ふむ、警戒しているようだな」
 そんな彼の心中を察し、シロッコは軽く溜息を吐いた。
 まあ、無理もない。見た所、少年の機体は戦闘の形跡が見受けられる。
 そして、この気弱そうな少年が、自分から積極的に戦いを挑んだとは思えない。
 となれば、襲われたのだろう。積極的に戦いを仕掛ける、このゲームに“乗った”人間から。
(その情報を聞き出すだけでも、この少年と話をする価値はあるな……)

22 :第二の出会い・続き:2005/10/26(水) 06:36:29 ID:kHrRGry0
「君の気持ち、良く分かるよ。どうやら君も誰かに襲われたようだが、かく言う私も同じでね」
「え……? そ、それって……」
「戦う意思が無い事を伝えようとした相手が、君以外にも居たのだがね。聞く耳を持ってくれず、右腕を破壊されてしまった」
「あっ…………!」
 通信回線を開いている間にも、機体の移動は行っていた。
 この時点で、ようやくキラの前に姿を見せたダンガイオー。そのボロボロになった機体を見て、キラは思わず声を上げる。
「この損傷状態だ。もし私がゲームに乗っている人間なら、君が気付かないうちに攻撃を仕掛けていたとは思わないか?
 そうでもしなければ、負ける事は目に見えているからな」
「…………」
 その言葉に、説得力を感じたのだろう。キラに、反論の言葉はなかった。


「それで……僕と話して、貴方は何をしようって言うんです?」
 だが、それでも警戒を完全には解かない。
 この殺し合いが行われている中で油断する事が、どれだけ危険な事なのか。それを、知ってしまったから。
 そんな少年の頑なな様子を見て、シロッコは内心苦笑する。
 少年の考えている事が、あまりにも手に取るようにわかっていたからこそ。
「私としては、君を仲間にしたいと思っている」
「仲間……ですか?」
 そう簡単に、信じる事は出来ないのだろう。キラの呟きには、やはりと言うか疑いがあった。
「ああ。君も、私も、状況としては似たようなものだ。こちらから戦闘を仕掛ける意思など、君には無いのだろう?
 でなければ、こうして私との会話に応じたりはしていないからな」
「ええ……そう、ですけど……」
「とはいえ、自分の身を守る力は必要だ。こちらに戦う意思が無くとも、襲い掛かって来る相手に無抵抗でいては、
 一方的に殺されてしまうからな。ならば、どうすればいいのか。君は、どう思う?」
「それ、は……」
「だからこそ、仲間が必要になるのだよ。背中を任す事の出来る、仲間が」
「……………………」
 反論の言葉が思い付かず、キラの警戒は知らずのうちに解かれていく。
 ……脆いものだと、そうシロッコは表情に出さず内心思う。
 人生経験の浅い少年を騙す事など、シロッコにとっては容易な事だった。

23 :第二の出会い・続き:2005/10/26(水) 06:37:48 ID:kHrRGry0
 ……ややあって、キラは自分の意思を告げる。シロッコが予測したとおりの、その答えを。
「わかり……ました。シロッコさん、でしたね。僕は、貴方を信用します」
「そうか。よろしく頼む、キラ君」
「はい、こちらこそ……」
 そう言って、キラはぎこちない笑みを浮かべる。
 その表情を見て、シロッコは気付いた。まだ、完全には信用されていないのだと。
 ……だが、それは別に構わない。今、シロッコが欲しているのは、無条件な信頼ではない。
 そう、戦力。自分の思いどおりに動かす事の出来る、戦う力を彼は欲していた。
 パイロットが実戦経験に乏しそうな少年であった事には落胆しないでもなかったが、それもまあ許容範囲だ。
 下手に我の強い人間と組んで思いもよらない事を仕出かされるよりは、御し易い人間と組んだ方が良い。
 それに、いざとなれば――

(こんな子供一人を殺す事など、いつでもできる事だからな……)
 キラ・ヤマトを殺害した後、あのガンダムを奪えばいい。
 そんな事を考えながら、シロッコは見せ掛けの笑顔を浮かべていた……。

24 :第二の出会い・続き:2005/10/26(水) 06:38:30 ID:kHrRGry0
【パプテマス・シロッコ 搭乗機体:ダンガイオー(破邪大星ダンガイオー)
 パイロット状況:良好
 機体状況:右腕損失、全体に多少の損傷あり(運用面では支障なし)
 現在位置:A-1
 第一行動方針:まずは自衛の為に戦力を増やす
 第二行動方針:首輪の解析及び解除
 最終行動方針:どうにかして脱出
 備考:コクピットの作りは本物とは全く違います、
    またサイコドライバー等を乗せなければサイキック能力は使えません】

【キラ・ヤマト 搭乗機体:ゴッドガンダム(機動武道伝Gガンダム)
 パイロット状況:良好(シロッコを完全には信用していない)
 機体状況:損傷軽微
 現在位置:A-1
 第一行動方針:シロッコに従う
 第二行動方針:自分の安全の確保
 最終行動方針:生存】

【時刻:19:20】

25 :祈りと決意と 1/2:2005/10/27(木) 00:35:19 ID:16830Lqz
 薄暗くなってきた廃墟の中で、フォルカは沈痛な面持ちで虚空を眺めていた。
先程の、放送。主催者から発信されたそれを聞き、彼は二重のショックを受けていた。
「12名もの人間が・・・」
 死んだ。否、殺された。確かにこの状況に混乱し錯乱して、他者を襲った者もいただろう。
先程の少女・・・いまだ眠る彼女のように。だが・・・数が多すぎる。
いるのだ。この状況を楽しんでいる、人間が。
そして、その人物が殺したであろう名前の羅列の中に・・・聞き覚えのある名前が一つ。
「フェルナンド・アルバーグ・・・」
 よく知った名前・・・だが、あの男のはずは無い。
なぜなら彼は、確かに死んだはずなのだから。
何者にも、死者は殺すことは出来ないのだから・・・それならば・・・
「・・・・・・・・・」
 フォルカは友と同じ名の人物の為に・・・目を瞑り、祈りを捧げた。


『・・・マデノシボウ・・・ピョウ・・・』
 何かが・・・あの男の声が聞こえる・・・
(・・・何を言っているんだろう?)
『・・・マコト・・・キザキハヤ・・・コバヤシ・・・シュウ・・・』
頭がぼんやりとする・・・何が何だかわからない・・・ただ・・・
(コバヤシ?・・・マイ・コバヤシ・・・私の、名前)
『・・・アルバーグ・・・ミワモリヒト・・・』
名前が沢山・・・なんだろう?私も、呼ばれた。
『イジョウ、ジュウニメイ・・・ナカナカノケッ・・・』
私は、何を、していたんだっけ?
それに答えるかのごとく・・・ひとつの単語が、耳に入った。
『・・・コロシアイ・・・』
コロシアイ?ころしあい・・・殺し合い。
(そう、私は殺し合いをしていた・・・?)
わからない・・・先程の放送で、名前を呼ばれた気がする・・・何故?
名前を呼ぶ、理由は?あの声は、何と言っていた?
(までの、しぼう・・・しゃ・・・はっぴょう?)
しぼうしゃ、はっぴょう・・・死亡者、発表。
つまり、あの名前は死者の名前なのだ。
そして・・・マイ・コバヤシ。私。
私が、呼ばれた・・・?・・・私は、死んだ?
「あ・・・あ・・・あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 叫んだ。気持ち悪くて。あたまがいたくて。
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 あたまが、ゆれる・・・だれかが、かたをゆすっている。だれ?
『落ち着け!大丈夫だ!』
「ああああああ・・・あ、あ・・・?」
 赤毛の男の人が、目の前にいた。
どこかで見た気がするが、思い出せなかった。

 彼が差し出した水を受け取り、口に含む。ぬるかった。
「・・・落ち着いたか?」
 その問いにコクリと頷く。多分・・・大丈夫だ。
「俺は、君を殺すつもりなんか無い・・・
 君だって、殺し合うつもりは・・・」
 突然、彼の言葉が止まる。そして、笑顔で私に尋ねた。
「そういえば、自己紹介がまだだったな。
 俺の名はフォルカだ・・・君の名前は?」

26 :祈りと決意と 2/2:2005/10/27(木) 00:35:51 ID:16830Lqz
 名前、私の名前、マイ・コバヤシ・・・死人の名前。
じゃあ・・・ココにいる私は誰?・・・私は・・・私の、名前は・・・
「・・・大丈夫か?無理する必要は・・・」
「レビ・・・レビ、トーラー・・・」
 口をついて、名前が出た。私の、名前。
「レビか。いい名前だな・・・よろしく頼む、レビ」
「あ、ああ・・・」
 自らの名前に、違和感を感じる・・・
私の戸惑いを感じたのか、目の前の男が心配そうな顔をむける。
「・・・もう少し休んだ方がいいな・・・」
 そう呟くと、男はこちらに背を向け、床に置いてあった寝床を整え始めた。
(・・・・・・そうだ・・・少し、休もう・・・私は疲れてるんだ・・・)
休んだら、この違和感も、頭痛も、気持ち悪さも、消えているだろうから・・・
(休んで・・・体調が良くなったら、探しに行こう・・・)
何を?誰を?


「リュウ・・・リュウに、会いたい・・・」
 少女の呟きを、フォルカは肩越しに聞いていた・・・
おそらく、少女の近しい知り合いなのだろう。
その不安そうな声を受け、彼は次になすべき事を決めた。


【フォルカ=アルバーク 搭乗機体:エスカフローネ (天空のエスカフローネ)  
 パイロット状況:頬、右肩、左足等の傷の応急処置完了(戦闘に支障なし)
 機体状況:剣に相当のダメージ
 現在位置:E-1廃墟内
 第一行動方針:しばらく休息をとる
 第二行動方針:レビ(マイ)と共にリュウ(リュウセイ)を探す
 最終行動方針:殺し合いを止める
 備考:マイの名前をレビ・トーラーだと思っています】

【マイ=コバヤシ 搭乗機体:R-1(超機大戦SRX) 
 現在位置:E-1廃墟内
 パイロット状況:混乱中、肉体的に軽度の疲労(少し回復)
 機体状況:G−リボルバー紛失
 第一行動方針:しばらく休息をとる
 最終行動方針:リュウセイを探す
 備考:精神的に不安定です】

27 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:21:43 ID:4rV4KUIW
「教官?イングラム教官なんだろ!?」
目前の可憐な機体から、聞きなれた声が発せられる。
その声を、イングラムはただじっと聞いていた。
「…どうしたんだよ、教官なんだろ?なにか言ってくれよ!」
再び、慣れ親しんだ声がイングラムの耳を叩く。
「…お前も、連れてこられていたのか」
「やっぱり…イングラム教官!」
イングラムが喉の奥からようやく絞り出した声を聞き、リュウセイは嬉しそうに声をあげた。
機体のコクピットでリュウセイの浮かべているであろう笑顔が、イングラムの脳裏に浮かぶ。
その無邪気な反応が、イングラムにどのような感情をもたらすかも知らずに。
(わざわざ用意した人物―――そういう事か、ユーゼス…!)
堅く目を瞑り、イングラムは砕けよとばかりに強く操縦桿のレールに拳を振り下ろす。


リュウセイ・ダテ。
かつて自分が隊長を務めたSRXチームの一員であり、まだユーゼスの操り人形であった頃、
その念動力の才に目をつけ、自分自身がスカウトした人物。
言い換えれば、俺が彼をSRXチームに招かなければ、
この殺し合い―――ひいては、エアロゲイターとの戦いに参加することも無かったであろうという事。

―――それは、彼の人生を戦いの道へと向かわせたのが、この俺だという事に他ならない。

覚悟が、揺らぐ。
ユーゼスをこの手で殺す為ならば、いかなる犠牲を払おうとも構わない。
僅か数時間前に、そう決めたはずだった。

けして揺らぐことの無いと思っていた覚悟が、こんなにもあっさりと。
ただ、自分の所為でその人生を狂わせてしまった相手の声を聞くだけで、こんなにも簡単に。
こんなにも、容易く揺らいでしまった。

―――もしも。

もしも、この殺し合いで最後に残ったのが、俺達二人ならば。
その時、俺にこの男を討つことが出来るのか。
人生を狂わせただけで飽き足らず、あまつさえ、その命を身勝手な私怨の為に奪うことが出来るのか。
脳裏に、先程モニターに表示された言葉が浮かぶ。

―――YE NOT GUILTY.
“―――汝ら 罪なし。”


(全く…本当によく出来た皮肉だな、ユーゼス)
額に掌を押し当て、イングラムは声を殺し自嘲気味に笑った。
イングラムのそんな苦悩など知る由も無く、リュウセイは更に言葉を続ける。
その言葉一つ一つが、彼の覚悟を鈍らせ、削り取っていく事も構わずに。

28 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:23:18 ID:4rV4KUIW
「良かった…。生きててくれたんだな、教官」

やめろ。

「俺はてっきり、あの時死んじまったのかと思ってたぜ」

もういい、やめろ。

「それにしてもユーゼスの野郎。性懲りも無くこんな事はじめやがって…」

頼む、やめてくれ。

「許せねぇよな…こんな馬鹿げた戦い、絶対に止めなきゃならない」

何故だ?

「なぁ、教官も、そう思うだろ?」

何故、お前は。

「ちょうど仲間を集めようと思ってたんだ。最初に教官に会えるなんて、ラッキーだったな」

何故、お前をこんな事に巻き込んだ、俺を相手に。

「先ずはもっと仲間を増やして、それに、ゲームに乗った馬鹿野郎も止めないと」

何故、そんな言葉をかけられる?

「兎に角、教官と一緒なら心強いぜ!一緒にユーゼスの野郎をぶちのめしてやろうぜ!」

何故、そんな笑顔を向けられる!?


「…教官?どうしたんだよ、さっきから黙ったままで。もしかして、誰かに襲われて怪我でもしてるのか?」
無言のままのイングラムをいぶかしんだのか、怪訝そうにリュウセイはフェアリオンの腕をメガデウスへと伸ばした。
しかし、それまでまるで銅像のように不動で佇んでいたメガデウスが突如として動き、その腕を払い除ける。
「うわ!?っとと!い、いきなり何するんだよ!」
「―――お前と一緒には、行けない」
とっさに腕を引っ込めて怒鳴るリュウセイに、イングラムは静かに答えた。
「…え?」
その言葉に呆気に取られるリュウセイに構わず、イングラムは続ける。
「…奴は、俺が殺す。それが、俺の役目だ。お前は、どこか安全な所を見つけて隠れていろ」
「そんな…!待ってくれよ!一人なんて無茶だぜ、教官!ユーゼスを倒すにしても、仲間を見つけるにしても、協力したほうが…」
「必要ない」
それでも食い下がるリュウセイを、イングラムは冷たく突き放した。
彼を、これ以上無意味な争いに巻き込まない為に。
そして、自らの覚悟を貫くために。
「なんでだよ!一人で何が出来るって言うんだ!あいつの力は知ってるだろ!?俺たちも協力しないと―――!?」
そこで、言葉は途切れた。
フェアリオンの頭部に突き付けられたメガデウスの拳が、それ以上の言葉を許さなかったのだ。
そして動きを止めたフェアリオンに、イングラムは明確な拒絶を叩きつける。
「それ以上喋るな。奴を殺すのは、俺の役目。誰にも、邪魔はさせん…!」
メガデウスの肘に装着されたシリンダー ―――ストライク・パイルを上げることで、イングラムはその言葉が真実であることを示す。

29 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:23:57 ID:4rV4KUIW

だが、その後に続く言葉は偽りであった。

「もし、邪魔をすると言うなら―――」
これ以上、お前を―――。

「―――たとえお前が相手だろうと、殺す」
―――無益な争いに、巻き込むわけにはいかない。

「そんな…教官…」
呆然と脱力したリュウセイの呟きを振り切って、イングラムはメガデウスの踵を返そうとする。
その瞬間、二人のコクピットに警告音が響いた。
(何ッ!?)
警告音に反応し、イングラムが左を向く。
モニターに、灰色と濃紺に彩られた小型の機体がこちらへと疾駆しながら腕を振りかぶっている姿が映し出される。
(迂闊な…これほど接近されるまで気付かないとは…ッ!)
突如出現した機体は、そのまま腕を振り、こちらへと何かを放り投げた。
コクピットの中で歯噛みし、イングラムはとっさにメガデウスの腕を交差させ防御の体勢を取った。
しかし、相手が放り投げた何かは、二人の位置まで届くことなくそのやや手前に落ちる。
爆炎が舞った。
炎が地面を抉り、煙が大気を焦がし、衝撃が音を震わせる。
「くそ、グレネードか!」
「ちぃ…!リュウセイ、下がれ!!」
「嫌だ!俺も戦うぜ、教官!」
イングラムの言葉を無視し、リュウセイが前に出ようとする。

その瞬間、イングラムは言い知れない不安に駆られた。

ダメだ。行くな。
お前を、これ以上戦わせるわけにはいかない。
―――お前は、これ以上戦う必要は無い!

「…下がれと、言っているッ!!」
その不安は、自らの言うことを聞こうとしないリュウセイへの怒りとなって発露した。
前に出ようとするフェアリオンに、イングラムは思わずメガデウスの腕を叩きつけそれを阻止する。
「うわッ!?」
「―――ッ!?」
予想だにしなかったメガデウスの腕を避けることが出来ず、まともに食らいフェアリオンは後方へと吹き飛んだ。
咄嗟にとってしまった自分の行動に驚きつつ、
イングラムは慌ててメガデウスの上半身をひねりフェアリオンの吹き飛んだ方向へ視線を向ける。
地面に倒れ伏したまま、フェアリオンは動かない。
一瞬まさか、とも思ったが、すぐにイングラムはその考えを否定する。
あの程度でくたばるようなやわな鍛え方は、していないつもりだ。
見た限りあの機体の装甲は大分頼りない。恐らく、気絶したのだろう。
それよりも、今は目の前の敵が先決だ。いきなり攻撃を仕掛けてきたということは、向こうはゲームに乗っている。
リュウセイを守るためにも、今は戦いに集中する。
無理やりに頭を切り替え、イングラムはメガデウスの上半身を正面に戻しざま、
腕を横薙ぎに払って残っていた砂塵を無理やりに晴らす。
そうやって晴らした砂塵の向こう。
二振りのカッターを逆手に構えた灰色の機体―――ARX-7・アーバレストが、メガデウスの目前へと迫ってきていた。

30 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:24:59 ID:4rV4KUIW
「エルマ、今どの辺?」
「あの高エネルギー体の解析に思ったより時間がかかりましたから、ええと…もうすぐ、G1エリアを出ます」
リオ・メイロンの駆るデスサイズとの戦闘の後、セレーナは彼女から奪ったトロニウムエンジンをエルマに解析させ、移動を続けていた。
「…やっぱり、方針に変更は無しですか?セレーナさん」
「当たり前よ。ゲームに乗っている相手をあと二人殺す。今はそれだけを考えなさい」
「でも―――!?」
エルマの言葉が途切れた。セレーナがどうしたの?と声をかけるより早く、アルがその理由を口にする。
<二時方向に敵機を確認>
「数は二体です。戦って、はいないようですが…。セレーナさん、どうします?」
アルに続き、エルマが情報を補足する。その情報を受け、セレーナは僅かに目を細めて思考の海へダイブした。
遭遇していながら、戦っていない。
それはつまり、ゲームに乗っていない参加者、ということか?
いや、そう判断するのは早計だ。
互いがゲームに乗った上で手を組んだ参加者かも知れないし、
表面上は協力を装って、後ろから不意打ちするつもりの輩なのかも知れない。
どの道、これだけの情報ではそれを判断することは不可能。やはり、実際会ってこの目で確かめる必要がある。
相手が二人いるのなら、わざわざ姿を見せる必要は無いかもしれない。
もし会話をしているのなら、その内容を傍受すれば彼らがゲームに乗っているか否かは判断できる。
ともかく、まずは接近してみるしかないだろう。
手早く考えをまとめると、セレーナはエルマに声をかけた。
「行ってみましょ。ECSがあればこちらの存在はバレないだろうから、最初は様子見。
もしゲームに乗っていないようなら、そのまま見過ごしましょう」
「ラジャ」
<ラージャ>
二人の相棒の返事に頷き、セレーナは彼らが捕捉した二つの機影に接近するため進路を変えた。



そうしてしばらく進むと、地平線の彼方に二つの小さな影が見えた。
「アル、モニターの画像を拡大して」
セレーナの注文に、豆粒程度の大きさでしかなかった二つの影が拡大され、その風貌が明らかになる。
拡大されたモニターの中で、妖精のような可憐さを持った女性的なフォルムを持つ機体と、
それとは正反対の、装甲の至る所にボルトの撃たれた無骨な機体が対峙していた。
「また何というか…両極端な機体ね。美女と野獣ってヤツ?」
「…それは、ちょっと違うと思いますけど」
「いちいち突っ込まなくていいわよ。通信、傍受できる?」
「すいません、この距離ではまだ…。もう少し近づけば可能だと思います」
「OK、それじゃもう少し接近してみましょ、慎重にね」
アーバレストの速度を緩め、セレーナは警戒しながらメガデウスとフェアリオンへ近づいていった。
「…動きませんね。やっぱり、ゲームに乗ってない参加者なんでしょうか?」
「そうだといいんだけどね、とりあえず警戒するに越したことは無いわ。それより、まだ傍受できない?」
希望的観測に縋ろうとするエルマに釘を刺し、セレーナは先程の問いを繰り返す。
「もう少しです。…あっ!」
エルマがその問いに答えた時、メガデウスに動きがあった。
フェアリオンの頭部へ拳を突き付け、次いで肘の部分のシリンダーがせり上がる。
「可能範囲に入りました!通信、傍受します!」
エルマの叫びに続き、通信機から落ち着いた男の声が途切れ途切れに流れ出す。
『邪魔を…る…なら……え……殺す』
その声を聞き、セレーナは舌打ちをして、すぐさまアーバレストを加速させた。
戦闘をせずにいたのは、相手の機体を奪おうとでもしたのか、それともなにか脅しでもかけていたのか。
ともかく、機体の腕を突き付けてあんな物騒な台詞を吐いた以上は、あの無骨な機体のパイロットはこのゲームに乗っている。
確かな事はそれだけ。だが、戦う理由としてはそれだけで構わない。

31 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:26:27 ID:4rV4KUIW
所持したままでは戦闘行動の阻害となるトロニウムエンジンを地面に捨て、セレーナはアルに叫んだ。
「アル!ECSを切って!グレネードを使うわ!」
<警告、距離が遠すぎます。目標へ命中させることは出来ません>
「当てなくていいわ、牽制よ!あのゴツいのの注意を、こっちに引き付ける!!」
<ラージャ>
不可視の衣、ECSを脱ぎ捨て、アーバレストがその姿を現した。
すばやくグレネードを手に取り、走りながらメガデウス目掛けて振りかぶる。
その動きに気付いたメガデウスがこちらを向いた。
構わず、アーバレストはグレネードを放り、そして素早く単分子カッターを抜く。
「エルマ、あのゴツいのの解析、よろしく!」
「ラジャ!」
手にした単分子カッターを逆手に持ち替え、アーバレストは着弾したグレネードの舞い上げた砂塵へ向かい更に加速する。
砂塵の向こうから、金属音が響く。
それに続いて、フェアリオンが派手に吹き飛ぶのが見えた。そのまま地面を転がり、フェアリオンは動かなくなる。
「ああっ!あの機体、やられちゃった!?」
「くそ、あいつ…ッ!」
間に合わなかった。
二度目の舌打ちと同時に、セレーナはアーバレストを跳躍させる。もはや遠慮はいらない。
腕を薙いで砂塵を払ったメガデウスへ、アーバレストは単分子カッターを振るう。
しかし、その一撃はメガデウスの腕の前に容易く弾かれた。与えた損傷は僅かな傷が一つ。見た目通り、否、それ以上の装甲だ。
すぐさま、反撃の拳が迫る。
「邪魔をするな!!」
空気を切り裂き迫り来るメガデウスの拳を次々とかいくぐり、すくい上げるように放たれたその内の一つにタイミングを合わせ、
蹴り飛ばすようにしてアーバレストは距離を取った。
空中で体勢を整えながら右手のカッターを仕舞い、ショットガンへと装備を換える。
反転する視界の中、セレーナはメガデウスが両腕を掲げ、次いでその拳を胸の前で打ち合わせるのを見た。
着地と同時、その隙を狙って、メガデウスの頭部にあるクリスタルのような部分から、光線が放たれる。
「…ッ!」
着地の硬直からの無理な回避行動に機体が悲鳴を上げるのも構わず、
セレーナは機体をひねって光線をかわし、ショットガンの引き金を引き絞る。
弾けるような銃声と共に火を噴いた散弾は、しかし、メガデウスの装甲を傷つける事はかなわなかった。
弾丸はカン、カン、と乾いた音を立て、重層な装甲の前に空しく散る。
「奴を殺すのは…俺の役目だ!邪魔は、させない…!!」
鬼気迫るような声色で言い放ち、メガデウスはアーバレストへと突っ込んできた。
同時に、エルマがメガデウスの解析を終える。
「解析、出ました!相手の機体は相当な重装甲です!武装は機体各所にミサイル、並びに胸にキャノン砲が二門!
腕にはガトリングビームガンが仕込まれ、それに頭部からもビームも発射できるみたいです!
反面、機動力は低く、こちらに分があります!」
「分かってるわよ。今、半分くらい自分で確認したから」
「うぅ…」
エルマからの報告に冷たく返し、セレーナは額に浮き出た汗を拭い、迫り来るメガデウスへ向けて身構えた。

32 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:27:11 ID:4rV4KUIW
「参ったな…見た目からそうじゃないかとは思ってたけど、典型的な特機に当たっちゃったか」
確かに、相手の挙動は遅い。機動力はこちらに分があるだろう。
だが、問題なのはその装甲だ。あれだけの厚い装甲が相手では、
手持ちの武装―――単分子カッターでも、ショットガンでも、致命傷を与える事は難しい。
それに加えグレネードは残り一発。咄嗟の事とはいえ、牽制に使ってしまったのが惜しまれる。
「ま、それはお互い様みたいだけど…ッ!!」
距離を詰めてきた無骨な機体の振るう拳を、アーバレストは悠々と避けた。
機動力の勝負ならばこちらが上。このサイズ差では、もしもあの拳が直撃すればただでは済まないだろうが、
アーバレストの運動性と、私の技量があれば、避け続ける事も出来るはずだ。

「どうにか隙を見付けて…その時にかけるしかないか」
結論を口に出して確認する。
しかし、その作戦が現実的ではない事をセレーナは気付いていた。
まだ僅かな時間しか戦っていないが、相手のパイロットが相当な熟練である事をセレーナは感じ取っていた。
そのような相手が、易々と隙を作るとは思えない。
そして、それ以上に。
それ以上に、この相手には覚悟がある。
先程の彼女―――リオ・メイロンが持ち得なかった、人を殺す覚悟が。

「―――上等じゃない」
「…セレーナさん?」
唐突に漏れたセレーナの呟きに、エルマが怪訝そうに声をかける。
顔を覗き込むように回り込むが、セレーナの視線はエルマを捉えてはいなかった。
その視線の先―――モニターに映る無骨な機体、メガデウス。
「覚悟なら、私にだってある。―――そうじゃなきゃ、復讐なんて生き方を選んだりはしないわ!!」
その中に座している名も知らぬ相手に目掛け、セレーナは叫んだ。
「セレーナ、さん…」
悲しみが色濃く滲み出たエルマの呟きを無視し、復讐者の駆るアーバレストはメガデウスへと踊りかかっていった。

そして、互いに決め手を欠いたままの戦いがどれだけ続いただろうか。
殺し合いの場にはあまりに似つかわしくない軽快な音が鳴った。

33 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:28:29 ID:4rV4KUIW
ジャカジャカジャンジャン!ジャジャン!
「…ぅ」
どこかで聞いたような音に反応し、リュウセイの意識は覚醒した。
「・・・私はこの様な音を流せとは言っていないが」
その後に続く、聞き覚えのある声に目を開く。
目に映る光景に、見覚えは無かった。ロボットのコクピットであることは分かったが、
それは慣れ親しんだ自分の機体、R−1の物ではない。
「ゴホン、まぁ良い、聞こえているかな参加者の諸君。まぁ、聞こえないのは既に死した者だけだが」
再び、聞き覚えのある声が聞こえた。誰の声だったか。…そうだ、ユーゼスだ―――ユーゼス!?
声の主がユーゼスだと気付いて、即座にリュウセイは飛び起きた。
そして、今自分の置かれている状況を思い出す。
気がつけば大きな部屋の中にいて、突然現れたユーゼスに、理不尽な殺し合いを強要されている、この現実を。
モニターには、先程遭遇したかつての上官―――イングラム・プリスケンが乗るスーパーロボットを彷彿される作りの機体と、
突然襲い掛かってきた灰色の小さな機体が戦いを始めていた。
「くそ…ッ!」
誰に言うとも無く毒づき、リュウセイは機体の損傷をチェックし始めた。
「なんでだよ…!なんで、殺し合いなんかしようとするんだ!!」
言いながら、素早く計器を確認していく。
目の前で誰かが死ぬのなんか見たくない。自分の知る人物は勿論、例えそれが、このゲームに乗ってしまった相手だとしてもだ。
「ああ・・・耳さえ貸してもらえればよいから、殺し合いながらでも結構だよ」
「…ユーゼスッ!!」
再び聞こえてきた仮面の主催者の声に、リュウセイはその名を呼んで空を睨んだ。
遥か上空の彼方に、奴のいるヘルモーズが見える。
空に鎮座するその戦艦の中で、けして参加者の手の届かない安全な場所から、
見下すようにこの殺し合いを楽しんでいるあの男への怒りが腹の底から沸きあがるのをリュウセイは感じた。
そして、ヤツの言うように今まさに殺し合いをしている、目の前の二機に対しても。
「くそ…!あの野郎の言う通りの事してて、悔しくねぇのかよ…ッ!!」
怒りと苛立ちに耐えながら、リュウセイは機体のチェックを続けていく。
「では、これより死亡者と禁止エリアの発表を行う。心して聞きたまえ」
その声に、リュウセイの動きが止まった。
「まずは、皆が待ち望むこれまでの死亡者発表と行こうか…アラド・バランガ、アルマナ・ティクヴァー、一色 真… 」
名前が読み上げられる。
死亡者の、名前が。
既にこの世にいない、呼んだとしても、決して答えの声って来る事の無い名前が。
「以上、12名だ。・・・なかなかの結果じゃないか。 その調子で、快適な殺し合いを楽しんでくれ」
12人。
12人もの人間が、死んだ。
開始から六時間。たったそれだけの時間で、10を超える数の命が失われた。
その中には、あの全員が集められた部屋で目の合った人間も居たかもしれない。
隣にいたあの男が、近くで震えていたあの少年が、部屋から出されるとき、自分の前にいたあの少女が、居たのかもしれない。
「…ちっ…くしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!」
気がつけば、リュウセイは叫んでいた。
「続いては禁止エリアだ。今から二時間後…」
ユーゼスが続けて禁止エリアを宣言しようとしているが、最早リュウセイの耳には聞こえていなかった。

34 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:29:02 ID:4rV4KUIW
何も出来なかった。
自分のあずかり知らぬ所とは言えど、人の命が失われている時に、自分は何も出来なかった。
その無力さが歯痒い。
軍に勧誘され、憧れだったロボットのコクピットに座り、戦争を続けようとする者を倒して平和をこの手で勝ち取った。
なのに。
なのに何故、こんな事になった?
もう平和が訪れたんじゃなかったのか?
なのに何故、俺達はこんな見ず知らずの土地で、こんな馬鹿げた殺し合いを強要されている?
「くそ…くそ…くっそぉぉぉぉぉぉ!!!!」
コンソールへ何度も拳を叩きつけ、リュウセイは無念さを声に換えもう一度叫びを上げた。
収まらない―――収め方の知らない怒りを抱えたまま、中断していた機体チェックを再開する。
もうたくさんだ。
もうこんな思いはしたくない。
もうこれ以上、誰かが死ぬのは耐えられない。
こんな馬鹿げたゲームは―――俺がこの手で、絶対に止めてやる!!

倒れたまま停止していたフェアリオンが、ゆっくりとその身体を起こす。
頼りない足取りで立ち上がり、その機械の両目が、いまだ殺し合いを続ける二つの機体を見据えた。
そして、燻り続ける怒りをぶつけるかのように、無力さを突き付けられた無念さを晴らすかのように。
無益な争いを続けるメガデウスとアーバレストへ向け、リュウセイは感情の全てをぶちまけるように叫んだ。
「やめろォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

35 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:29:38 ID:4rV4KUIW
リュウセイの叫びに、メガデウスとアーバレストは争いの手を止めた。
「リュウセイ!?気が付いたのか!?」
「そこの貴方!生きていたなら、早く逃げなさい!」
そして、互いの言葉に顔を見合わせる。
「なによ、貴方たち知り合いなの!?なのに殺そうとするなんて!」
「何を言う!先に仕掛けてきたのは貴様だろう!」
「ふざけないで!私は貴方があの機体に攻撃しようとしてたから止めに入っただけよ!実際、殴り飛ばしてたじゃない!」
「それは…ッ!」
争いの手は止まったものの、互いにまだ相手がゲームに乗っていると思っている二人は言い争いに形を変えて戦いを続行した。
放っておけば、再度殺し合いを始めるのに長い時間は必要ないだろう。
それを止めるべく、リュウセイはもう一度言い争う二人に感情を叩き付けた。
「いいから!もう戦いなんて止めろ!!目の前で誰かが死ぬのなんて、俺は絶対に見たくないんだ!!」
その声に言い争いを止め、二人はフェアリオンへと視線を向ける。
「リュウセイ…」
「…」
フェアリオンのスピーカーからは、ただリュウセイの荒い息遣いだけが響いていた。

36 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:30:10 ID:4rV4KUIW
「成る程、私の早とちりだったってわけか…」
その後、とりあえず争いを止めた二人は、リュウセイを交えて事情を話し合っていた。
「ああ、俺と教官は敵じゃない。
確かに、あの時教官は俺に拳を向けたけど…それは、なにか考えがあったんだと思う。そうだろ、教官?」
フェアリオンの頭部が、メガデウスの方を向く。だが、メガデウスからの返事は返ってこない。
話し合いが始まってから、イングラムは一言たりとて口を開いていなかった。
話を振っても反応しないイングラムにリュウセイはため息をつくと、リュウセイは仕方なくセレーナに視線を戻す。
「とにかく、そういうわけだから、無駄な争いは止めて欲しいんだ」
「…だ、そうですけど。どうします、セレーナさん?」
エルマの問いかけに、セレーナは唇に人差し指を当て、ちらりとメガデウスに視線を向けて何かを考えた後、口を開いた。
「そうね…」
そこで言葉を区切り、セレーナはアーバレストをメガデウスへと向き直らせた。
そして、無言を貫くイングラムに語りかける。
「さっき戦ってて、貴方の覚悟が伝わってきたわ。そして、同時に違和感も」
「………」
反応は無い。だが、セレーナは構わず続けた。
「その違和感が何なのか、今分かった。貴方の覚悟には、迷いがある。
そして、迷いを抱えた貴方は、遠からず誰かを殺すわ。その迷いを消すために…違うわね、誤魔化すために、よ」
イングラムは答えない。それでも、セレーナの言葉は続く。
「哀れよね、そんな理由で殺される相手も、そして、人を殺し、自分を追い詰める事で覚悟を保とうとする貴方も。
そうやって覚悟を保とうとするなら、貴方は更に多くの人を殺す。そうじゃなきゃ、覚悟に押し潰されるもの。
悪いけど―――私はそんな貴方を、野放しには出来ない」
そして単分子カッターを抜くアーバレストを見て、リュウセイは慌てて止めに入った。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!教官はそんな人間じゃない!殺し合いなんか止めてくれ!」
「貴方の言いたい事はわかるわ。だけどね、彼は貴方の思っている程まともな状態じゃないの。
このまま放っておけば、彼は間違いなく人を殺すわ」
「そんな…。教官!教官からもなんか言ってやってくれ!」
イングラムは答えない。
「教官!!」
その様子に苛立ちを覚えたリュウセイが語気を強めるが、それでもイングラムは無言だった。
なおも詰め寄ろうとするリュウセイを制し、今度はセレーナがイングラムに向かって言う。
「レディからのお誘いよ。当然、受けるわよね?」
「―――断る理由は無い」
「な…!?教官!?」
「下がっていろ、リュウセイ」
そういって、メガデウスは踵を返す。
リュウセイを巻き込まないためだろうか、フェアリオンから離れようと歩いていくメガデウスに、アーバレストが続いた。
「なんでだよ!なんで…ッ!なんでまだ、殺し合おうとするんだ、あんたらは!!」
リュウセイの叫びを背中で聞きつつも、二機の歩みに躊躇いは無かった。

37 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:30:42 ID:4rV4KUIW
夕日が辺りを照らす中、しばしの時間を経て、メガデウスとアーバレストは再び対峙していた。
「アル、ECSを使うわよ」
アーバレストのコクピットの中で、セレーナがアルに向けて言う。
<警告、戦闘時のECS使用は、エネルギーを大量に消費します>
「少しの間だけよ。どの道、まともに戦ったら泥試合になるのはさっき嫌って程分かったからね。無茶をしてでも、一気にケリをつけるわ!」
<ラージャ>
アルが答えるのと同時、アーバレストがECSを展開し、その姿を消した。
「何!?」
メガデウスのスピーカーから、驚きの声が聞こえる。
目の前の機体が唐突に見えなくなったのだ、無理も無いだろう。
その隙を逃すはずも無く、セレーナはアーバレストをメガデウス目掛け疾走させる。
手持ちの武装であの装甲を貫く事は難しい。先程までの戦いで、その事は十分すぎるほど学習した。
ならば、どうするか。
簡単だ。ECSで姿を消して肉薄し、コクピット―――首の付け根を、零距離からショットガンで撃ち抜く。
というより、あの装甲を鑑みればこれくらいしか勝つ方法は無いだろう。
(あの子には悪いけど…今の貴方は、見過ごせない!!)
アーバレストがショットガンを構え、メガデウスへと跳躍しようとした、その時だった。
「く…!舐めるなッ!」
メガデウスの腰部にある突起―――モビーディック・アンカーが、周囲に向けて発射された。
「―――!?」
予想だにしなかった全方位攻撃。しかし、セレーナは咄嗟に引き抜いた単分子カッターで迫り来るアンカーを辛うじて弾く。
だが―――。
「捉えた…!そこかッ!!」
―――それが、不可視であるアーバレストの位置を特定される事に繋がった。
即座に射出したアンカーを切り離し、新しいアンカーをアーバレストが居ると思われる位置目掛けてイングラムは打ち出した。
「あ…ッ!?きゃぁぁぁぁぁぁ!」
予想外の攻撃をなんとか弾いたものの、不安定な体勢に陥っていたアーバレストに、そのアンカーを回避する事は出来なかった。
鎖がその身体を絡め取り、そして鋼鉄の縛めに囚われたアーバレストはECSが解除され、その姿を現す。
必死に引き戻される鎖に抗おうとするも、それも長くは続きそうにない。
元来のパワーが違うのだ、今は抗えても、すぐにその力は尽きる。
「もらったぞ…!」
操縦桿のスイッチを押し、イングラムはレールの限界まで操縦桿を引いた。
その動きに呼応してメガデウスも肘のシリンダー、ストライク・パイルをせり上げ、腕を引いてパンチの体勢へと移行する。
引き戻されるアンカーに囚われたアーバレストへ、その一撃を叩き込むために。


38 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:31:12 ID:4rV4KUIW
その様子を、リュウセイはただ呆然と眺めていた。

あの鎖が戻され、そしてあの拳が炸裂すれば、あの灰色の機体は―――それに乗っている、あの女の人は、どうなるのか。
決まっている。死ぬのだ。
イングラムの、手にかかって。
「…ダメだ」
かつて、イングラムはリュウセイの敵だった。
イングラムがリュウセイをSRXチームへと推薦したのは、この念動力の才能に目をつけ、それを利用しようとしたからに他ならない。
だが、それは。
それは、この殺し合いの主催者―――ユーゼスに操られていたが故の行動。
事実、ユーゼスとの最終決戦において、彼は自我を取り戻し、共に戦ってくれた。
確かに、彼の所為でその尊い命を奪われた人間は多い。
だが、それも全てはユーゼスに操られていたから。
「…そんなのは」
彼に全く罪が無いとは、言わない。
だが、自分の意思でやったのではない罪を突きつけて、それを無理に背負わせる事が、果たして正しい事なのか。
その罪に押し潰され、どれだけやっても終わる事のない償いを押し付ける事が、果たして道に反する事なのか。
それを悔いている人間が新たな罪を犯すのを、ただ見ている事が、果たして許される事なのか。
「…絶対に、ダメだ!!」
そして何よりも。
彼は―――リュウセイ・ダテは、イングラム・プリスケンに、感謝しているのだ。



覚えていますか、教官。
教官が、俺をSRXチームに入れてくれて、初めてR-1に乗せてくれた時。
あの時、俺、言いましたよね。教官には、感謝してます、って。
教官は、ただ実際にロボットに乗れた事を嬉しがってるんだと思って、適当にあしらってましたけど。
あれ、本当は違うんです。
本当は、ただの高校生だった俺に、戦う力を―――平和を、この手で守る事の出来る力を与えてくれた事。
それを、感謝してたんです。
教官が、本当はエアロゲイターのスパイで、俺の力を利用するためだけにSRXチームに入れたって分かった時。
恨みました。憎みもしました。
だけど―――。

―――だけど、俺に力をくれた事。
それだけは、ずっと―――ずっと、感謝してたんです。

ユーゼスとの戦いの後、俺、教官は死んだものと思ってました。
だから、言えなかったけど。
ずっと俺、謝りたかったんです。
教官の境遇も知らず、身勝手に憎んでしまった事。
あの時、教官を助ける事が出来なかった事。
そして、お礼を言いたかったんです。
俺に、力をくれた事。
その事を改めて。

だから。
だから俺は。
今度こそ―――今度こそ、教官を助けます。

39 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:31:43 ID:4rV4KUIW
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
操縦桿を握り締め、リュウセイはフェアリオンのバーニアを噴かし、メガデウスとアーバレストへ向けて疾走する。
モニターの向こうで、灰色の機体がついに力尽き、鎖が引き戻されるのが見えた。
あの灰色の機体に乗っている女の人は言った。
人を殺す覚悟、と。
ふざけるな。
そんな覚悟なんか、あったってどうなるって言うんだ。
そんなものは、要らない。
そんな覚悟を決める事。
それを決めなきゃいけないということ。
それが、どれだけ不幸な事かわかって言ってるのか。
そんなもの、俺には必要ない。
だから、見せてやる。
俺の決めた、覚悟を。

人を救う―――覚悟を!!


「これが俺の―――覚悟だッ!!!」
そして、リュウセイはEフィールドを張り巡らせてフェアリオンを空へ躍らせる。
メガデウスとアーバレスト。
人を殺す覚悟を背負った二人の駆る、その二体の間へと。


40 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:32:38 ID:4rV4KUIW
突如として視界に飛び込んできた可憐な機体に、イングラムは目を見開いた。
(―――リュウセイ!?)
アーバレストに止めを刺すべく、既に拳を振るっていた彼は、慌ててそれを止めようとする。
だが、遅い。
振りぬかれた拳は、当初の目標であるアーバレストではなく、彼が守ろうとした―――リュウセイの乗る、フェアリオンへと叩き込まれた。
「リュウセイィィィィィィィィィィィッ!!!」
拳を振りぬいた体勢のまま。
イングラムは背後に居たアーバレストもろとも吹き飛ぶフェアリオンに向けて絶叫した。


「っつぅ…この子、なんて無茶を…!エルマ!この子の生体反応、感知できる!?」
フェアリオンもろともに吹き飛んだアーバレストのコクピットの中。
激しく揺さぶられ、打ち付けた頭を抑えながら、セレーナはエルマに指示を飛ばした。
「は、はい!」
同じように身体を打ちつけたのだろう、フラフラと頼りなく浮きながら、エルマがリュウセイの生体反応を調べ始める。
「…大丈夫です、あの人、生きてます!」
そして、返ってきた答えは彼の生存を示すものだった。
「そう…良かった」
メガデウスの放とうとした技―――サドン・インパクトは、本来ならば拳を当てた後、
肘のシリンダー、ストライク・パイルを叩きつける事によって発生した衝撃で相手を砕くというもの。
それの無い今の一撃は、いわばただのパンチとなんら変わらない。
何かしらバリアのような物を張っていたようだが、それでも相当の衝撃だった事だろう。
フェアリオンがクッションになったとはいえ、アーバレストは勿論、そのコクピットに座るセレーナもそれなりのダメージを受けていた。
しかし、そのダメージをおしてセレーナはメガデウスへと呼びかける。
「ねぇ、聞こえる!?安心して!この子生きてるわ!」
それを聞き、こちらへと向かってきていたメガデウスの決して変わる事のない鋼鉄の表情が安堵に緩んだように感じたのは、
セレーナの錯覚だったのだろうか。


41 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:33:09 ID:4rV4KUIW
「…もうかかって来ないのか?俺を野放しには出来んのだろう?」
再び気絶したリュウセイの乗るフェアリオンを担ぎ上げたまま、
夕日を背にしたメガデウスの中でイングラムはアーバレストへ呼びかけた。
「止めとくわ。その子の覚悟、見ちゃった後じゃね。流石にもうやりあう気にはならないわよ。
それに、今の貴方なら大丈夫。放っておいても馬鹿な事はしないと思えるし。その子に感謝する事ね」
「感謝ならば、もうしている。いくらしても、足りない程にな」
そう言って、イングラムは自らの機体に抱かれたフェアリオンへと視線を落とした。
しばし、無言の時が流れる。
「貴方、これからどうするの?」
しばらくの後、セレーナが問いかけた。
「わからん。だが―――」
フェアリオンに視線を向けたまま、イングラムが静かに答える。
「―――こいつの意思は、汲んでやりたい」
「そう。それで…その子、どうするつもり?」
「埋める」
「う、埋めるって、ちょっとあんた!?」
「…砂を被せてカモフラージュする。平地にただ置いておくよりはマシなはずだ」
「あ、埋めるって、そういう…。たくもう、紛らわしい言い方しないでよ、驚いたじゃない」
そして漸くフェアリオンを見下ろしていた顔を上げ、今度はイングラムがセレーナに問いかける。
「名を、聞いておこう」
「―――セレーナよ。セレーナ・レシタール。…貴方は?」
「…イングラム・プリスケンだ」
「覚えておくわ。それじゃ、また会いましょう、イングラムさん。お互い、生き残れるといいわね」
「―――ああ」
そう言って、イングラムはおもむろにメガデウスの踵を返した。
夕日に照らされながら、ズシン、ズシンと言う音を立て、ゆっくりと遠ざかっていくメガデウスの背中をセレーナは見送る。
そして、その姿が遠くに霞んだ頃、セレーナはぽつり、と呟いた。
「私の近くにもあんな子がいたら…もう少し、違った生き方が出来たかもね」
「セレーナさん・・・」
その呟きに、エルマが心配そうな声を上げる。
「心配しないで、エルマ。別に、今の自分を後悔してるわけじゃない。
ただ…あの子のまっすぐな生き方に、少し憧れただけよ」
未練を断ち切るように、アーバレストはメガデウスに背を向けた。
「さて、それじゃまず例の高エネルギー体を拾って、そしたらまたゲームに乗った奴を探しましょ」
いつもの陽気な調子で、セレーナはアーバレストを発進させる。
だが、その隣に浮遊するエルマの心は、晴れないでいた。
(それを…後悔って言うんじゃないんですか、セレーナさん…)
その思いを声には出さず、エルマはただじっと、セレーナの横顔を見つめていた。


42 :交錯する覚悟:2005/10/27(木) 20:34:07 ID:4rV4KUIW
【リュウセイ・ダテ 搭乗機体:フェアリオン・S(バンプレオリジナル)
 パイロット状態:気絶
 機体状態:装甲を大幅に破損。動く分には問題ないが、戦闘は厳しい
 現在位置:G-2
 第1行動方針:戦闘している人間を探し、止める
 第2行動方針:仲間を探す
 最終行動方針:無益な争いを止める(可能な限り犠牲は少なく】

【イングラム・プリスケン 搭乗機体:メガデウス(ビッグオー)(登場作品 THE BIG・O)
 パイロット状態:健康
 機体状態:装甲に無数の傷。だが、活動に支障はなし
 現在位置:G-2
 第1行動方針:フェアリオンを砂で隠し、カムフラージュする
 第2行動方針:出来うる限り争いを止める
 最終行動方針:ユーゼスを殺す】

【セレーナ・レシタール 搭乗機体:ARX-7 アーバレスト(フルメタル・パニック)
 パイロット状況:健康
 機体状況:ダメージはあるものの、活動に支障はなし
 現在位置:G-1から遠ざかる
 第一行動方針:ゲームに乗っている人間をあと二人殺す
 最終行動方針:チーム・ジェルバの仇を討つ
 特機事項:捨てたトロニウムエンジンは回収。グレネード残り一発】


【時刻:18:30】

43 :山間の戦い:2005/10/27(木) 21:34:42 ID:XytPt6W/
にらみ合いが始まって早4時間……
決して姿を見せずの交渉も失敗に終わり、一種のこう着状態となっていた。
「………………」
一度は交渉にこぎつけたものの、4時間もの間、
ただただヤマタノオロチを狙い構え続けるヒイロのM9。
2時間ほど前から小型の機体がヤマタノオロチにいるのは確認しているが、その小型と話しているためか、それからは再交渉の動きも、いや通信すらない。
過去をさかのぼり___
「地球に住むカスどもを正し・・・・」
「ふむ・・・・」
(地球人ではあるようだが・・・敵対しているようだな。しかし、信じられぬな、この気配)
(この手の人間はあちらの顔を立てておけば、ある程度扱うこともできるだろうが、さて頭の良さはどの程度かな?)
ギレンとハイネルの交渉、と言ってもお互いの腹の探り合いのようなものだが・・・・
交渉が行われていた。
「ではギレン殿、貴殿は地球人ではないといっても過言ではないのだな?」
「その通りです。われわれは地球から独立した新たなる人類とも言うべきものでしょう」
(ならば先ほどの若造の受け答えにも納得のいく部分があるが・・)
この男が来る2時間前ほど前だろうか?
ハイネルに礼儀作法もなく、会話をおこなった人間がいた。
そちらは、地球について好意的な発言とも取れる発言をし、地球へ侵略活動などは否定的な発言をとったため決裂していたが、このギレンなる男の言を聞けば納得がいった。
(もう一度の交渉は危険ではあるな。もし向こうが敵と判断していた場合、攻撃を受けることにもなりかねん)
「ハイネル殿?」
思考に集中していたため、意識がギレンのほうから離れていたのをもどし、
ハイネルは言った
「いやなんでもない、ギレン殿、貴殿の気持ちはよくわかった。」
「おお、それでは」
「ともにあの仮面の下郎を倒そうではないか」
(今はこやつのような駒を集めるのが先決か)
「それは実にありがたい」
(ククク・・・・)
「しかし、今は狙われておるようで、この要塞を動かすわけにもいかん。」
「それならばいい考えがあります」
「何?」
「あちらの岩場の影に仲間がいますので。そちらに呼びかけて探らせましょう」
しかし……べミドバンのセンサーが悪いのか、ジーグが聞いていないのか反応がない
「……つながらないようです」
「ならば、静かに待つとしよう。必ず機は訪れる」


44 :山間の戦い:2005/10/27(木) 21:35:31 ID:XytPt6W/
そして放送も終わり今に至る。
しかし相手はあのヒイロである。もう5時間は動きが無いと思われたが………
変化は突然他方から訪れた。
「いた………!」
アムロは岩場のそばにいる鈍重そうな機体を見つけた。
「向こうは気付いてないのか………?だったら!」
幾ら異星の技術と言えども、500年前に出来たベミドバン。
センサー周りではサザビーに敵うはずもない。
「あいつ遅いな。なにやってやがんだ」
ギレンの呼びかけも届かずそこで待つベミドバン
3基のファンネルを飛ばすサザビー。
ヒュン・・・ヒュン・・・ヒュン・・・
「ん?」
ジ−グが気づいた時にはもう遅かった。
あたりを照らすフラッシュバックとともにファンネルからビームが放たれる!
「なんだ、こいつ!?」
急いでファンネルを打ち落とそうとするが、機敏に周囲を回るファンネルに即応できない。
その隙にアムロのサザビーが距離を詰め、
「2つ!」
あまり長く伸ばしていないビームトマホークが胴体の関節の間に滑り込んだ。
「うわぁ!」
コクピットなら即死、そうでなくても、重要なパーツが多い
胴体を貫くこのダメージではまともに動くことは出来ないだろう。

ただし、普通の人間なら、だ
「よくもやったな!!この野郎!」
鉄球を振り回そうとしてサザビーを引き剥がすベミドバン。
確かにジーグも無傷ではないが、浅く刺し入っただけであったため、
まだ動くことが出来る。
もっとも普通の人間ならその時点で蒸し焼きだろうが………
「どこの誰だか知らないが相手になってやるぜ!」
鉄球を振り回すベミドバン。
「どりゃぁぁ!!」
べミドバンの上半身が回転を始め、周りの木々をなぎ払い鉄球が舞う。
「死ねぇ!」
高速で回転する鉄球が正確にサザビーに向かう。バックステップで避ける。
鉄球は山のあらぬところへぶつかった。
その場に信じられないほどの重低音が響く。
(もし、当たれば、無事じゃすまない・・!)
武器を投げた直後、今とばかりにビームショットライフルを撃つが、腕を組んでそれをいとも簡単に防いでしまう。
(血被いて継ぎ目を狙わなきゃやられる!?)
そう判断し、ビームトマホークを抜きベミドバンへ突撃を開始した。


45 :山間の戦い:2005/10/27(木) 21:36:17 ID:XytPt6W/
この2人の戦いは、こちらにも影響を与えた
戦艦の奥で光が放たれたため咄嗟に向きを変え、そちらもおさえようとするとするヒイロ。
が、それがミスとなった
「む!?そこか!」
明らかに音をたててしまい、大まかな位置が悟られてしまった。
そこに龍の首が火炎をまきちらす
「…!」
間一髪かわすヒイロ。しかし、かわすために狙撃の姿勢をといてしまった。
同時に浮上を始めるヤマタノオロチ。
(この状況ならば)
「ハイネル殿、今襲われているのは私の仲間のようです。仲間を見捨てては置けませんので、助けに出させていただきたい」
(高みの見物だな。命を危険にさらすこともない。ここで義を見せておくという意味でも信頼を得るに役立つだろう・・・)
そう言ってヤマタノオロチから離れ、山に入るギレン。
しばらくの間、ヤマタノオロチ
2つの首をしまい、1つの首で火炎をまいていた。
それを何とかかわすヒイロ。しかし、ハイネルの技量もあってか、ぎりぎりの展開が続く。
「撤退は不可能……」
今後ろを見せ、逃げようものなら間違いなくハイネルの腕ならばやられる。
交渉もできない。
「戦闘……開始……!」
どこか苦虫を噛み潰したような声で言うヒイロ。
ヒイロはすばやく側面に回りこみ、今出ている首に向かい一発だけ、
戦闘力を奪うために打ち込む。
首の根本、あわよくば胴体という地点に着弾し、ヤマタノオロチに衝撃が走る。
壊れ、竜の首よりやや大きいサイズの穴をさらすヤマタノオロチ。
「おのれ!ならば!」
先ほどしまった首を伸ばし、あたりに火炎をまきちらすヤマタノオロチ。
一面はあっという間に火の海となった。
今度は掃討するかのような火炎がヒイロを狙い、防戦一方になるヒイロ。
しばらくの間戦闘は膠着していった。


46 :山間の戦い:2005/10/27(木) 21:37:44 ID:XytPt6W/
こちらもまた決着が付いていた。
あたり一面が火の海となった森で激突するベミドバンとサザビー。
タイプは正反対であったたまお互いが一進一退を繰り返してきたが、
接近戦ではやはりジーグの方が強く、徐々に戦いが決まりつつあった。
「近づけない・・!?」
2,3発が関節に滑り込み決まってはいるものの、致命傷にはならない。
ファンネルはチャージ中。あと5分はつかえない
逆に鉄球一発当たればこちらはアウト。焦り始めざるおえない状況にあった。
「このぉ!!!」
ついにベミドバンが少し押し始めた頃、火炎は回りに吹き荒れた
「くっ!ヤマタノオロチめ、ちくしょう!」
火炎にまかれジーグの集中力が途切れたのだ。
「今……!いけ!今しかないんだ!」
ここぞとばかりにジーグに接近し組み付き、
そのままメガ粒子砲をほぼ零距離で発射し、先ほどビームトマホークを突き入れた
場所にビーム・ショットライフルを突き入れ3発、さらに最大出力のビームトマホークが差し込まれる。
紫電が走り、煙が漏れた。
もうベミドバンは動かない
「2つ・・・・・!」
そう言って山の向こうを見るアムロ。まだ異形の戦艦が火を撒き散らしている。
「やってやる、やってやるさ……!」
そう言って戦艦に走り出すサザビー。


47 :山間の戦い:2005/10/27(木) 21:38:14 ID:XytPt6W/
「現段階ではこちらの不利は明確・・」
もうヒイロはかれこれ30分は火炎を交わし続けている。
ECSを使ったとしても、動く際に起こる音や倒れる木などはどうしようもないため、
決定的な逃げるチャンスもない。あの高度の敵には狙撃以外の攻撃方法は今ないが、
狙う暇はない。エネルギー切れを狙おうにも尽きる気配はない。
このまま根競べを続けていた場合の結果はもう見えていた。
危険を承知で急いで回り込み、狙撃の姿勢をとり、頭の一つを狙い打つヒイロ。
「同じ手は食わぬわ!」
しかし、攻撃を受けることを無視し、首が火炎を吐こうとする。
ヒイロが避けようとするよりも早く対応の方が今回は早かった。
「ここまでなのか?」
そうヒイロが思った時、違う方向から赤い機体が飛び出してきた。
「新手か?!こしゃくな!」
ハイネルは素早く赤い機体に反応し、向きを変えた。が、このハイネルの技量の高さが仇となった。ヒイロの撃った弾は首に当たらず、さきほど当たった場所に命中してしまった。
内部が砕け、ジャンクをなったパーツが空を舞う。
そのとき、そのジャンクに隠れ、何か3つのものがヤマタノオロチの中に入っていった。
それは・・・・
「ファンネル!」
中に入り込んだファンネルは、瓶の中の炸裂弾のごとく余すことなく破壊を刻んでいく。
高度が明らかに急に落ちるヤマタノオロチ。
「いまだ・・・!」
高度が落ちたヤマタノオロチにサザビーが組み付き、ガラス張りの、艦橋らしきところに組み付き、ビームトマホークを突き入れた。
「そんなバカな!?」
「3つ!」
ヤマタノオロチを蹴り上空に昇るサザビー。
ヤマタノオロチは地表に落ち、爆発を上げる。
爆発の風圧と土砂により炎が消えた荒地にサザビーが降り立つ。
そしてアムロは先ほど少し見えた敵を確認しようとするが、確認できない。
当然だ。ジャンクパーツが落ち始めた時ヒイロはもう既に撤退を始めていたのだから。
敵の方向に進もうとした時、
がくんと座り込むようにサザビーの姿勢が崩れる。
「オーバーヒートなのか・・・」
あれだけ長い間機動に耐えていたことを考えれば当然だ。3,4時間は動けないだろう。
「ふう・・・・・・」
ヘルメットを脱ぎ一息つくアムロ。
「まだだ・・・必ず生き残って・・・見せる・・・」
アムロのほうも戦闘と緊張で限界だったのだろう。
静かに眠りに落ち始めた・・・


48 :山間の戦い:2005/10/27(木) 21:39:10 ID:XytPt6W/
一方ギレン
「ふむ・・・」
彼は朽ちて動かなくなったベミドバンを見ていた。
赤い機体が出てきたことで、どんな形にしろこちらの戦いが済んだと判断し、
様子を見に来たのだ。
「手駒を失ったか・・・まぁいい。まだ幾らでも見つかるだろう」
それより今はやるべきことがある。奥にいるアムロに見つからずにここから去ることだ。
そう判断したギレンは静かに移動を始めた。

【プリンス・ハイネル 搭乗機体:幻魔要塞ヤマタノオロチ(鋼鉄ジーグ)
 パイロット状態:死亡
現在位置:E-5
 機体状況:大破

ヒイロ・ユイ 搭乗機体:M9ガーンズバック
 パイロット状態:健康
 機体状況:装甲表面が一部融解
 現在位置:E-6 まだ移動中
 第一行動方針:撤退中
 最終行動方針:最後まで生き残る】

【ギレン・ザビ 搭乗機体:RX-7ナウシカ(フライトユニット装備)(トップをねらえ!) 
 現在位置:C-6 の岩山直前、移動中
  パイロット状態: 健康
 機体状況:無傷
 第一行動方針:ここから離れる
 第ニ行動方針:可能な限り手駒を増やす
 最終行動方針:まだ決めてない】


【司馬宙 搭乗機体:ベミドバン(第3次スーパーロボット大戦α) 
 現在位置:C-6の岩山直前
 パイロット状態:死亡
 機体状況:中破、コクピット使用不能

アムロ・レイ 搭乗機体:サザビー(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
 パイロット状態:疲労 、うたた寝
 機体状態:シールド、ファンネル3基破壊。装甲表面が一部融解 。現在行動不可
 現在位置: C-5
 第1行動方針:目立つ動きを取って敵を釣り出す   見つけたら先制攻撃
 最終行動方針:ゲームに乗る。生き残る】

>>44 血被いて継ぎ目を → 近付いて継ぎ目を


49 :いんたぁみっしょん:2005/10/28(金) 08:03:47 ID:CD7WxIcW
「もう12人も居なくなっちゃったんだね…あ、ブンちゃんおかわりいる?」
ユーゼスの放送が終ってほどなく、
「ええ、お願いします。そうですね、それだけゲームに乗った人が多いという事でしょうか?」
辺りが暗くなり、森の中に身を隠したマシュマー、ミオ、ブンタの三人は、
「だが、逆に返り討ちに会った者もいることだろう。そう悲観する事は…ああ、ハヤミ・ブンタ、
 すまんが醤油をとってくれないか?」
「はい、どうぞ。だといいんですが…」
ボスボロットの中で、ちゃぶ台を囲んで夕食をとっていた。 
各自の携帯食料はあったのだが、ボスボロットの中に冷蔵庫から炊飯器、携帯ガスコンロまで会った為、
携帯食料は温存する事になったのだ。
かくして、バトルロワイアルという極限状態に、最も相応しくない食事風景が産まれたのである。

「それにしてもシュウがやられちゃうなんてね…」
「お知り合いだったんですか?」
「う〜ん、知り合いと言うか…あんまいい印象は無いんだけど…なんて言えばいいのかな?」
「それにしても…」
答えに窮するミオを横目に、マシュマーがボスボロットのコックピットを見回し思わず呟く、
「とてもロボットの中とは思えんな…」
コックピットの常識を覆しまくる、くつろぎ空間(畳まで引いてある)に軽い眩暈を覚えないでも無かった。
「そうですね、テレビまで置いてありますし」
「そういえばまだ一度もつけてないわね、ちょっとつけてみよっか?」
そう言って、リモコンが無いためテレビに向って歩き出すミオ、
「こんな所で何か映るわけ無かろう…」
その後姿に思わずに思わず声をかけてしまう、
「物は試しって言うじゃない?」


50 :いんたぁみっしょん:2005/10/28(金) 08:06:10 ID:CD7WxIcW
ブォン

チャラララララ〜♪
「クイズ!それも私だ!」

プツン!

「面白いというのに…」
「ユーゼス様、如何なさいましたでございますか?」
「いや、なんでもない…」

「ところでこれからどうします?とりあえず、禁止エリアは川を辿る分には問題ありませんが」
とりあえず食事が終ったので、ブンタは当面どのように行動するか確認のために声をあげる。
「無論一刻も早くハマ―ン様を探」
「探すにもこう暗くなっちゃ、難しいんじゃないの?
 マシュマーさんが言ってた、レーダーが利かなくなるミノ虫好きがなんとかって奴」
「ミノフスキー粒子ですよ」
訂正するブンタ
「そうそう、それそれ!それが効いてるから、気付かず通り過ぎちゃうかもしれないし。
 逆に目立って、ゲームに乗った人に見つかっちゃうかもしれないし…
 夜中わざわざ行動してる私達を、ハマーンって人が警戒しちゃうかもしれないじゃない。
 下手に動くより、今日はもう休んだ方が良いんじゃない?」
「すと言いたいところだが。む、無論ミオ・サスガの言う通りなので、今日は休もうと言おうとしたのだ!」 
「・・・」
しかし、そう言うマシュマーの額に汗が流れているのを見つけてしまったハヤミ・ブンタであった。
もっとも、その事を指摘するほど彼は残酷ではなかったが。

51 :いんたぁみっしょん:2005/10/28(金) 08:07:30 ID:CD7WxIcW
「とりあえず交代で寝る事にしよう、流石に一人は見張りに立っていないとまずいからな」
「でも私まだ眠くないよ?」
とミオ
「僕もです」
「私もだ」
しばしの沈黙の後

ブォン

ザザンザーザザン♪ザザンザーザザン♪ザザンザーザザン♪
ドン!ひゅるるる〜♪チャンチャチャーチャチャン

それもわた

プツン!

「では誰かに襲われた時の為、どう戦うかを考えませんか?
 僕はロボットに乗った戦闘なんてした事無いんで…」
「そうだね、まともに戦えそうなのがブンちゃんの機体だけなのは確かだけど、
 だからってブンちゃんだけに任せるってのも何だしね」
「ふっ、ではこのマシュマー・セロ。ネオ・ジオンの騎士たる者の戦いかたを教えてやろう!」

「いい歌だというのに…」
「ユーゼ」
「なんでもないと言っている!」


52 :いんたぁみっしょん:2005/10/28(金) 08:09:24 ID:CD7WxIcW
【マシュマー・セロ 支給機体:ネッサー(大空魔竜ガイキング)
 機体状況:良好
 パイロット状態:良好(強化による不安定さは無くなった?)
 現在位置:B-5(朝まで動くつもりは無し)
 第一行動方針:ハマーンと仲間を探す
 最終行動方針:ハマーンを守り、主催者を打倒する】

【ミオ・サスガ 支給機体:ボスボロット(マジンガーZ)
 機体状況:良好
 パイロット状態:良好
 現在位置:B-5(朝まで動くつもりは無し)
 第一行動方針:仲間を探す
 最終行動方針:主催者を打倒する】

【ハヤミ・ブンタ 支給機体:ドッゴーラ(Vガンダム)
 機体状況:良好
 パイロット状態:満腹
 現在位置:B-5(朝まで動くつもりは無し):水中
 第一行動方針:仲間を探す
 最終行動方針:ゲームからの脱出】

【時刻 19:30】

挿入歌
『それも私だ』
作詞 それも私だ
作曲 それも私だ
歌   やはり私だ

53 :これまでのまとめ 1/2:2005/10/28(金) 22:52:05 ID:NC5WBMno
>>739
バラン(グランドガンダム) E-5川沿い アルマナを探す
(よほどの事があれば、DG細胞に乗っ取られる?)
>>744-746 時刻:16:30
ラッセル(マジンカイザー) D-2 ブラックサレナを壊す
チーフ(テムジン) D-3 ハッターとの合流
>>747-749 時刻:18:00
アクセル(クロスボーンX1) E-5 記憶を探す
アキト(νガンダム) E-5 アクセルの記憶探しを手伝う
イサム(ドラグナー3型) E-5 仲間を探す
ルリ(スカイグラスパー) E-5 アキトと共にゲームからの脱出
マサキ(レイズナー/強化型) E-5 使えるクズを集める
>>756-759 時刻:18:20
タシロ(ヒュッケバインmk-3ガンナー) B-1 精神不安定なゼオラをどうにかする
ラト(V2ABガンダム) B-1 気絶中
ゼオラ(ゼオライマー) B-1 行動方針不明

以上、前スレ

54 :これまでのまとめ 2/2:2005/10/28(金) 22:52:47 ID:NC5WBMno
>>6-7 時刻:18:20
ヴィンデル(ジャスティスとハロ軍団) B-5脱力中 ・・・・・・ハロを切実になんとかしたい
>>8-9 時刻:19:12
ジョシュア(試作2号機) G-4森の中 イキマの探し人(バラン、ジーグ)を共に探す
イキマ(ノルス=レイ) G-4森の中 ジョシュアと共にバランを探す
(夜の間は森から動かない?)
>>16 時刻:18:10
アスカ(ダイモス) F-6 碇シンジの捜索
>>17-24 時刻:19:20
シロッコ(ダンガイオー) A-1 まずは自衛の為に戦力を増やす
キラ(ゴッドガンダム) A-1 シロッコに従う
>>25-26
フォルカ(エスカフローネ) E-1廃墟内 しばらく休息をとる
マイ(R-1) E-1廃墟内 しばらく休息をとる
>>27-42 時刻:18:30
リュウセイ(フェアリオン・S) G-2 気絶中
イングラム(ビッグオー) G-2 フェアリオンを砂で隠し、カムフラージュする
セレーナ(アーバレスト) G-1 ゲームに乗っている人間をあと二人殺す
>>43-48
ハイネル(ヤマタノオロチ) E-5 ヒイロに撃たれ死亡
ヒイロ(M9ガーンズバック) E-6 撤退中
ギレン(RX-7ナウシカ) C-6岩山直前 ここから離れる
宙(ベミドバン) C-6岩山直前 ビームトマホークをコクピットに刺され消滅
アムロ(サザビー) C-5 うたた寝中
>>49-52 時刻:19:30
マシュマー(ネッサー) B-5(朝まで動くつもりは無し) ハマーンと仲間を探す
ミオ(ボスボロット) B-5(朝まで動くつもりは無し) 仲間を探す
ブンタ(ドッゴーラ) B-4水中(朝まで動くつもりは無し) 仲間を探す

残り53名


【死亡】14名
柿崎速雄(見せしめ)/ 一色真(←フェルナンド)
カツ・コバヤシ(←ゼオラ)/ ジャック・キング(←セレーナ)
アルマナ・ティクヴァー(←ウルベ)/ ラージ・モントーヤ(←リオ)
B・D(←ラミア)/ テンザン・ナカジマ(←リョウト)
フェルナンド(←ゼンガー)/ シュウ・シラカワ(←マサキ)
三輪防人(←東方不敗)/ アラド・バランガ(←アムロ)
プリンス・ハイネル(←ヒイロ)/ 司馬宙(←アムロ)

55 :対なす少女 1/2:2005/10/29(土) 01:36:09 ID:mPfDTykO
 湖の廃墟。その一角で、リオ・メイロンは休息をとっていた。
先程の、不思議な女性との邂逅から数時間。
リオは草原地帯から、水中を通って廃墟地帯へと移動していた。
そして、周囲を探索している最中に・・・彼女は、頭上から響く男の声を聞いたのだった。
「私・・・」
 死亡者12名・・・幸いにも、彼女が愛する少年の名は無かった・・・
が、名も知らぬ12名が死んだという事実。
そして、その中の一人の命を奪ったのは、自分であるという事実に、
リオは押しつぶされそうになっていた・・・
「私の・・・覚悟・・・」
 女性が言った言葉。覚悟。
(私にはあるの?・・・あの人がいう、覚悟が・・・)
道中、考えていた問いかけを繰り返す・・・
女性と去ってから続けられている、自問自答。
まだ、答えは出ていないが・・・ただわかる事が一つだけあった。
「会わなきゃ、リョウト君に・・・」
(彼に会いたい。彼の為にと言いながら、誰かを殺した私を、彼は軽蔑するかもしれない
 それでも・・・会いたいと思うから・・・だから・・・)
リョウトを探す。決意の元に、少女は機体を動かしはじめた。


数分後・・・リオは廃墟地帯の東端に、黒い機体を止めていた。
(ここは行き止まりね・・・次は、南に行ってみようかしら?)
目の前に広がる湖を見て、リオは考える。
(リョウト君が、ここに居るとは限らないけど・・・)
だが、もしかしたら、すれ違ってしまうかもしれない・・・
 そんなことを考えていると・・・
「・・・レーダに反応!? 乗ってる人間、じゃなきゃいいんだけど・・・」
 自嘲気味に呟きながら、リオは凄い勢いで近づく機体に通信を試みる・・・
・・・迷った挙句、ジャマ―は起動させておくことにした。



56 :対なす少女 2/2:2005/10/29(土) 01:37:15 ID:mPfDTykO
「そこの貴方、止まって頂戴・・・聞きたいことがあるの」
 突如、通信機に入った声に、ゼオラは白銀色の自機を湖上で停止させた。
「・・・だ、誰?・・・どこにいるの?」
 ゼオラの言葉に、通信の声は申し訳なさそうに言う。
「安心して・・・今のところ、貴方を攻撃するつもりは無いの。
 ちょっと、人を探してて・・・」
「人、探し?」
「ええ、リョウト君・・・リョウト・ヒカワって言うんだけど・・・」
「それって・・・あなたの恋人?」
 そう聞き返しながら、ゼオラはレーダーによる索敵を繰り返していた。
「え・・・あの・・・」
「恋人を探してるんでしょう?そうなんでしょう?アラドは死んでしまったのに・・・」
 その言葉に、相手が息を飲んだ・・・ような気がした。
(間違いない、こいつが、アラドを殺したんだ・・・)
「そうやって隠れて、無防備に近づいてきたアラドを殺したんだ!」


 通信機を通した少女の叫びに、リオは体を震わせる。
自分が殺したパイロットが、誰だったのか・・・彼女にはわからない。
 もしかすると・・・彼女が言う、『アラド』という人物だったのかもしれない・・・
リオは、何度目になるかもわからない後悔に、全身を震わせて涙した。
「許さない・・・絶対に許さない・・・隠れてたって、無駄なんだから・・・」
 通信機を通して、少女の声が聞こえる。
「わ、わたし、は・・・」
 嗚咽を堪えて顔を上げたリオの目に、両手を胸の前に掲げた白銀の機体が映った。
そして・・・爆発的な光が、その機体から発せられ・・・
次の瞬間、リオの乗る機体は激しい衝撃に襲われた。


光が収まり・・・ゼオラの目前には湖と、少し遠くなった湖岸が広がっていた。
「・・・死んだの?」
 問い掛けに、通信機は何も答えない。
「そう、死んだんだ・・・じゃあ、寂しくないように、あなたの恋人もそっちに送るからね・・・」
 少女ははそう呟くと、機体を南方へ向けて飛び去った。



 元の湖岸から、少し奥まった位置で・・・黒い機体が瓦礫に覆われている。
(・・・ごめん、なさい・・・)
その中で、少女が一人、謝罪の言葉を呟き続けていた。



【リオ=メイロン 搭乗機体:ガンダムデスサイズヘルカスタム(新機動戦記ガンダムW Endless Waltz)
 パイロット状況:気絶中。後悔と謝罪の念。
 機体状況:全体的に破損、武器消失。瓦礫に覆われている。
 現在位置:E-1廃墟地帯(内陸寄り)
 最終行動方針:リョウトを探す】

【ゼオラ・シュバイツァー 搭乗機体:ゼオライマー(冥王計画ゼオライマー)
 パイロット状況:精神崩壊  (ラトとタシロ、リオは死んだと思っている)
 機体状況:左腕損傷大、次元連結システムは問題無し
 現在位置:D-1湖上から南へ
 最終行動方針:リョウトを殺す】

57 :対なす少女・補足:2005/10/29(土) 01:40:38 ID:mPfDTykO
【時刻:19:25】

58 :武人、武道家、その心:2005/10/29(土) 08:56:44 ID:ORRt0j4S
「まずは、皆が待ち望むこれまでの死亡者発表と行こうか・・・」
…アラド・バランガ
…アルマナ・ティクヴァー ・・・・・・
「道路を移動していたときだった。
「・・・・・・そんな馬鹿な」
バランはうわごとの様に呟いた。
放送をバランが聞いたのは、アルマナを探すため彼は道路を移動していた時のことだった。
「・・・とする、精々聞き逃さん様にしたまえ」
淡々と放送が進み、ついに放送が終わった。
「そんな馬鹿なことがあってたまるか!あの姫が!あの姫が死んだなどということなど!絶対にありうぬ!ユーゼス!貴様一体何を考えておるのだァ!!!」
足を止め、空に浮かぶヘルモーズに叫ぶバラン。当然答えは返ってこない。それでもバランは叫び続ける。死んだということが心に入りこまないように。決して信じないように。自分に暗示のように叫び続ける。いや、実際にそうなどだろう。
だが、その声もいつか止まる。そしてコクピットから漏れ出す嗚咽。武人としての心得ゆえなのか、決して涙は見せないものの、日ごろ彼からは絶対に聞けないであろう嗚咽と慙愧の念が聞こえてきた。
「く・・・・・・この、このバラン・ドバン一生の不覚・・・・・・!守らねばならぬ姫を守ることもできず・・・一人生き恥をさらし・・・一体何が、何が武人だというのか・・・・・・」


59 :武人、武道家、その心:2005/10/29(土) 08:57:33 ID:ORRt0j4S
禁止区域になる場所から北へ夜の道路を東方不敗は疾走していた。
彼は放送を聞き、このゲームに乗り、殺人をおこなう者に静かに怒りを燃やすとともに、悲しき人の無常感を感じていた。
ゲームが始まって12時間が過ぎ、12人が死んだ。自分が倒した痴れ者を除けば11人。あそこにいたものは大半が未来ある若者ばかりだった。
その命と未来があっさりと消えていく。
さらに、訳の分からぬこんなゲームに乗せられ、必死に生き残るために、殺したくもない人を殺した者もまたいるだろうという2つのことに。
このゲームを作った仮面の男への怒りが込み上がってくる。怒りで目を閉じ眉間にしわを寄せていたことに気付き、目を開き、
「―――ん?」
走っている道路の上に何かがいることに当方不敗は気付いた。まだ遠くはっきりはしていないが、どこかで見たような気がしたため、接近してみると、間違いなく彼がよく知るものだと分かった。
―――グランドガンダム―――彼が本来の世界で手下として使っていたデビルガンダム四天王の一角である。
しかし、遮蔽物などなくほぼ目の前だというのにまったく動かないグランドガンダム。
こんなところで寝ている、というのも考えがたいが―――
「!?何者だ!?」
あわてたように声とともにグランドガンダムが動き出す
「人に名を聞くときはまず自ら名乗るのが礼儀であろう!」
バックステップで距離をとり、東方不敗は言い返した。
「わが名はバラン・ドバン! 500年続くドバン家当主の武人であり姫をまも・・・く、」
そこでバランが言いよどむ。
「わが名はバラン・ドバン! 500年続くドバン家当主の武人である!そちらこそ何者だ!何のためにこんなところにおるのだ!」
「わしは東方不敗!戦いに乗った痴れ者なら成敗してくれようと思っておったわ!おぬしはどっちだ!答えてみせい!!」
その後しばらくの沈黙。そして、バランが重々しく口を開いた。
「東方(ひがしかた)に敗不(まけず)・・・おぬし名のある武人なのか?」
思ってもいない回答がそこで返ってきた。
「む?」
言葉の真意を考える東方不敗。が、その後の言葉はその予想を超えていた。
「もしそうであるならば、おぬしに武人として命を賭け戦いを申し込みたい!」


60 :武人、武道家、その心:2005/10/29(土) 08:58:58 ID:ORRt0j4S
戦うべきは、ウラベや戦いに乗った者だけと思っていたが、こう申し込まれれば武道家として断るはずもない。
「堂々と名乗りを上げ戦いを申し込む、その意義はよし!ならばわしもそれに答えようぞ!」
「受けてもらったこと感謝する!いくぞぉ!」
「来ぉい!!」
グランドガンダムがこちらに腕を突き出し、突撃を開始する。対して零影、それをかわし、カタナを引き抜き肩口に刃を切り込むものの、相手が大きいため深くは刺さらない。
その間にグランドガンダムは一度下がりカタナを引き剥がすのではなく、そのまま零影を殴りつけようとする。急いで離れたところにさらに行き着く暇を与えずグランドボンバーが発射された。
空中に飛び上がり、マキビシランチャーを素早くぶつけるが、全く効いていないのか、グランドガンダムは零影の方に向き直り、今度は4発連続でグランドボンバーを連発。そこでバランは目を見開いた。
驚くべきことに―――零影はグランドボンバーの弾の上に乗り、こちらに飛んだのだから。
先ほどから持っていたカタナを真っ直ぐ突き刺そうとする零影。相手が回避運動をとることも考え、手裏剣もこっそり用意していたが・・・・
そのままカタナが突き刺さった。しかし同時にグランドガンダムの手が零影を挟み込むように迫る!バランは全くかわそうとはせず、あえて受け、その直後のカウンターを待っていたのだ。
頭を下げ、ギリギリの位置で俺を避けるものの、バランスを崩し、零影は後退せざる終えなくなる。
それを見て、先ほどの4発などとは違い、数え切れぬほどの弾を連射するグランドガンダム
凄まじいまでの攻撃の連続。轟音が一帯に響き続ける。
(しかし、これは・・・・)
その戦い方に東方不敗は違和感のようなものを感じていた。
元々バランの戦い方は荒っぽいと言ってもおかしくはないだろう。しかし、これはどこかおかしい。
武道、それの基本は攻防一体。身を守るためにある。それなのにあまりにも防御と言う面が欠如している。
日頃のバランを知らぬものでも、一流の武道家である東方不敗は拳を交えそのことに気付き、東方不敗は何かを感じ取った。
一刻後・・・
零影を貫こうとグランドガンダムが腕を突き出し突撃するが、零影は後ろに飛び避ける。
距離があくすぐに向きなおし同時にグランドボンバーを連射するも、それも全てよける零影。
打つ、打つ、打つ、打つ、打つ、打つ。
よける、よける、よける、よける、よける、よける。
しばらくたってから、ずっと零影は反撃をせずよけ続けていた。
バランがついに叫ぶ。
「おぬし、なぜ仕掛けてこぬ!?攻撃せぬことには、わしは倒れんぞ!!」
「・・・・・・拳をぶつけ合えば人となりは大概わかる。確かに大した武人であろう。しかし、
おぬしの拳からは・・・・・・悲しみしか感じることができぬ」
「!!!」
核心ともいえる言葉を言われ、絶句するバラン。しかし、すぐバランもまた言葉を放つ。
「だから、わしを倒さぬというのか?甘いわ!おぬしは先ほど戦いに乗った痴れ者を倒すと言うたな!?
ならば来い!おぬしが戦わぬというのならほかの者を探すまで!そうなればわしはほかの者を殺してしまうかも知れぬぞ!」
そう叫ぶバラン。だが、声にはどこか悲しみが宿っていた。東方不敗も静かにそれで全てを察し、高らかに宣言した。


61 :武人、武道家、その心:2005/10/29(土) 09:02:53 ID:ORRt0j4S
「ならばこちらも武道家として全力で挑むが礼儀であろう・・・!はぁぁぁぁあああ!!」
東方不敗が息を吐くにつれ東方不敗が、いや発光機能などないはずの零影までが金色に輝いた。
それを見てバランが満足そうにうなずく。
「ゆくぞ!」
零影が突然4つに分身し、グランドガンダムに高速で迫る。
ドォン!ドォン!ドォン!ドォン!
4発のグランドボンバーが今度は零影を捉える。しかし!
「―――なんと!?」
4つすべてが残像であった。通り抜けたあと薄まり消えていく残像。周囲を見回し―――
「流派!東方不敗が最終奥義!」
声により気付き、腕を組み防御をしながら振り返るが、鈍重なグランドガンダムが振り向ききったときには、
すでにそれは完成していた。
「石破ぁ!天驚拳!!!」
瞬間、昼間のように明るくなり、生命の温かみをたたえる閃光の塊がグランドガンダムを飲み込もうとし・・・・・
コクピットの中でバランが安らかな笑顔を作る。そして閃光の中で陽炎(かげろう)のようになり消えていくバランとグランドガンダム。
東方不敗にはグランドガンダムが当たる直前防御の姿勢を解いたようにも見えた。
「・・・・・・・・・・・・」
無言で奥義により削れてしまった地面に降り、東方不敗は地面に文字を刻んだあと、静かに東方不敗は手を合わせて黙祷をささげる。書かれている文字は、『武人 バラン・ドバンここに眠る』と記されている。
そして思う。死んでいった者達も、この武人バラン・ドバンも生きていれば、必ず輝く時があったであろうことを。
東方不敗は心に新たな固い決意をかためた。そうそれは、ウルベを倒すだけでなく、もう死ぬ者も、遺された者もでないように必ずこの茶番を必ず終わらせると。

東方不敗 搭乗機体:零影(忍者戦士飛影)
 パイロット状況:健康体
 機体状況:良好
 現在位置:E-6
 第一行動方針:ゲームに乗った人間とウルベを倒す
 最終行動方針:必ずユーゼスを倒す】

【バラン・ドバン 搭乗機体:獅王争覇グランドガンダム(Gガンダム)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:文字通り消滅

【時刻:20:00】


62 :Invisible Tactics:2005/10/29(土) 15:10:59 ID:L2VS92Sk
ングラム、そしてイングラムがリュウセイと呼ぶ少年との出会いから二時間。
セレーナは、G−3エリアの森林地帯を移動していた。
既に日は落ち、森は闇と静寂に覆いつくされている。
こういうとき、アーバレストの暗視機能は頼りになる。
ECSを展開したまま走るアーバレストのコクピットの中で、セレーナは黙り込んでいた。
「……レーナさん」
「…………」
「セレーナさん!」
「え!?……どうしたの、エルマ?」
「どうしたのじゃないですよ、セレーナさん。あれからずっと黙りっぱなしじゃないですか」
エルマの自分を心配する声。なんと答えていいか分からずに、セレーナはまたモニターに視線を戻した。
「やっぱり、さっきの人達の事、考えてたんですか?」
「……違うわよ、エルマ」
自分でもよく分からない。こんなところで迷っている場合ではないというのに。
「あの人達がどんな風に行動しようと、私は私のやるべきことをやるだけよ」
セレーナはぎこちなく微笑んでエルマの方に振り返り、

その時、機体が見えない"なにか"にぶつかった。

「何っ!?」
宗介は自分の失態に内心舌打ちしながら、それでも可能な限り冷静に行動した。
即座にその場から飛び退き、着地と同時に頭部バルカン砲<イーゲルシュルテン>を自分が衝突したはずの"障害物"に向かって放つ。
乾いた射撃音。
だが、それだけだった。見えない障害物を狙った弾丸は空しくその空間を通り抜け、代わりに20メートルほど先に着弾した。
計器類にも、一切の反応は認められない。
つまり、目に見えずレーダーにも映らないその物体は、宗介と接触した直後にその場から移動したという事になる。
そこから導き出される結論はひとつ。
「……機動兵器か!」
ECSか、それに準ずる完全な不可視システムを搭載した機体。
このブリッツガンダムのミラージュコロイドの事も考慮すれば、十分考えられる話だ。
不可視システムの機体同士がお互いを確認できないまま接触する――信じられないが、恐らくそれが今起きた現象の真相だろう。
情報を得るためG−3地区の偵察に出ていたところで、このような相手と出くわすとは。
宗介がそこまで考えを纏め上げたのとほぼ同時に、ブリッツの足元の土が抉れて舞った。
疑う余地は無かった。見えない"敵機"からの攻撃だ。
その場を離れると同時に、今度は違う角度からの射撃が一瞬前まで宗介が立っていた地面を蹂躙する。
(自分の位置を悟らせないように、移動しながら攻撃してきている?)
相手は戦術と言うものを知っている。
間違いない。敵は、戦う気だ。
「……止むを得ん……相手になってやる!」
宗介は精神を集中させ、見えない敵との戦いに身を投じた。


63 :Invisible Tactics:2005/10/29(土) 15:12:31 ID:L2VS92Sk
「敵の攻撃です!10時の方向!」
「まいったわね……」
口ではそう言いながら、セレーナは焦りを隠せなかった。
相手と接触し、咄嗟にその場を離れた直後に相手が発砲してきた地点で、なんとなく嫌な予感はしていた。
しかし、あえてセレーナは威嚇射撃を行った。
もし相手が戦う術を持たないような人間なら、迷わず逃げ出すような形で。
しかし。相手はそれに乗ってきた。
それどころか、射線角度からこちらの位置を予測し、なおかつ自分の位置は悟らせないように動いている。
「相手もスペシャリストか。……最悪ね」
ゲームに乗っているかどうかは別として、少なくとも相手はこちらを攻撃する事に躊躇していない。
たとえ乗っていなくても、一歩転べば十分危険な存在になりうる。
(……やるしかないか)
相手には悪いが、ここでノルマの二人目になってもらう。
トロニウムエンジンはすでに安全な場所に隠してある。戦闘に支障は無い。
セレーナは覚悟を決めた。
「アル!ECSを展開したまま戦闘モードへ移行!」
「セレーナさん!?」
<危険です。作戦の変更を推奨します>
「ここで自分だけ姿を現せば、もれなく一方的に蜂の巣よ。姿を消したまま短期決戦で片をつけるしかないわ」
そう。私は、こんな所で死ぬわけには行かない。
生きて、チーム・ジェルバの皆の仇をとって見せる。
「アル、戦闘モードのままだと、ECSはどれくらい持つ?」
<最大でも30秒が限度です。それ以上は、こちらの判断で解除させていただきます>
「……了解。あんまりないわね……エルマ!」
「行動パターン予測、算出済みです! いけますよセレーナさん!」
「さっすがエルマ!」
「敵機、来ます!」
<いけます。ご指示を、ミストレス>
「じゃあ、一気に仕掛けるわよ!」
「ラジャ!」

64 :Invisible Tactics:2005/10/29(土) 15:13:48 ID:L2VS92Sk
もしもこの場に居合わせた人がいたら、この30秒間をなんと形容しただろう。
何も無いはずの空間から放たれた銃弾が空気をつんざき、木々の肌を抉る。
木の葉が舞い、草が飛び散り、何者かに踏まれて枝が折れる。
そして銃声、銃声、銃声。
お互いがお互いの動きを予測し、自分の位置を隠し、確実に相手を倒すべく策を練る。
姿の見えない敵機との壮絶な駆け引き。
僅か30秒。
その中には、死力を尽くした戦士達の限界を超えた戦いがあった。

そして、幕切れはあっけない形で訪れる。
アサルトライフルで牽制し、散弾砲で逃げ場を奪う。
そして完璧なタイミングでグレネードを叩き込み――
敗北の土に塗れたのは、セレーナのアーバレストだった。


65 :Invisible Tactics:2005/10/29(土) 15:14:56 ID:L2VS92Sk
「はぁ……はぁ……何がどうなったの」
「トラップです。木と木の間にワイヤーが張ってあって……機体に損傷は無いみたいですが」
「……チェックメイトってことね」
大地に倒れ伏したままのアーバレストの中で、セレーナはため息をついた。
散弾砲で逃げ場を奪い、グレネードで止めを刺す。
作戦は完璧のはずだった。
(トラップなんて、いつの間に仕掛けたのよ)
セレーナは知らなかったが、それこそがブリッツガンダムを代表する武装のひとつ「グレイプニール」であった。
ワイヤーつきのクローアンカーを射出する中距離用兵装。
本来使わないはずのワイヤー部分をトラップに転用したのは、宗介の咄嗟の発想だった。
「その機体のパイロット。不可視システムを解除して、コクピットハッチを開け」
いつの間にか目の前に現れていた機体のパイロットから、通信が入る。
思ったより若い、男の声だった。
「……アル」
<ラジャー>
ECSを解除し、言われたとおりにコクピットハッチを開き、手を上げる。
「…………!? 何……!?」
相手がアーバレストを見たとき、動揺しているような気がしたが、気のせいだっただろうか。
セレーナは、改めて相手の機体を観察した。
暗くてよく分からないが、どうやら黒い機体のようだ。右腕のシールドに内装されたライフルを、こちらに向けている。
そして左腕は、見る影も無く破壊されていた。
どうやらシールドではなく、あえて左腕でグレネードを防御したらしい。
「そちらも手ひどくやられたようね」
「ブリッツの武装は元々右腕に集中している。問題無い」
(……そういうこと)
戦闘能力を落とさないために、あえて左腕を犠牲にした。どうやら戦闘のスペシャリストとの判断は、間違っていなかったらしい。
「それで、わたしをどうするの? やっぱり殺す?」
「お前の持っているこのゲームについての情報を、全て話してもらう」
「やっぱりね……悪いけど、貴方が欲しがってるような情報は何一つ持ってないわよ」
「……そうか」
その時、セレーナの中でふとした疑問が生まれた。イングラムとリュウセイに出会ってから、ずっと心の中にあった疑問。
「……あなたは、何のために戦っているの?」
「生き残るためだ」
「何のために?」
「俺には、守らなければならない人がいる。彼女の元に帰る方法が戦う事しかないならば、俺は戦う」
「……そう。わかったわ」
ついさっきまで殺し合いをしていたというのに、
セレーナは自分の中からこの男を殺すという選択肢が消えていくのを感じた。

66 :Invisible Tactics:2005/10/29(土) 15:15:50 ID:L2VS92Sk
「もうひとつ、こちらから質問がある。正確には、お前にではないが」
相手の言葉に、セレーナは疑問を抱いた。もっとも、その直後に解消される事となるが。
「アル。聞こえるか」
<なんでしょう>
「俺の事がわかるか、アル。ウルズ7、相良宗介軍曹だ」
<部分的に肯定です。メモリーは存在しますが、外部からロックされています>
「それは"思い出せない"ということか?」
<肯定です>
「そうか。アル、アーバレストの『ラムダ・ドライバ』は使えるのか?」
<本機のシステムは意図的に出力を制限されたレプリカではありますが、戦闘には十分耐えうるレベルと自負します>
セレーナを置いてどんどん話が進んでいく。たまらずセレーナは声を上げた。
「何!? どういうこと!? あなた、アルを――アーバレストを知ってるの!?」
「肯定だ。ここに来る前、俺が乗っていた」
「…………!」
まさか、そんな偶然があるとは。セレーナは息を呑み、そしてその偶然に感謝した。
そして、ひとつの提案を持ちかける。
「サガラ軍曹と言ったわね。もしあたしを殺す気が無いのなら、ひとつ提案があるんだけど」
「……何だ?」
「一時休戦ということにして、これから一緒に行動しない?」
「セレーナさん!? 何を――」
「黙って、エルマ」
驚きの声を上げるエルマを制し、セレーナはまた宗介に向き直った。
「あなたが乗っていたのなら、この機体の性能がかなり高いと言う事は分かるでしょう?
 その機体も決して火力重視の機体ではないようだし、単機では厳しい状況に直面することもあるはずよ。
 悪い話ではないと思うんだけど」
そこまで一気に言い切り、セレーナは相手の返答を待った。
エルマが何を考えているのか分からないと言いたげな視線を送ってくる。今はあえて気付かない振りをして、心の中で謝る。
その時、スピーカー越しに相手の声が聞こえた。
「……いいだろう。戦力不足については俺自身も感じていた事だ。だが」
「もちろん、裏切るようなら遠慮なく撃っていいわ。安心して、あなたとこれ以上事を構えるつもりは無いから」
「……了解だ」
「自己紹介がまだだったわね。私はセレーナ・レシタール。こっちの子はエルマよ。よろしくね、相良宗介さん」
「分かった。よろしく頼む」
相手はまだ完全にはこちらを信用していないようだったが、十分だ。
とりあえず、このアーバレストについての情報を可能な限り聞き出す。
回り道かもしれないが、結果的にはそれがチーム・ジェルバの仇を討つために必要となるはずだ。
十分な情報を得たら、隙を見計らって逃げ出せばいい。
そうすれば、後は――
「……さて、どうしたものかしらね」


67 :Invisible Tactics:2005/10/29(土) 15:16:25 ID:L2VS92Sk
【セレーナ・レシタール 搭乗機体:ARX-7 アーバレスト(フルメタル・パニック)
 パイロット状況:健康
 機体状況:ダメージはあるものの、活動に支障はなし。エネルギーを大幅に消費
 現在位置:G−3
 第一行動方針:宗介からアーバレストに関する情報を手に入れる
 第二行動方針:ゲームに乗っている人間をあと二人殺す
 最終行動方針:チーム・ジェルバの仇を討つ
 特機事項:捨てたトロニウムエンジンは回収】

【相良宗介 搭乗機体:ブリッツガンダム(機動戦士ガンダムSEED)
 パイロット状況:健康
 機体状況:左腕大破、グレイプニール使用不能
 現在位置:G−3
 第一行動方針:極力戦闘を避けつつ潜伏(攻撃されたら反撃に躊躇はしない)
 第二行動方針:できればジョシュアの二号機と再度接触したいと考えている
 最終行動方針:生き残る
 特記事項:セレーナを完全に信用しているわけではない】


【時刻:20:30】

68 :車上の戦い、そしてヘタレ:2005/10/29(土) 20:25:05 ID:SirCdxGl
夜の森を走るバイクと車。ここだけ見ればツーリングのようにも見える。
しかし、すぐ後ろを見れば、
「待ぁぁぁああてぇぇぇぇぇぇ!!!」
謎の人が二台に追いつかんばかりのスピードで絶叫しながら走ってくる。
しかも、乗り物があるわけでもなく生身で。東方先生や名乗る名のない人、七つの傷を持つ拳法家でもない普通の人が見たら間違いなくびびる光景であろう。
なぜこんなことになったかというと

5時30分
「ククク…アレが変形する車か」
バグはタイヤの後を捜査犬のごとく追い続け、ついに目的のものも見つけた。
茂みに隠れ、奪うチャンスを待つバグ。しかし彼らは開けた場所の家に入ってしまった。
これでは飛び出した瞬間見つかってしまう。そのためいい場所に移動し、スプリントスタイルで家に突撃したが…突撃と同じタイミングで2台も家の反対側から飛び出した。
「やはり尾行がついていたようだな」
「良く気付けたな、あんた!」
走りながら2人は話す。
「妙な気配があった。これでおそらく引き離せ……ッ!」
クォヴレー後ろを向いてが言いかけたが、思わずそれを見て言葉が詰まる。
「貴様らよくもはめてくれたなぁぁぁぁーーー!!殺ぉぉぉすーー!!」
バグがそりゃもう鬼気迫る凄まじい勢いで走ってきている。
「スピード上げてまく!あんたもスピードを上げろ!」
とまぁなり、そんなかんなで、彼ら2人は放送すらろくに聴かないで、ひたすら追いかけっこをしているこの状況になっている。トウマからすれば聞かなかったことはある意味幸運なことかもしれないが…
「待てと言われてとまる奴がいるかよ!この外道!!」
「うるさぁぁぁぁい!」


69 :車上の戦い、そしてヘタレ:2005/10/29(土) 20:25:52 ID:SirCdxGl
つかず離れずでこんなやり取りをもう1時間もしている。
「このままではなにも変わらない。爆弾が6個合ったはずだ。」
「馬鹿野郎!こんなもの人にぶつけたら死んじまうだろ!」
「あれが普通の人に見えるのか!?」
振り向いてバグを見るトウマ
「そこをうごくなぁーーーー!!」
「…………」
「分かったら急げ!パンクでもしたらすぐに追いつかれる!」
「わかった!頼むから死ぬなよ!」
爆弾をポケットから取り出し、2つをバグに投げつける。
「甘い!」
素早く1つを避け、もう1つを腕で切り払う。しかも爆弾を落とすためスピードを緩めたためバグとの距離が短くなる
「爆弾では駄目なのか!?」
「あとはメジャーぐらいしか……」
「メジャーは接近の必要がある!それでは駄目だ!」
メジャーでは近付く必要があるが、近付けばバイクに乗り片手でメジャーを振り回すのと生身で同じ速さで動けるのが戦えば、とても勝ち目はない。
「じゃあ他につかえそうなものなんてないぞ!ひたすら追いかけっこしかないのかよ!」
「考えがある!相手の足下を狙ってもう一回2個爆弾を投げろ!」
「どうするだよ一体!」
「話す暇はない!急げ!」
「わかった、あんたを信じるぜ!うおおお!!」
追いつかれること覚悟でスピードを緩め、狙いを定めて投げる!
足元なので切り払うわけにも行かず、避けるバグ。そこにさらに爆弾がもう1つ。
「くっ!」
しかしバランスを崩しながらもスピードを緩めず突っ込むバグ
「そこだ……!」
ブライサンダーが突然ドリフトし、向きを変えてヘッドライトビームを打つ!
流石にこれはかわせずあたり――思い切りこけた。
車に迫るほどのスピードでおもいっきり頭を削るかの勢いでこけるバグ。血気手死んだり重唱にはならないものの、流石にこれでは意識を保つことは出来ない。どんどん後ろにフェードアウトしていく。
「この隙に逃げるぞ!」
「ああ!」
そしてどんどん2台は離れていった。


70 :車上の戦い、そしてヘタレ:2005/10/29(土) 20:26:40 ID:SirCdxGl
2時間後
しばらくして、バグが目を覚ますと――
「な!?」
黒い影、いや、足の裏だった。咄嗟のことで対応できない間に
プチ
笑えるほど間抜けな音を立ててバグは潰れた。潰したのは、
「ヒトツ!」
「ブタハブタゴヤニイケ!!」
「ユビサキヒトツでダウンサ!!」
ジャスティスガンダムだった。しかも
YOUは!SHOCK!愛で空が落ちてくる〜
YOUは!SHOCK!俺の胸に落ちてくる〜
なぜか「北斗の拳」の主題歌「愛を取り戻せ」がコクピットにかかっている。
ついに彼は――いや操作しているのはハロだが、ついにヴィンデルは最初の考え通り参加者を殺すことが出来た。ついにヘタレ返上と言えるだろう。しかし肝心のヴィンデルと言うと、
「もう勘弁してください…もう勘弁してください…」
疲れと脱力のためそう寝言を繰り返しながら丸まって寝ている始末。
……やっぱりまだヘタレかもしれない。


【クォヴレー・ゴードン 搭乗機体:ブライサンダー(銀河旋風ブライガー)
 パイロット状態:良好
 機体状態:良好(変形不能)
 現在位置:C-7 移動中
 第一行動方針:トウマと共に仲間を探す
 第二行動方針:なんとか記憶を取り戻したい
 最終行動方針:ユーゼスを倒す】

【トウマ・カノウ 搭乗機体:ワルキューレ(GEAR戦士 電童)
 パイロット状態:良好
 機体状況:良好
 現在位置:C-7移動中
 第一行動方針:クォヴレーと共に仲間を探す
 第二行動方針:アルマナの発見、保護
 最終行動方針:ユーゼスを倒す
 備考:副指令変装セットを一式、ベーゴマ爆弾を2個、メジャーを一つ所持しています】

【バグ・ニューマン 搭乗機体: ボール(機動戦士ガンダム)
 パイロット状態:死亡
 機体状態:消失

ヴィンデル・マウザー ZGMF-X09A・ジャスティスwithハロ軍団
 パイロット状況:健康、めっちゃ脱力、ハロの下僕  疲れて寝てる
 機体状況:損傷なし、ただしコクピット内がハロで埋め尽くされている
 現在位置:C-6 
 第一行動方針:……ハロを切実になんとかしたい
 第二行動方針:アクセル、ラミア・ラヴレスとの合流
 最終行動方針:戦艦を入手する】

【時刻20:30】

>>69 重唱を重症に変えてください OTZ


71 :今、出来るコト(1):2005/10/30(日) 11:42:08 ID:tY4d37ap
 狭いコクピットの中、リョウトは目を開けた。
右手を自分の正面に掲げて拳を握ると、きちんと力が入る。少し頭が重いが、さほど問題ではない。
どうやら自分は生きているし、ほとんど怪我もないようだ。
リョウトは記憶を顧みる。アラドが逃げ、ヴァルシオン改と戦い、負けそうになって。
そのとき、この機体に組み込まれたゼロシステムが起動し、ヴァルシオン改を倒して……
 そこで記憶は途切れていた。どうやら気を失っていたらしい。
モニターを覗き込み、外を窺う。山肌に倒れこんだウイングゼロが映す風景は、随分明るさを失っていた。
 リョウトは焦りを感じる。どれくらい時間が経ったのだろう。アラドは逃げ切れただろうか。リオは、無事だろうか。
 考えても答えなど出ない。とりあえず、アラドを追おう。
そう思い、ウイングゼロの身を起こす。
 そのとき、レーダーが何者かの接近を告げた。
ミノフスキー粒子濃度が高いこの場所において、レーダーが反応する。
それはつまり、彼我距離はかなり短いということを意味している。
二時方向からの反応。急いでリョウトはその方向を目視する。接近する機体の姿を認めると、リョウトは目を見開いた。
「何、あれ……」
飛来する機体はかなり大きい。戦艦クラスと言っていいだろう。その周りをいくつかの戦闘機が取り巻いている。
 そして何より。その機体は恐竜のような容貌をしていたのだ。
奇妙な外観に圧倒されたリョウトの行動は遅れてしまう。その間、どんどん距離は近づいていく。
当然ながら互いに射程内。リョウトがそのことに気付くのは遅れたが、その機体が攻撃を仕掛けてくるような様子はない。
『そこの機動兵器のパイロット。こちらに攻撃の意思はない。応答を願う』
代わりに聞こえてきた声に、リョウトは胸を撫で下ろす。戦いを回避できるならそれに越したことはない。
「はい、聞こえます。こちらにも戦意はありません」
答えると、戦闘機が次々と戦艦へ戻っていく。そして、戦艦はゆっくりと地上へと降下を始めた。

 自分の目の前に着地した戦艦は、予想以上に巨大で迫力のあるものだった。まるで映画か何かのようだと思う。
 リョウトはコクピットを開けると、外に出て伸びをする。するとちょうど、戦艦から一人の男が身を現した。
「僕はリョウト=ヒカワと言います。あなたは?」
尋ねると、男は少し視線を下げ、考える。どうしたのだろうと思いながら答えを待つ。そして返ってきた答えは
「そうですね。副長、とでも呼んでください」
リョウトを呆然とさせるものだった。
「副長、さんですか?」
思わずそう聞き返すと、男――副長は微笑を浮かべる。
「ええ。それが慣れ親しんだ呼称なので」
「はぁ、そうですか……」
リョウトは僅かに困惑するが、副長は気にせず口を開く。
「とりあえず、食事でも取りながら情報交換といきませんか?」
副長の言葉に、リョウトは初めて自分が空腹だということに気が付く。そして、可能な限り情報は欲しい。
だから、リョウトは副長の言葉に頷いた。

72 :今、出来るコト(2):2005/10/30(日) 11:45:03 ID:tY4d37ap
「もう、12人も死者が出たんですか……」
携帯食料を握る手が震える。空腹だったはずなのに、リョウトの食欲がなくなっていく。
そのうちの1人を、自分がやったと思うと食事という気分にはなれなかった。 
 まず最初に話したのはリョウトだった。
内容は自分が遭遇した敵と、アラドのこと。そして、ずっと気を失っていたことを付け加えた。。
 続いては、副長の話だった。彼の乗った戦艦は、それ以上の大きさを誇る巨大な戦艦と遭遇した。
攻撃を仕掛けてきたため応戦したが、不利を感じた副長は撤退した。それ以降、自分以外の誰とも遭遇していないという。
 そして、その撤退する途中。時間にすると三十分ほど前のことらしい。主催者から、放送が入った。
リョウトは気を失っていたため、その内容を副長の口から聞いていた。
「ええ。そして、言いにくい事ですが」
そう前置きすると、副長はリョウトの顔を見ないで話を続ける。
「死亡者の中に、アラド・バランガという名前がありました」
その言葉に、リョウトは息を飲む。喉がカラカラに渇いてくるが、とても水を飲む気にはなれない。
リョウトは強く歯噛みする。自分の選択が間違っていたのではないか。他の選択を取れば、アラドは死なずにすんだのではないか。
後悔の念がリョウトを苛む。強い後悔は抑えきれない衝動となる。リョウトは思い切り、左手を足元に打ちつける。
痛みが手に走る。だが衝動は止まらず、もう一度手を振り上げ、勢いよく振り下ろそうとして
「……そのようなことをしても、何にもなりませんよ」
副長の声がストッパーとなる。リョウトは手の勢いを止めるが、それでも衝動は抑えられずに強く手を握り締める。
爪が皮膚に食い込んでも、その力を緩めない。
「あなたは自分で、最善と思われる選択をした。その結果が悪いようになったとしても、あなたを責めることはできません。
そして、 我々は立ち止まるわけには行かないのです。
 生き残るために」
リョウトは黙って副長の言葉を聞く。落ち着き払った彼の言葉に耳を傾ける。
「私は死ぬつもりはありません。出来るだけ多くの同士を集め、脱出を試みたいと思っています。
 あなたは、どうするつもりなのですか?」

73 :今、出来るコト(3):2005/10/30(日) 11:45:38 ID:tY4d37ap
 聞かれるまでもなかった。リョウトには、明確な目的がある。
 リョウトはしっかりと副長の顔を見ると、力強く答える。
「僕の大切な人も、ゲームに参加しているんです。彼女に会って、そして、生き残ります」
その言葉に、副長は頷く。そして確認を取る。
「その人の、名前は?」
「……リオ。リオ・メイロン」
リョウトは、その名前を告げる。大丈夫、と心の中で言い聞かせながら。祈るように。
副長は、リョウトの声に笑顔で答えた。
「安心してください。その人は生きています」
「そう、ですか。よかった……」
リョウトは深い息を吐く。同時に体からゆっくりと緊張が解けていくのを感じる。
アラドに対する申し訳なさが消えたわけではないが、まだ自分は生きていられると思った。
「私にも探し人がいましてね。信頼できる方です。よかったら、一緒に行動しませんか?」
副長の申し出に、リョウトは首を縦に振る。今度はもう、誰も死なないで欲しいと思いながら。
「ありがとうございます。副長さん。よろしくお願いします」
「いえいえ、こちらこそ」
お互い微笑み、握手を交わす。
「とりあえずの目的は、互いの探し人を探すということにしましょう」
副長の提案に、リョウトは頷く。
 ふとそのとき、リョウトは思い至る。
「あの」
「どうしました?」
「もう1人、探したい人がいるんです」
「もちろん構いませんが、どなたです?」
「名前は分からないんですけど。アラドくんの大切な人、です。きっとその人は、不安でいっぱいでしょうから」
自己満足かもしれない。でもそれが、自分がアラドのために出来るたった一つのことだと思った。
「そうですか。分かりました。見つかるといいですね。リオさんも、その人も」
副長は答えると、ずっと持ちっぱなしだった携帯食料をかじる。
リョウトはそれを見て、食事を再開した。

【リョウト・ヒカワ 搭乗機体:ウイングガンダムゼロ(新機動戦記ガンダムW)
 パイロット状態:健康
 機体状態: 小破
 現在位置:B-8
 第1行動方針:リオ、タシロ、アラドの大切な人(ゼオラ)の捜索
 最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出】

【副長 搭乗機体:メカザウルス・グダ(ゲッターロボ!)
 パイロット状況:健康
 機体状況:外壁一部損傷、砲塔一門損傷、恐竜ジェット機1/4損失
 現在位置:B-8
 第一行動方針:リオ、タシロ、アラドの大切な人(ゼオラ)の捜索
 第二行動方針:首輪の解除ができる人物を探す
 最終行動方針:ゲーム脱出】

【時刻:18:30】

74 :それも名無しだ:2005/10/31(月) 11:10:35 ID:/8RfctTa
人が少な目の時にあげ

75 :それも名無しだ:2005/10/31(月) 13:18:42 ID:A0pzcsZx
>>74はバカ

76 :それも名無しだ:2005/11/03(木) 01:05:29 ID:m3wVNffl
保守

77 :それも名無しだ:2005/11/05(土) 15:35:32 ID:53BPFR8y
保守

78 :歪み:2005/11/06(日) 14:19:23 ID:QPmqR+G7
鉄也のガイキングを上部に載せたボスのダイタンクは土煙をあげ疾走していた。
「大丈夫かよぉ、鉄也」

「やられたのは機体だけだ。俺には傷一つ無い」

そういう鉄也の額には汗が滲み出ていた。

彼は己の腕に自身もあり、支給された機体もスペックを見れば上々・・・正直に言えばそうそう相手に遅れはとらないと思っていた、それがこの様だ。

「そんな事よりどちらに向かっているんだ」

「おお、とりあえずはさっきの廃墟地帯に」

「駄目だ、さっきの放送を聞かなかったのか、あそこは禁止エリアになる。そうだな・・・」

鉄也は地図を開き、辺りの地形を確認する。

「よし、同じ廃墟でもE-2の小島にしばらく潜むとするか」

「E-2・・・なるほど、廃墟は四つのエリアにまたがってるから陣取れれば禁止エリアにされても少ない移動で違うエリアにいけるだわね」

79 :歪み:2005/11/06(日) 14:20:08 ID:QPmqR+G7
「そういう事だ。お前にしては頭がまわるじゃないか、ボス。それに俺の機体とその機体には遠距離から砲撃できる武装もあるから島に近づく機体を迎撃する事も出来る、しばらくはあそこに滞在出来るはずだ」

「お前にしてはってどういう意味だわさ!まったく甲児さえ帰ってきたらお前にデカい口を叩かせねえのによ!」

「何を言ってるんだ?兜甲児はミケーネとの決戦に備えて帰国したじゃないか」
ボスと軽口を叩きあい少しづつ心の暗雲が引き始めていた鉄也であったが、今のボスの一言で再び暗雲が立ちこめ始めた。

「お前こそ何言ってんだよ鉄也。甲児は日本に帰ってきてなんか」

ミシッ!

金属が軋む音がなった。

80 :歪み:2005/11/06(日) 14:21:09 ID:QPmqR+G7
ガイキングの指がダイタンクの装甲に食い込み、亀裂を走らせていた。

「な、何をするんだわさ鉄也!」

「質問するのはこちらの方だ。お前はミケーネ、またはこのゲームの主催者側の人間が化けたか用意した偽物か?」

「な、何の話だい!俺は正真正銘のボス様でい!」

「なら何故先程兜甲児が帰国してないと言った!」

「そっちこそ何をわけのわかんねぇ事を言ってるんだ!」

実際にボスは嘘を言ってはおらず、偽物でも無かった。鉄也も同様である。

だが二人の呼び出された時間にズレがあり、このような軋轢を生み出していた。
「いいかげんにしやがれ!これ以上俺を怒らせるとこっちだって黙ってやられるわけにはいかないわよ!」
(この態度、偽物とは思えんな。それにもし偽物ならばあんなわけのわからん事は言わせんはずだ)

「やいやーい!聞いてんのか鉄也!」

ガイキングはゆっくりとダイタンクの装甲から腕を離した。

「ああ、すまなかったなボス、さっきのキラ・ヤマトとかいう奴にしてやられてどうかしてたみたいだ」

「いいかげんにしないと俺様の最終兵器が火をふ・・・え?あ、ああ、わかりゃいいんだけどよ」

「まだ色々とわからん事はあるが・・・何にせよあの仮面野郎を倒せばわかるだろう。よし、E-2にひとっ飛びするか」

「飛んで行くのか?さっきは狙撃だとかなんとかいってたじゃねえか」

「水中に潜む敵もいるかもしれん、高々度を移動すれば狙撃もされないだろうし空に敵がいても水中戦になるよりかは空中戦の方がましだ、飛行は慣れてないなんて言うなよ、行くぞ!」

【剣鉄也 搭乗機体:ガイキング後期型(大空魔竜ガイキング)
 パイロット状態:精神・肉体ともに軽い疲労
 機体状態: 胸部破損、右腕切断
 現在位置:D3-からE-2へ移動中
 第1行動方針:E-2への移動
 最終行動方針:主催者の打倒

【ボス 搭乗機体:ダイターン3(無敵鋼人ダイターン3)
 パイロット状況:精神的に若干の疲労
 機体状況:背部の装甲に亀裂
 現在位置:D-3からE-2へ移動中
 第一行動方針:E-2への移動
  最終行動方針:主催者の打倒

【時刻:18:47】

81 :放送を終えて…:2005/11/06(日) 18:26:57 ID:rx09UCCe
「まずは、皆が待ち望むこれまでの死亡者発表と行こうか・・・」
…アラド・バランガ
…アルマナ・ティクヴァー
…一色 真
…柿崎 速雄
…カツ・コバヤシ
…シュウ・シラカワ
…ジャック・キング
…テンザン・ナカジマ
…B・D
…フェルナンド・アルバーグ
…三輪防人
…ラージ・モントーヤ
「以上、12名だ。・・・なかなかの…………

一日目の放送が流れ、アキト達は言葉を失った。
「(三輪防人…!!まだ操縦に慣れてなかったとはいえこの機体一瞬でをボロボロにした奴がもう…)」
「(これだけの人の名前が出てて記憶の手がかりはゼロか…さすがに辛いんだな、これが…)」
「(フフフ…クズが12人死んだか…所詮、開始早々死んだクズどもだ…ゲームに乗ったバカか、相当の雑魚だけか…)」
「(クソッ…!!もう12人!!ふざけやがって…やっぱりアイツはぶん殴ってやらなきゃ気がすまねぇ!!)」
「(知らない人しか死んでませんけど…あまり気分はよくないですね…)」
放送を聞いた5人はそれぞれ違うことを考えていた。
仲間が増えたおかげでいい雰囲気の5人であったがこの放送を聞いた途端に全員が沈黙した。
長い沈黙の時間が流れた…そしてその沈黙を破るようにイサムが叫んだ。
「あぁぁーーーー!!」

82 :放送を終えて…:2005/11/06(日) 18:27:39 ID:rx09UCCe
「!!!!」
全員が驚いた表情でイサムに目を向けた。
「俺は一人でもアイツをぶん殴りにいくぜ!!ここでゴチャゴチャ考えてても仕方ないしなぁ!」
熱くなるイサムに冷たくルリが言い放つ。
「ダイソンさんはあの人のところまで、どうやって行くのですか?」
「それはだなぁ…あ〜…え〜と…」
返答に困るイサムを追撃するようにルリがまた一言。
「首輪はどうするんですか?」
「そ、それは…こ、これから…か、考えるんだよ!」
そうすると溜息をつきながらルリがさらに言い放つ。
「そんな適当に行ってダイソンさんは死にたいんですか?」
「んなわけあるか!!アイツをぶん殴るまで俺は死な…
イサムの言葉を割って入るようにマサキが叫んだ。
「レーダー反応あり!敵影一機接近してます!」
「私の名はヴィンデル…ヴィンデル・マウザー」
「!!!!!」
その声を聞きアクセルは目を見開いて驚いた。



【アクセル・アルマー :クロスボーンガンダムX1(機動戦士クロスボーンガンダム)
 現在位置:E-5
 パイロット状況:良好
 機体状況:損傷なし
 第一行動方針: ???
 最終行動方針: ???

【テンカワ・アキト 搭乗機体:νガンダム  (逆襲のシャア)
 パイロット状況:軽い打撲程度 (アクセルとの接触によって精神状態は回復)
 機体状況:全身ボロボロ、右腕無し、腰部分のフレーム多少歪む
 現在位置:E−5
 第一行動方針:アクセルの記憶探しを手伝う
 第二行動方針:とりあえずなし
 最終行動方針:ゲームから脱出

【イサム・ダイソン 搭乗機体:ドラグナー3型(機甲戦記ドラグナー)
 パイロット状況:健康
 機体状況:良好
 現在位置:E-5
 第一行動方針:仲間を探す
 第二行動方針:ゲームに乗った相手からの逃亡(戦力が整っていればやられたらやり返す)
 最終行動方針:ユーゼスをぶん殴る】

【ホシノ・ルリ 搭乗機体:スカイグラスパー(機動戦士ガンダムSEED)
 パイロット状況:健康
 機体状況:良好
 現在位置:E-5
 第一行動方針:とりあえずなし
 最終行動方針:アキトと共にゲームからの脱出】

【木原マサキ 搭乗機体:レイズナー/強化型(蒼き流星レイズナー)
 パイロット状態:秋津マサトのような性格のふりをしている。絶好調
 機体状態:ほぼ損傷なし
 現在位置:E-5
 第1行動方針:使えるクズを集める
 最終行動方針:ユーゼスを殺す】

【時刻:18:40】

83 :放送を終えて…『ヴィンデル』:2005/11/06(日) 18:29:13 ID:rx09UCCe
アタマヲカカエテ、ドウシタ?』
「ああ…お前らみたいな変な奴らと一緒じゃ頭も抱えるよ…!」
『ナニカイッタカ、ヴィンデル!』
「あ…す、すいません!!許してください…ホント口がちょっと滑っただけで…」
『マア、ユルシテヤル』
「ところでどこへ向かっているんだ?」
ジャスティスを操縦する役目をハロ達に奪われてしまったヴィンデルが言う。
『ワカラナイ、テキトウダ』
「(て…適当だと!!コイツら私を殺す気か…!!)」
「なんで適当なんだ?」
『オマエハ、ダレカニアイタイラシイカラナ!』
「(そういえばさっきアクセル、ラミア…と呟いてたからコイツら探してくれてるのか?)」
「お前ら…実はいい奴らなんだな…」
ハロを叩きながらそんなことを言っているとレーダーに敵影5機を発見した。
さらに相手はこちらの存在に気が付いているようだ。
『OK!シノブ!!』
『オレハ、ショウショウアラッポイゼ!!』
『ハニワゲンジンゼンメツダ!!』
「お前ら、うるさいぞ!!敵に私の名前ぐらい名乗らせろ!!」
『ワカッタ…ハヤクシロ』
「了解だ……」
「私の名はヴィンデル…ヴィンデル・マウザー」
『ヨシ、オマエモウダマッテロ!!』
「!!!!!」
その言葉を聞いてヴィンデルは目を見開いて驚いた。


【ヴィンデル・マウザー ZGMF-X09A・ジャスティスwithハロ軍団
 パイロット状況:健康、めっちゃ脱力、ハロの下僕
 機体状況:損傷なし、ただしコクピット内がハロで埋め尽くされている
 現在位置:B-5
 第一行動方針:……ハロを切実になんとかしたい…がとりあえずは戦闘
 第二行動方針:アクセル、ラミア・ラヴレスとの合流
 最終行動方針:戦艦を入手する】

【時刻:18:40】



84 :失った記憶は…:2005/11/07(月) 20:08:46 ID:c/HbSPEM
「ヴィンデル…ヴィンデル・マウザー……」
自分は確かに目の前にいる奴の名前を聞いたことがあった、しかし思い出せない。
頭の少し奥の方に引っかかる…
もしかしたら記憶を失う前の友人だったのかもしれない…
いや、もしかしたら憎むべき敵だったのかもしれない…
いろいろな可能性が頭の中をグルグル回っていて、
頭が壊れそうな気分だ。
考えてもまったく答えは出ない。
「おい!!アクセル!!」
フッと我に返った
「なんか頭がグルグルするんだな、これが…」
「しっかりしてくれよ!これから戦闘になるかもしれないのに…」
「(なにっ!アクセルだと!!だが私の知っているアクセルなら私の名前を聞いたら何らかの反応があるはずだが…)」
アクセルとアキトの会話を聞いたヴィンデルが考える。
「ハロ!あのドクロマークの奴だけに通信を繋いでくれ!!」
頭を抱えて唸っているアクセルに通信が入る。
「アクセル、私だ…早く戦艦を奪ってこのゲームから脱出するぞ」
「何の話だ?お前は一体誰なんだ?なぜ俺を知っている?そして俺は一体誰なんだ!!」
これは一体どういうことだ…?
確かにこの男の声は私の知ってるアクセルの声だがなぜ私のことを知らない…?
「俺は誰なんだ!!」と言われてもこっちが「お前は誰なんだ!!」と言いたい状況だ。
…知らないフリをしているのか?しかしここで知らないフリをしてもメリットがない…
ということは並行世界のもう一人のアクセルか?それとも…
どっちにしろ、今のアクセルではこちらに呼び込んでも足手まといになりかねん。
敵は5人…全員仲間にできれば戦艦の奪取も楽になるが、
こんな状況だ、そう簡単に全員が私の命令を聞くとは思えない。
ならば私の存在を知ったコイツらには消えてもらうしかない。

85 :失った記憶は…:2005/11/07(月) 20:09:18 ID:c/HbSPEM
「俺のことを知ってるんだろ!おしえ……」
「うるさい!」
そう言うとクロスボーンガンダムにビームライフルを放った。
「な、お前正気か!?こっちは5人だぞ!」
驚いたアキトが叫ぶ、しかしヴィンデルは冷静にそれに答える。
「フン、5人といってもまともに戦えそうなのは2機だけではないか。」
ヴィンデルの言う通りであった損傷の少ないクロスボーンとレイズナーは十分戦えたが、
ドラグナー3型やスカイグラスパーは支援しかできない、
νガンダムにいたっては攻撃の術をほとんど失い支援すら難しい状態であったからだ。
「それでも2対1だぜ!計算もできないのかぁ」
イサムがヴィンデルを挑発する。
「フ、そういうことは私に勝利してから言ってくれ」
そうヴィンデルが言うとヴィンデルの機体の背面から何かが飛んできた。
「これが私のファトゥム-00だ!ハロ頼んだぞ!!」
ジャスティスを操縦するヴィンデルとファトゥム-00を操縦するハロが交互に攻めて来る。
「ダイソンさん、あのリフターはおそらく遠隔操作ですドラグナーで適当にあしらっちゃって下さい」
「了〜解!!」
ルリがイサムに声を掛けるとイサムは軽く返事をした。
「では、ダイソンさんがリフターに電波妨害入れてる間に、敵を引き付けましょう」
「了解!!」
さらにルリが全員に指示を出す。

86 :失った記憶は…:2005/11/07(月) 20:14:12 ID:c/HbSPEM
その時、二機のガンダムはお互いのビームサーベルを交えていた。
「アクセル!!貴様は本当に私を…シャドウミラーを忘れたのか!!」
「だからさっきから分からないって言ってるんだな、これが!!」
しかし、確かにシャドウミラーという言葉も聞いた事があった。
「くっ…頭が…」
その時アクセルに一瞬の隙ができた。
「貴様の命もらった!!」
振り下ろされるジャスティスの凶刃、しかし
「アクセルさん、危ない!!」
レイズナーから放たれたカーフミサイルがジャスティスに向けて放たれる。
「甘いわ!!」
そう言うとジャスティスはシールドでクロスボーンを吹き飛ばしながら
両肩に収納されているビームブーメランをカーフミサイルに向けて投げた、見事にミサイルは弾け飛んだ。
「こっちが本命だ!!」
カーフミサイルの爆風に身を隠しジャスティスの背後に周ったレイズナーからレーザードライフルが放たれる。
「なにっ!しかしっ!!」
ジャスティスはレーザードライフルに向けてシールドを投げながら後退する。
「本命がこんなに簡単に避けられてはな…」
「(チッ…クズが調子に乗るな…)」


87 :失った記憶は…:2005/11/07(月) 20:15:23 ID:c/HbSPEM
その時スカイグラスパーをしつこく追うリフターの姿があった。
「ダイソンさん、まだですか!?」
「分かってる!ちょっと難しいから時間がかかってるだけだ!!」
「早くしてくださいね、こちらは命を掛けて敵を引き付けてるんで…」
「わ〜かってるよ!!」
ルリに指摘されたのに腹を立てたのか、怒鳴りながら答える。
「ちょっと、あのリフター早過ぎるだろ…」
νガンダムに乗っているアキトはスカイグラスパーを追っているリフターをさらに追うように進んでいた。
「あの機関砲とビーム砲さえ潰せればただの板なのにな…」
νガンダムの武装はもうビームサーベルと頭部バルカンと、
アキトには使うことができないフィンファンネルだけであったため、
サーベルではリフターに届かないし、バルカンではリフターに致命傷を与えることはできなかった。
「そうだ!どうせ使えないならこんなもの!!」
そう言うとアキトは背面についているフィンファンネルの内の一つを、無理矢理剥ぎ取りリフターにブン投げた。
しかしリフターのところまでは届いたが軽がると避けられてしまった。
「アキトさん!もうダメです追いつかれます!」
「せっかく合えたんだ…こんなところで殺させてたまるかぁ!!」
敵の動きを読みフィンファンネルの投球フォームをとる。
歪んだフレームがミシミシと悲鳴をあげる。
「いっけぇー!!」
物凄いスピードでリフターに向かうフィンファンネル。
「避けられた!いや、当たった」
リフターのビーム砲の砲身に当たりビームが一門使えなくなった。
「二人とも、敵はもう引き付けなくていいぜ」
イサムがそう言うと電波妨害を受けたリフターは、どこか遠くへ飛んでいった。
「よし、こっちは終わったアクセルとマサキが心配だ向こうに行こう」

88 :失った記憶は…:2005/11/07(月) 20:16:04 ID:c/HbSPEM
そして5機に囲まれるジャスティス。
「そろそろ降参したらどうだ?」
「(クソッ…この状況じゃ敵わないここは…)」
「皆さんすいませんでした…私は強い仲間が欲しくて皆さんを試していました…皆さんの実力はよくわかりました…」
自分でも分かるぐらい恥ずかしい言い訳だな、これは…
「なので私を皆さんの仲間にしていただきたい」
ヴィンデルは絶対に無理だと思いながら頼んだ。
「(コイツは俺の記憶のカギを握ってる…はず)」
「(なんて奴だ…さっきまで俺達を殺す気だっただろ…)」
「(クズらしい言い訳だな…)」
「(こんのやろ〜!!追い詰められたら許してくださいだと、ふざけた野郎だ…)」
「(…大人って汚いんですね…)」
やはり無理か…当り前だな、私だったらすぐに殺してる…これでおしまいか…
「みんな、ちょっと聞いてほしいんだな」
ヴィンデルを含む全員がアクセルの方を向いた。
「実はコイツは俺の記憶を知ってるっぽいんだな、これが」
「(そうか…アクセルは記憶を失ってたのか…私のことを知らないのも当然か…)」
「だから…コイツを仲間にしたいと思うんだな…」
「………………」
この沈黙を見れば全員が納得していないのは明らかである。
「みんなが、納得しないのは分かる…だけど頼む!!」
アクセルの境遇を考えればアクセルが頼むのは当り前であった。
「しょうがねぇな…一緒に行動はするが、俺はお前が仲間だとは思わないからな!」
イサムが言うとほかの3人も、
「俺もアクセルの頼みだから一緒に行動するけど、仲間とは思わない」
「私もダイソンさんとアキトさんの考えと同じです」
「僕も同じ考えです(こういう恥じを知らないクズは使いやすいだろうな…)」
「みんな!ありがとうなんだな、これが」
さらに仲間の増えたアクセル達であったが、
ギスギスした雰囲気で、6人は輪になり話し合っていた


89 :失った記憶は…:2005/11/07(月) 20:16:41 ID:c/HbSPEM
【アクセル・アルマー :クロスボーンガンダムX1(機動戦士クロスボーンガンダム)
 現在位置:E-5
 パイロット状況:良好
 機体状況:ほぼ損傷なし
 第一行動方針:ヴィンデルに記憶について聞く
 最終行動方針: ゲームから脱出

【テンカワ・アキト 搭乗機体:νガンダム  (逆襲のシャア)
 パイロット状況:軽い打撲程度 (アクセルとの接触によって精神状態は回復)
 機体状況:全身ボロボロ、右腕無し、腰部分のフレーム多少歪む フィンファンネルを二個失う
 現在位置:E−5
 第一行動方針:アクセルの記憶探しを手伝う
 第二行動方針:とりあえずなし
 最終行動方針:ゲームから脱出

【イサム・ダイソン 搭乗機体:ドラグナー3型(機甲戦記ドラグナー)
 パイロット状況:健康
 機体状況:良好
 現在位置:E-5
 第一行動方針:仲間を探す
 第二行動方針:ゲームに乗った相手からの逃亡(戦力が整っていればやられたらやり返す)
 最終行動方針:ユーゼスをぶん殴る】

【ホシノ・ルリ 搭乗機体:スカイグラスパー(機動戦士ガンダムSEED)
 パイロット状況:健康
 機体状況:良好
 現在位置:E-5
 第一行動方針:とりあえずなし
 最終行動方針:アキトと共にゲームからの脱出】

【木原マサキ 搭乗機体:レイズナー/強化型(蒼き流星レイズナー)
 パイロット状態:秋津マサトのような性格のふりをしている。絶好調
 機体状態:ほぼ損傷なし
 現在位置:E-5
 第1行動方針:使えるクズを集める
 最終行動方針:ユーゼスを殺す】

【ヴィンデル・マウザー ZGMF-X09A・ジャスティスwithハロ軍団
 パイロット状況:健康、めっちゃ脱力、ハロの下僕
 機体状況:シールドを失う、リフターを失う、さらにコクピット内がハロで埋め尽くされている
 現在位置:B-5
 第一行動方針:……ハロを切実になんとかしたい
 第二行動方針:ラミア・ラヴレスとの合流
 最終行動方針:戦艦を入手する】

【時刻:19:10】

90 :龍と悪魔(1):2005/11/07(月) 23:01:57 ID:dj923ub1
 世界が姿をゆっくりと変えていく。太陽が支配する時間から、月と星の時間へと移ろうとする狭間の時。
西空が赤く染まりゆく中、気の早い星は既にその存在を主張している。
その空を、一つの細長いシルエットが飛んでいく。青いボディにオレンジ色の光を受ける姿は、龍だ。
龍は飛びながら放送を聞く。死亡者は十二名。その数字は、既にそれだけの戦闘が、命のやり取りが行われたということに他ならない。
 龍の中、ヤザン=ゲーブルは不機嫌そうに舌打ちをする。
自分はまだ誰一人殺していないというのに。既にそれだけの戦いが行われているのかと思うと全く面白くない。
先ほど偵察をしていたときも、すぐ隣のエリアで戦闘が行われていた。機体がまともに動く状態ならすぐにでも参加したのだが、
修復がまだ終わらない状態では見ていることしかできなかった。
 だが。それももう終わりだ。夜が更けようが関係ない。休息なら十分に取った。
これから戦いの時間が始まる。これからが享楽の時間だ。
『・・・それから、今後の放送は十二時間毎に行うこととする、精々聞き逃さん様にしたまえ』 
放送が終わったとき、ヤザンは舌なめずりをする。その内容のため、ではない。
 龍王機のセンサーが、機影を捉えたからだ。方向は正面。肉眼でも確認できる。
それは漆黒の機体だ。その背部、翼のようなパーツがゆっくりとこちらを向く。凶悪な光が灯るのをヤザンの目が捉える。
龍王機を真横に滑らせたすぐ後、巨大な光が先ほどまで龍王機のいた地点を貫いていく。
「はっはっは、遅いんだよッ!」
ヤザンは愉快そうに笑うと、正面の機影に向けて突撃を開始した。

91 :龍と悪魔(2):2005/11/07(月) 23:02:44 ID:dj923ub1
「かかって来い! この私が滅ぼしてやる! この手で、全てをなぁッ!」
ラウ=ル=クルーゼは叫びを上げる。憎悪は彼に狂気をもたらし、殺意へと姿を変えていく。
額に汗を浮かべ、息遣いは荒い。だが彼は、狂ったような笑みを消さずに機体を操作した。
 ディス・アストラナガンはウイングを展開する。
悪魔のような翼を広げ、ディス・アストラナガンは龍王機へ向けて飛ぶ。
ラスタバン・ビームを回避し、ラアム・ショットガンで反撃を行う。
しかし、細長いボディを細やかに動かし、無駄のない動きで避けられる。構わず、ディス・アストラナガンは距離を詰める。
機動性を活かして龍王機の下部に回りこみ、Z・Oサイズで斬りつける。避けた装甲に向けて柄のショットガンで追撃を行う。
その一撃は、上昇した龍王機の尾に当たり、決定打には至らない。
体制を立て直し、ラアム・ショットガンを打ち放つが、身を捻った龍王機には当たらない。
龍王機は頭部をこちらに向けて突っ込んでくる。その口には赤々と燃える火炎が留まっていた。
口から放たれた火炎をサイドステップで避ける。自らが作り出した火炎を追うようにして突っ込んでくる龍王機。
龍王機の真横に攻撃を叩き込もうとZ・Oサイズを構える。龍王機は防御も回避も考えず、勢いに任せて向かってくる。
強引に軌道を修正し、ディス・アストラナガンへと迫り来る。いつの間にか展開されていたドラゴン・カッターが風を切り、そして。
 強烈な金属音が響く。Z・Oサイズは龍王機の横側面を僅かに引き裂いたが、途中で弾き飛ばされ、地面へと突き立つ。
機体本体のダメージは装甲板が剥がされただけだ。それだけですんだのは、ディフレクトフィールドの存在のためだ。
それがなければ腕一本持っていかれていただろう。
「やってくれるな……ッ!」
クルーゼは忌々しげに口を開く。汗が頬をつたい、落ちていく。
モニターに目を走らせ、敵の動きを追う。方向を変えた龍王機は、ビームを数発撃ち込んでくる。
それを避け、ガン・スレイヴを飛ばそうとしたときだ。
「ぐぅぅっ……はぁっ、はぁっ……」
クルーゼはコクピットの中で身を折る。彼の息遣いは激しさを増し、焦点が定まらなくなってくる。
 そろそろ、限界だった。人が欲望の果てに生み出した存在であるクローン。クルーゼはその技術で人工的に作り出された存在だ。
だがその技術は不完全であり、不完全な技術で作られたクルーゼには欠陥があった。
 その欠陥とは、生まれつきテロメアが短いということだ。
そのため、クルーゼは普通の人間よりも寿命が短く、薬を服用しなければならない。
ディス・アストラナガンの憎しみに囚われ、感情を昂ぶらせ続けた彼は、通常よりも速く体を蝕んでいく。
なんとか敵影を目で捉えるが、体の反応が追いつかない。再び向かってきた龍王機の刃が直撃し、コクピットを揺らした。

92 :龍と悪魔(3):2005/11/07(月) 23:03:41 ID:dj923ub1
 敵の動きが急に鈍くなったとヤザンは思う。先ほどの攻撃が効いたのだろうか。
なんとか動いているが、とても戦えるような様子ではない。
「ふん、もう終わりか」
ヤザンは独りごちる。こうなってはつまらない。
もっと強い奴と、極限で戦いたいのだ。互いに命の奪い合いを行いたいのだ。
抵抗も出来ないような奴を嬲り殺すのは面白くもなんともない。
「ならさっさと殺してやるよッ!」
あれだけの勢いでぶつかっても損傷は少ない。どうやらあの機体にはバリアがあるようだ。ならば。
 確実に息の根を止める。そのために狙うのは、一箇所だ。
 一気に敵との距離を詰める。ショットガンを撃ってくるがまともに狙えてなどいない。余裕でかいくぐり、取り付いて。
 龍王機の牙がコクピットへと迫っていく。バリアが展開し、阻まれる。
離脱しようとする敵機を爪で押さえつけ、強引に牙を突きたてて、そして。
 龍王機は、バリアを食い破った。

『くっくっく……人は滅ぶのだよ。自らの欲望のため、憎しみあい、戦い続け、殺し合ってな……!
 このゲームは縮図だよ! 業を祓うことの出来ない人間の、滅びの縮図だッ!!
 はっはっはっは……はぁーっはっはっはっはっはっ!!』
 龍王機がコクピットを噛み砕くと、男の哄笑が消えていく。
 接触回線から聞こえた男の最期の言葉は、ヤザンに何の感慨も抱かせなかった。
「ふん、あまり手ごたえがなかったな」
それだけ言うと、黒い機体から爪を離す。するとそれは、引力にまかせてゆっくりと落ちていく。
「やはり、あの男か」
 ゲーム開始早々に痛手を負わせてきたあの男こそ、自分を楽しませてくれそうだった。
「待っていろ、バラン=ドバン。次は負けんぞ」
龍王機は再度移動を始める。既に空は暗くなっており、満月が輝いていた。


 夜の草原。漆黒の機体が仰向けに倒れこんでいる。
夜の闇に溶け込んでしまいそうなその機体のコクピットは抉り取られている。それは、パイロットの死亡を意味している。
無人で、システムがダウンしているはずだ。
 だが。
 その機体のアイカメラは輝きを失っていなかった。夜の世界で、煌々と、赤く、輝き続ける。
 剥がれた装甲、そして、コクピット。それらの損傷部位がゆっくりと再生を開始する。
 そうやって、待ち続ける。
 ディス・アストラナガンは新たな主を。

【ヤザン・ゲーブル 搭乗機体:龍王機(スーパーロボット大戦α)
 パイロット状況:健康
 機体状況:下部、左側装甲損傷。すぐに修復されます
 現在位置:B-3
 第一行動方針:バラン=ドバンを探す。また、どんな機体でも見つければ即攻撃
 最終行動方針:ゲームに乗る】

【ラウ・ル・クルーゼ 搭乗機体:ディス・アストラナガン(第3次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:装甲、コクピット修復中(修復されれば搭乗可能)
 現在位置:B-3】

【時刻:19:00】

93 :龍と悪魔修正版(1):2005/11/10(木) 18:25:18 ID:EswvSrs4
 世界が姿をゆっくりと変えていく。太陽が支配する時間から、月と星の時間へと移ろうとする狭間の時。
西空が赤く染まりゆく中、気の早い星は既にその存在を主張している。
その空を、一つの細長いシルエットが飛んでいく。青いボディにオレンジ色の光を受ける姿は、龍だ。
龍は飛びながら放送を聞く。死亡者は十二名。その数字は、既にそれだけの戦闘が、命のやり取りが行われたということに他ならない。
 龍の中、ヤザン=ゲーブルは不機嫌そうに舌打ちをする。
自分はまだ誰一人殺していないというのに。既にそれだけの戦いが行われているのかと思うと全く面白くない。
先ほど偵察をしていたときも、すぐ隣のエリアで戦闘が行われていた。機体がまともに動く状態ならすぐにでも参加したのだが、
修復がまだ終わらない状態では見ていることしかできなかった。
 だが。それももう終わりだ。夜が更けようが関係ない。休息なら十分に取った。
これから戦いの時間が始まる。これからが享楽の時間だ。
『・・・それから、今後の放送は十二時間毎に行うこととする、精々聞き逃さん様にしたまえ』 
放送が終わったとき、ヤザンは舌なめずりをする。その内容のため、ではない。
 龍王機のセンサーが、機影を捉えたからだ。方向は正面。肉眼でも確認できる。
それは漆黒の機体だ。その背部、翼のようなパーツがゆっくりとこちらを向く。凶悪な光が灯るのをヤザンの目が捉える。
龍王機を真横に滑らせたすぐ後、巨大な光が先ほどまで龍王機のいた地点を貫いていく。
「はっはっは、遅いんだよッ!」
ヤザンは愉快そうに笑うと、正面の機影に向けて突撃を開始した。

94 :龍と悪魔修正版(2):2005/11/10(木) 18:25:56 ID:EswvSrs4
「かかって来い! この私が滅ぼしてやる! この手で、全てをなぁッ!」
ラウ=ル=クルーゼは叫びを上げる。憎悪は彼に狂気をもたらし、殺意へと姿を変えていく。
額に汗を浮かべ、息遣いは荒い。だが彼は、狂ったような笑みを消さずに機体を操作した。
 ディス・アストラナガンはウイングを展開する。
悪魔のような翼を広げ、ディス・アストラナガンは龍王機へ向けて飛ぶ。
ラスタバン・ビームを回避し、ラアム・ショットガンで反撃を行う。
しかし、細長いボディを細やかに動かし、無駄のない動きで避けられる。構わず、ディス・アストラナガンは距離を詰める。
機動性を活かして龍王機の下部に回りこみ、Z・Oサイズで斬りつける。避けた装甲に向けて柄のショットガンで追撃を行う。
その一撃は、上昇した龍王機の尾に当たり、決定打には至らない。
体勢を立て直し、ラアム・ショットガンを打ち放つが、身を捻った龍王機には当たらない。
龍王機は頭部をこちらに向けて突っ込んでくる。その口には赤々と燃える火炎が留まっていた。
口から放たれた火炎をサイドステップで避ける。自らが作り出した火炎を追うようにして突っ込んでくる龍王機。
龍王機の真横に攻撃を叩き込もうとZ・Oサイズを構える。龍王機は防御も回避も考えず、勢いに任せて向かってくる。
強引に軌道を修正し、ディス・アストラナガンへと迫り来る。いつの間にか展開されていたドラゴン・カッターが風を切り、そして。
 強烈な金属音が響く。Z・Oサイズは龍王機の横側面を僅かに引き裂いたが、途中で弾き飛ばされ、地面へと突き立つ。
機体本体のダメージは装甲板が剥がされただけだ。それだけですんだのは、ディフレクトフィールドの存在のためだ。
それがなければ腕一本持っていかれていただろう。
「やってくれるな……ッ!」
クルーゼは忌々しげに口を開く。汗が頬をつたい、落ちていく。
モニターに目を走らせ、敵の動きを追う。方向を変えた龍王機は、ビームを数発撃ち込んでくる。
それを避け、反撃に移ろうとしたときだ。
「ぐぅぅっ……はぁっ、はぁっ……」
クルーゼはコクピットの中で身を折る。彼の息遣いは激しさを増し、焦点が定まらなくなってくる。
 そろそろ、限界だった。人が欲望の果てに生み出した存在であるクローン。クルーゼはその技術で人工的に作り出された存在だ。
だがその技術は不完全であり、不完全な技術で作られたクルーゼには欠陥があった。
 その欠陥とは、生まれつきテロメアが短いということだ。
そのため、クルーゼは普通の人間よりも寿命が短く、薬を服用しなければならない。
ディス・アストラナガンの憎しみに囚われ、感情を昂ぶらせ続けた彼は、自らの体を蝕む速度を速めていた。。
なんとか敵影を目で捉えるが、体の反応が追いつかない。再び向かってきた龍王機の刃が直撃し、コクピットを揺らした。

95 :龍と悪魔修正版(3):2005/11/10(木) 18:26:33 ID:EswvSrs4
 敵の動きが急に鈍くなったとヤザンは思う。先ほどの攻撃が効いたのだろうか。
なんとか動いているが、とても戦えるような様子ではない。
「ふん、もう終わりか」
ヤザンは独りごちる。こうなってはつまらない。
もっと強い奴と、極限で戦いたいのだ。互いに命の奪い合いを行いたいのだ。
抵抗も出来ないような奴を嬲り殺すのは面白くもなんともない。
「ならさっさと殺してやるよッ!」
あれだけの勢いでぶつかっても損傷は少ない。どうやらあの機体にはバリアがあるようだ。ならば。
 確実に息の根を止める。そのために狙うのは、一箇所だ。
 一気に敵との距離を詰めようとしたとき、ディス・アストラナガンはその身から何かをいくつも召喚する。
いくつも飛び出したそれらは、蝙蝠のように見える。悪魔の眷属、あるいは使い魔といった形容が相応しかった。
蝙蝠――ガン・スレイヴは黒い翼を羽ばたかせ、生物のように龍王機へと迫り来る。
「ちっ、ビットのような武器かッ!」
あるものは真っ直ぐに、あるものは回り込むように。それらは生物を思わせる動きで龍王機に群がり、攻撃を開始する。
 一基の攻撃は大した威力を持たない。だが、放っておけるほど生易しいものではなく、数が集まると馬鹿に出来ない損傷を与えてきそうだった。
だから、ヤザンはすぐに判断する。その内容は、迎撃。
 龍王機は首を大きくもたげる。その口に紅い炎が生まれ、ガン・スレイヴの飛び回る空間を睨みつける。
いくつかがそこに制止し、攻撃を掛けようとしたときだ。炎は龍王機からの縛りをなくされ、周囲を一瞬明るく染める。
焼き払われ、落ち行くガン・スレイヴ。だが、まだ全てを落としきれていない。
いくつかのガン・スレイヴから放たれたビームを受けながら、ドラゴン・カッターを展開する。
防御など考えない。そんなことをする暇があるなら、一基でも多く、早く落とそうと動く。
僅かなダメージなどすぐに修復されるからだ。
 龍王機は、身を回転させた。まだ熱の残る空間を刃が通り抜ける。
両サイドのガン・スレイヴを斬りおとし、背後に回った数基を尾で叩き落とす。
続く動きで、正面を飛ぶ一基に向けて口を開き、捉え、噛み砕いた。
それを最後に、レーダーはあらゆる反応を消す。
 それは全てのガン・スレイヴを落としたということと、ディス・アストラナガンをロストしたことを意味していた。
「逃がしたか」
追おうかと考えるが、すぐにその思考を止める。どうせ死にぞこないだ。放っておいて構わない。それよりも、だ。
「やはり、あの男だな」
 ゲーム開始早々に痛手を負わせてきたあの男こそ、自分を楽しませてくれそうだった。
「待っていろ、バラン=ドバン。次は負けんぞ」
龍王機は再度移動を始める。既に空は暗くなっており、満月が輝いていた。

 龍王機を振り切ったディス・アストラナガンは、森に身を隠していた。夜の森で、その黒い機体はすぐに周囲へ溶け込む。。
 その機体の中、クルーゼは脂汗をかき、荒々しい呼吸を繰り返す。急いで薬を取り出すと、嚥下した。
少しずつ、体が楽になってくる。呼吸は落ち着きを取り戻し、視界が明瞭さを取り戻していく。
「まだだ……まだ、私は何も滅ぼしていない……」
呟く声は、あらゆるものを憎悪するような声。もし聞く者がいれば、怖気が走るような声だ。
 悪魔は森の中で身を潜める。闇の中、赤いアイカメラの光だけが煌々と輝いていた。憎しみを映すように。


【ヤザン・ゲーブル 搭乗機体:龍王機(スーパーロボット大戦α)
 パイロット状況:健康
 機体状況:下部、左側装甲損傷。すぐに修復されます
 現在位置:B-3から移動中
 第一行動方針:バラン=ドバンを探す。また、どんな機体でも見つければ即攻撃
 最終行動方針:ゲームに乗る】

【ラウ・ル・クルーゼ 搭乗機体:ディス・アストラナガン(第3次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状況:薬を飲んで落ち着いてきてはいるが、疲労
 機体状況:装甲破損、Z・Oサイズ紛失、ガン・スレイヴ1/2消耗
 第一行動方針:休息を取る
 最終行動方針:あらゆる参加者の抹殺
 現在位置:B-4の森】
 
 備考:原作の描写を見る限り、かなり即効性のある薬のようなので少し休めばまた動けます。
    Z・OサイズはB-3の草原に落ちていますので、拾って使えます。

【時刻:19:10】

96 :それも名無しだ:2005/11/10(木) 18:50:01 ID:hdTs2Jkn
保守

97 :それも名無しだ:2005/11/10(木) 19:34:32 ID:y7Cd2Q8+
どうしてスレの順番が下がるとスレが落ちるって思い込んでる人が多いんだろう

98 :それも名無しだ:2005/11/10(木) 20:14:45 ID:VnZyKNHz
さあ?単にageが好きなのか自分の書いたネタを見て欲しいのか
まあ今日の書き込みあるんだから保守は必要ないよな


99 :狩人:2005/11/11(金) 01:12:35 ID:R36+9vwl
「先ほど一緒に行動する事を許されたはずなのだが…」
ヴィンデル・マウザーが緊張の為、僅かに汗をたらしながら軽い抗議をする、
「だからと言って、お前が信用できないのは確かだからな」
イサム・ダイソンがD−3の銃をジャスティスに突きつけ、ごく当然な答えを返す。
「とにかく、俺がどんな奴だったかだけでも教えてくんない?」
口調は相変わらず軽いが、それまでに無い真剣さでアクセルがヴィンデルに尋ねる。
ヴィンデルが彼らに敗れてから数十分、とにかくアクセルの記憶の手がかりをつかもうと、
そのままの場所でヴィンデルを尋問することになった。
とはいえ辺りは平原、遠方からでもこちらを確認する事が容易な為(その逆も言えるので移動せずに
いるのだが)コックピットから降りるのは危険と判断し、ヴィンデルも含めて全員コックピットから
降りずにいた。
「まあ、待て。お前と会ったのはかなり前。しかも一緒にいたのは少しの間だけなので、思い出すのに時間が…」
嘘である。都合よくアクセルの記憶が戻って来る事保障など何処にも無いこの状況では、真実を話しても
なんら得する事は無いだろう。、
「さっきからずっとそう言ってるじゃねえか。しらばっくれてんのか?それともその年でボケたのか?」
(クソ!この小僧め!)
こうしてイサムの悪態に耐えつつも時間稼ぎをしているのにも理由があっての事だ。
「まあまあ、そう怒りなさんなって」
そういうアクセルだが、明らかに焦りが見えている。この状況もそう長くは続きそうにも無い。
(おい、お前達!本当に大丈夫なんだろうな!)
「サクセンハイッコクヲアラソウ!」
「ツキハデテイルカ?」
(わかった!わかったから少し静かにしてくれ、いや、静かにしてください!)
ハロが次々に騒ぎ出すのを必死で抑えるヴィンデル。
「ん?今なんか言ったか?」
「い、いや月が綺麗だなと…ははは…」
言い訳をしながら、ヴィンデルは自分の運命がこの丸い悪魔に握れらている事を再確認し、いいようのない
悲しみというか無力感というか虚脱感?とにかくそんなものを感じて無性に泣きたくなった。


100 :狩人:2005/11/11(金) 01:17:45 ID:R36+9vwl
「アクセルさんの記憶、戻るといいね」
ヴィンデルが己の運命に軽く絶望している事など判ろうはずもなく、アクセル達から少し離れた場所で
アキトは隣の機体の少女に話しかける。
「そうですね」
ホシノ・ルリが味も素っ気も無い態度で相槌を打つ。最も、ルリが見た目ほどはそう思っていない事を(最近に
なってやっと判別できるようになったのだが)アキトは感じていた。
「そういえばマサキ君、辺りを見回ってくるって言ってたけど大丈夫かな?」
「大丈夫じゃないですか?あの人年齢よりずっと落ち着いてますし」
「そうだよなぁ、ルリちゃんみたいだ」
「・・・」
「・・・ひょっとして怒った?」
「いえ、よく言われますから」
穏やかな、今この瞬間殺し合いをしている者がいる等信じられないほどの穏やかな一時。
だが、優れた狩人は獲物に己が近づいたことを悟らせない。

「何が起こったんだ!?」
頭を打ちつけたため朦朧とする頭を必死に覚醒させ、アキトは急いで周りを見回した。
「ルリちゃん!?」
白いロボットがルリの乗るスカイグラスパーに襲い掛かろうとしている。突然出来事に対応できなかったのか
スカイグラスパーはまだ離陸すらしていない。
(そうだ、川の中からいきなりあいつが出てきて俺を蹴り飛ばしたんだ!)

「死ぃぃぃねぇぇぇぇぇ!!」
白い機体、ダイモスの中でアスカが叫ぶ。
ヴィンデルとの戦闘を偶然目撃したアスカは、殺意を思う存分ぶつけるべくアキト達に狙いを定めた。
しかし、その強すぎる殺意、いや、既に感情ではなく意思とすら言えよう。
その『殺す意思』は冷静に相手の戦力を分析し、闇雲に襲い掛かるような真似はとらなかった。
あえて少しの時間を置き相手の油断を誘い、さらに川底を進む事によって奇襲を成功させたのだ。


101 :狩人:2005/11/11(金) 01:19:07 ID:R36+9vwl
「死ぃぃぃねぇぇぇぇぇ!!」
白い機体、ダイモスの中でアスカが叫ぶ。
ヴィンデルとの戦闘を偶然目撃したアスカは、殺意を思う存分ぶつけるべくアキト達に狙いを定めた。
しかし、その強すぎる殺意、いや、既に感情ではなく意思とすら言えよう。
その『殺す意思』は冷静に相手の戦力を分析し、闇雲に襲い掛かるような真似はとらなかった。
あえて少しの時間を置き相手の油断を誘い、さらに川底を進む事によって奇襲を成功させたのだ。

「駄目かも」
振り上げられるダイモシャフトを見ながら、ルリは自分でも意外なほど冷静に死を覚悟した。
(さすがにこんな時まで冷静でいられるなんてね)
ふとそんな考えが沸き起こる。こんな時になんでと自分でも思うが、それが逆に可笑しかった。
「でも、最後にアキトさんに会えて良かった…」
目を閉じ、その瞬間を待つ。

「・・・?」
まだ生きてる?
恐る恐る目を開け、そしてそこに信じられない…信じたくないものを見た。
「アキト…さん?」
ダイモシャフトがνガンダムの深々とつ突き刺さっている。
「アキトさん!」
それが意味する事は明白だ、テンカワ・アキトは自分を助ける為に己の身を投げ出したのだ。
「ル…ルリちゃ」
次の瞬間、νガンダムは炎に包まれた。

「アキトさん!アキトさん!」
爆発するガンダムに向って、泣きながらアキトの名を叫ぶ。
だがそう叫びながらも頭の一部分は既にその事実を、アキトがもう二度と返事ができない事を理解していた。
(違う!そんなはずはない!)
その考えを振り払うために、必死で叫ぶ。だが解っている、あの状態ではもう…

テンカワ・アキトハシンダノダ




102 :狩人:2005/11/11(金) 01:20:33 ID:R36+9vwl
「どうした!?」
アキト達がいる方向で大きな音がするのを聞いたイサムとアクセルは、一瞬ヴィンデルから注意をそらす。
その瞬間をヴィンデルは見逃さなかった
「今だ!」
「デカイノイッパツブチカマシテヤレ!」
「OKワカメ!」
ハロの叫びとともに湖面から先ほどD−3のジャミングにより何処かに飛び去ったファトゥムが現れ、
アクセルに向って突撃する。
「な!?まだジャミングはといてねぇぞ!?」
驚愕の声をあげるイサム、確かにジャミングは効いており、遠隔操作は不可能である。
そう、遠隔操作は・・・
「よくやったぞハロ!」
「ザクトハチガウノダヨ、ザクトハ!」
「テキショウリテン、ウチトッタリィ!」
ヴィンデルはコックピットからさり気なく数匹のハロを脱出させ、ファトゥムを探索させていた。
そして首尾よくファトゥムを見つけたハロはファトゥムを操り、指示通り川に潜み、合図とともにアクセルに
襲いかかったのであった。
「フハハハ!この私がそう簡単にやられるものか!」
「ダレノオカゲダトオモッテンダ!」
「ソンナオトナ、シュウセイシテヤル!」
「ヒィ!す、すいません!」
いまいち情けないが、そんなやり取りをしている間にもしっかりD−3にビームライフルを発射している
ところ、さすがと言えよう。
「野朗、調子に乗りやがって!」
イサムがなんとか反撃しようとしたその時。
「うぉぉぉぉぉ!!」
「アクセル、貴様ぁ!」
ファトゥムの攻撃によって崩れた体勢を、すばやく立て直したクロスボーンガンダムがジャスティスに
斬りかかる。かろうじて避けたジャスティスだが、ビームライフルを切断されてしまった。
「ここは俺に任せて、あんたはルリちゃんの所に!」
「…わかった!」
一瞬ためらう、しかし確かにアキトとルリではまともに戦闘は無理なのは明らかだ。
「俺が戻ってくるまでに、きっちりぶちのめしとけよ!」
「りょ〜かい!」
ビームサーベルで斬りあう二体を後ろにD−3はアキト達の下に急いだ。


103 :狩人:2005/11/11(金) 01:22:17 ID:R36+9vwl
「違う違う違う!」
普段の彼女を知るものは想像できないような、だが歳相応にイヤイヤと首を振りながら叫ぶルリ。
「順番が変わっちゃったじゃない!」
ダイモシャフトをνガンダムからに抜き、スカイグラスパーに襲いかかろうとするダイモス。
「野朗!よくもテンカワを!!」
再びダイモシャフトが振り下ろされる直前、間一髪イサムのD−3がハンドレールガンをダイモスに
浴びせかける。
「ルリちゃん、大丈夫か!?ルリちゃん!おい、返事をしてくれ!」
「ダイソン・・・さん?」
その返事にとりあえずは大丈夫だと思う事にし、目の前の機体に集中するイサム。
「邪魔すんじゃ、なぁぁぁぁぁぁぁい!!!」
叫びながら手から手裏剣のような武器、ファイブシューターをD−3に向けて投げる。
「チィ!」
5つに分かれたファイブシューターを避け、ダイモスに照準をあわる、しかし
「な!てめぇ!」
仲間が来た時点で奇襲は終わり、そう判断したアスカはイサムがファイブシューター避けている隙に
逃走に移ったのである
「ふざけんな!逃がすかよ!」
「ダイソンさん…アキトさんが…アキトさんが…」
追いかけようとするイサムの耳にルリの声が届く。
「すまない、ルリちゃん…テンカワの仇は絶対とってやるからな」
振り向きもせずに、イサムはダイモスの追跡を始めた。
(俺が、俺がこいつをちゃんと扱えればこんな事には!)
D−3の能力を使いこなしていれば、奇襲など防げた。
テンカワ・アキトも死ぬ事はなかった。
「仇は討つ!絶対にな!」

104 :狩人:2005/11/11(金) 01:24:44 ID:R36+9vwl
「さすがだアクセル!記憶を失っているとは思えんな!」
「やっぱりアンタは俺を知ってるのか!?」
ジャスティスとクロスボーン、時代を、次元を超えたガンダムの名を関する2体の機体はビームの剣を用い
一進一退の攻防を繰り広げていた。
「ああ、その通りだ!だが今の貴様が私の言う事を聞くとも思えんのでな、ここで倒れてもらう!」
ジャスティスの袈裟懸けの一撃をかろうじて避けるX1、
「誰かも分からずに死んでたまるか!」
体勢を崩したジャスティスに横薙ぎに斬りかかる。しかしファトゥムの突撃により、その攻撃は
ジャスティスにダメージを与える事はできなかった。
「もらったぁ!」
ファトゥムの突撃で倒れたX1に振り向けられたビームサーベル、しかしアクセルは無理やりスラスター吹かせて
強引に体勢を変え、その一撃をやりすごす。だが、
「うまくよけたな、だが片腕を失って私に勝てるかな?」
かろうじて避けたものの、X1はビームザンバーを装備していた右腕の肘から下を切断されてしまった。
「さらばだアクセル!」
「クソ!」
ファトゥムとジャスティスが止めのために同時に襲い掛かってくる。
「何、ファトゥムが!?」
ファトゥムが突如爆発する。
「大丈夫ですか、アクセルさん!?」
「マサキ!」
上空から木原マサキのレイズナーが、レーザードライフルでファトゥムを狙撃したのだ。

「仲間か!?」
ファトゥムを失った今、二対一では分が悪い…
すばやく判断したヴィンデルは、頭部バルカンレイズナーに放ち、逃走に移る。
「待て!お前にはまだ聞きたい事が!」
「待ってください、アクセルさん!他の人達は!?あっちの炎は一体!?」
追いかけようとするアクセルであったが、マサキの言葉で動きが止まる。
「そうだ!アキトとルリちゃんが!」
二人がいた方向をアクセルが見る、そこでは赤々と炎が燃え上がっているではないか。
「イサムが先に向った!マサキも早く行ってくれ!」
「アクセルさん!もしかして!」
その言葉が意味する事に気付くマサキ、
「ああ、俺はあいつを追う。すまないが後は頼んだ!」
そう言うや否やヴィンデルが逃げ去った方向に飛び立つクロスボーンガンダム。
「アクセルさん!アクセルさん!…ええい、クソ!」



105 :狩人:2005/11/11(金) 01:35:27 ID:R36+9vwl
【アクセル・アルマー :クロスボーンガンダムX1(機動戦士クロスボーンガンダム)
 現在位置:E-5から東に逃走したヴィンデルを追跡中
 パイロット状況:良好
 機体状況:右腕の肘から下を切断されている
 第一行動方針:ヴィンデルに記憶について聞く
 最終行動方針: ゲームから脱出

【テンカワ・アキト 搭乗機体:νガンダム  (逆襲のシャア)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:炎上

【イサム・ダイソン 搭乗機体:ドラグナー3型(機甲戦記ドラグナー)
 パイロット状況:健康
 機体状況:良好
 現在位置:E-5から北に向ったダイモスを追跡中
 第一行動方針:ダイモスを探し、テンカワ・アキトの仇を討つ
 第二行動方針:ゲームに乗った相手からの逃亡(戦力が整っていればやられたらやり返す)
 最終行動方針:ユーゼスをぶん殴る】

【ホシノ・ルリ 搭乗機体:スカイグラスパー(機動戦士ガンダムSEED)
 パイロット状況:身体に怪我は無いが、ショックにより茫然自失
 機体状況:良好
 現在位置:E-5
 第一行動方針:まだ考えられない
 最終行動方針:まだ考えられない】

【木原マサキ 搭乗機体:レイズナー/強化型(蒼き流星レイズナー)
 パイロット状態:秋津マサトのような性格のふりをしている。絶好調
 機体状態:ほぼ損傷なし
 現在位置:E-5
 第1行動方針:使えるクズを集める
 最終行動方針:ユーゼスを殺す】

【ヴィンデル・マウザー ZGMF-X09A・ジャスティスwithハロ軍団
 パイロット状況:健康、めっちゃ脱力、ハロの下僕、しかし今回協力関係を結ぶ事ができた
 機体状況:シールドを失う、ファトゥムを失う、ビームライフルを失う
         さらにコクピット内がハロで埋め尽くされている
 現在位置:E-5から東に向って逃走中
 第一行動方針:……ハロを切実になんとかしたい
 第二行動方針:ラミア・ラヴレスとの合流
 最終行動方針:戦艦を入手する】

【惣流・アスカ・ラングレー 搭乗機体:ダイモス(闘将ダイモス) 
 現在位置:E-5から北に向って移動中
 第一行動方針:碇シンジの捜索
 最終行動方針:碇シンジを嬲り殺す】

【時刻:21:00】


106 :それも名無しだ:2005/11/11(金) 02:47:02 ID:R36+9vwl
>>99>>105までの『狩人』を放棄します。
良く調べていなくても申し訳ありませんでした

107 :人の造りしモノ:2005/11/11(金) 03:13:06 ID:lHPcZJJN
「おーい、何か見つかったか?」
 鋼鉄の巨人が建造物の中をチラチラと覗きながら尋ねた。高台にある無骨な建造物。
外にあったヘリポートから、基地又は工場だったのではないかと彼、流竜馬は推測した。
中には様々な機械が置いてあるようだが、何だかは分からない。
その建造物は、彼のダイテツジンが入るには少し(?)小さかったからだ。
ならば機体から降りればいいだけの話だが、そう簡単にもいかない。
これだけ目立つ場所にあれば他の者の目に触れていても不思議はないだろう。
ましていかにも「何かありますよ」と言わんばかりの建造物だ。
自分たちと同じように探索に来る者がいるかも知れない。
そして、それがゲームに乗った殺戮者である可能性も否定できない。
待ち伏せるなら絶好の場所だ。自分が殺戮者なら少し離れた場所からココを狙い撃つだろう。
中に入っていく無防備な背中を、機体から降りた無力な背中を。
(俺でも簡単に思いつく。あの意地の悪い主催者が考えつかない訳がない)
今、ハッターが中を探索をしている。ならば、その背を守る事が最善の策だろう。
「散らかり放題、だが先客の気配は、ない! まるでバーゲンセールの後、だな!」
 建物内のアファームドが、大げさに肩をすくめながら溜息をつくような素振りを見せた。
随分と人間くさい素振りが出来るロボだな、と苦笑すると共に気づく。
以前、自分はゲッターロボを手足のように操っていたと思っていたが、まだまだだったと。
そしてそんなハッターの素振りが、殺伐としかける自分を引き戻してくれていると。
「まともなモノは少なそうだが、売れ残りの掘り出し物を、探してみる!」
 そう言ったハッターが数少ない戦利品を抱ええて出て来るまでの間、竜馬は
周囲を警戒しつつ、ダイテツジンが何の目的で製造されたかを考えていた。
誰に造られたモノであれ、何かを守るために作られたモノであって欲しいと。


108 :人の造りしモノ:2005/11/11(金) 03:13:42 ID:lHPcZJJN
建物内部の探索を始めて、どれだけ時間がたっただろう。
 相変わらず、有人機の気配はなかった。
「まずは、皆が待ち望むこれまでの死亡者発表と行こうか・・・」
 耳障りな放送が流れてる来る。しかし聞かないわけにはいかない。
「ふざける、な!」
 思わずハッターが拳を壁に叩きつける。運搬用リフトが大きな音を立てて倒れた。
あの部屋には大人ばかりではなかった。少年もいた。少女もいた。
名前も知らない。素性も知らない。しかし彼らは生きていた。あの時まで生きていた。
無論、殺戮者に身を落とした返り討ちにあった者もいただろうが、そんな事は同でも良い。
ユーゼスという男が元凶であると、ハッキリ分かっているからだ。
「・・・・・・」
 命を落とした全員に短く黙祷を捧げると、再び探索を始めた。

 この建造物は何かのロボ(MS?)の格納庫として使われていたものらしい。
らしい、というのは残されているのは腕部や脚部といった予備部品ばかりで、
丸々1体などという大当たりは出てこなかった。内部をくまなく探せば1体分くらい
揃うかもしれないが、原型自体を良く知らないハッターに組み立てられるわけもない。
「しかし、ワザととしか、思えん!」
 散々漁って、見つけ出した武器を蹴っ飛ばす。それは見た目も派手な兵器の数々。
詳しい事は分からなかったが、明らかに本体からのエネルギー供給を必要とする兵器、
いわゆる専用武器と呼ばれるモノ達だった。一々主催者の意地の悪さが見え隠れする。
そしてその意地悪の影に、出血大サービスで補給をしてくれるカーペンターズ・ポイント
(略してCP?)も設置されていた。しかし故意か偶然か、残念な事にアファームドは
全く消耗していなかった為、「何も起こらないスイッチ」と見過ごしてしまったのだ。
 本当に底意地が悪い主催者だと言えよう。
(偶然の発生率を上げ、因果律を操作する。それも私だ)どこかで誰かが呟いた。

109 :人の造りしモノ:2005/11/11(金) 03:14:28 ID:lHPcZJJN
「友よ、すまない!ろくなモノがなかった!」
 時間をかけた割りに収穫がなかったハッターが竜馬に頭を下げる。
両手には短い鉄骨(高硬度のH鋼)、その体には作業用チェーンブロックが
投げ縄のようにタスキ掛けされていた。
SSテンガロンと合わせると、まるでカウボーイのようだった。
「何かが近づいて来ている。気をつけるんだ!」
 彼方を見れば、確かに西側から巨大なトレーラーが高台へ向かっていた。

「まだ着かないの?見た目どおりのウスノロね!」
 トレーラータイプに変形したダイモスの操縦席で惣流・アスカ・ラングレーが
一人つぶやく。エネルギー節約と狙撃の危険性を考えて、不得意な空中を避け、
地上を走行する事にしたのだ。ただ強いだけでは天才とは言えない。
周囲の状況を的確に判断し、冷静に最善を選択できる事が天才パイロットの
必須条件だと、少なくともアスカは思っている。思っては、いる。
だが、この異常な状況下に置いて、シンジ対する劣等感の拘っている時点で、
既に矛盾を生じているのだが、彼女は気が付かない。気が付こうとしないのだ。
一人だというのに頻繁に口を動かす事が、孤独への恐怖感と気づかない。
「なんなのよ、あれ?!バッカみたい!」
 高台にそびえ立つ派手派手な配色の鋼鉄巨人。その巨人と眼が合った気がした。
「だっさいカラーリング! 馬鹿シンジの棺桶には、お似合いだわ!」
 ダイモスの配色を棚に上げて、己に言い聞かせるように声を張り上ると、
変形しながらダイモスは鋼鉄の巨人に向かっていった。

「変形した?!ただのトレーラーにしては、大きいと思ったが!」
 ダイモスの、あまりに見た目どおりの変形に竜馬が多少動揺する。
最初のトレーラーを見た際に場違いだと感じたのだが、今この周辺にはユーゼスに
集められた参加者以外は存在しない事を改めて思い知らされた。
「俺は流竜馬! 敵意はない! 話がしたい!

110 :人の造りしモノ:2005/11/11(金) 03:15:21 ID:lHPcZJJN
?! シンジじゃない?!」
 アスカのシンジに対する殺意が高まりきる前に、竜馬の声は届いた。シンジではない。
その事実だけで急速に戦意が削がれていく。派手派手な配色も影響したかもしれない。
「俺の名はイッシー・ハッターだ。ユーゼスを成敗するために、仲間を探している」
 ハッターが続けた。こいつもシンジじゃない。ならば用はないのか? 
「ここに男の子がいない? 大人しくて冴えない、暗そうな子」
 情報は全ての要とも言える。馬鹿シンジとは違う。そうだ忘れるな。私は天才なんだ。
「女、の子?だな(人探しか? ゲームに乗ったわけじゃなさそうだな)」
「東側から来たが、まだ他の者には出会えていない」
 東から来たのなら初号機を破壊したのはコイツ等じゃない。となれば北か?
「俺達と一緒に行動しないか?ユーゼスを倒すには仲間が必要だ!」
「そう、一人より二人、二人より三人だ。チームを組めばきっとユーゼスも倒せる!」
「チーム?!チームですって!」
 竜馬もアスカも、過去では三人一組みのチームで戦っていた。信頼すべき仲間と
憎むべき競争相手。お互いに大きな意識の格差がある事に気が付かない。
「そうだ!君の、大事な人も、早く見つかるぜ!」
「大事な人・・・そうよね。取り返しが付かなくなる前に・・・見つけなきゃ!」
 数時間前に味わった喪失感を再び繰り返すのはゴメンだった。シンジを殺すのは私だ。
「よっしゃ!たった今から、俺達は、仲間だ!」
 単純馬鹿。私の引き立役くらいにはなるだろう。こんな奴らなら何時でも殺せる。
今はシンジを見つける事。利用出来るモノは使うだけだ。アスカはそう考えた。
「俺は流竜馬。改めてよろしく。ところで、君の名前は?」
 竜馬が操縦席から身を出すと挨拶をしてきた。彼なりの信頼の証らしい。
(もう信用してるっての? バッカじゃないの? 本当に男って単純な生き物ね)
 他人を信じる心は人間だけが持つモノ。他の動物には真似できないモノ。
 少女は男の、アスカは竜馬の信頼の証に対して応えた。もはや戻る事のない遠い過去。
あの時は自然に笑えた。アスカは満面の笑顔を浮かべ、操縦席から身を出して名乗った。 
「惣流・アスカ・ラングレーです。よろしく!」
 それは偽りと嘲り、そして狂気によって造られたモノ。

【流竜馬 搭乗機体:ダイテツジン(機動戦艦ナデシコ)
 パイロット状態:良好
 機体状況:良好
 現在位置:G-6の高台から北の川沿いに西へ
 第一行動方針:他の参加者との接触
 第二行動方針:接触した相手が話の通じる相手ならば協力する、戦意があるようなら排除する。
 最終行動方針:ゲームより脱出して、帝王ゴールを討つ。】

【イッシー・ハッター 搭乗機体:アファームド・ザ・ハッター(電脳戦記バーチャロン)
 パイロット状態:良好
 機体状況:良好(SSテンガロンは頭に完全固定)。
 現在位置:G-6の高台から北の川沿いに西へ
 第一行動方針:仲間を集める
 最終行動方針:ユーゼスを倒す】
 備考:ロボット整備用のチェーンブロック、短目の鉄骨(高硬度H鋼)2本を所持

【惣流・アスカ・ラングレー 搭乗機体:ダイモス(闘将ダイモス) 
 現在位置:G-6の高台から北の川沿いに西へ
 第一行動方針:碇シンジの捜索
 第二行動指針:邪魔するものの排除
 最終行動方針:碇シンジを嬲り殺す】


 【時刻19:00】



111 :鍵は揃えど未だ気付かず:2005/11/11(金) 04:35:20 ID:rFxVxT+S
「……トウマ、俺たちが逃げている間に例の放送が入ったようだが……お前、内容は聞いてたか?」
 バグ・ニューマンの追跡から逃れて十数分後。
 ようやく追跡を振り切ったと安堵して、クォヴレーはトウマに話しかける。
「……悪い。あの時は逃げ出すだけで精一杯だったから、放送聞いてる余裕は無かった」
「そうか……」
 トウマから返ってきた答えを聞いて、クォヴレーは苦々しげな表情を見せた。
「そういうお前は……って、その顔だと聞く必要もないか。お前も聞いてなかったんだな」
「……すまん」
「いいさ、お互い様だ」
 その言葉に反し、表情は晴れない。だが、それも当然だ。
 ただでさえ“ハズレ”の機体を寄越されて苦戦は避けられないのに、それに加えて情報まで失った。
 こういうのを、泣きっ面に蜂というのだろう。
「まったく……ついてねぇなあ……」
 肩を落とし、溜息一つ。このゲームが始まってからこっち、状況としては最悪と言えた。
 ……だが、実の所。この最悪な状況を打開する鍵は、この場に存在していたのだ。
 その事実に、鍵の持ち主が未だ気付いていないだけで。

「それにしても、不公平だよなぁ……」
「何が、だ?」
「他の連中にはマトモなロボットが支給されてるみたいなのに、俺たちは車とバイクだぜ?
 コイツを不公平といわず、何を不公平と言えばいいんだよ」
「そう言われても、俺が今までに接触したのは、お前を除けば先程の男くらいだ。
 他の参加者に支給された機体の事を言われてもな」
「はぁ……そいつがボルフォッグみたいに変形する車だったらなぁ……」
「変形?」
「ああ……普段は車になってるのに、いざとなれば人間型に変形。
 そういうロボット、ちょっと知ってたもんでな」
 愚痴る口調でトウマは言う。
 ……だが、気付かない。自分の言葉が、正鵠を射ていた事に。
「ふむ……変形、か……」
「なあ……その車、本当に何かあるんじゃないのか?
 もしこれがただの車だとしたら、ビームなんかついてないはずだし……」
「それは……確かに、な」
 トウマの言葉にクォヴレーは頷く。
 そう、かもしれない。
 この車を指して、ユーゼスは確かに“強力な機体”と言った。
 あの時は奴の皮肉かと思ったものだが……トウマの言葉が正しいとなれば、それにも納得がいく。
「マニュアル、念入りに読んでみろよ。ひょっとしたら、隠された機能とか……」
「いや、それが……」
 ……だが、もしそうなのだとしたら。
 クォヴレー・ゴードンは、とんでもない過ちを犯したことになる。
「ど、どうした!? なにか、まずい事でもあったのか!?」
 クォヴレーが沈みこんだ表情になったのを見て、トウマは慌てて声をかける。
 それに、クォヴレーは――
「マニュアルは……無い。単なる車の運転教本だと思って、窓から捨ててしまった」
「なっ……!」
 答え難い事を、ごくあっさりと答えていた。

112 :鍵は揃えど未だ気付かず:2005/11/11(金) 04:36:17 ID:rFxVxT+S
「どうすんだよ、お前……」
「……どうしようもないな」
「そんな、他人事みたいに……」
「ことさら意味も無く不安になってみた所で、現状の打破には繋がらないだろう?」
「そりゃ、そうかもしれないけど……お前なぁ……」
 はぁと溜息を吐きながら、トウマは思わず頭を抱える。
「……どの辺りに捨てたのか、覚えてるか?」
「いや、全く。それに今からマニュアルを拾いに行くのは危険すぎる。
 せっかく振り切ったあの男と、鉢合わせしてしまう可能性もあるからな」
「くっ……打つ手無し、か……」
「そのようだな」
「お前……自分の事だろうが……」
「それを言われると辛いな……」
 はぁ。今度は二人、示し合わせたように溜息を吐く。
 ……今の二人の状況を端的に言い表すとするのなら、八方ふさがりと言うやつだろう。
 だが、繰り返し言おう。状況は彼らが思うほど、悪い事ばかりではなかったりする。
 そう。トウマは、気付いていなかった。
 この状況を打ち破る鍵を、自分が握っている事に。

 かつて、トウマが大雷凰と共に挑んだ戦いより以前。地球圏を舞台に繰り広げられた戦いがあった。
 そして当時の戦いには、トウマと出会った事の無い、数多くの戦士たちが参加していた。
 それは例えば、勝利の名前を関する白き戦士。
 それは例えば、海と大地の挟間より浮上した者達。
 それは例えば、木星の支配者と戦った宇宙海賊。
 それは例えば、原子力を力の源とする巨人。
 トウマは彼らとの直接的な面識こそ無かったが、その戦い振りは資料や伝聞で知らされていた。
 特に某筋金入りのスーパーロボットマニアなどは、こちらが聞いてもいない事を詳しく教えてくれたものだった。
 掛け声、必殺技、操縦方法。当時の仲間達を通じて知った知識の数々を、彼は惜し気も無く披露していった。
 そして、彼が詳しく教えてくれた機体の中に、その名前は存在した。
 コズモレンジャーJ9の変形戦闘メカ――“ブライガー”の名前が。
 そう、トウマは知っていたのだ。
 本人が気付いていないだけで、ブライガーへの変形機能を作動させるキーワードを、彼は確かに知っていたのだ。
「それにしても……なぁーんか、引っ掛かるんだよなぁ、その車……」
 ……だが、彼は未だ気付かない。自分の記憶に、その機体を目覚めさせる鍵が存在する事に。

113 :鍵は揃えど未だ気付かず:2005/11/11(金) 04:38:22 ID:rFxVxT+S
「……それよりトウマ、これからの方針を話し合わないか?」
 ブライサンダーを見て頭を悩ませるトウマに、クォヴレーは淡々と話しかける。
「方針、ねえ……で、具体的にはどうするつもりなんだ?」
「……考えが、ある」
「考え?」
「ああ。俺は、この近くで様子を伺うべきだと思っている」
 周囲に広がる見渡しの良い平地。
 身を隠す場所の無いその場所で、クォヴレーはそうトウマに告げる。
「こんな、だだっ広い平地でか? もし、誰かに見付かったら……」
「……危険だろうな。俺達には戦う力が無い。
 もし、俺達を見付けたのが戦う気になっている人間だとしたら、そこで終わりになる可能性は低くない」
「だったら……!」
 この戦う力が無い状況で、それがどれだけ危険な事か。
 それを諭そうとするトウマの声を、しかしクォヴレーは遮って言う。
「……だが、戦う気の無い人間が俺達を見付けたらどうする?」
「どうするって、そりゃ……」
「バイクと車だ。こちらに戦う意思が無い事……いや、戦う力自体が無い事は納得してもらえるだろう。
 携帯食料辺りと引き換えに、情報を聞き出す事が出来るかもしれない」
 クォヴレーの言葉には、それなりの説得力があった。
 この状況下で、バイクと車の組み合わせを脅威に思う人間はまずいない。
 戦う気の無い人間ならば、恐らく見過ごしてくれる事だろう。
 クォヴレーの言うとおり、情報の交換に応じてくれる事も考えられなくはない。
「それは、そうかもしれないが……」
「それに、むやみやたらに動き回っていれば、禁止エリアに足を踏み入れる可能性が高くなる」
「う……」
「勿論、この場所が禁止エリアである可能性もあるわけだが、決して高い確立ではない。
 闇雲に動き回らないでいた方が、まだ安全性は高いだろう」
 ……説き伏せられて、トウマは頷く。
 クォヴレーの案は、確かに悪い考えではなかった。
 自分達の状況を考えれば、むしろ最善の案かもしれない。
 しかし、それは……。
「なあ……それって、運任せにならないか?」
「そうなるな」
 そう、運任せだった。
 これから自分達が接触する人間が、必ずしも戦う意思を持たない人間だとは限らない。
 自分達の今居る場所が、禁止エリアでない可能性が無い訳でもない。
「まったく……」
 今日、何度目になるかもわからない溜息。
 だが、トウマの腹は決まっていた。
「……いいさ。その考え、乗ってやる。こうなりゃ一蓮托生だしな」
 にやり。笑って、頷き合う。
 この選択が吉と出るか、凶と出るか――
 それを知る者は、誰一人としていなかった。

114 :鍵は揃えど未だ気付かず:2005/11/11(金) 04:39:11 ID:rFxVxT+S
【クォヴレー・ゴードン 搭乗機体:ブライサンダー(銀河旋風ブライガー)
 パイロット状態:良好
 機体状態:良好(変形不能)
 現在位置:C-7
 第一行動方針:この場に留まり誰かと接触する
 第二行動方針:なんとか記憶を取り戻したい
 最終行動方針:ユーゼスを倒す】

【トウマ・カノウ 搭乗機体:ワルキューレ(GEAR戦士 電童)
 パイロット状態:良好
 機体状況:良好
 現在位置:C-7
 第一行動方針:クォヴレーの案に付き合う
 第二行動方針:アルマナの発見、保護
 最終行動方針:ユーゼスを倒す
 備考:副指令変装セットを一式、ベーゴマ爆弾を2個、メジャーを一つ所持しています】


【時刻19:40】
>>70の時間軸は、バグ死亡時のもの。クォヴレー達の行動には矛盾しないはずです)

115 :遭遇:2005/11/11(金) 18:43:52 ID:fZEKiK0m
『た、助けていただいてありがとうございます』
南東にしばらく進み、プレシアはガルドに声をかける
『いや、いい。それよりイサム・ダイソンという男を知らないか?』
『イサム・ダイソンさんですか?知りませんが……』
『そうか……』
どこか気落ちした声でガルドが言う。
『知り合いなんですか?』
『信頼できる仲間だ。』
詳しくは語らないが、その口調からははっきりとした信頼が感じ取れた。
『手間を取らせたな。俺はイサムを探さなくてはいかん。…すまんな』
『い、いえ』
なにかのために行動する人を自分で引き止めてはいけない。プレシアは自分と一緒にいて欲しいという言葉を飲み込んだ。その様子を感じたためだろうか、飛び去るときこう付け加えた。
『イサムにあったら共にいるといい。あいつはゲームに乗るような男ではない。……また、会おう』
また会おうという言葉はどこか温かみがあった。この殺し合いの中また会うことの難しさも分かっている。
それでもガルドは別れ際に一言そう告げた。プレシアにもそれは伝わっている。
『はい!』
プレシアもそれに答え、ガルドと違う方向に歩き始めた。

時も変わって今―――
「オラオラまた抵抗しないのかよぉ!!」
運悪くまたマジンカイザーと接触してしまった。
だが、先ほどの彼女とは少し違った。昼のように一方的になすがままにされるのではなく、歪曲フィールドを全開ではり、補助システムで回避運動を取っている。
「なにかないの―――?」
後ろを向いて逃げれば間違いなくやられる。しかしグランゾンの力ならこの状況を乗り越える―――お互いが生きてこの場を離れることもできるはずだ。プレシアはマニュアルをめくり必死に方法を探す。
20分近くこの時間は続いたが、
「うろちょろ守ってんじゃねぇぇ!!亀かてめぇ!」
ついにマジンカイザーの一撃一撃がつもり続け、歪曲フィールドがついに消える。
それに伴いマジンカイザーの胸が赤く発行する―――!!
歪曲フィールドが消えゆれるグランゾン。マニュアルがめくりあがり、その偶然で奇跡が起こった。
プレシアが見つけたもの。それはグランゾンに搭載されていた、空間跳躍の装置とその説明だった。
「これなら…!」
急いで起動し、準備するプレシア。マジンカイザーからはチャージによってさらに熱が胸に集まっていく。
座標設定・・なし 記載されている地図のどこか、高度0ヘ跳躍します。
「急いで!」
「死ねぇぇぇ!!ファイアーブラスタァァー!!!」
ついにマジンカイザーから光線が放出される。しかし、その炎に飲み込まれる前にグランゾンは跳躍した。


116 :遭遇:2005/11/11(金) 18:45:07 ID:fZEKiK0m
「さっきの戦闘のせいで乗ってる人に見つかったかもしれません」
「夜の移動は危険ですが、ここにいるほうが危険かもしれませんね…」
戦闘が起こったため、これからどうするかを話し合うルリ達。ちなみにヴィンデルは縄でぐるぐる巻きにして放ってある。
「とりあえず、荷物をまとめてたほうがいいのかな?―――ッ!?」
突然黒い光が集まり―――重厚で凶悪なデザインのメカが現れた
「ヲヲっと敵メカ?」「なんだ、こりゃあ!?」「なんだよ突然!」「みんな隠れてください!」
4人があわてて行動を始めるが、一番落ち着いていた。ルリが言った。
「攻撃の様子はないみたいです。アキトさん通信をしてみてください。」
「え?わ、分かった。やってみる。」
恐る恐る通信を試みるアキト。ほかの3人も後ろから通信機を覗き込む。
「―――女の子?」
アキトがきょとんとした声で言う。ほかの3人も顔を見合わせ、首をかしげる。
「でも泣きそうな様子だな…」
イサムがそう言うと、アクセルが突然、
「んじゃ、元気にするために一曲歌ってみるんだな、これが」
「「「え?」」」
「YOU GET TO BURNING歌うぜ、俺の歌を聴けぇ!」
ほかの3人がついていけないうちに突然歌いだすアクセル。
「けっしてと〜けないほーぅていしーきをならべて〜♪」
「いきなり2番!?」
「というか歌わないほうが…」
「っていうか記憶喪失じゃなかったのかよ!?」
「記憶喪失でも歌とかは覚えているんですよ、普通」
「そうなの!?」
アキトとイサムが驚きの声を上げる。ちなみにアクセル熱唱中。
「エピソード記憶が消えても知識記憶は残るんです」
「どういうことなんだ?」
「わかりやすく言えば、歌詞は思い出せても、いつどこで歌ったかは思い出せないということなんですよ」
「そ。そうなのか…」
2人でアクセルを眺めるアキトとイサム。ちょっと離れた場所で、
「やはり、私の知っているアクセルではなくなっているのか…」
「ウッサイ、ヘタレ」
「あべし!!うう、なぜ私がこんな目に……」
ハロに突っ込まれてヴィンデルが泣いていた。
「ていうか馬鹿ばっか?」
しかし、アクセルの歌パワーかは知らないが、確かにプレシアは泣きそうな顔をやめていた。
単にきょとんとした顔になっただけだが。
「ほらほら、俺の歌が効いたんだな、これが!」
熱唱したアクセルが全員に声をかける。
「面食らっただけじゃないですか!」
「次いくぜーぃ!愛より赤く!燃やせ命の鼓動を!」
「ていうかやめろ!」
「イサムさんの言う通りです。」
「うっ…ルリちゃんまで」
「当たり前です。」
ただそのやり取りを呆然と眺めるプレシア。しかし、なんとなく彼らが殺し合いをしていないことは分かった。
何より、
(イサム、さん?)
その名は聞いたことがあった。ガルドが信頼できると言っていた人だ
「あ、あの!」
「お、落ち着いたみたいなのかな?」
「わかんねぇが、なんとも言え……」
「イサム・ダイソンさんですか!?」
緊張した声でプレシアが訊く。
「そうだけど、どうしたってんだよ?」
「じ、実は………」


117 :遭遇:2005/11/11(金) 18:45:48 ID:fZEKiK0m
「……というわけなんです」
ガルドと合ったときのことを一通り話すプレシア。
「そうか……ガルドの奴まったく…」
言葉はけなすようにも聞こえるが、その顔は最高の笑顔だった。
「ガルドさんがどこへ言ったかは分からないんですか?」
「はい、東に行ったのは分かってるんですが」
「んじゃ、今後の方針は決まりなんだな、これが。」
「ええ、プレシアさんがいたところから東、つまりここから北に向かいます」
「ちょうど移動を話してたところだ、行こうぜ!」
「はい。ある程度先に偵察して、移動します。移動は2時間後ということで」
一段落つき、

イサムは偵察の準備をし、マサキはハロをいじったり、ほかの人から借りたマニュアルを熱心に読んだり、何か棒のようなものをさわったりしている。
みな、思い思いの行動をとるなか、
「なぁ、私は移動までこのままなのか?」
「ウッサイバカ」
「うう……」
ヴィンデルは放置されっぱなしだった。


118 :遭遇:2005/11/11(金) 18:47:42 ID:fZEKiK0m
【アクセル・アルマー :クロスボーンガンダムX1(機動戦士クロスボーンガンダム)
 現在位置:E-5
 パイロット状況:良好
 機体状況:ほぼ損傷なし
 第一行動方針:ヴィンデルに記憶について聞く
 最終行動方針: ゲームから脱出

【テンカワ・アキト 搭乗機体:νガンダム  (逆襲のシャア)
 パイロット状況:軽い打撲程度 (アクセルとの接触によって精神状態は回復)
 機体状況:全身ボロボロ、右腕無し、腰部分のフレーム多少歪む フィンファンネルを二個失う
 現在位置:E−5
 第一行動方針:アクセルの記憶探しを手伝う
 最終行動方針:ゲームから脱出

【イサム・ダイソン 搭乗機体:ドラグナー3型(機甲戦記ドラグナー)
 パイロット状況:健康
 機体状況:良好
 現在位置:E-5
 第一行動方針:仲間を探す
 第二行動方針:ゲームに乗った相手からの逃亡(戦力が整っていればやられたらやり返す)
 最終行動方針:ユーゼスをぶん殴る】

【ホシノ・ルリ 搭乗機体:スカイグラスパー(機動戦士ガンダムSEED)
 パイロット状況:健康
 機体状況:良好
 現在位置:E-5
 最終行動方針:アキトと共にゲームからの脱出】

【木原マサキ 搭乗機体:レイズナー/強化型(蒼き流星レイズナー)
 パイロット状態:秋津マサトのような性格のふりをしている。絶好調
 機体状態:ほぼ損傷なし
 現在位置:E-5
 第1行動方針:使えるクズを集める
 最終行動方針:ユーゼスを殺す】

【ヴィンデル・マウザー ZGMF-X09A・ジャスティスwithハロ軍団
 パイロット状況:健康、めっちゃ脱力、ハロの下僕
 機体状況:シールドを失う、リフターを失う、さらにコクピット内がハロで埋め尽くされている
 現在位置:E-5
 第一行動方針:……ハロを切実になんとかしたい
 第二行動方針:ラミア・ラヴレスとの合流
 最終行動方針:戦艦を入手する】

プレシア=ゼノキサス 搭乗機体:グランゾン(スーパーロボット大戦OG)
 パイロット状況:健康 落ち着いている
 機体状況:良好
 現在位置:E-5
 第一行動方針:一緒に行動する
 最終行動方針:決めていない】

【ラッセル・バーグマン :マジンカイザー(サルファ準拠)
 現在位置:D-2
 第一行動方針:ブラックサレナを壊す
 第二行動方針:すべてを壊す
 最終行動方針:生き残る】

【時刻:20:30】


119 :バトルロワイヤル:2005/11/12(土) 14:29:53 ID:ip7YNvvT
「ふう…」
病院の壁にアッガイをもたれかけて、コクピットでハマーンは息をついた。
どうにかハチローをなだめさせ、北の町に着いたものの、そこには誰もいなかった。
いくつか建物も降りて回ってみたが、どこにも人はいない。
特に驚かされたのは、日も暮れて最後に調べた病院だった。薬のビンやパックはあるが、すべて中身がないのだ。
人がいないことはほかの場所と同じだったが、ついさっきまで使ってあったような乱れたベッドや椅子に加え、謎としか言えないカルテや記録までが残っていた。
ついさっきまで人がいたかのように見えるがすべてがない。あらゆる意味で虚構の町。まるで人形遊びの箱庭。
それに加えてあの放送だ。共に建物を調べているときだったから落ち着かせやすかったが、12人が死んだと聞いてハチローも取り乱して落ち着かせるのに苦労した。ハマーンはちらりとジャイアントロボのほうを見る。
こんな状況に放り込まれ、泣き疲れたのか、ジャイアントロボの肩でハチローが寝ている。
寝顔は安らかなものだった。ハマーンはそれを見て静かに微笑を浮かべる。しかし、またすぐに思念を練ることに戻った。
「しかし、いったいどういうことなのだ?」
静かに独り言をこぼす。話を聞けば、ハチローはまったく違う世界から来ていると話していた。それが嘘とも思えない。
つまり、あの仮面の男は眉唾だが―――いくつもの世界から人や機体を集めることができ、さらにこのような町を作るなどかなり大掛かりなことをすることができる。
それに加えて、あのラビアンローズのような見かけの巨大な戦艦。それほどのことが出来る存在がいるとは思えない。できるとすれば―――神。そう形容してもおかしくないだろう。
加えて、仮にそれほどのことが出来るとして、何故こんなこと、そう趣味の悪い殺し合いのゲームなどを仕組んだのか?
「神の気まぐれとでも言うつもりか……?」
忌々しげに空を眺める。そこにあるのは、あの戦艦と月のみ。
「月……やはりここは地球なのか?しかし、綺麗な物だな……」
ふとそんなことを思うハマーン。ここの空気が澄んでいるためだろうか透き通るような満月が浮かんでいた。


120 :バトルロワイヤル:2005/11/12(土) 14:30:51 ID:ip7YNvvT
アクシズや宇宙から見るのとは少し違う、どこか神秘的な月。しばらく目を奪われていたが―――
「―――ん?」
月の中に黒いものが写った気がした。いや、気がしたではなくそれは真実だった。伝説でしか見られない生物、ドラゴンを模したものがどんどん大きく―――いやこちらに一気に近づいてくる!!!
「起きるんだ坊や!急いでそこをどけ!」
「へ、へぇ!?」
抜けた声をハチローが上げる。しかたない、彼は戦闘に関して素人だ。咄嗟に行動などできない。そのため、彼はあっけなく死んだ。その間抜けな声が彼の最後の言葉だった。
夜の闇空満月の光を切り裂く閃光。夜の闇空を追い払う熱風。
燃える。燃える。燃える。
轟々と唸る炎の中で人の形が燃え落ちていく。人為の結果とは思えない圧倒的な破壊の光景。
少年はまるで紙人形のように容易く燃え上がり、断末魔と呼ぶにはあまりに呆気ない、冒涜的なほどに呆気ない光景の中で地面に落ちていった。
主を失い、ジャイアントロボももう動かない。
「坊や!」
たまらずハマーンは叫ぶ。しかし、竜はそれを見逃さなかった。炎の中浮かび上がるアッガイに向かい、まっすぐと飛来する。ハマ−ンもすぐさま回避行動に移るが―――アッガイ、ましてや地上にいるのではどうしようもなかった。建物の影に入ったアッガイに巻きつき―――
グシャリ
アッガイはもうなにか分からない潰れた鉄塊となった。
竜が訪れ、1分も経たぬうちに、そこには死が撒き散らされた。気まぐれがすんだとでも言わんばかりに竜がまた空へ飛び去っていく。
―――一人一人に物語があるわけではない。ましてや、死に方なんて選べなどしない。そこには、無常で非常なバトルロワイヤルという名の現実の縮図が転がっているだけだった。

ハマーン・カーン 搭乗機体:アッガイ(機動戦士ガンダム)
 パイロット状況:死亡
 機体状況: 破壊
 現在位置:B- 1

【ハチロー 搭乗機体:ジャイアント・ロボ(ジャイアント・ロボ THE ANIMATION)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:弾薬を半分ほど消費
 現在位置:B-1

【ヤザン・ゲーブル 搭乗機体:龍王機(スーパーロボット大戦α)
 パイロット状況:健康
 機体状況:修復完了
 現在位置:B-1から移動中
 第一行動方針:バラン=ドバンを探す。また、どんな機体でも見つければ即攻撃
 最終行動方針:ゲームに乗る】


121 :バトルロワイヤル:2005/11/12(土) 14:33:50 ID:ip7YNvvT
【時刻:21:40】

122 :バトルロワイアル:2005/11/12(土) 18:52:22 ID:utuGyUx+
「ふう…」
病院の壁にアッガイをもたれかけて、コクピットでハマーンは息をついた。
どうにかハチローをなだめさせ、北の町に着いたものの、そこには誰もいなかった。
いくつか建物も降りて回ってみたが、どこにも人はいない。
特に驚かされたのは、日も暮れて最後に調べた病院だった。薬のビンやパックはあるが、すべて中身がないのだ。人がいないことはほかの場所と同じだったが、ついさっきまで使ってあったような乱れたベッドや椅子に加え、謎としか言えないカルテや記録までが残っていた。
ついさっきまで人がいたかのように見えるがすべてがない。あらゆる意味で虚構の町。まるで人形遊びの箱庭。
それに加えてあの放送だ。共に建物を調べているときだったから落ち着かせやすかったが、12人が死んだと聞いてハチローも取り乱して落ち着かせるのに苦労した。ハマーンはちらりとジャイアントロボのほうを見る。
こんな状況に放り込まれ、泣き疲れたのか、ジャイアントロボの肩でハチローが寝ている。寝顔は安らかなものだった。ハマーンはそれを見て静かに微笑を浮かべる。しかし、またすぐに思念を練ることに戻った。
「しかし、いったいどういうことなのだ?」
静かに独り言をこぼす。話を聞けば、ハチローはまったく違う世界から来ていると話していた。それが嘘とも思えない。
つまり、あの仮面の男は眉唾だが―――いくつもの世界から人や機体を集めることができ、さらにこのような町を作るなどかなり大掛かりなことをすることができる。
それに加えて、あのラビアンローズのような見かけの巨大な戦艦。それほどのことが出来る存在がいるとは思えない。できるとすれば―――神。そう形容してもおかしくないだろう。
仮にそれほどのことが出来るとして、何故こんなこと、そう趣味の悪い殺し合いのゲームなどを仕組んだのか?
「それこそ神の気まぐれとでも言うつもりか……?」
忌々しげに空を眺める。そこにあるのは、あの戦艦と月のみ。
「月……やはりここは地球なのか?しかし、綺麗な物だな……」
ふとそんなことを思うハマーン。ここの空気が澄んでいるためだろうか透き通るような満月が浮かんでいた。


123 :バトルロワイアル:2005/11/12(土) 18:53:53 ID:utuGyUx+
アクシズや宇宙から見るのとは少し違う、どこか神秘的な月。しばらく目を奪われていたが―――
「―――ん?」
月の中に黒いものが写った気がした。いや、気がしたではなくそれは真実だった。伝説でしか見られない生物、ドラゴンを模したものがどんどん大きく―――いやこちらに一気に近づいてくる!!!
「起きるんだ坊や!急いでそこをどけ!」
「へ、へぇ!?」
抜けた声をハチローが上げる。しかたない、彼は戦闘に関して素人だ。咄嗟に行動などできない。そのため、彼はあっけなく死んだ。その間抜けな声が彼の最後の言葉だった。
ハチローは「熱い」と感じる時があっただろうか?
夜の闇空満月の光を切り裂く閃光。夜の闇空を追い払う熱風。
燃える。燃える。燃える。
轟々と唸る炎の中で人の形が燃え落ちていく。人為の結果とは思えない圧倒的な破壊の光景。
少年はまるで紙人形のように容易く燃え上がり、断末魔と呼ぶにはあまりに呆気ない、冒涜的なほどに呆気ない光景の中で地面に落ちていった。
主を失なったジャイアントロボは糸の切れた人形の様にひざをつき、もう動かない。
「坊や!」
たまらずハマーンは叫ぶ。しかし、竜はそれを見逃さなかった。炎の光の中浮かび上がるアッガイに向かい、まっすぐと飛来する。
ハマ−ンもすぐさま回避行動に移るが―――アッガイ、ましてや地上にいるのではどうしようもなかった。建物の影にアッガイは入ったが、空から落ちるように迫る竜に対しては何の意味もなかった。
地表ギリギリで向きを変えた竜は顎を拡げ、アッガイに対して垂直に噛み付いた。
「―――・・・……」
グシャリ
アッガイは二つに別れ、もう動かないただの鉄塊となった。ハマーンが最後何かを叫んだのかもしれない。
しかしもうそれを知るすべは誰にもない。それ以前に彼女が何を考えていたのかすら分からない。
竜が訪れ、1分も経たぬうちに、そこには死が撒き散らされた。気まぐれがすんだとでも言わんばかりに竜がまた空へ飛び去っていく。竜の行いが終わったあとには、何も動かぬ夜の静寂が横たわっていた。
――― 一人一人に物語があるわけではない。ましてや、死に方なんて選べなどしない。そこには、無常で非常なバトルロワイアルという名の現実の縮図が転がっているだけ。そこに人間の尊厳はない。異議もない。
そんなものはただの妄想だ
――――――現実はどこまでも冷酷だった。

ハマーン・カーン 搭乗機体:アッガイ(機動戦士ガンダム)
 パイロット状況:死亡
 機体状況: 破壊
 現在位置:B- 1

【ハチロー 搭乗機体:ジャイアント・ロボ(ジャイアント・ロボ THE ANIMATION)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:弾薬を半分ほど消費
 現在位置:B-1

【ヤザン・ゲーブル 搭乗機体:龍王機(スーパーロボット大戦α)
 パイロット状況:健康
 機体状況:修復完了
 現在位置:B-1から移動中
 第一行動方針:バラン=ドバンを探す。また、どんな機体でも見つければ即攻撃
 最終行動方針:ゲームに乗る】

【時刻:21:40】  >>119と>120は破棄してください

124 :魔神開放:2005/11/13(日) 13:18:08 ID:8TqVHQFN
 ゼンガー・ゾンボルトが気絶してから、どれだけの時が流れただろう。
月明かりの下で、碇シンジが大雷凰に乗ったまま、森の北東端で木にもたれて休んでいる。
放送の後、湧き上がる恐怖心からゼンガー(とサーバイン)を近くの森へ隠したのだ。
「お腹、空いたな・・・ウルベさん、遅いな・・・・」
 シンジは東の空を見つめながら、十数回目の溜息をついた。
まだ哨戒に出たウルベは戻ってこない。勝手に森へ移動してしまったが、森の端からなら
簡単に戻ってくるウイングランダーを発見できるはずだった。
「・・・ミサトさん・・・アスカ・・・綾波・・・カヲル君・・・・・・・・・・・父さん」
 じっとしていると元の世界の事を思い出す。楽しい事もあったが辛い事の方が多かった。
そして、ふと最初の部屋いたアスカの事を思い出す。顔を見た訳ではないが特徴的な髪飾りに
見間違えはない。元気になったのだろうか? 夕方の放送から判断すれば、一応無事だろう。
真っ先に死ぬと思っていた自分がまだ生きてる事も考慮して、シンジは少し安心した。
「・・・・・・アスカ・・・・」
 沈み込むシンジに合わせ、体育座りで親指を噛む仕草の大雷凰は何気に可愛らしい。

 それから、シンジは脳内電車で自分自身と悲観的な未来について延々と語り合った挙句、
停車駅で乗り込んできたゼンガーに「甘えるなッ!」と一喝されて我に返った。
 ふと見れば、東の空に小さな機影が見えていた。

125 :魔神開放:2005/11/13(日) 13:18:35 ID:8TqVHQFN
「ウルベさん?! こっちですよー!」
 大雷凰が無邪気に手を振る。しかし、その影は待ち焦がれてていた協力者ではなかった。
大雷凰を見つけたのか、高速で接近してくる機体。その悪魔の如き姿形は、シンジの抱える
一欠けらの希望を奪う為に舞い降りた。ラッセル・バーグマン、魔神皇帝マジンカイザー。
(悪魔? 殺される? ここで? まだゼンガーさんは戦えない。ウルベさんもいない。
ダメだ。だれも助けてくれない。僕はココで死ぬんだ、何も成せないまま・・・・・違う!) 
「なんだぁ、そのダッセェ、マフラーは?!ヒーローにでも、なったつもりかぁぁ!!」
 ラッセルが言い終わる前に大雷凰が動いた。前にではなく、大きく横へと走る。
「逃げてんじゃねぇ!このヒーロー気取りがよぉ!」
 追う様に無数のギガントミサイルが発射されるが、それを大雷凰は辛うじて避け切った。
初動の差が功を成したか、ラッセルが手を抜いたか。
(違う! 決めたんだ! ゼンガーさんを守るって! 決めたんだ!)
 意を決した大雷凰のハーケン・インパルスがマジンカイザーを捉える。しかし皇帝自慢の
重装甲にはカスリ傷を付けただけに過ぎなかった。
「カッコイイねぇ、ヒーローさんよぉ? ぜぇーんぜん、効いぃてないけーどねぇー!」
 舞い上がった埃の中から姿を現し、マジンカイザーは悠々と歩を進める。
(良し、そのまま森から離れろ、ついて来い・・・)
 まずはゼンガーさんのいる森から引き離す。十分に引き離してから、隙を付いて逃げよう。
運が良ければウルベさんが戻ってくる。悪くても自分が死ぬだけだ。ゼンガーさんは守れる。
シンジはそう考えた。まさか地中潜伏中のウルベを置き去りにして来たなど考えもしなかった。


 マジンカイザーから次々と繰り出されるターボスマッシャーパンチ、ギガントミサイル、
ルストトルネード、そしてファイアーブラスター。それらを辛うじて回避しながら大雷凰は
マジンカイザーを誘き寄せる。シンジにしては奇跡的な戦果であるといえた。
「そらぁそらぁ! もっと精一杯、抵抗しろぉよぉ! 威勢が良いのはカッコだけかよ!」
 ラッセルは、シンジを明らかな素人と見抜いていた。ワザと大振りな攻撃で疲労を誘い、
弄ぼうと考えていたのだ。軍人たる自分と無力な素人の実力の差に、優越感に浸る為に。
「オイオイオイ飽きちまったぞぉ、ん? テメェが向かってこねぇなら、あっちだなぁ」
 ラッセルはシンジをからかう様な大げさなターンをクルリと決めると森へと進みだした。
全てバレていた。腐っても鯛、狂っても軍人である。大雷凰に背を向け悠々と森へと向かう。
「行かせない! 行かせないんだぁぁぁ!!」
 必死に駆け込み、殴りかかる大雷凰を「待ってました」とばかりにマジンカイザーの鉄拳が
捉えた。無様に転がる大雷凰。それを見たラッセルは「最高の気分だね」と満面の笑みをこぼす。
それでも大雷凰は立ち上がり、再び歩き始めたマジンカイザーに追いすがり殴りかかる。
「おまえぇ、バカァ?」
 今度は一本背負いの要領で大きく投げ飛ばされ、樹木に叩きつけられ、呼吸が出来ない程の
衝撃がシンジを襲った。装甲各所に大小の亀裂が見えるが、この程度で済んでいるのは、無論
ラッセルのサディスティックな手抜きのお陰である。 
(痛い・・・苦しい・・・やっぱり、ボクは・・・)
 シンジは空ろな瞳でファイアーブラスターの発射プロセスを見つめていた。


126 :魔神開放:2005/11/13(日) 13:20:33 ID:8TqVHQFN
 「一意専心!!!」
 眼前でファイアーブラスターが二つに割れる光景で、シンジの意識は現実に引き戻された。
 サーバインが、ゼンガーが大雷凰の前に立ちはだかっていた。オーラソードでファイアー
ブラスターを断ち防ぎ、押し返そうとまでしている。まるでデタラメな光景だった。
 ゼンガーは、本来ならば動く事さえままならぬ精神疲労の中にいた。一瞬でも気を抜けば
再び意識を失うだろう。そして今、彼の精神・魂は剣に限界を超えて注ぎ込まれて行く。
「その声、隊長さんかよぉ! 元気だったかいぃ? ココで死んどけぇ!」
 ラッセルが、マジンカイザーが咆哮し、更に出力を上げる。そして暫しの膠着の後、巨大な
斬艦刀にの様に変貌したオーラソードによってファイアブラスターは断ち斬られた。
まるで十戒を持つモーゼの如く、迫り来る爆炎を断ち斬ったのだ。
「我が斬艦刀に・・・断てぬもの無し!」
「なぁぁなぁんぁんぁなんなぁぁ!」
 ゼンガーの勇姿に、ラッセル狂気に満ちた顔が更に歪んでゆく。しかし・・・
「・・・・シンジ・・・・今を生きろよ」
 大雷凰の眼前で、サーバインは爆散した。当に機体の限界など超えていたのだ。

 爆発した機体の破片が振り散る。シンジには、その光景がひどくゆっくり見えた。
結局、ゼンガーを守る事が出来なかったばかりか、守られた結果、彼を犠牲とした。
「動いてよ大雷凰・・・動けよ・・・あいつを・・・あいつを殺すんだよぉぉ!!!」
 システムLIOHがシンジの絶叫に答えるかのように起動する。
主を失った剣が地面に突き刺さるのと、咆哮を揚げた大雷凰が大地を蹴るのは同時だった。

「ざまぁねぇな隊長さんよぉ!」
 自分より常に上に存在していた知人(?)を葬ったラッセルの余韻が終わらぬうちに、
懐に飛び込んだ大雷凰が殴りかかっていた。魔神はその拳に向かって鉄拳を繰り出す。
拳と拳のぶつかり合い。一瞬の均衡、魔神の右拳が大雷凰の右腕を打ち砕いた。
しかし大雷凰は止まらない。腕を砕かれ、その反動を利用し放った上段廻し蹴りが魔神の
体勢を僅かにだが崩した。逆上した魔神が、闇雲に両腕を飛ばし大雷凰を着け狙い、それを
素早い後方回転を繰り返し回避しする大雷凰。大地に突き刺さった剣を引き抜き、投げつける。
「甘ぇぇぇぇんだよぉぉ!ファイアァァァブラスタァァァ!!!!」
 高速で飛来する剣、両腕が戻ってなくとも魔神には幾らでも迎撃方法は残っていた。
ラッセルに誤算があったとすれば、シンジが「純粋な素人」ではなかったという事だった。
たちまち主を持たない聖剣は爆炎に消えた。しかし爆炎の向こうに大雷凰の姿はない。
 標的を見失ったラッセルが次の瞬間見たものは、頭上から飛来する足の裏。それが彼の見た
最後の光景。頭頂部を破壊された魔神は数歩よろめくと大きな音を立てて仰向けに倒れた。



127 :魔神開放:2005/11/13(日) 13:21:14 ID:8TqVHQFN
 ここへ来て、初めての出会った尊敬できる人。初めての別れ。初めて出会った殺意。
初めて持った殺意。少年のヒビ割れた心に、現実は辛すぎた。
(とりあえず、森に身を隠そう・・・それから・・・アスカを探そう・・・)
会いたい。同じ世界を共有する少女に会いたい。守りたい。馬鹿にされるだけかもしれない。
第一声は「あんた、バカァ?」かもしれない。それでもいい。今は少しでも目的が欲しかった。
 強引にでも生きる目的を持たなければ、この場で座り込み、朽ち果てそうだった。
シンジは既に心身疲労共に限界を超えているはずなのだが、システムLIOHの関与なのだろうか、
消え去りそうな意識をかろうじて保ちつつ、大雷凰と共に森の中へ消えていった。

 優しく照らす月明かりの下、魔神の胸に輝く『Z』の印が、『魔』に変わった事を誰も知らない。

【碇シンジ 搭乗機体:大雷鳳(第三次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状態:心身ともに疲労の限界(LIOH補正で無理やり行動中)
 機体状態:右腕消失。装甲は全体的軽傷。背面装甲に亀裂あり。
 現在位置:H-3の森からH-4へ移動中
 第1行動方針:アスカと合流し守る
 最終行動方針:生き抜く】

【ゼンガー・ソンボルト 搭乗機体:サーバイン(OVA聖戦士ダンバイン)
 パイロット状態:死亡
 機体状態:粉々】

【ラッセル・バーグマン :マジンカイザー(サルファ準拠)
 パイロット状態:死亡
 機体状態:カイザーパイルダー大破。他はほぼ無傷。
 現在位置:H-3の平地に横たわっている
 備考:マジンカイザーのモードが『Z』から『魔』に変更。
 最終行動方針:???】








128 :魔神開放:2005/11/13(日) 14:38:36 ID:8TqVHQFN
【時刻:22:30】

129 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:03:49 ID:rvz9Zg4o
「ン…眠ってしまったのか」
サザビーのコックピット、アムロ・レイが目を覚ました、
「もっと、気をつけないとな…」
なれない機体とはいえ、オーバーヒートで機体が行動不能になるまで酷使し、さらに眠ってしまうとは。
もし誰か殺意を持った人間が近づいていたら…
湧き上がル恐怖を振り払う様に、すばやく機体のチェックを行う。
「機体の冷却状態は…良し、駆動系も良さそうだな」
どこにも異常はみあたらない、今すぐにでも動き出せるだろう。
「行くか…」
怖がっている暇はない、自分にはまだ帰れる場所が…帰りたい場所があるのだから。



130 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:04:22 ID:rvz9Zg4o
「先ほど一緒に行動する事を許されたはずなのだが…」
ヴィンデル・マウザーが緊張の為、僅かに汗をたらしながら抗議をする、
「だからと言って、お前が信用できないのは確かだからな」
イサム・ダイソンはD−3の銃をジャスティスに突きつけながら、ごく当然とも言える答えを返す。
「とにかく、俺がどんな奴だったかだけでも教えてくんない?」
口調は相変わらず軽いが、それまでに無い真剣さでアクセルがヴィンデルに尋ねる。
ヴィンデルが彼らに敗れてからしばらくの間、とにかくアクセルの記憶の手がかりをつかもうと、
そのままの場所でヴィンデルを尋問することになった。
とはいえ辺りは平原、遠方からでもこちらを確認する事が容易な為(その逆も言えるので移動せずに
いるのだが)コックピットから降りるのは危険と判断し、ヴィンデルも含めて全員コックピットから
降りずにいた。
「まあ、待て。お前と会ったのはかなり前。しかも一緒にいたのは少しの間だけなので、思い出すのに時間が…」
嘘である。都合よくアクセルの記憶が戻って来る事保障など何処にも無いこの状況では、真実を話しても
なんら得する事は無いだろう。、
「さっきからずっとそう言ってるじゃねえか。ふざけてるのは、頭のワカメだけにしろよ」
(誰の頭がワカメだ!)
こうしてイサムの悪態に耐えつつも時間稼ぎをしているのには理由があっての事だ。
「まあまあ、そう怒りなさんなって」
そういうアクセルだが、明らかに焦りが見えている。この状況もそう長くは続きそうにも無い。
(おい、お前達!本当に大丈夫なんだろうな!)
「サクセンハイッコクヲアラソウ!」
「ツキハデテイルカ?」
(わかった!わかったから少し静かにしてくれ、いや、静かにしてください!)
ハロが次々に騒ぎ出すのを必死で抑えるヴィンデル。
「ん?月が何だって?」
「い、いや月が綺麗だなと…ははは…」
言い訳をしながら、ヴィンデルは自分の運命がこの丸い悪魔に握れらている事を再確認し、いいようのない
悲しみというか無力感というか虚脱感?とにかくそんなものを感じて無性に泣きたくなった。

131 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:05:35 ID:rvz9Zg4o
「アクセルさんの記憶、戻るといいね」
ヴィンデルが己の運命に軽く絶望している事など判ろうはずもなく、アクセル達から少し離れた場所で、
目の前に流れる川を見ながら、アキトは隣の戦闘機に乗る少女に話しかけた。
「そうですね」
ホシ・ルリが味も素っ気も無い態度で相槌を打つ。最も、ルリが見た目ほどはそう思っていない事を(最近に
なってやっと判別できるようになったのだが)アキトは感じていた。
「そういえばマサキ君、辺りを見回ってくるって言ってたけど大丈夫かな?」
「大丈夫じゃないですか?あの人歳のわりにずっと落ち着いてますし」
「そうだよなぁ、ルリちゃんみたいだ」
「・・・」
「・・・ひょっとして怒った?」
「いえ、よく言われますから」
穏やかな、いまこの瞬間殺し合いをしている者がいる等信じられないほどの穏やかな一時。
だが信じようと信じまいと、今この地は戦場と化しているのだ。
そして彼はその事を、そして戦場と言う物がいかに厳しいかを痛いほどによく知っていた。

「あれは?」
目覚めて1時間ほど、今は川沿いを移動していたアムロが、アキト達より先に相手を確認できたのは、
偶然ではなく、一人戦場を進む為に神経を張り詰めていたからであった。
「MSと…あれはMA…いや戦闘機か?」
ミノフスキー粒子の為に、この距離では目視でしか確認できない為はっきりしないが、間違いなく2機居る
事はわかった。二体いて戦闘をしていないと言う事は協力しているのだろう。
あるいは話し合えば供に行動する事ができるかもしれない。
「だからって、状況が変わるわけじゃない」
一瞬浮かんだ考えを振り払う。この首輪が有る限り、一時仲間になったとしてもいずれは殺しあう事になる。
そして…アムロ・レイは仲間を撃つ自信など無かった。

「アキトさん、西から熱源」
「え?」
ルリが言った方向に視線を向けるのと、ビームが機体の横を通り過ぎるのはほぼ同時だった。


132 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:08:21 ID:rvz9Zg4o
「さすがに遠すぎたか…」
有効射程から2倍は離れた位置からの狙撃。
当たると思ってはいない、相手が突然の攻撃に浮き足立てば良いぐらいの意識であった為、
すぐさまスラスターを全開にしている。

「チクショウ、仲間ができたと思ったらまた問答無用かよ!ルリちゃん急いで!」
「はい!」
急いでスカイグラスパーを離陸させようとするが、もともとパイロットではないルリは慣れぬ作業に
手間取ってしまう。
「うわ!?」
再びビームが機体の脇を掠める。
「なんとか、なんとかしないと…」
ルリが離陸しても、自分を含めて無事に逃げられるとは限らない。アクセル達は先ほどの攻撃で、こちらの
異常に気付いただろうが、こちらに駆けつけるまで僅かに時間がかかるだろう。
自分の機体はボロボロで、まともな遠距離武器は無い。頭部バルカンはこの距離では牽制にすらならない。
「そうだ!」
先ほど、改めてマニュアルを呼んだ時に気付いた装備を思い出す。
「少しの間だけでいいんだ!時間を稼いでくれ!」
急いで手に内蔵された装備を発射する。

133 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:09:51 ID:rvz9Zg4o
「ガンダム!?」
目視で判別できる距離まで近づいたアムロが、その機体を見て思わず驚愕の声をあげてしまう。
損傷が激しいが間違いない。
ガンダム…自分の父親が開発した地球連邦のMSであり、自分を戦場へ誘った機体、数々の戦いを
供に潜り抜けた機体…そして、最後には捨て去らざるを得なかった機体。
良く見ればかなり形状が違うので、自分の乗った機体ではないことは分かる、しかし様々な思いが脳裏を
よぎってしまい、一瞬手が止まる。
己の目の前に居るのが未来の自分の機体であり、自分が今乗っているサザビーと、地球の運命を賭けて
戦う事になるとは、この時のアムロに分かるはずも無かった。
「…しっかりしろ!相手がガンダムだからってなんだ!」
そうだ、ここは戦場で、相手は敵なんだ!
だがその間に相手は行動を起こしていた。
「増えた?」
ガンダムがこちらに手を向けたと思った瞬間、画面上に無数のガンダムが表示される。
「ダミーバルーンか!」
サザビーにも同様の装備があることをマニュアルで知っていた為、すぐに状況を把握し、ビームライフルを
収束ではなく、拡散ビームを放つモードに切り替え、先ほどガンダムが立っていた場所に向けて放つ。
拡散したビームは3機のガンダムに突き刺さる、しかしそれは3体ともダミーだ。
このまま全てのダミーを破壊するまで撃ち続けるか?
「いや…この機体ならやれるはずだ」

「ルリちゃん、低く飛んで!」
「わかってます」
ダミーによるかく乱は成功したようだ、やっと離陸し始めたルリと供に、ダミーに隠れながらアクセル達の
元へと急ごうとした、その時。アキトは目の前に、赤い物が浮かんでいる事に気付く。
「なんだ、これ?」
思わず立ち止まるνガンダムに向けて、それは閃光を放った。


134 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:11:36 ID:rvz9Zg4o
「どうした!?」
アキト達がいる方向から聞こえて来た轟音により、二人は一瞬ヴィンデルから注意をそらす。
そしてその瞬間をヴィンデルは見逃さなかった
「今だ!」
「ホロビユクモノノタメニ!」
「アレハGファルコン!?」
ハロの叫びとともに、湖面から先ほどD−3のジャミングにより何処かに飛び去ったファトゥムが現れ、
アクセルに向って突撃する。
「な!?まだジャミングは解いてねぇぞ!?」
驚愕の声をあげるイサム、確かにジャミングは効いており、遠隔操作は不可能である。
そう、遠隔操作は…
「よくやったぞハロ!」
「ワカメ!ワカメ!ワカメ!」
「ワレ、キシュウニセイコウセリ!」
ファトゥムからの通信。そうヴィンデルはコックピットからさり気なく数匹のハロを脱出させ、ファトゥムを
探索させていた。そして首尾よく目的のものを見つけたハロはファトゥムを操り、指示通り川に潜み、
合図とともにアクセルに襲いかかったのであった。
「フハハハ!この私がそう簡単にやられるものか!」
「ダレノオカゲダトオモッテヤガンダ!」
「ソンナオトナ、シュウセイシテヤル!」
「ヒィ!す、すいません!」
いまいち情けないが、そんなやり取りをしている間にもしっかりD−3にビームライフルを発射しているのは、
さすがと言えよう。
「野朗、調子に乗りやがって!」
イサムが反撃のために銃を構えたその瞬間。
「うぉぉぉぉぉ!!」
「アクセル、貴様ぁ!」
ファトゥムの攻撃によって崩れた体勢を、すばやく立て直したクロスボーンガンダムがジャスティスに
斬りかかる。かろうじて避けたジャスティスだが、ビームライフルを切断されてしまった。
「ここは俺に任せて、あんたはルリちゃんの所に!」
「…わかった!」
一瞬ためらうが、しかし確かにアキトとルリではまともな戦闘は無理なのは明らかだ。
「俺が戻ってくるまでに、きっちりぶちのめしとけよ!」
「りょ〜かい!」
ビームサーベルで斬りあう二体を後ろにD−3はアキト達の下に急いだ。



135 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:14:46 ID:rvz9Zg4o
「アキトさん!」
目の前で炎に包まれるνガンダムに向って必死に呼びかけるルリ、
「ル…ルリちゃ……逃…」
「アキトさん!?早く!早く脱出してください!」
だが、ルリの呼びかけに、アキトは二度と返事をする事は無かった…

「当たった…」
アムロは相手の思念を感知し、その思念に向けてファンネルを放ち、ピンポイントで狙い撃ちしたのだ。
本来ならファンネルを使い始めて間もないアムロにとって、非常に困難な事では有ったが、サザビーに
使用されている素材、サイコフレームの存在が、それを困難とさせなかった。だが、
「テンカワ…アキト…?」
サイコフレームの効果により、アムロは撃破したガンダムに乗っていたパイロットの思念を感知していた。
「女の子?」
そして理解する。そのパイロットが戦闘機のパイロットである少女を守ろうと必死だった事を。
「どうにも…どうにもならないじゃないか!」
思わず叫ぶ、そしてファンネルをもう一つの思念の方向へ飛ばし…
「クソ!」
慣れない力の使い方をした為か、サイコフレームにより敏感になった能力のせいか、悲しみにくれる少女の
思念までもが流れ込んでしまい、アムロはファンネルに最後の司令を与える事ができない。
ためらいの中、一瞬が数十秒にも感じる。
「…!?来る!」
アキト達が逃げようとした方向からの敵意により、現実に引き戻される。
回避行動を取りながらその方向を向くと、空を飛ぶMSがこちらに向って攻撃をしてくるのが見えた。
「まだ仲間がいたのか!?」
新たに現れたMSに向って銃を向けるアムロ。だが、まだ脳裏に二人の思念がこびりついている。
「チィ!」
一瞬の迷い、そしてその後アムロはサザビーのスラスター吹かせて、この場を離れた。


136 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:16:32 ID:rvz9Zg4o
「ルリちゃん、大丈夫か!?ルリちゃん!おい、返事をしてくれ!」
「ダイソン・・・さん?」
その返事に、イサムはとりあえずは大丈夫だと判断する事にした。
「ルリちゃん…テンカワはどうした?」
聞かずに入られなかった。予想はつく、だが『もしも』と言う可能性を否定したくなかった。
「アキトさんが…アキトさんが…」
今まで、この異常ともいえる状態でも冷静さを失わなかった少女が、涙に声を震わせている。
そしてそれが、自分が望んだ『もしも』が否定された事を意味しているのは明白だった。
「テンカワ…許せねぇ!」
抑えられない怒り。先ほどの赤い機体が去っていった方向に向けて飛び立とうとする。
「ダイソンさん…アキト…さん…」
だが追いかけようとするイサムの耳にルリの声が届く。
「ルリちゃん…」
その鳴き声が胸に刺さる。
「すまない、ルリちゃん…テンカワの仇は絶対とってやるからな」
振り向きもせずに、イサムは赤い機体の追跡を始めた。
(俺が、俺がこいつをちゃんと扱えればこんな事には!)
D−3の能力を使いこなしていれば、もっと早く駆けつけることが出来たかも知れない。
テンカワ・アキトが死ぬ事はなかったかもしれない。
「仇は討つ!絶対にな!」



137 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:17:49 ID:rvz9Zg4o
「さすがだアクセル!とても記憶を失っているとは思えんな!」
「やっぱりアンタは俺を知ってるのか!?」
ジャスティスとクロスボーン、時代を、次元を超えたガンダムの名を関する2体の機体は光の剣を用い
一進一退の攻防を繰り広げていた。
「ああ、その通りだ!だが今の貴様が私の言う事を聞くとも思えんのでな、ここで倒れてもらう!」
ジャスティスの袈裟懸けの一撃をかろうじて避けるX1、
「自分が誰かも分からないまま、死んでたまるか!」
体勢を崩したジャスティスに横薙ぎに斬りかかる。しかしファトゥムの突撃により、その攻撃は
ジャスティスにダメージを与える事はできなかった。
「もらった!」
ファトゥムの突撃で倒れたX1に振り向けられたビームサーベル、しかしアクセルは無理やりスラスターを
吹かせて強引に体勢を変え、その一撃をやりすごす。
「うまくよけたな、だが片腕を失って私に勝てるかな?」
かろうじて避けたものの、X1はビームザンバーを装備していた右腕の肘から下を切断されてしまった。
「さらばだアクセル!」
勝利を確信したその瞬間、ジャスティスのセンサーが上空の熱源を探知し警告音を上げる。
「何だと!?」
即座に回避動作を行う。一瞬後、ジャスティスが立っていた位置にレーザーが突き刺さった。そして、
「キサマハ・・・オレノ!」
「オサラバデゴザイマス・・・」
それが、ファトゥムを操っていたハロ達からの最後の通信だった。
「ファトゥムが!」
レーザーの直撃を受け、爆発するファトゥム。
「大丈夫ですか、アクセルさん!?」
「マサキ!」
それを為したのは、木原マサキ駆るレイズナーが持つレーザードライフルの一撃だった。

「仲間か!?」
ファトゥムを失った今、二対一では分が悪い…
すばやく判断したヴィンデルは、頭部バルカンをレイズナーに放ち、東に向って逃走する。
「待て!お前にはまだ聞きたい事が!」
「待ってください、アクセルさん!他の人達は!?あっちの炎は一体!?」
追いかけようとするアクセルであったが、マサキの言葉で動きが止まる。
「そうだ!アキトとルリちゃんが!」
二人がいた方向をアクセルが見る、そこでは赤々と炎が燃え上がっているではないか。
「イサムが先に向った!マサキも早く行ってくれ!」
「アクセルさん!もしかして!」
その言葉が意味する事に気付くマサキ、
「ああ、俺はあいつを追う。すまないが後は頼んだ!」
そう言うや否や、地面に落ちたビームザンバーを残った左腕で拾い上げ、ヴィンデルが逃げ去った方向に
クロスボーンガンダムは飛び立った。
「アクセルさん!アクセルさん!…ええい、クソ!」


138 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:22:48 ID:rvz9Zg4o
「人は分かり合えるか…」
サザビーのコックピットでアムロがつぶやく。
「けど、分かり合えたからって、幸せだとは限らないんだよな…」
そんな事はわかっていたはずだ。そうだ、良くわかっている。
あの時、あの少女を殺してしまったあの時。そうあの少女、
「ララァ…」
ララァ・スンを殺してしまったあの時に…

「見つけた!野朗、タダで済むと思うなよ!」
追跡を始めて30分程、禁止エリアのすぐ傍の廃墟の近くで、イサム・ダイソンのD−3のレーダーが
目指す標的を捕らえた。即座に強力なジャミングをかける。
通常の状態ならすぐに異変に気付くほどの強力なモノであるが、なんらかの方法により、常に電波のかく乱が
行われている現在の状態では、気づく事は無いはずだ。
「ちと情けねぇが、手段を選んでる場合じゃねぇからな…絶対に、仇を討ってやる!」
万一気付かれないように地上を進むD−3の中で、彼は決意を固めた。

「この感じ…さっきの敵意か…」
しかしアムロ・レイはその殺気を敏感に感じていた、先ほどの影響で、まだ能力が研ぎ澄まされている
状態にあったアムロにとって、強い殺意を放つD−3の思念を感じるのは容易なことだった。
「・・・」
一瞬、先ほどの二人の思念を思い出し目をつぶる。そして目が開いた時に、彼も決意を固めていた。

139 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:23:12 ID:rvz9Zg4o
「どういう事だよこりゃ!?」
イサム・ダイソンがコックピットの中で悲鳴をあげる。
D−3のレーダーが、赤い機体から放たれた小型の兵器から、ビームが放たれている事を知らせていた。
まるでジャミング等効いていない様に、その兵器は自由自在に動いている。
「くっそぉぉぉぉぉぉぉ!!」
すでに地上にいては避けきれないと、空中に逃げている。しかしそれでも長くは持たない事は明らかだ。
「だったらよぉ!」
ならば一か八か、そう判断したイサムは赤い機体に向って突撃する。
(まったく、お前はもう少し考えてから行動しろといつも言ってるだろう)
「うっせぇ!」
一瞬親友の声が聞えた気がした。そして次の瞬間、D−3はリフターを射抜かれ廃墟に墜落した。

「やったか?」
空を飛ぶMSが廃墟に落ちていく、直撃はしなかったが飛行ユニットらしき物を破壊した。
「確認するか…」
いや、あちらの方向は禁止エリアだ。下手に探そうとしては危険だろう。
「そうさ、僕はまだ死ぬわけには…いや、僕はまだ死にたく無いんだ」
死ぬわけにはいかないのは、自分だけではない。だからと言って自分もまだ死にたくは無い。
生きる為だと言うのは、自分にとって言い訳に過ぎない事は分かっている、エゴだと言う事は十分承知だ。
「それでも僕は生きたいんだ…」
罪を背負おう、悪を背負おう、罰を受けると言うのなら罰を受けよう。
「それでも僕は、もう一度、一度で良い…帰りたい場所があるんだ…ごめんよ…ララァ…」
全てを背負って生きていこう。それが自分にできそうな、唯一の事なのだから…

「・・・」
D−3のコックピットの中、イサム・ダイソンは気を失っていた。
奇跡的にも、禁止エリアギリギリの場所に不時着したが、無理な体勢で着陸した為に、強く頭を
打ってしまったのだ。
彼が目覚めるのは、まだもう少し先の事である。

140 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:24:10 ID:rvz9Zg4o
「どこだ!どこだヴィンデル!」
ヴィンデルの追跡を始めて1時間程、今だアクセルはヴィンデル・マウザーを発見できなかった。
「クソ…どうする、戻るか?」
仲間達の事が、特に無事かどうかも分からぬアキトとルリの事が気にかかってはいた。だが、
「いや、駄目だ!」
もしもヴィンデルが自分にもう一度会う前に、誰かと戦闘になり、そして死亡したら?
自分の記憶の手がかりは無くなってしまう。
しかし、彼が焦っているのにはもう一つの理由がある。
「もう少し、もう少しで何か思い出せそうなんだ!」
彼の記憶の扉は少しずつではあるが、開き始めていた。

141 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:27:17 ID:rvz9Zg4o
(これでは首輪の回収は不可能か…)
破壊されたνガンダムを眺めながら、木原マサキは誰にも聞かれないようにつぶやいた。
(まだあの二人が戻ってこないと言う事は…今だ追跡を続けているか、それとも返り討ちに会ったか…)
半ば茫然自失となっていたルリから、なんとかイサム・ダイソンがテンカワ・アキトを撃破した相手を
追撃した事を聞きだしてから、一時間ほどが経っていた。
(さて、どうするか)
ルリは既にスカイグラスパーから降り、さきほどからずっとνガンダムの残骸を眺めている。
(戦闘になっても盾にしか使えんな…)
テンカワ・アキトが死んだ事についてはマサキ自身どうでも良かった。もとより戦力にはなりそうにも
無い機体状態だったのだ。むしろ足手まといが無くなったと考える方が、彼にとっては自然だった。
では目の前の少女は?
(情報処理能力は大したものだ、首輪の解析に役に立つかもしれん…だが)

「ルリちゃん…」
背後から木原マサキの心配そうな声が聞える。
「大丈夫…です」
自分ではいつもと同じように答えたつもりではあるが、声が上ずってしまった。
「大丈夫です」
もう一度言い直す、今度は何時も通りの調子だ。
「クヨクヨしてても、仕方ないですから…」
すぐ後ろまでマサキが近づいたのが解る。
「無理しなくても良いんだよ?」
「無理なんかしてま」
突如首を押さえられ、ルリはその言葉を最後まで言えなくなる。
「・・・!!」
必死になって暴れるが、非力な少女の力ではそれを振りほどく事はできなかった。
「すぐにアキトさんの所に送ってあげるからね?」
それがマサキの声だと判断する事もできなくなるほど意識が朦朧としていた。
(ア…キト…さ…ん…)
そしてそれからホシノ・ルリの全身から力が抜けるのに、それほど時間はかからなかった。


142 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:28:21 ID:rvz9Zg4o
「ふむ、心臓も停止しているな」
木原マサキがルリの死亡を確認する。
「その能力は少々惜しい気もするが、しかしこのような機会がそう有るとは思えんからな」
ルリを殺した理由、それ自体は単純なものである。
首輪を解析する為には、誰かの首輪が必要であり、そしてその誰かがルリだった。
彼にとっては、ただそれだけの事である。
「これで良し」
ルリの死体をレイズナーのコックピットに運び込み、スカイグラスパーを破壊する。
こうしておけば、もし二人が生き残っており、ここに戻って来た後に合流する事があったとしても、
何とでも言い訳できるだろう。
「フン、あとは首輪を取り外して解析するだけか、ククク」
地図を広げ、解析する為の設備が有りそうな場所を探す。
「北西の病院か南東の基地か…」
しかし、アクセルは東、イサムは北に向った事を思い出す。
そのまま進み、二人に会えば、今このコックピットに転がるルリの死体に気付かれると少々ややこしい事に
なるだろう。もちろん、戦闘において二人に遅れを取るとは思えないが、それでも念を押すべきだ。
「まずは首輪を取り外すとするか」
南西の市街地に向けて飛び立つレイズナー、北西の地図に描かれるような大きな病院は無くとも、
そこそこの大きさの病院ぐらいあるだろう。たとえ病院が見つからなくとも、ノコギリの一つも見つければ、
少々骨は折れるだろうが首を切断する事ぐらいはできる。
「ククク、フハハハハハハハハハハハハ!!!!」
哄笑と供に、冥府の王は蒼き流星となって飛び去った。


143 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:37:56 ID:rvz9Zg4o
【アクセル・アルマー :クロスボーンガンダムX1(機動戦士クロスボーンガンダム)
 現在位置:F-5
 パイロット状況:良好
 機体状況:右腕の肘から下を切断されている
 第一行動方針:ヴィンデルに記憶について聞く
 最終行動方針: ゲームから脱出 】

【テンカワ・アキト 搭乗機体:νガンダム  (逆襲のシャア)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:大破】

【イサム・ダイソン 搭乗機体:ドラグナー3型(機甲戦記ドラグナー)
 パイロット状況:気絶中
 機体状況:リフターが大破
 現在位置:E-4(廃墟の中)
 第一行動方針:テンカワ・アキトの仇を討つ
 最終行動方針:ユーゼスをぶん殴る】

【ホシノ・ルリ 搭乗機体:スカイグラスパー(機動戦士ガンダムSEED)
 パイロット状況:窒息死、死体は現在レイズナーのコックピットの中
 機体状況:大破】


【木原マサキ 搭乗機体:レイズナー/強化型(蒼き流星レイズナー)
 パイロット状態:秋津マサトのような性格のふりをしている。絶好調
 機体状態:ほぼ損傷なし
 現在位置:E-5から南西の市街地(D-8付近)に向けて移動中
 第1行動方針:ルリから首輪を外す
 第2行動方針:はずした首輪を解析する
 最終行動方針:ユーゼスを殺す】

【アムロ・レイ 搭乗機体:サザビー(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
 パイロット状態:良好
 機体状態:シールド、ファンネル3基破壊。装甲表面が一部融解 。
 現在位置: E-4
 第1行動方針:目立つ動きを取って敵を釣り出す   見つけたら先制攻撃
 最終行動方針:ゲームに乗る。生き残る】


144 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:39:14 ID:rvz9Zg4o
しかしマサキは知らなかった。ルリを殺害した一部始終を目撃した者がすぐそばに居た事を。
「ほう…面白い事になって来たではないか…」
「オ、オラミテハイケナイモノヲミテシマッタダ!」
ジャスティスのコックピットの中でヴィンデル・マウザーは、心底愉快そうにつぶやいた。
一度は東に向けて逃走したものの、ファトゥムがなくなり機動性が低下した今の状態では、
すぐに追いつかれる事は明らかだった。
故にアクセルが追いつく前に川の中に潜み、それからそのまま逆の方向、西に向って進んだのだ。
そして、レイズナーとスカイグラスパーを確認したヴィンデルは、奇襲の機会をうかがっていた最中、
マサキの凶行を目撃する事になったのである。
「使えるな…」
「ワカメハミタ!」
先ほどの様子はすでにジャスティスに記録してある。いろいろと使い道は有るだろう。
「まずはこれを使ってアクセルを抱き込むか?いや…」
「15ノヨルサツジンジケン」
もともと速度は向こうが勝っていると判断したからこそ、このように川の中に潜んでいるのである。
「追いつくはずも無し…か」
「ヌスンダバイクデハシリダシタノハダレ!?」
「・・・」
そろそろ、彼自身ハロに囲まれているという状況が、何も変わっていない事を思い出すだろう。
「…とりあえずこのまま西に向うか」
心身ともに疲れきった表情で、、ヴィンデル・マウザーは西に向って川底を歩みだした。


145 :狩る者、狩られる者 死に行く者、生き抜く者:2005/11/14(月) 05:41:48 ID:rvz9Zg4o
【ヴィンデル・マウザー ZGMF-X09A・ジャスティスwithハロ軍団
 パイロット状況:健康、めっちゃ脱力、ハロの下僕、しかし今回協力関係を結ぶ事ができた
 機体状況:シールドを失う、ファトゥムを失う、ビームライフルを失う
         さらにコクピット内がハロで埋め尽くされている
 現在位置:E-5から西に向って逃走中
 第一行動方針:……ハロを切実になんとかしたい
 第二行動方針:ラミア・ラヴレスとの合流
 最終行動方針:戦艦を入手する】

【時刻:23:30】

146 :漢の約束 1/3:2005/11/14(月) 10:02:44 ID:Llah1SF1
「そろそろ、休んだらどうだ?」
 それは、食事を終えた直後の事だった。
相棒――イキマの突然の言葉に、ジョシュアは肩をすくめる。
「いや、俺ももう少し起きてる・・・まだ十時前だしな」
「休めるときに、休んだ方がいいだろう?」
「その言葉、そのまま返すよ・・・
 ・・・寝なくても大丈夫って、わけでもないだろ?」
 ジョシュアがそう言うと、彼は軽く笑みを浮かべながら、言葉を返した。
「それなら、十一時まで俺が起きてるから、お前はその間に・・・」
「わかった。じゃあ、お言葉に甘えて・・・」
「待て・・・」
 突如、イキマが言葉を遮る。
何事かという顔をするジョシュアに、イキマは小声で呟いた。
「・・・白いのが一機、道のこちら側だ」
 指し示された方向を見ると・・・確かに、白い物体が上空を飛んでいる。
「よくみつけたな、あんな遠いの・・・」
「まあな・・・で、どうする?・・・声を、かけるか?」
 その言葉に、ジョシュアは僅かに躊躇する・・・
だが、すぐに顔を上げ、頼れる相棒にこう言った。
「声をかけよう・・・仲間は多いほうが良いし・・・
 それにもしかすると、あんたの探し人かも知れないしな」
 ジョシュアがそう言うと、イキマは軽く頷きかえす。
そして、彼はそのまま蒼い機体に乗り込んだ。
念のため、ジョシュアも試作2号機に乗り込み・・・
彼らは、上空を行く機体に通信を試みた。


「で・・・お前は、リョウトっていう男を探してるわけだな?」
 イキマのその言葉に、上空の機体から肯定の返事が返される。
 白銀の機体に通信を試みて数分後・・・
ジョシュア達は、その機体に乗っていた少女・・・ゼオラと情報を交換していた。
「悪いけど、俺達は知らないな・・・」
「そうですか・・・」
 ジョシュアの言葉に、少女は残念そうに呟き、黙り込んでしまう。
そのまま、居心地の悪い沈黙が続く・・・
ジョシュアは、その空気を破るべく少女に声をかけた。
「なあ、よかったら俺達と・・・」
 そう言いかけた時だった。突然、後方から爆発音が聞こえた。
見ると、森を挟んで反対側で煙があがっているようだった・・・
「誰かが戦っているみたいだ、皆で様子を見に・・・」
 言いながら目を戻すと・・・そこには光があった。


「な・・・」
イキマは、目の前の光景に動揺した。
突如、鳴り響いた爆発音。
それに気をとられた一瞬、上空の機体が腕から光を放ったのだ。

突然の出来事に混乱しながら・・・体は自然に動いていた。
自らの機体・・・蒼く、儚いといった風体のそれを、ジョシュアの機体に全力でぶつける。
次の瞬間、激しい衝撃がノルス=レイを揺すった。
「くっ・・・!おい、無事か!」
 衝撃に顔をしかめつつ、ジョシュアに声をかける。
「な、何が・・・攻撃なのか?」
「ああ、そうだ!逃げるぞ!」
 今だ混乱する相棒を叱咤し、イキマ達は森の中へと機体を潜り込ませた。

147 :漢の約束 2/3:2005/11/14(月) 10:03:14 ID:Llah1SF1
「だ、大丈夫なのか?」
 森の中を駆け抜けながら、ジョシュアは問う。
背後では上空から放たれた光が、次々と森林を破壊していた。
「・・・五分五分だな・・・逃げられんかもしれん」
「そうじゃなくて、お前の機体だ!」
 ジョシュアの叫びに、薄く笑いながら返す。
「右腕を持っていかれた」
「な・・・お、おい!」
「心配するな・・・それよりもだ・・・」
 相方にみなまで言わさず・・・イキマは言った。
「このまま、中心部へ突っ切れ!俺は奴を足止めする!」
「ば・・・馬鹿やろう!死ぬ気か!」
「その方が効率的だろ?」
「・・・それなら無傷の俺のほうが・・・」
「その、飛べない機体でか?それに・・・」
 なおも食い下がるジョシュアに、苦笑しつつイキマが答える。
「それに、お前は主催者を倒すんだろう?」
「・・・待ち合わせ場所は、北の廃墟だ!かならず来いよ!」
 その言葉に応と返し、イキマは機体を上空へと躍らせた。


「・・・逃がさないんだから・・・絶対・・・逃がさないんだから・・・」
 誰に言うでもなく、ゼオラはそう呟きながら、眼下の森を破壊し続けていた。
両腕からの光弾が地面を抉る度に、森林が姿を変貌させていく。
そして、森の半分程度を破壊したところで・・・背後から攻撃を受ける。
「まだ生きてたんだ・・・もう一機はどうしたの?」
 ゼオラは呟くのとほぼ同時に、敵機にむけて光弾を放つ。
それを危なげに交わすと・・・その脆そうな機体は、北西へ向けて逃走を始めた。
「そう、死んだんだ。なら貴方も殺してあげる!」
 蒼い機体を追いつつ、ゼオラは叫ぶ。
そしてそのまま、前方の獲物を目掛けて攻撃を放ちはじめた・・・


 闇の中を無数の光帯が走り、その合間を縫って、蒼い機体が逃走を続けていた。
「いつまで逃げる気?いい加減に死になさいよ・・・」
 と、ゼオラの呟きが聞こえたかのように、目前の機体がこちらを向いて停止する。
南北を貫く道を挟むように・・・狩人と獲物は向かい合った。
「やっと観念したんだ・・・すぐ楽に・・・」
「おい、なぜ攻撃をしてきた?」
 突然の通信。聞こえてきた問い掛けに、少女は答える。
「アラドが死んだから・・・アラドが死ぬのを止めなかったから!」
「・・・ばかやろう・・・」
 男の小さな呟き・・・それと同時に、目前の機体に異変が起こる。
その機体の背中に、白い翼が生えたのだ。
まるで天使のようなその姿に、一瞬気おされる・・・
次の瞬間、その翼から大量の羽が乱れ飛び、ゼオラの視界は白一色に包まれた。
同時に幾度もの衝撃が機体を襲い、コクピットが激しく揺すられる。
(目眩まし?違う、羽自体が攻撃なの?)
「けど、逃がしは・・・しない!」
 その言葉と同時に、両腕の光球を胸の光球の前で合わせる。
そして、眩い光が冥府の王より放たれた・・・しかし・・・

「・・・エネルギー切れ!?」
 ゼオラの予想に反し、光はすぐに薄れていく・・・
白い羽と眩い光が、ゼオラの視界から完全に消えた時、
蒼い機体は、既にその姿を消していた・・・

148 :漢の約束 3/3:2005/11/14(月) 10:04:17 ID:Llah1SF1
【ジョシュア・ラドクリフ 搭乗機体:試作2号機(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)
 パイロット状況:健康、不安
 機体状況:良好
 現在位置:G-3森の中
 第一行動方針:イキマと合流するため、北の廃墟へ向う
 第二行動方針:主催者打倒の為の仲間を探す
 第三行動方針:イキマの探し人(バラン、ジーグ)を探す
 最終行動方針:イキマと共に主催者打倒】

【イキマ 搭乗機体:ノルス=レイ(魔装機神サイバスター)
 パイロット状況:健康、不機嫌
 機体状況:右腕を中心に破損(移動に問題なし)
 現在位置:E-3廃墟地帯
 第一行動方針:ジョシュアと合流するため、北の廃墟へ向う
 第二行動方針:主催者打倒の為の仲間を探す
 第三行動方針:バラン、ジーグを探す
 最終行動方針:ジョシュアと共に主催者打倒】

【ゼオラ・シュバイツァー 搭乗機体:ゼオライマー(冥王計画ゼオライマー)
 パイロット状況:精神崩壊(ラトとタシロ、リオは死んだと思っている)
 機体状況:左腕損傷、エネルギー切れ(徐々に回復)
 現在位置:E-4上空
 第一行動方針:休める場所を探す
 最終行動方針:リョウトを殺す】

【時刻:23:20】

149 :あずけられない背中 1/3:2005/11/14(月) 13:22:56 ID:21OMQqEl
「死者は12人、禁止エリアはD-3とE-7か」

一人密林に潜んでいた相良宗介は、放送を聴いてそうひとりごちた。
死者が12人出ていることには、彼はたいした感慨を抱かなかった。
戦場では当たり前のことである。むしろ少ないくらいだった。

だが、禁止エリアについてはそうはいかない。今回は運良く自分の所在地ではなかったが、いつもそうとも限らない。
いざ指定されてから、まったく土地観のない場所に出るわけにもいかない。

「この森の周囲は把握しておくか」

そう呟いてミラージュコロイドを起動し、ブリッツガンダムは静かに動き出した。

安全のため、ある程度探索してはミラージュコロイドを解除して小休止。また起動して探索、ということを繰り返して、すっかり夜もふけ

てきた頃。宗介は森の外周まで出てきていた。
一旦ミラージュコロイドは解除して、(今日の探索はこれくらいにするか?)と考えていた宗介の耳に、爆音が聞こえてきた。

「戦闘が行われているようだな。巻き込まれないように遠ざかるか、近寄って機体を見ておくか・・・」

しばし迷って足を止める宗介。そのおかげで、彼は気が付いた。このあたりは木々もまばらで地面は広い。
だが、なぎたおされた木と広範囲にわたって地面を掘り返したような跡はなんだろうか?
こんな跡を付けられるのは、自分と同じようなロボットに乗っているものだけではないか。
では何故地面などを掘り返したのか? 彼はあたりに最大限の注意を向け始めた・・・。



「また戦闘を始めたようだな。まあ、ここは高みの見物といくか」

ガストランダー形態で地中に潜っていたウルベは、ゼンガー達のいる方向から爆音が聞こえてきても特に動く気は無かった。
ゼンガーが気絶している今、シンジ一人では生き残ることは難しいだろうが、ならばなおのこと。
敵の戦力が分からないのに、ノコノコ出て行く必要はまったくなかった。
戦闘が終了するのを待つことに決めたウルベだったが、その時、上に突然何かの機体が出現したのに気が付いた。

「なにっ!? この距離まで気が付かないとは・・・」

接近されたのはミラージュコロイドのステルス能力のせいなのだが、地中のウルベにそこまでは分からなかった。

「まあ、地中の私に気が付くこともないだろうが・・・上にとどまられては多少厄介か」

その機体はとりあえず動く様子がなかったが、あまり動かれないのも困る。
対策を思考していると、若い男の声が響いた。

「そこにいるのは分かっている。姿を見せろ」

150 :あずけられない背中 2/3:2005/11/14(月) 13:24:19 ID:21OMQqEl
結局のところ地面のあとが何を意味するのかは宗介には分からなかった。
何かの罠という可能性はあるが、少なくとも周りに他の機体がいる様子はなかった。

(この機体のような装置を積んでいれば別だが・・・それよりは地雷のたぐいか?)

ミラージュコロイドを解除してしまった以上、周りに敵がいるとすれば自分のことに気付かれてしまっただろうし、見られているかもしれ

ない状況でもう一度ミラージュコロイドを使うのは論外だった。手の内は極力さらすべきではない。
そこで宗介はかまをかけてみることにした。敵がいないのなら良し、いるにしても今より状況が悪くなることはないだろう。

「そこにいるのは分かっている。姿を見せろ」

すぐには何も起きず、(やはり地雷か・・・?)などと宗介が思い出したころ。相手は彼が想像だにしないところから現れた。
つまり、目の前の地面から。

「よくこちらに気が付いたな・・・降参だ」

地面の下から登場した巨大な戦車型の機体から、男の声が聞こえてきた。



若い男の呼びかけに対し、ウルベはしばし悩んだ。地中を移動して逃げることも考えたが、移動速度はさほどでもないし、下手をすると居

場所を知らせるだけになりかねない。
といって、ずっと地中にいたのでは狙い撃ちにされる危険もある。

(やむをえんか。こいつが使えるようなら手駒に加えてもいい。警告してくるような奴であれば即戦いにはならないかも知れんしな) 
舌打ちしつつウルベは地上に出ることを選択した。出ると同時に

「よくこちらに気が付いたな・・・降参だ」

と声をかけ、相手の機体を確認し彼は驚愕した。

(ガンダム、だと!?)

彼の世界での力の象徴、ガンダム。目の前の相手はそれに乗っていた。やや細身ではあるが、見たことのない形状でどんな奥の手があるか

わからない。

(うかつにはしかけられんか)

相手からの返答はない。ガンダムであるなら戦力的にも問題ないだろう。ウルベは懐柔に動くことにした。

「地中の私に気付くとはすばらしい腕だ。見ての通り地中に潜むしか能のない機体でね。私の名はウルベ・イシカワ。ここで争いたくはない

、手を組まないかね」

151 :あずけられない背中 3/3:2005/11/14(月) 13:32:44 ID:21OMQqEl
巨大な機体が地中から表れたことに驚愕していると、相手から再度呼びかけがなされた。

「地中の私に気付くとはな。見ての通り地中に潜むしか能のない機体でね。私の名はウルベ・イシカワ。ここで争いたくはない、手を組まないかね」
(ふむ・・・少なくとも不意打ちの意思は無いようだな)
隠れ家からわざわざ姿を現した相手をそう分析する。そして、その形状・サイズから想像される装甲の厚さにも思い至る。
(致命打を与えることは難しいか? しかし、スピードではこちらに分があるな)

「手を組んでどうする。生き残れるのは一人だけだ」
「その通りだ。だが、一つ方法がある。あのユーゼスとかいう男を倒せばいい」

その通りではあった。だがそれで元の世界に戻れるという保証はない。それに・・・
「地中に潜るほか能のない機体で、空にいる戦艦にどう対処する?」
 付け加えるなら。信用する理由がまったくない。


交渉は難航しそうだった。ゼンガーやシンジと違い、この相手はまったくこちらを信用する様子がない。このような相手になら、むしろ力を見せた上で協力させた方がよいかもしれない。

「しかたがない・・・これは秘密にしたかったのだが。信用してもらうためにもこの機体の真の姿を見せるとしよう」

そう呼びかけつつウルベは機体をウイングガストへ変形させた。
「なんだと・・・!?」
 右腕を構えつつ距離をとるガンダム。臨戦態勢といっていいだろう。攻撃される前に再度話しかける。
「見ての通りだ。この機体は飛行形態を取れる。いかがかな? これならば上空の戦艦にも届くやも知れん。だがこれ一機では力不足だ」
 相手は警戒を緩めない。いよいよ実力行使しかないか、という考えがちらりと頭を掠めた時、返答があった。
「いいだろう。話を聞こう」


見る間に戦車は戦闘機へとその姿を変えていた。慌てて飛びすさり、警戒態勢をとるももう相手は変形を完了してしまっている。どうやら機動力でも上を行かれてしまったようだった。

「見ての通りだ。この機体は飛行形態を取れる。いかがかな? これならば上空の戦艦にも届くやも知れん。だがこれ一機では力不足だ」

相手は手の内を一枚見せた。まだカードを隠し持っている可能性が高い。こちらにも切り札があるが、それでも互角といくかどうか。
戦うのは得策では無さそうだった。といって、戦闘機から逃げ切れる道理もない。なにより、相手に今のところ戦う意思は無い。信用できない、まったく信用できないが。

生き延びるために利用することくらいはできるかもしれない。

「いいだろう、話を聞こう」
「感謝する。貴殿の名前は?」
「宗介・・・相良宗介だ」

お互いまったく相手を信用していない。はじめから失われているようなコンビがここに結成された。


【相良宗助 :ブリッツガンダム(機動戦士ガンダムSEED)
 パイロット状況:健康
 機体状況:良好
 現在位置:H-3
 第一行動方針:ウルベには気を許さない
 最終行動方針:生き延びる。戦いも辞さない】

【ウルベ・イシカワ 搭乗機体:グルンガスト(バンプレストオリジナル)
 パイロット状態:良好
 機体状態:良好
 現在位置:H-3
 第1行動方針:状況を混乱させる(宗介を利用する)
 最終行動方針:???】

【時刻22:30】

152 :骸は語る:2005/11/15(火) 02:33:02 ID:l4RIBpAd
作戦通り森の端に沿って移動し続けて5時間余り。
森が途切れてフォッカー達の視界にD−4の廃墟地帯が見えてきたのは、もう日もとっぷりと暮れた頃だった。
もちろんフォッカーのアルテリオンだけならもっと速く移動できたのだが、
司馬遷次郎のダイアナンAの歩調に合わせていたら思ったより時間がかかってしまったのである。
そのダイアナンAへ向けて、フォッカーは通信回線を開いた。
「司馬先生、もうあたりも暗くなってきました。ここらで一旦腰を落ち着けませんか?」
「そうだな、フォッカー君。夜間の移動は危険だ。……しかし、結局他の機体には出会わなかったな」
「そうですね……幸か不幸か」
平原を移動してきたという事は、それだけ他の機体に見つかる可能性も高いはずなのだが、
この5時間、二人は一度も他の機体と接触することは無かった。
危険な状況に陥らずにすんだという点では確かに幸運だったと言えるかもしれないが、
仲間を増やすチャンスも、また首輪を手に入れるチャンスも無かったということはむしろ不幸と言えないこともない。
コクピットの中でフォッカーは軽くため息をついた。
「で、どうします? まさか平原のど真ん中で野宿って訳にもいかんでしょう」
「それなんだがね、フォッカー君。私はあの廃墟地帯へ行くべきだと考えている」
遷次郎の発言を聞き、フォッカーの中に疑問が生まれる。
「廃墟っていやぁ、待ち伏せにはもってこいの場所ですよ。何でわざわざ?」
「だからこそだよ。敵が待ち伏せを警戒して近づいてこなければ、我々も少しは落ち着いて休息できるというものだ。
 無論、君には先に行って先客がいないか偵察してもらう事にするが」
「そういうことなら了解です。俺のいないうちに撃墜されないでくださいよ」
眼下のダイアナンAに一瞬目をやってから、アルテリオンは一足先に廃墟へと飛んでいった。

レーダーに何も反応がないことを確認し、遷次郎を呼び寄せてから数分後。
二人は廃墟の中の開けた場所(おそらく廃墟になる前は広場か何かだったのだろう)で休息していた。
月は雲に隠れ、辺りは闇と静寂に満ちている。
フォッカーと遷次郎は、これからの作戦を話し合った。
とりあえずこの廃墟を拠点として行動し、接近してきた機体にはまず通信してみること。
話を聞く気があるのなら説得して仲間にし、攻撃してきたら反撃で機体を行動不能にして――
(パイロットを引きずり出して殺してから首をちょん切る、か。そんなサイコな趣味はないんだがな)
そうするしかないとはいえ、フォッカーにとってはあまりにも気乗りしない作戦だった。
「どうにか他の方法で首輪を手に入れられはしませんかね?」
「まず無理だろうな。さすがにそんなに都合のいい展開が起こるとは思えん」
「ですね……」
観念して、フォッカーはモニター越しに辺りを眺めた。
暗くてあまりはっきりとは見えないが、時々雲の隙間から差し込む月光でなんとなく何があるかは分かる。
その中に、キラリと光るものがあった。
「……………………?」
カメラをズームにして良く確認してみる。それは、直径10センチ前後のリング状の物体で――
「…………司馬先生、あれ」
「? どうかしたかね、フォッカー君」
「あれって、首輪じゃありませんか?」
「ははは、まさかそんな…………本当だ」
信じられないほど都合が良すぎる展開。二人の探し物は、目と鼻の先に転がっていた。

153 :骸は語る:2005/11/15(火) 02:34:04 ID:l4RIBpAd
「とりあえず、拾って確認してみよう」
遷次郎がダイアナンAを動かして首輪に近づくのを見て、フォッカーは慌てた。
「危険ですよ、司馬先生! 何かの罠だったら」
「わざわざ首輪だけを使ってトラップを仕掛けるような回りくどいことをする事に、メリットなど無いだろう?」
「それはそうですが……」
駄目だ。完全に研究者の目になってしまっている。
今の遷次郎に何を言っても無駄だと、フォッカーは悟った。
(しかし……)
どう考えてもおかしい。
普通に考えれば、戦闘で機体が破壊されたとならばパイロットもそのまま爆散して原型など留めない。
首輪だけが落ちているというのは、どうも無理がありすぎる。
つまり、誰かが意図的に他の人間の首を切断したとしか――


その時雲が晴れて、月光が辺り一帯を照らした。


「……うっ!?」
「…………こいつは…………」
脳が現実を認めるのを拒否する。
フォッカーは、胃液が喉の奥からせり上がるのを感じた。
遷次郎のほうも、さっきまでの興奮が嘘であるかのように黙り込んでいる。
二人が見たのは、あまりに猟奇的な光景。
まるで内側から引き裂かれたかのような異常な壊れ方をした機動兵器の残骸の前に、男が倒れていた。
いや、正確にはかつて男であったはずのモノが。
その周りを満たす血の海は、すでに地面に染み込んで赤黒い色を晒している。
そして、その男には――
その男には、首から上が無かった。

154 :骸は語る:2005/11/15(火) 02:35:55 ID:l4RIBpAd
それから数分後。フォッカーは周囲を偵察していた。
結局、死んでいた男を殺した人間の痕跡は見つからなかった。
どうやら、首から上を強い力で吹き飛ばされ、その時に首輪が外れたらしい。
これ以上調べても無駄という事で、遷次郎はさっそく首輪の解析に取り掛かったのだ。
身動きの取れない遷次郎を敵の襲撃から守る為、敵機が接近する前に発見して連絡するのがフォッカーの役目である。
アルテリオンのコクピットの中で、フォッカーは死んでいた男の事を考えた。
その男がかつてこの世に生きていた頃『B・D』と呼ばれていた事も、
彼が異形の存在『ベターマン』によってその命を絶たれた事もフォッカーは知らない。
彼の骸が語るのは、とあるシンプルな事実。
殺す者と殺される者。勝者と敗者。勝者は生き永らえ、敗者は無残な屍を晒すのみ。
この狂ったゲームの現実だった。



【ロイ・フォッカー 搭乗機体:アルテリオン(第二次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状態:良好
 機体状況:良好
 現在位置:D−4
 第一行動方針:身動きの取れない遷次郎を敵から守る
 第二行動方針:ユーゼス打倒のため仲間を集める
 最終行動方針:柿崎の敵を討つ、ゲームを終わらせる】

【司馬遷次郎(マシンファーザー) 搭乗機体:ダイアナンA(マジンガーZ)
 パイロット状態:良好。B・Dの首輪を入手 
 機体状態:良好
 現在位置:D−4
 第一行動方針:首輪を解析する(成功するかは不明)
 第二行動方針:信用できる仲間を集める
 最終行動方針:ゲームを終わらせる】

【時刻21:40】

155 :ZEST SEVEN:2005/11/15(火) 19:45:11 ID:5UJQ7ItP
カラン……
疲労も落ち着き、B-3の地点に戻ってきたディス・アストラナガンは落していたZ・Oサイズを拾う。
ガンスレイブの補充には至っていないものの、竜王機に受けたダメージはもうほとんど再生している。
「さて、これからどうするかな……」
フム、と独り言をこぼすクルーゼ。彼は狂気の男でもあるが、同時に冷静な男でもある。
「南に、いたような気もするが……」
彼は潜伏していたときに、南に機体の反応のようなものを見つけていた。
薬の時間をチェック。あと20時間は服用しないでいい。
「行ってみないことにはなんともいえんな」
バサリ、と大きな翼を広げ、ディス・アストラナガンは悪意を撒き散らすために空に浮き上がった。

「これは!?」
「ん……ブンちゃん一体どうしたの?」
見張りのためレーダーを見ていたブンタにうつらうつらしていたミオが話しかける。
「レーダーに反応があります!しかもこの辺一帯にまっすぐ凄いスピードで飛んできています!」
「まっすぐ、だと?それは相手がおそらく気付いているな」
マシュマーが経験に基づいて説明する。
「相当の素人ならともかく、それほどのスピードでまっすぐ迫るとなったら、相手に気付いている場合だけだ。しかし、この戦いに乗っているのか、それとも助けを求めているのか……」
「マシュマーさん、どうするの!?」
「最悪の事態を心がけて動くのがジオン兵の基本。相手が襲い掛かってくる場合、私とミオ・サスガの機体では……残念だが危険だ。隠れるしかない」
「ということは僕が上に出て接近する機体の相手をするんですか?」
「そうなるな……すまない」
「で、でも私たちにもできることがあるんじゃ……」
おじおずとミオが進言するが、マシュマーはそれを却下。
「隊において弱者は悪。なぜならば戦いにおいて一人の愚者が隊全体を死に追いやることがよくあるからだ。私たちが手を出すことで余計危険になることはさけねばならん。」
「わ、分かったわ……」
「分かったのなら急いで隠れろ!いつも行動は迅速にを心がけるんだ。そちらはエンジンを温めていつでも行動できるようにして川の上3mくらいにいるのがベストだ。聞いて答えなかったらすぐに避ける準備をしろ」
司令官さながらにマシュマーが命令を飛ばす。


156 :ZEST SEVEN:2005/11/15(火) 19:45:51 ID:5UJQ7ItP
そして魔の時が訪れる。
「やはりまっすぐ飛んできますか……」
それを見てブンタが静かにつばを飲む。緊張が体に広がっているのがよく分かった。
もう目視できる。黒い機体が翼を広げこちらに向かってきていた。
「そちらの機体にご質問させていただきます!そちらは戦いをどう思ってますか!」
ブンタが呼びかけるものの、まったく答えが返ってこない。
突然黒い機体は銃のようなものを取り出し、ドッゴーラに銃を打ち込んでいた。
「危ない!マシュマーさんの言うとおりしておかなければ危険でしたね……」
ギリギリのところでドッゴーラはそれをかわす。
「マシュマーさんの言っていたことを思い出しましょう……!」
そう言って静かに目をつぶる。
(打ってきたら……残念だが躊躇するな。全力でかからねば勝てる敵も勝てなくなる。)
「いきますよ!」
ビームガンを相手に打つが、あっさり相手もそれをかわす。
「まだまだ!」
ひたすらビームガンの連射。基本的をドッゴーラにはそれしかない。しかし、これは巨体の割りにEN効率もいい。
これか繰り返しつつ、気付かれないようにじょじょに接近、一気に撒きつきで動きを止める。
これがブンタの考えた戦い方だった。後ろに下がれば2人が見つかったり、流れ弾でダメージを受けるかもしれない。前進に主眼を置き、かつ殺さない戦い方。これ以上はないだろう。
「…………」
クルーゼも無言。うすうす作戦には気付いているが、引っかかる所があるからだ。
あえて相手の作戦に乗り、ラアムショットガンのみを使い、牽制するかのように戦う。
ガァン!
「うっ!ですがまだ負けませんよ!」
後ろにいた2人のことも考え、避けることではなく耐えることに比重を置くブンタ。ショットガンが肩口に当たるが、前進をとめない。
「……なるほど」
しかし、ブンタはクルーゼが薄く笑ったのには気付かなかった。


157 :ZEST SEVEN:2005/11/15(火) 19:47:04 ID:5UJQ7ItP
(よし、このままでしたら……)
しばらく続き、確実に、堅実にドッゴーラがディス・アストラナガンに近づく。ショットガンが肩口に当たってから、なぜかディス・アストラナガンの攻撃は弱まっており、あと10m。
それだけ近づけば巻きついて勝負を決することができるだろう。しかし、不思議に思うことがあった。
相手の力量は機動兵器に乗ったことのないブンタでも一流と分かる。いなすように避け、一瞬の隙を突く。生身でもそれは難しいことだ。
それを目の前の兵器は行っている。
「なぜゲームにそれほど高い腕を持つあなたが乗っているのですか!?力を合わせれば主催者を倒すことも出来るかもしれないというのに!」
「主催者など、どうでもいいのだよ!等しき運命の破滅を人に与えられればそれでいい!」
「あなたって人は!!」
「癇に障るセリフだな!君も、ずいぶんあんまりじゃないかね?一度声をかけて、すぐに応戦してるじゃないかな!?」
「そ、そうですが、」
「いや、それともすぐに応戦しなければならない理由があったのかな!?例えば後ろにいる仲間を守るためかね!?」
「「「!!」」」
3人が同時に凍りつく。
ディス・アストラナガンは森のある一点を狙いラアムショットガンを撃つ。
「え、ええ!?」
何かがいきなりそこを動いた。ボスボロットが森から現れたのだ。
「くっ!」
ドッゴーラが素早く盾になるために割り込もうとすると、
ヒュン……ヒュン……
何か小さいものがドッゴーラの周りを回っている。それは一斉に光を吐き出した。
ガンスレイブを牽制合戦のときにこっそり射出し、闇に紛れ込ませていたのだ。
「うわああああぁぁぁ!!?」
腕を組み、防御の姿勢をつくって耐えるドッゴーラ。
「少し君には眠っていただこうかな?」
いつの間にか後ろに回っていたディス・アストラナガンがZ・Oサイズを抜き出し、先ほどダメージを受けたドッゴーラの肩口に刃を滑りこませる。大きく切り裂かれるドッゴーラ。
「システム異常!?」
小さな爆発を起こし落下するドッゴーラ。それですんだのは幸いだったかもしれない。
「さて……」
ディス・アストラナガンはボスボロットのほうに向きなおし、肩を展開。
「メス・アッシャー、フルシュート!!」
ボスボロットでは避けようとしても、分が悪い。ちょうど進行方向に向けてメスアッシャーが放たれる!
「嘘……そんな……」
威力を見れば食らったときどうなるか分かる。避けられないことも分かる。
ミオは咄嗟に目をつぶる。


158 :ZEST SEVEN:2005/11/15(火) 19:48:11 ID:5UJQ7ItP
閉じた目を通して強い光が分かるが―――
「―――?」
ボスボロットに届かない。ミオが目を開けると―――
「ネッサーバリア、全開!」
なんとあれほどの熱量のビーム砲を小柄なネッサーのバリアが防いでいる。
「マシュマーさん!」
「ミオ・サスガ!急いでここからどけ!」
「で、でも……」
「でも、もない!私は大丈夫だ!急いで離脱しろ!うおおおおおおおおお!!」
ネッサーのエンジンを限界まで回し、すべてのエネルギーをバリアにまわしている。
「…………!」
急いでボスボロットはそこから離脱。
「私はもう大丈夫!マシュマーさんも……ッ!」
ミオが振り返る。そこには無残な姿のネッサーがあった。バリアは押し返され、首はもうバリアの外にあり、どろどろに溶けている。
「マシュマーさん!大丈夫じゃなかったの!?」
泣きそうな声でミオが叫ぶ。
「ミオ・サスガか……ハマーン様に先に逝くことをお許しくださいとお伝えしてくれ……!」
メスアッシャーの熱気のせいか、マシュマーはまるで熱病にでもかかっているかのように凄い量の汗をかいている。
「いやだよ!あれほど言ってたじゃない!ハマーンさんに会うって!どうしてあたしを庇ったの!?」
「子供のようにわめくな、ミオ・サスガ。弱いものを救うのは騎士の役目だろう?」
憔悴しきった顔で笑ってマシュマーが言う。
「では、頼むぞ!」
マシュマーははっきりそう言った。
ジュ……
決壊に耐えていたダムが崩れるように、バリアが溶けると同時に熱線がネッサーを包んだ。
「いやぁぁーーーーー!!」
ミオの叫びがその場に響いた……
「悲しむことなどないのだよ!君も破滅を受け入れたまえ!そうすればすぐに同じところに送ってあげよう!!」
クルーゼはそれを見て興奮しているのか、上擦った声を上げてZ・Oサイズを振り上げ、ボスボロットに迫る!
肩からメスアッシャーを長時間撃った反動か、煙を上げながらぐんぐん近づくディス・アストラナガン。
「もらっ……」
「やらせませんよ!」
鎌を勢いよく振り上げたとき、システム異常が治り、ドッゴーラが地面をこするように突っ込んでくる。
思い切り肩からドッゴーラがディス・アストラナガンに体当たりを仕掛ける!ぶつかった反動でドッゴーラの肩が砕け、バラバラになる。しかし、そんなことを気にせず、テールラッドを素早く巻きつけた。
「……捕まえ、ましたよ」
疲れた声でブンタが言う。
「捕まえた、か。ハハハ……」
「何がおかしいのよ!あなたのせいでマシュマーさんが……」
「そうだ、その通りだ。だから笑っているのだよ。そのマシュマーを殺した私が憎いのだろう?何故私を殺さないのだ?」
「何を言うんですか……!」
語尾を強くし、テールラッドに加える力も強くするブンタ。しかし、押しつぶすまでは行かない。
「甘い!実に甘いな!!それでは足元をすくわれても仕方がないな!!」
「突然何を!」
「……!!ブンちゃん!胸!」


159 :ZEST SEVEN:2005/11/15(火) 19:49:25 ID:5UJQ7ItP
ミオに指摘され、ブンタがディス・アストラナガンの胸を見る。
そこには紫に近い色の赤が胸からもれている!!
ブゥン!!突然ディス・アストラナガンの体の回りに謎の斥力が発生し、テールラッドを緩ませる。
すかさず機を逃さず逃れ、距離をとるディス・アストラナガン。
「テトラクティス・グラマトン……!!」
クルーゼも意味は分からない。しかし、頭に直接に響く「意思」に従い詠う。
「アイン・ソフ・オウル!!」
ディス・アストラナガンの胸が突然開き、なにかドロドロにかものの塊のような、呪わしい黒い塊が発生し、それが閃光となりドッゴーラを射抜く。瞬間、ドッゴーラは謎の力で固定され、クォヴレーのように20個近くとはいかないが、周りに4つの球体が回り始める。
「ブンちゃん!機体を捨てて逃げて!」
ミオはブンタに通信を開き、そう訴えようとしてたが、
「う、……ああ、ううっ!」
ブンタは何かに強くおびえておりはっきりとした答えを解さない。
「ブンちゃん!ブンちゃん!」
「あ、ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
周囲の球体が高速で回転し始めたとき、ブンタは何かに驚愕するように目を見開き、叫び声を上げる。
「さぁ虚無に帰れ!!」
クルーゼのその言葉とともに、4つの球体はドッゴーラの体にぶつかり―――ドッゴーラの体は最初から何もなかったとでも言うように空洞になった後、爆発した。
「ハハハハハハハハハハハ!!!」
クルーゼの狂笑が轟く。
「ブンちゃん!ブンちゃん!」
もはや砂嵐しか写さない通信機にミオは叫ぶ。
「さて、三度目の正直という奴だな。大人しく破滅を受け入れたまえ」
「――――――!」
鎌を構えてゆらりとボスボロットに近づくディス・アストラナガン。
急いでボスボロットも逃げようとするが、
ザクリ
実に軽い音を立ててボスボロットは両断された。両断された機体の中には、白目をむき、ピクピクと痙攣する蒼い髪の少女の死体が左右一対があった。
「幕引きには少し寂しいが、仕方がないな」
そう言ってまたクルーゼは飛び去った…………


160 :ZEST SEVEN:2005/11/15(火) 19:49:57 ID:5UJQ7ItP
マシュマー・セロ 支給機体:ネッサー(大空魔竜ガイキング)
 機体状況:消滅
 パイロット状態:死亡
 現在位置:B-5

【ミオ・サスガ 支給機体:ボスボロット(マジンガーZ)
 機体状況:真っ二つ
 パイロット状態:死亡
 現在位置:B-5
 

【ハヤミ・ブンタ 支給機体:ドッゴーラ(Vガンダム)
 機体状況:爆発
 パイロット状態:死亡
 現在位置:B-5

【ラウ・ル・クルーゼ 搭乗機体:ディス・アストラナガン(第3次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状況:絶好調
 機体状況:装甲若干破損、、ガン・スレイヴ1/2消耗
 第一行動方針:獲物を探す
 最終行動方針:あらゆる参加者の抹殺
 現在位置:B-5の森から移動中

【時刻 21時30分】


161 :それも名無しだ:2005/11/15(火) 19:55:18 ID:5UJQ7ItP
あ、忘れてた。謎の斥力の正体はディフレクトフィールドです。
もしも管理人さんが見てらっしゃったら、

ブゥン!!突然ディス・アストラナガンの体の回りに謎の斥力が発生し、テールラッドを緩ませる。
その正体は――ディフレクトフィールド。ディスアストラナガンのバリアのクルーゼは変則的に使用したのだ。

と一文はさんでくれれば幸いです


162 :場-tekiou-:2005/11/16(水) 10:12:13 ID:HuG774xS
 闇。全てを包み込む漆黒の衣。それは恐怖と安らぎ、相反する性質を内包する自然の抱擁。

 ゲームが始まってから約半日。はたして幾つの生命が、その輝きを奪われたのだろうか?
そこには永遠とも一瞬ともいえる激闘の末に、輝きを奪われた鋼鉄の巨人が大地に横たわっていた。 
奪いしは雷の巨人。奪われしは鉄の巨人。ここには奪う者と奪われる者しかいない。
 既に雷の巨人は何処へと去り後、辺りは穏やかな静寂を取り戻していた。静かな虫達の
歌声が平原を覆い尽くすかのように、倒れし鉄の巨人を葬送するかのように響いていた。
 それは現れた。愛らしい血まみれのぬいぐるみが、まるでずっとそこへ居たかのように。
ゆっくりと踏み潰された巨人の頭頂部へ歩み寄ると、半刻ほど前まで人であった欠片を引きずり
出しでもしたいのか、邪魔をする歪んだ鉄板を力ずくで引き剥がし始めた。
 そして淡く光る何かを見つけ、それを手に掴む。次の瞬間、それは起こった。

 鉄の巨人の眼に光が宿る。既に巨人に意思を与えるべき者は肉片と化しているはずだった。
それでも両眼から確固たる意思、胸に『魔』の輝きを放ち、魔神皇帝は再び立ち上がった。
己の拳ほどもないぬいぐるみの眼前で、巨人は両腕を挙げ、高らかに吼えると鋭い眼光を
投げかける。それには明らかなる殺意と、そして虚ろなる寂しさが宿っていた。
 ぬいぐるみは咆哮に答えるかのように、膨れ上がり弾け、異形の存在へと姿を変えていった。

163 :場-tekiou-:2005/11/16(水) 10:12:44 ID:HuG774xS
「…ネブラか、面白い選択だ。だが、それでは魔人皇帝には勝てまい…」
 あらゆる状況に最も適した形態に転移する生命体ベターマン。しかしネブラへの変身は
ベターな選択ではない、とゲームをモニターしていたユーゼスは苦笑する。
 ベターマン・ネブラ。ネブラの実を食する事で変身する、ベターマンの汎用戦闘形態である。
その独特のフォルムを表現するのならば、怪鳥の様な頭部と長い首を持つ、細身の竜戦士とでも
言うところか。その大きさは6m弱、マジンカイザーの三分の一以下である。先立って変身した
最強戦闘形態フォルテに比べ、力不足なのは明白。飛行能力くらいしか優位点は見当たらない。
現にネブラはマジンカイザーに苦戦していた。高速飛行で撹乱するも必殺のソニックヴォイスが
大きな効果を上げず、徐々に押され始めていた。元々ベターマンは対生物戦で真価を発揮する。
生態部品を含むEVAならともかく、鋼鉄の巨人相手には苦戦を間逃れない。 
「出し惜しみ…でございましょうか?」
 傍らのラミア・ラヴレスが口を挟んだ。ベターマンは変身にアニムスの実を必要とする。
その種類は様々であるが、ベターマン・ラミアはフォルテ、ネブラ、アクアの実を使用する。
数に限りがあるのだから、今後の為に出し惜しみするというのも考えられた。仮にユーゼスを
倒す事を考えているのなら、飛行できるネブラと最強戦闘形態のフォルテは残したいはずだ。
(ボン太相手にフォルテを使い、今更出し惜しみとは…。オルトスを見せないつもりか)
 フォルテ3個から特殊精製されるオルトスの実が持つ、不死身とすら言える再生進化の力は、
ユーゼスが解明したい物の一つであった。

 劣勢となったネブラは漆黒の闇を舞い上がり、退路を東へと取った。傷を負っているのか、
魔神の追撃を引き離せない。ソニックヴォイスで牽制しては、組み付かれる事を阻止している。
「意外としつこいですわね、マジンカイザー。何か妙な改造したのですか?」
 神にも悪魔にもなれる力を与える魔神。そして悪しき心の魔神を倒す為に生み出された皇帝。
しかしラミア・ラヴレスには、マジンカイザー自身が悪の心を持った様にしか見えなかった。
「別に何も。このゲームの為に私は完璧なるレプリカを用意したのだよ」
 手抜きレプリカ(ゼオライマーやダンガイオー等)製作の事実を因果地平の彼方にある棚へ
上げ、ユーゼスは平然と言ってのけた。確かに魔神皇帝に関しては完璧なレプリカと言えよう。
本来の皇帝が操縦者不在でも、その製造目的「悪の魔神打倒」を果たす為に自らの意思で戦う。
同様に、このゲームの為に生み出された悲しき皇帝は、自らの意志で「他の参加者の打倒」と
いう役目を果たしているだけだった。操縦者を失った今、それを止める術はない。
「あら、とうとう捕まっちゃったですわ」
 戦い始めの場所から東の海上、ついに魔神皇帝に組み付かれ苦しむネブラの姿があった。
「奴の選択はベターではなかった。それだけだ」
 魔神がネブラの首を力任せに握り潰した。

164 :場-tekiou-:2005/11/16(水) 10:14:21 ID:HuG774xS
 ……いるよ……

 人知を超えたモノの闘いに決着が付いたかに見えた。
ネブラの首を潰し、翼を引き千切り、それでも満足しないのか、魔神は執拗に攻撃を続ける。
飛び散る肉片が波に飲まれ、海は変色していく。

 ……来るよ……

 ようやく満足したのか、トドメの爆炎を放とうとした瞬間、ネブラが黒く変質し崩れ落ちた。
陽光を浴びた吸血鬼が灰と化なるように。穏やかだった海も何時の間にか荒れ狂っている。

 ……あなたの後ろに……

 荒れ狂う波間に見え隠れする異形の影。高波が魔神を嘲笑うかのように視界を奪う。
影は標的を見失った魔神の無防備な背中を捉え、そのまま海中へと引きずり込んだ。

 ……ベターマン……

 まるで巨大なエイのような姿。鋭利な外殻を持つ水中戦闘形態ベターマン・アクア。
大半のロボと同じく、魔神もまた水中では真価を発揮出来ない。
海中の魔神は浮上しようともがくが、水の支配者たるアクアはそれを許さない。
その鋭利な体を繰り返し背後から叩きつけて行く。反撃に撃ち出される鉄拳もミサイルも
海中を時速千km以上で行動可能なアクアにとってはスローモーションでしかなかった。

 魔神は沈んでいった。深い深い光の届かぬ海の底へ。
ベターマン・ラミアは魔神の破壊を早々に諦め、翼を砕く事で深海へと封じ込めたのだった。

 アクアから分離したベターマン・ラミアは、母なる海に抱かれて浮遊していた。その瞳が
何を見つめているのか、誰も知らない。そして悪夢のようなゲーム初日が終わろうとしていた。

【ベターマン・ラミア 搭乗機体:ボン太君スーツ(フルメタルパニック! B・Dからルート)
 パイロット状態:消耗(実を食べれば直る。それ以外では休息が必要)
 機体状態:なし(ポン太君スーツはネブラへ変化の際に大破)
 現在位置:B-3の海面を仰向けで浮遊(休息中)
 第1行動方針:アルジャーノンが発症した者を滅ぼす
 第2行動方針:オルトスの実を生成する
 最終行動方針:カンケルを滅ぼす
 備考:フォルテの実 残り2個 アクアの実 残り1個 ネプラの実 残り2個】

【マジンカイザー(αシリーズ準拠) 
 パイロット?状態:「魔」モード(対参加者攻撃)
 機体状態:パイルダー再生中、スクランダー完全破壊
 場所:A-3の深海(単独での脱出は困難)
 行動指針:モードに従う
 備考:操縦者が乗れば「Z」モードへ変更】

 【時刻23:55】

165 :それも名無しだ:2005/11/16(水) 12:31:14 ID:HuG774xS
「場-tekiou-」について武装(技)名称の誤記がありました。
誤:ソニック・ヴォイス  
正:サイコ・ヴォイス

私は何を勘違いしていたんだろう?見直しが足りませんでした。

166 :熱血コンビと美少女(自己申告):2005/11/18(金) 00:07:06 ID:A+Lv2wOx
「ここらで朝まで休憩するとするか。肝心な時に眠くちゃどうしよもないからな」
 流竜馬は、同行する二人に声をかけた。下手に動いて夜間戦闘をする危険性を考えると、
放送の後、禁止地域を確認して睡眠を取るのが最善と判断していた。
「えぇー!まだまだ大丈夫ですよぉ!」
 同行するアスカが抗議の声を上げた。彼女は少しでも早く目的の少年を見つけたいらしい。
焦る気持ちは分かるが「休息も大事な戦略」だと説き伏せる。
「そう、だぞ! ガール、寝不足は、美容の大敵、だぞ!」
 ハッターが多少的外れな論理で説得を試みている。多分、からかっているだけだろう。
「…お子様扱いしないでください!」
「これは、失礼! フロイライン・アスカ! で良いかな?」
「…ダンケシェーン」
 アスカは自分達と出会う前に、参加者に強襲されたらしい。何とか振り切ったようだが、
その時の経験から先手を打って挑みかかったそうだ。
(きっと恐かったんだろうな。俺も最初はそうだった…)
 そういう時ほど疲労を感じ難い。興奮状態の時は良いが、時間と共に疲労は大きくなって
肝心な時に体の自由を奪う。十分に休ませた方が今後の為だろう。
「俺達が順番に見張りをするから、惣流君は休んでくれ。何かあったら直ぐ起こす」
 今後、睡眠が取れるとは限らない。眠れる時には眠っておく事が得策だった。
「いや、見張りは、任せろ!この俺は、食事も!睡眠も!必要としない!24時間全開だ!」
 ハッター、こういう時に頼もしい男だ。伊達に軍事迷彩はしていないなと、感心する。
「では、お言葉に甘えて休ませて貰おう。惣流君、少しなら非常食があるが食べるかい?」
 どういう理屈かハッターは、食事・睡眠を必要としないそうなので、アスカに勧めてみた。
取り合えず空腹がまぎれれば、休息を取る気にもなるだろう。
「こっちにも少しありますから、ダイエット慣れした女の子を甘く見ないでください。
それよりも、シャワーを浴びれない方が重要な問題ですよ。ご好意は感謝しときます」
 何とか休息を取る事には納得してくれたらしいが、竜馬は思う。女性の扱いは難しいと。

167 :熱血コンビと美少女(自己申告):2005/11/18(金) 00:08:09 ID:IKcT5ChN
「お節介で暑苦しい二人よね。ま、その方が扱いやすいけどさ」
 アスカは通信を切るとダイモス(トレーラー状態)の中で毒づく。少し猫被りするだけで、
一生懸命に気を使ってくれる。後は実力を見せるだけだった。
「しっかし、魚肉のソーセージだなんて、日本人て何考えてんだか」
 お茶(缶入り)を飲みながら「○大ダイモスソーセージ(シールつき)」を食べている。
意外な事に、小型冷蔵庫を始め、意外と生活用品が揃っていた。長期運用が想定されていた
ダイモスは、高い戦闘力と同時に居住性を持ち合わせているのだ。当面食料の心配はない。
 しかしそれを他人に教えるアスカでもなかった。人の事より「ちゃんとしたソーセージで
黒ビールを飲みたいな」と未成年にあるまじき事を考えるあたり、本場ドイツから来た天才
美少女(自己申告)は侮れない。
「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ! な、何よこれ! 私を馬鹿にしてるっての!」
 突然、口内の物を吐き出すという、天才美少女(自己申告)失格な行為と共に、激昂した。
踏み躙られたソーセージの外箱を良く見れば「賞味期限198X年****」と記入されていたりする。
「わざわざ三十年も前のを用意するなんて、頭おかしいんじゃない!」 
 ダイモス(のコピー)は198X年の時空からなので十分賞味期限内である。しかし実際問題、
アスカが2015年から来ている為、このような勘違いも起こりえる。
「お腹減った…ダイエットなんて言わなきゃ良かった……全部、全部バカシンジが悪いんだ…」
 毛布に包まり無理やり眠りにつ着こうとする。「非常食を分けてくれ」とはプライドにかけて
言えない天才美少女(自己申告)であった。 


【流竜馬 搭乗機体:ダイテツジン(機動戦艦ナデシコ)
 パイロット状態:良好
 機体状況:良好
 現在位置:F-5の森で休憩中(朝まで動く気なし?)
 第一行動方針:他の参加者との接触
 最終行動方針:ゲームより脱出】

【イッシー・ハッター 搭乗機体:アファームド・ザ・ハッター(電脳戦記バーチャロン)
 パイロット状態:良好
 機体状況:良好(SSテンガロンハットは使用不可、トンファーなし)
 現在位置:F-5の森で休憩中(朝まで動く気なし?)
 第一行動方針:休憩中の見張り
 第二行動方針:仲間を集める
 最終行動方針:ユーゼスを倒す】
 備考:ロボット整備用のチェーンブロック、鉄骨(高硬度H鋼)2本を所持

【惣流・アスカ・ラングレー 搭乗機体:ダイモス(闘将ダイモス) 
 パイロット状態:良好(空腹)
 機体状況:良好
 現在位置:F-5の森で休息中(朝まで動く気なし?)
 第一行動方針:碇シンジの捜索
 第二行動指針:邪魔するものの排除
 最終行動方針:碇シンジを嬲り殺す】

【時刻23:55】

168 :戦闘マシーン:2005/11/19(土) 15:46:50 ID:+jZPPhyv
「鉄也ぁまだつかねえのかよ、もう6時間も運転しっぱなしだわさ」
「弱音を吐くなボス。もうすぐ着く、ほらもうそこにみえるぞ。(やはり本物にしか見えんな・・・俺の考えすぎのようだな)」
この移動の時間、いろいろと怪しまれない程度に探ってみるが、矛盾は見つからない。
(いかんな、仲間を疑うなど。何を考えているんだ)
「やっと着いただわさ、降りたら一休みす―――んん?」
「どうしたんだ、ボス?」
訝しげなボスの声に対して鉄也が聞く。
「いや今なんかレーダーにポチっと写ったような・・・」
「写っただって?」
鉄也がレーダーを改めようとした時・・・
ズガガガガガガァン!!
「何っ!?」
大量のラスタバンビームがダイファイターとガイキングに襲い掛かる。
「うわったたた!一体鉄也、なんなんだわさ!?」
「敵襲だ!急いで高度を落とせ!」
鉄也が急いでボスに指令を飛ばすが、咄嗟に反応が出来ない。
「そ、そんなこと急に言われても!」
「敵は待ってくれないぞ!―――くぅ!?」
セオリー通り間髪入れない連続攻撃。隙を与えないように火炎が続き、一気に2人の視界は奪われる。
そして、火炎が止み、視界に飛び込んでくるのは―――羽。
羽がそのままガイキングを切り裂こう迫る!
「そう簡単にはやらせないぜ!」
羽が切り裂くよりも早くガイキングは龍王機の頭を抑える。
「うおおお!!」
しかしパワーが幾らあるといえどスピードがついた状態では止めきれず、頭はそのまま直進し、何もない空の下に向く。そして、尻尾を損傷している胸に叩きつけられ、ガイキングは凄いスピードで落ち始める。
飛ぼうにもスピードがつきすぎていて、空中で停止ができない。
竜王機は今度は変形中のダイターンを攻撃しようとするが・・・
「く!デスパァァサイト!!」
ギリギリで鉄也の援護がダイターンを無事変形させる。
「て、鉄也!」
「機体は問題ない!必ずまたそちらに向かう!それまで戦って持ち堪えるんだ!」
「わ、分かっただわさ!それまでたえてみせるぜい!また会おうな、鉄也!」
そのままガイキングは見えなくなった。
「それじゃあ、やってみるだわさ!」
ジャベリンを抜き、ダイターンは竜王機と向き合う。
ヤザンはそれを見て楽しそうに言った。
「さぁ・・・今度こそ楽しませてくれよ!!」
彼からすれば3回連続ではずれを引かされたようなものだ。その気持ちの昂りは言うまでもない。


169 :戦闘マシーン:2005/11/19(土) 15:47:20 ID:+jZPPhyv
「でりゃぁ!!」
ジャベリンを振り上げ、ダイターンが突撃する。
一気に竜王機に迫り振り下ろすが、竜王機はさらりとそれを避け反撃でラスタバンビームを撃つものの、
「効かないだわさ!!」
しかし、ダイターンはまったく効いた様子を見せず、さらに斜めに竜王機を狙い、ジャベリン振るう。
距離をとってかわしたところにさらにダイターンキャノンが連続で叩き込まれる!!
「ちぃっ!」
竜王機のゆうに3分の2はあろうかという弾丸が竜王機の横を抜けていく。
「でかいだけのことはあるな・・・」
笑いながらヤザンが呟く。
ダイターンは竜王機の4倍は軽くあり、さらに竜王機は細長い形をしている。おそらく一発でも当たれば確実に致命傷になるだろう。
「いけぇ、サンレーザーだわさ!」
ダイターンからすれば細い、竜王機からすれば極太のビームが竜王機を狙って放たれる。
「だからってやり方がないわけじゃないんだよ!」
交わすと同時に火炎をダイターンに浴びせ、また視界を奪い、一気に後ろに回りこむ。そのままラスタバンビームを撃つが、
「同じような手には何度も引っ掛からないわよん!!」
ダイターンがすばやく振り返ろうとしたため、ラスタバンビームは肩に当たってしまう。勢いはとまらず、そのままジャベリンが竜王機に振るわれる。
しかし、竜王機は前に滑り込むようにしてウィングカッターを展開、そのまま突撃しジャベリンを持つダイターンの腕をうまく両断する。
「よくもやってくれたわね!」
ダイターンは驚くことに落下を始めようとしていた自分の腕をつかみ―――竜王機に投げつけた。
ギリギリでかわす竜王機。おそらく回避がもうワンテンポでもずれていたら、確実に竜王機は腕にぶつかり派手にひしゃげているだろう。
「やはり戦いはこうでなくっちゃな!!ぞくぞくするぜ・・・!!」
あたれば最後まずやられる。そんな一種の極限状態をヤザンは心から喜ぶ。彼が求めてやまなかったものがついに目の前にあるのだから!
ダイターンは今度はハンマーを取り出し、大振りにめちゃくちゃに振り回し始めた。
「鉄也が来るまで絶対に耐えてみせるだわさ!」


170 :戦闘マシーン:2005/11/19(土) 15:47:50 ID:+jZPPhyv
近寄って羽で切り裂くのが一番怖いのはボスもさっきのことで学び、近寄らせないようにハンマーで一種の壁を作る。そのまま突っ込んでもハンマーとハンマーの鎖に邪魔されるだろう。
振り回されるハンマーをかわし、確実に反撃を決めるものの、やはりラスタバンビームでは致命傷にならず、火炎を浴びせようと振り回すことをやめない。
時間はジリジリと、ジリジリとであろうとも確実に過ぎていく。
「なら!」
ダイターンが右にハンマーを振るった時、竜王機は前に出て、少しだけ動きを遅くする。それを見て返しの動きで左からハンマーが迫る!
「どこからくるから分かるなら簡単なんだよ!!」
竜王機は初動を始めたハンマーにラスタバンビームをぶつける。
「そんなんじゃ無駄だわさ!」
勢いがとまらず迫るハンマーに、さらにラスタバンビームを連続でぶつける。
一発、二発、三発、四発・・・・五発!!
ついに五発目でハンマーは砕け散る。砕け散ったハンマーの大きな欠片が竜王機にダメージを与えるが、ヤザンは気にしない。ウィングカッターを展開し、ダイターンの胴体を一気に切り裂く!
「まだまだ!ここまできてやられちゃうボス様じゃないだわさ!」
顔を下に向け、サンレーザーを発射。竜王機はダイターンから離れたため、サンレーザーはダイターンの左足に当たる。それでもさらに右足を上げ、ダイターンキャノンを弾が切れるまで撃ちまくる。
「くっ!」
怒涛の連続攻撃についに竜王機の姿勢が崩れる。しかも距離も離れている。
「今!日輪の力を借りて!サン!アタック乱れうちだわさぁぁぁぁぁぁああ!!」
ダイターンの額から連続で光が放たれる。ギリギリの回避でかわし続ける竜王機。
(額からの攻撃だ・・・!側面に回り込んでしまえば・・・!!)
その中でも必死に側面に移動する。しかし、あと少しの場所でついに―――
ドカァァァン!!
竜王機の尻尾に当たる。当たったことにより大きく機体が揺れ―――
「これで終わりだわさ!今!日輪の力を借りて!サン!アタック!!!」
ボスが大声で叫ぶ。しかし―――何も起こらない。
「えええ!!エネルギー切れ!?」
あれだけの量の乱れうちを長く続けたため、肝心のところでエネルギーが切れてしまったのだ。
「見逃すものかよ!!」
その隙を突き、竜王機が背中を一気に切り裂く。
「おお?あれぇぇぇぇ!?」
空中でのバランサーが切り裂かれたため、ダイターンが降下を始めた・・・

落下の瞬間一気にブースターを吹かし、うまく着地するガイキング。
「くっ! 今は・・・ここか!?ボスは・・・?」
空を見上げると、遠くの空からダイターンがどこかに落ちているのが見えた。
「ボス!?いかん、急がなければ・・・」
空を飛び急行しようとしたときだった。
唐突に、本当に唐突に先ほど払拭したはずの懸念が首を上げる。
―――あれは本当に俺のよく知るボスなのか?
それに連なり出てくる呪いの言葉。
―――ミケーネを倒すためにも今は死ねない
―――腕を失った今の状態で勝てるのか?
―――危険に身をさらす飛行をする必要はあるのか?
―――い や 本 当 に 助 け る 価 値 が あ る の か ? 
「く・・・俺は・・・何を考えているんだ、ボスは仲間だ、仲間を助けるのは当然だ、当然なんだ!!」
自分を納得させるかのように鉄也は叫んだ。
「しかし・・・飛んで行って万が一敵に見つかり足止めされるわけにもいかん。警戒して陸路で行こう」
(ボスにあったら・・・謝らなければな)
そう思いながらボスの落ちたほうへと進みだした。


171 :戦闘マシーン:2005/11/19(土) 15:48:52 ID:+jZPPhyv
ドガァァァァァン!!
「ぐげっ!!」
受身を取れず、ダイターンは地面に叩きつけられる。蓄積されたダメージに加え落下の衝撃、もう全身に罅ヒビや傷だらけの状態である。
「ちっくしょう〜やってっくれるじゃないの」
それでもダイターンは立ち上がり今度はザンバーを構える。
「ハハ・・・まだ戦えるのか。楽しませてくれるじゃないか」
「な〜にが楽しませてくれるじゃないか、だわさ。こちとら鉄也が来るまでやられるやわにはいかないのよん!」
「でりゃあぁぁぁ!」

「ボス・・・まだか・・・!?」
何か得たの知れないものに急かされる感覚を覚え、ほぼ全力でガイキングを走らせる鉄也。最初考えていた警戒などもう吹き飛んでいる。
ついにガイキングは開けたところにでる。しかし。その光景は残酷だった。
そこには・・・壊れたおもちゃのように座り込む・・・ダイターン3があるだけだった・・・
「ボス・・・!?ボス!返事をしろ!!」
「へへ・・・鉄也か・・・すまねぇな・・・俺様が・・・ヘタすぎたせいで・・・」
ボスが白い顔で返事を返す。しかし―――両足が挟まれ断裂しており、出血多量での死は免れないだろう・・・
「もういい!しゃべるな!すぐそっちに行って応急処置をしてやる!!」
もう無理なのは鉄也にも分かっている。それも叫ばずにはいられない。
「鉄也が急いで来てくれたのに・・・本当にすまねぇ・・・俺様の分までミケーネと戦か・・・」
言葉か途切れる。ボスの手がダランと下がり、目は光を失った。
「ボス・・・?ボス!死ぬな!俺はお前に謝らなくてはいかん!起きろ!ボスーーーーーーーー!!!!!!」

「ハハ・・・」
鉄也は下を向いており、表情は分からない。
「俺は・・・何を考えていたんだ・・・・」
―――あれは本当に俺のよく知るボスなのか?
―――いや本当に助ける価値があるのか?
「何が・・・戦闘のプロだ・・・仲間を疑う言い訳をしていただけじゃないか・・・」
―――腕を失った今の状態で勝てるのか?
―――飛んで行って万が一敵に見つかり足止めされるわけにもいかん
「何が・・・勇者だ・・・信じてくれた仲間も救えず・・・」
―――それまでたえてみせるぜい!
―――鉄也が急いで来てくれたのに・・・本当にすまねぇ・・・
「いいさ・・・」
そういって鉄也は顔を上げた。
キラ・ヤマト、黒い小型機を飛ばす機体、さっきの竜。皆襲い掛かるばかりではないか。
「ボス・・・お前の分までミケーネと戦うと誓おう・・・そのため・・・それなら・・・戦闘マシーンとして・・・この戦いに乗ってやろうじゃないか・・・・・!!」
ガイキングが立ち上がり、ダイターンの脇にあるザンバーを抜く。ガイキングと同じ、それ以上を刃物を抱え、ガイキングは歩き始めた。



172 :戦闘マシーン:2005/11/19(土) 15:49:49 ID:+jZPPhyv
【ヤザン・ゲーブル 搭乗機体:龍王機(スーパーロボット大戦α)
 パイロット状況:健康
 機体状況:尻尾がない、全身にハンマーの大量のかけらが当たったときのダメージ(中)
 現在位置:F-1湖上から移動中
 第一行動方針:バラン=ドバンを探す。また、どんな機体でも見つければ即攻撃
 最終行動方針:ゲームに乗る】

【剣鉄也 搭乗機体:ガイキング後期型(大空魔竜ガイキング)
 パイロット状態:マーダー化
 機体状態:胸部破損、右腕切断  ダイターンザンバー所持
 現在位置: E-1
第1行動方針:他の参加者の発見および殺害
 最終行動方針:ゲームで勝つ


【ボス 搭乗機体:ダイターン3(無敵鋼人ダイターン3)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:ズタボロ


173 :戦闘マシーン:2005/11/19(土) 16:27:33 ID:+jZPPhyv
25(1)時10分

174 :戦闘マシーン:2005/11/19(土) 20:35:55 ID:83ZcRgl2
【ボス 搭乗機体:ダイターン3(無敵鋼人ダイターン3)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:右腕断裂、内蔵武器なし、全身にヒビと傷、背中と胴体には特に大きい切り傷、左足が千切れそう

こちらに変えてください。あと、

しかし、竜王機は前に滑り込むようにしてウィングカッターを展開、そのまま突撃しジャベリンを持つダイターンの腕をうまく両断する。
「よくもやってくれたわね!」
ダイターンは驚くことに落下を始めようとしていた自分の腕をつかみ―――竜王機に投げつけた。
ギリギリでかわす竜王機。おそらく回避がもうワンテンポでもずれていたら、確実に竜王機は腕にぶつかり派手にひしゃげているだろう。



しかし、竜王機は前に滑り込むようにしてウィングカッターを展開、そのまま突撃しジャベリンを持つダイターンの右腕をうまく両断する。
「よくもやってくれたわね!」
ダイターンは驚くことに落下を始めようとしていた自分の右腕をつかみ―――竜王機に投げつけた。
ギリギリでかわす竜王機。おそらく回避がもうワンテンポでもずれていたら、確実に竜王機は右腕にぶつかり派手にひしゃげているだろう。

にしてください。

175 :情けは人の為ならず:2005/11/20(日) 19:08:31 ID:P13Q4VI0
(……これも現実か。機体点検を怠ったのが原因とは、笑えん)
 チーフがマジンカイザーと戦い、Vコンバーターの不調から撤退して数時間。
第一回目の放送によって、ここが進入禁止地区と予告されてから1時間余りの時間が
過ぎていたが、まだ彼はこの地区に留まっていた。当然、好きで留まっている訳では
ない。Vコンバーターの大幅なスペック不足の所に戦闘行動を加えた結果、OS等が
抗議の悲鳴を上げシステムダウンしてしまったのだ。

『Mドライブ+S32X』
 チーフがユーゼス自作のVコンバーター『Mドライブ+S32X』を確認した時に
受けた衝撃と驚き様は、映像でお見せできないのが残念なくらい劇的なものであった。
 バーチャロイド(以下VR)は過去に、ユーゼスの自作品と同様の『Mドライブ+
S32X』をベースとして企画開発されたが、試作試験のみで運用は見送られている。
初めて正式稼動したVRが登場したのは『Sサターン』が搭載されてからであり、
その次世代VRは高性能な『Dキャスト』を搭載し、その実力を確固たる物とした。
そして現在の最新型Vコンバーターへと至る。

『テムジン747J』
 現行のVコンバーター性能・出力を最大限に活かし切るカスタム機であり、MARZ
最高技術の集大成と言っても過言ではない。そんな機体を、VR開発初期の先行試作型
Vコンバーターを搭載して稼動させたのだから、システムダウンは当然の結果と言えた。
要約すると、原付スクーターのエンジンでF1カーを走らせようとしていたのだ。
無茶苦茶である。むしろ今まで稼動していたのが不思議でならない。

 既に、微かな希望を込めて信号段による救援信号を打ち上げてはある。しかし、
殺人ゲームの真っ最中に、誰とも知れぬ者の為に、禁止地区へ来る物好きがいるとは
考えられない。自分で考えても非論理的な行動と言える。仮にハッターが信号弾を
確認したとしても、都合良く間に合うとは思えない。来るとしたら自信タップリの
殺戮者くらいだろう。では諦めるのか? 答えはノーだ。諦めは愚か者の決断である。
(……このスペックでもAM2ラボはVFを稼動させた。不可能ではない)
 更に旧式の『Mシステム』や『Sマークスリー』でないだけ、望みは残されている。
チーフは短時間でVコンバーターへ手を加える事は難しいと判断し、専門分野では
ないが、OSの書き換えに着手していた。無理やりOSをバージョン・ダウンさせて、
必死でシステムを組み替えて行く。だが危険地域離脱に必要とする機動性を確保すれば
構築時間が、構築時間を優先すれば機動性が確保出来なかった。機体を動かせても離脱
出来なければ意味が無い。時は無情に流れてゆく。

176 :情けは人の為ならず:2005/11/20(日) 19:09:04 ID:P13Q4VI0
 時は一時間程前に遡る。
(信号弾……救援信号か? しかしあれは進入禁止指定地域……)
 マジンカイザーの猛攻から逃れたガルドとプレシアは、禁止指定地区を回り込むように
身を隠しながら南東の廃墟を進んでいた。ガルドは、プレシアを連れて戦闘は出来ないと
考えていたので『進入禁止指定地区の近くには他者が来ないだろう』と思ったのだ。
(罠か…それとも本物か…どちらにせよ関わる必要性は皆無…)
「ガルドさん! 信号弾です! きっと誰か困っているんです! 行きましょう!」
 言うが早いかプレシアはグランゾンを方向転換させている。意外と行動が素早い。
「待て、あそこは進入禁止………」
「だから行くんじゃないですか!!」
 断言するプレシアに、ガルドが躊躇する。理解できない。この娘は何を言っている?
ガルドの苦悩を余所に、もうプレシアは信号のあった方向へと進んでいる。
「目の前に助けられる人が居るなら助ける。そうですよね? さっきガルドさんだって、
私を助けてくれたじゃないですか。今度は私が誰かを助ける番です」
 恐ろしくハッキリと理想論を言うプレシアに、ガルドは眩暈にも似た感覚に襲われる。
(確かに俺はこの娘を助けた。今も何故か同行している。しかし…だからと言って…)
 少女は嬉しかったのかもしれない。この殺し合いゲームの中で、最強とすら呼べる力を
手に入れながら、ただ一人戦う事を拒否した少女。戦う以外に、自分にも出来る事を
見つけた事が嬉しかったのかもしれない。元気の無かった瞳に、輝きが戻っている。
「……1時間だ。それ以上は許容できない。お前を引きずってでも離脱するぞ」
 葛藤の末、ガルドは折れた。ブラックサレナでグランゾンを押し止めるくらいなら、
さっさと二人で捜索した方が良いと思ったのだ。ガルドにしては懸命な判断と言える。
「はい!ありがとうございます!」
 破壊神に操られた男は、この機体で何をした。自分なら、この機体で何が出来るか。
少女の心に、まだ答えは出ていない。

177 :情けは人の為ならず:2005/11/20(日) 19:09:30 ID:P13Q4VI0
 テムジンを掴み上げたグランゾンとブラックサレナが進入禁止地区を離脱して数時間。
「今回は上手く行ったから良かったが、この様な感情に任せた行動は……(中略)
……向こう見ずに飛び出せば良いというものではない。そもそも……」
「……自分の行った行為を棚上げして語るのは、教義指導者としてどうかと思うが?」
 プレシアに対するガルドの説教に飽きたのか、それともプレシアに助け舟を出したのか、
チーフが口を挟んだ。チーフがOSの再構成が完了するまでの間に、既にガルドの説教は
数回はループしているのだ。助けられた身ではあるが、文句の一つも言いたいのだろう。
「あ、あれはその場の成り行きと言うもので、戦場では臨機応変な……」
 対マジンカイザーの時の事で、シドロモドロするガルド25歳を尻目に、当のプレシア
本人は御機嫌な様子でやり取りを見守っている。何か吹っ切れたのだろうか?

 結局、OSを旧式に再構成し、稼動可能になったチーフも同行する事となった。
何故? プレシアに押し切られたのである。そんな三人が市街地を思わしき所へと到着した
のは、ちょうど日付が替わった頃の事だった。

【プレシア=ゼノキサス 搭乗機体:グランゾン(スーパーロボット大戦OG)
 パイロット状況:健康
 機体状況:良好
 現在位置:B-1の市街地
 第一行動方針:助けられる人は助ける
 第二行動方針:ガルドについていきたい
 最終行動方針:まだ決めていない】


【ガルド・ゴア・ボーマン搭乗機体:高機動型ブラックサレナ(劇場版ナデシコ)
 パイロット状況:良好(自分の行動にやや戸惑い)
 機体状況:良好
 現在位置:B-1の市街地
 第一行動方針:プレシアを見守る
 第二行動方針:イサムの障害の排除(必要なら、主催者、自分自身も含まれる)
 最終行動方針:イサムの生還】

【チーフ 搭乗機体:テムジン747J(電脳戦機バーチャロンマーズ)
 パイロット状況:良好
 機体状況:Vコンバーター不調『Mドライブ+S32X(レプリカ)』
 現在位置:B-1の市街地
 第一行動方針:ハッターを捜索しVコンバーターを修復
 第二行動方針:ゲームからの脱出(手段は問わない)
 備考1:チーフは機体内に存在。
 備考2:機体不調に合わせ、旧式OSで稼動中。低出力だが機動に問題は無い】

【時刻 二日目 0:00】

178 :移動・攻撃・[説得]・待機:2005/11/23(水) 10:07:14 ID:fYnx5EjY
 日が替わり、夜明けが近い今もシロッコ達は身を潜ませていた。多少出遅れた形となったが、
シロッコに焦りはない。市街地という優位点。他者の目を引きやすく、身を隠しやすい地形は
絶好の待ち伏せ場所となりえた。いつまでも潜伏している訳には行かないが、少なくとも夜間
行軍を行うよりは堅実な選択といえる。夜の間、着実に食料や使えそうな工具の調達、休息、
周辺地形の把握、補給地点の確認と万全の体制を確保している。それに加えてキラからの得る
情報は、デタラメな現状を真面目に考えるキッカケとなった。

「なるほど、キミの話はとても参考になる。少しは状況が飲み込めて来たよ」
 食事を取りつつ、コズミック・イラの情勢について聞き出したシロッコは思考を巡らせる。
一応、宇宙世紀と同じく地球を母星としているが、歴史的に大きく食い違いがあり、とても
同一世界とは思えなかった。それら数少ない情報から、シロッコは一つの仮説を導き出す。
(死んだはずのギレン・ザビ。オーバーテクノロジーを使ったロボット。見慣れぬガンダム。
そもそも人物単位の空間跳躍など非常識にも程がある。だがそれは『私から見た時』の話だ。
この少年の世界では、核融合炉どころかミノフスキー粒子すら認知されていない。同様に私が
他の技術を知らぬ可能性もある。となればヤツは全てを知り、活用しているのか? 空間跳躍、
時間移動、死者蘇生。我々の常識では絵空事としか思えない技術を有している、という所か)。
「……それで僕は言ってやったんです。『サイが僕に…』って真面目に聞いてくれてますか?」
「勿論だとも、それで私に『女性の扱い方』についてレクチャーして欲しいという事かね?」
「いえ、それはまたの機会に……」
 思案を巡らせながらも、キラの愚痴をシッカリと聴きほぐし、巧みな話術で少年を懐柔して
ゆく。愚痴が一巡する頃には、キラの性格を把握しきっていた。
「……すまない。話の途中だが、私のファンが押しかけてきたようだ」
 
 ゼオラは行く。しかし行く当ては無い。どこへ行ってもアラドは居ない。それでも行く。
アラドは居ない。でも他の人は居る。なんで居るの?どうして居るの? アラドは居ないのに。
「アラドが居ないのに、なんで…!」
 ここへ来た理由も無い。居るはずも無いアラドを求めて彷徨い、気が付いたら居ただけだった。
周りに周った挙句、ゲーム開始時に居た場所へ戻って来てしまったのだ。
 目の前にガランとした寂しげな市街地が広がっている。ゼオラは、ここで殺した男を覚えている
だろうか? その次に出会った男を覚えているだろうか? しかしゼオラの目に映っているのは、
賑やかな街並み。綺麗なショーウインドウに建ち並ぶビルや店。一つ一つに詰まったアラドとの
想い出(となるはずだった願望)が湧き上がり、それは破壊の衝動となって開放されてゆく。
(アラドと一緒に来たかった。アラドと一緒に来るはずだった。アラドと一緒に…)
 でもアラドは居ない。そう思うと目に付くもの全てが妬ましかった。そこに居るだけで、そこに
あるだけで憎かった。そして最も憎い存在が、アラドを守れなかった自分自身であるという事に、
彼女の自我は耐えられなかった。私はアラドを助けられなかった。もう会えない。

 大きな衝撃音。幾つかのビルが一瞬で倒壊した。二人はゼオラを遠巻きに間合いを測っている。
(さて、どうしたものかね?)
 シロッコには今、近くに居る気配の持ち主をハッキリと感じ取れた。情念、憎悪、愛情、悲哀。
周囲に憎悪を撒き散らしながら、それでいて泣き叫んでいる様な意思。
(……やはり、あの時の娘か……それに……この感覚は……もしや)
 素早く記憶を辿り分析する。昼間の娘である事は間違いない。問題はその先にある感覚。
「シロッコさん、相手が……敵がヤル気なら……先手を取った方が……」
 先程からキラは焦っている様子だった。敵対者との接触が恐いのだろうか。夢中で殴られる前に
殴ろうとしている様にも見えた。こういう少年ほど喧嘩の際に仕返しを恐れ、必要以上に相手を
傷付けてしまうのではないかと、シロッコは奇妙な心配すらしてしまう。
「いいや、何でも力ずくで進めようとするのは良くない。特に女性を扱う時にはね」
「女性……? 知り合いなんですか?」
「ちょっとした縁でね。一瞬の油断で右腕を持って行かれたよ」
 シロッコが自嘲する。それは『二度は通じない』と自分に言い聞かせるようだった。

179 :移動・攻撃・[説得]・待機:2005/11/23(水) 10:09:44 ID:fYnx5EjY
 ゼオラと通信を始めて数分。キラは相手が同年代の少女であり、話しの出来る相手と分かった
のか、元気を取り戻していた。年頃の少年は現金なものだ、とシロッコは苦笑する。
「……そうですか。リョウトさんの事は……知りませんか」
「ごめん……えっと……もし良かったら、僕たちと……一緒に……」
 行動しませんかと誘うと、ゼオラに笑顔がこぼれた。通信回線越しだがキラをドキリとさせる。
それは敵対者の相手をするよりもキラを緊張させた。どう接すれば良いのか、戸惑ってしまう。
「ところで…キラさん? 恋人はいますか?」
「いや、あの……それは………………いません」
 突然の質問に困惑し、心の中でフレイに謝りつつもつい答えてしまう。ゼオラの微かに潤んだ
瞳がキラの心を捉えて放さない。ちゃんと『女性の扱い方』についてレクチャーを受けておけば
良かった。そんな事が頭をよぎった。
「そう……それなら……死んでも寂しくないよね!」
 何を言われたのか理解できず呆然とするキラに向けて、ゼオライマーが情け容赦なく閃光を放つ。
キラは反射的に回避を試みたが、慣れないモビルトレースシステムのせいか初動が遅れた。
(ダメだ、間に合わない!)
 キラの中で『何か』が弾けそうになった瞬間、横殴りの衝撃が機体を襲った。完全に虚を付かれ
吹き飛ばされたキラの眼前を、閃光が駆け抜けていった。ダンガイオーの放った左腕が、ゴッド
ガンダムを殴り飛ばし、閃光の射線から外したのだった。
「ゼオラさん! 何で……!」
 空中で体勢を立て直したキラの問いに、ゼオラは返答代わりの衝撃波を放った。殴られた部分が
傷むのか、まだ状況が理解できないのか、キラは回避する事で精一杯だった。

「気を付けたまえよ。女性は常に危険な生き物なのだから」
 まるでゼオラの取る行動を読んでいたかのように、シロッコは余裕を保っている。一見、冷静を
装っているゼオラが、実は普通の精神状態でない事をハッキリと感じ取っていたからだ。
(『キー』は『リョウト』か? いや、少し弱い、もっと別の……。少し刺激してみるか)
 先程からの会話に何度か出てきたリョウトという名前。ゼオラが拘りを見せてはいるが、どうも
本当に求める『キー』ではなさそうだった。
「お嬢さん、私を覚えているかね? あの時『リョウト』君を探していたのかい? いやそれとも
他の誰かを探していたんじゃないかな? キミの大事な友人、いや……恋人かな?」 
 わざとゼオラを逆撫でする様に問いかける。精神に安定を欠く彼女を刺激しているのだ。
「あの時の! 私がちゃんと殺さなかったから! だからアラドが! あなたが邪魔をしたから、
アラドを助けられなかったんだ! 邪魔さえしなければ、アラドは助かったのに!」
 激昂したゼオラが衝撃波を連発するが、ダンガイオーは華麗な動きで回避する。自ら撃たせ
た攻撃を回避する事は難しいことではない。ゼオラの激しい殺気が更にそれを容易にしていた。
ゴッドガンダムがサーベルを抜くが、ダンガイオーはゼスチャーで『戦うな』と制した。
(なるほどな。『アラド』か。それがこの娘の『キー』か。確か夕刻の放送で……)
 最初にゼオラの気配を感じた時からシロッコの脳裏には一つの単語がチラついていた。
人工ニュータイプ『強化人間』。元の世界で所属していたティターンズで研究され、戦争の道具と
して生み出された彼らの大半は、過度の薬物投与・人体実験によって精神に偏重を起こしている。
総じて能力が高いものほど精神的に不安定で、制御に記憶操作を必要とする者も多かった。
シロッコは、その『強化人間』についての記憶とゼオラから感じる独特の気配と短時間の会話から、
彼女がそれに近い精神状態にあると断定した。それはスクールで育成されたというゼオラの境遇、
重度といえるアラドへの依存症をほぼ適確に捉えたものといえた。
(『キー』さえ分かれば手懐ける事は容易い。私の猟犬に、自ら進んでなってもらうとするか)

180 :移動・攻撃・[説得]・待機:2005/11/23(水) 10:14:41 ID:fYnx5EjY
 ゼオラは激昂していた。目の前のロボットと男の声には覚えがあった。昼間一度会っている。
あの時、まだアラドは生きていた。あんな所で手間取らなければ、アラド会えたかもしれない。
「あなたせいでアラドに! あんたのせいでアラドを! お前のせいでアラドが!」
 仮定はゼオラの中で確定に変わって行く。コイツが邪魔をしたからアラドに会えなかった。
それは少なくともゼオラの中の事実となった。私はアラドを助けられなかった。もう会えない。
「そうか、『アラド』君というのかね。キミの大事な人は……」
 気安くアラドの名を呼ぶな!ゼオラは憤り、衝撃波を繰り返すがビルを破壊しただけだった。
「大事な人を失ったキミの気持ちは分かるつもりだ。しかし今必要なのは……」
「分かる?私の気持ちが分かる?アラドのいない悲しみが分かる?知った様な口を聞くなぁぁぁ!
お前に何が分かる?!私の何が分かる?!アラドの何が分かる?!」
 絶叫と共にゼオラの心は痛む。叫べば叫ぶほど『アラドがいない世界』を認めてゆく自分が
嫌だった。もう黙れ。もう言わせるな。私はアラドを助けられなかった。もう会えない。
溢れる悲しみが、憎悪がゼオライマーの両拳を高々と上げさせる。
「分かるさ。キミは助けたかったんだろ、アラド君を。助けられるさ、キミならば!」
 シロッコの言葉に、今まさに打ち付けられようとしていた両の拳がピタリと止まる。
ゼオラは耳を疑った。ゼオラを支配していたのは、アラドを助けられなかった自分への憎悪。
アラドを奪った世界への憎悪。そして悲しみ。それがゼオラの全てだった―――
「何を……言っているの?! 私はアラドを助けられなかったの! もう会えないの!」
 ゼオラは困惑する。自分はアラドを助けられなかった。それが例え揺ぎ無い現実だとしても
否定したかった。でも―――否定できなかった。そして―――誰かに否定して欲しかった。
「……は……アラドを……助け……れな……もう……もう……アラド……」
 声が出なかった。もう一度聞きたかった。もう一度、全てを否定して欲しかった。アラドを
助けられなかった自分を誰かに許して欲しかった。
「キミなら『アラド君を助けられる』。私の指示に従えば、キミは『アラド君を助けられる』」
 ゼオラが最も聞きたかった言葉。最も求めていた言葉。繰り返し囁かれる心地よい言葉。
アラドのいない世界が現実だというのなら、そんな現実は要らない。ゼオラは求めている世界は
たった一つだけ、アラドと共に生きる世界。他の現実は全て間違い、要らない世界。
「どう…すれば良いの? 私は何をすれば……私はアラドの為なら……何でも……」
 ビルの谷間から照らす朝の日差し、その光の中にアラドの明るい笑顔を見た気がした。
それは彼女の望む幻影に過ぎなかったが、その抱擁に包まれゼオラは夢の中へ堕ちていった。
(私はアラドを助けられるの? またアラドに会えるの? アラドは私を許してくれるの?)
 いつの間にか涙が溢れていた。このゲームが始まって初めての喜びの涙。
「――つまりアラド君を助けるには、ゲームの主催者を打倒し、その力を手に入れる事が――」
 シロッコの説明など聞いてはいなかった。今のゼオラが必要をするのは、アラドを助ける事の
出来る世界。そしてそれに導いてくれる者だった。




181 :移動・攻撃・[説得]・待機:2005/11/23(水) 10:15:11 ID:fYnx5EjY
(絶望を知る者は強い。それは事実だ。しかし絶望を知る者ほど希望の誘惑に弱い。それも事実だ)
 現実を否定し、己の望む夢に堕ちた娘に一抹の同情を感じながらもシロッコは微笑む。強さとは
単純な戦闘能力で決まるものではない。そう言いたげな表情であった。
「……大丈夫なんですか?死んだ人を助けるなんて約束しちゃって。ウソだったら……ゼオラさん、
また泣いちゃいますよ」
 いまいち状況を飲み込めていないのかキラが問いかける。今、殺されかけたばかりだというのに
随分と落ち着いた、間の抜けた発言だった。細かい事を気しているようではガンダムになど乗れな
いのかもしれない。
「汚いと思うかね? 無益な流血を避けられるならば、私はあえて泥を被ろう。それに大風呂敷を
広げる事が男の度量なら、それを畳む事が男の力量というものだろう? 勝算のない事は言わんよ」
 もっともらしく抽象的な事を言っておけば、この少年は納得するだろうとシロッコは見ている。
「大人の理屈……ですか? 良く…分かりません……」
「キミはまだ若い。急がなくて良い。ゆっくりと大人になれば良い。そして若者を導く事は大人の
役目だよ。キミを元の世界へ解す事もね。しかし、それにはキミ達の助力が必要不可欠なのだ。
そこでキミには当面、彼女の護衛と指導を頼みたい。年齢も近いようだし仲間として、友人として
接してあげればいい。見ての通り情緒不安定だから、先輩として面倒を見てやってくれ」
「はい。いや……でも……それは……」
 全体を説明する必要はない。当面の行動目的を与え、そこに説得力と正当性があれば良い。
(弱い人間は誰かに導かれたがっている。そしてこの少年達も例外ではない。これで手駒は二枚。
娘の方は忠実な猟犬として操れるだろう。この純真な少年も扱いやすい。必要とあらば機体と
首輪を奪えば良い。それだけの事だ。とりあえず他の参加者から首輪を………)
 シロッコが今後について画策していると、キラが何か言いたそうな目で見ている事に気づいた。
「何かね? 意見や質問があったら遠慮なく、聞きたまえ。可能な限り期待に答えよう」
 頼れる大人、信頼できる大人を演じるシロッコは笑顔で答えた。爽やかな作り笑顔だった。
「……あの……その……さっきの『女性の扱い方』についてのレクチャーを……」
 キラが消え入りそうな声でモジモジと言った。さっき殺されたかけたばかりで、そして今まだ
殺し合いゲームの中にいて、そういう余裕が出てくるのかとシロッコは感心する。これが若さか。
「な、なんですか! ……何がそんなに可笑しいんですか!」
 キラが恥ずかしさを誤魔化すように憤る。押し殺した笑い声が、通信を通して聞こえたらしい。
シロッコは笑った。このゲーム始まって初めて、いや数年ぶりに本当に笑った。
「すまない……しかし本当にキミは若いな。良かろう! 彼女が目覚めるまでに、私が紳士と
しての『女性の扱い方』をキミに伝授しよう!」
「はい!」
 東方が赤く燃える中、妙な師弟(主従)関係が出来上がっていた。

182 :移動・攻撃・[説得]・待機:2005/11/23(水) 10:16:15 ID:fYnx5EjY
【パプテマス・シロッコ 搭乗機体:ダンガイオー(破邪大星ダンガイオー)
 パイロット状況:良好 (良い大人を熱演中)
 機体状況:右腕損失、全体に多少の損傷あり(運用面で支障なし)
 現在位置:A−1
 第一行動方針:他者から首輪を手に入れる
 第二行動方針:首輪の解析及び解除
 最終行動方針:主催者の持つ力を得る
 備考:コクピットの作りは本物とは全く違います、
    またサイコドライバー等を乗せなければサイキック能力は使えません】

【キラ・ヤマト 搭乗機体:ゴッドガンダム(機動武道伝Gガンダム)
 パイロット状況:良好(シロッコを信用)
 機体状況:損傷軽微
 現在位置:A−1
 第一行動方針:自分とゼオラの安全確保
 第二行動方針:シロッコに従う
 最終行動方針:生存】

【ゼオラ・シュバイツァー 搭乗機体:ゼオライマー(冥王計画ゼオライマー)
 パイロット状況:睡眠中・精神崩壊・洗脳状態
 機体状況:左腕損傷
 現在位置:A−1
 第一行動方針:アラドを助ける為にシロッコに従う
 第二行動方針:アラドを助ける事を邪魔する者の排除
 最終行動方針:アラドを助ける
 備考1:シロッコに「アラドを助けられる」と吹き込まれ洗脳状態
 備考2:ラト&タシロ&リオを殺したと勘違いしている】

【時刻:二日目の4:00】

183 :仇の約束(1):2005/11/24(木) 00:01:10 ID:OnDJkK+e
 物静かなビル街がある。どのビルにも灯りは灯っておらず、まるでゴーストタウンというような街並みだ。
縦横に走る道路に沿って並ぶ街灯だけが闇を払い、影を作り出す。死んだ街、ではない。最初から生活と呼べるもののない街だ。
だが、生活が出来ない環境というわけではない。食糧はあるし、水道、ガス等は通っている。
ちょうど、人がすっぽり抜け落ちてしまったようだった。
 その街並みの中、ビルに紛れて補給用のポイントが存在する。そこから百メートルほど離れた駐車場に、二つの影がある。
このゲームの中においては不自然なその影は、しかし、ビル街という地域にはあまりにも自然だ。
 それは、自動車とバイクだ。自動車の運転席では銀髪の青年が眠っており、バイクには黒髪の青年が座り、周囲を見渡していた。
バイクの青年、トウマは首に手を触れる。無機質な質感は、不愉快なことこの上ない。
どうやらここは禁止エリアではなかったようだが、その位置を把握していない彼らは下手に動けない。
そのためトウマとクォヴレーは、このビル街に留まっていた。ここならば身も隠しやすく、逃げるのも容易いからだ。
 トウマは時計を見る。もうすぐ見張りを交代する時間だ。そう思ったとき、ちょうどクォヴレーが車から降りてきた。
「そろそろ交代の……」
 クォヴレーが言いかけた瞬間だった。彼らの視界が影に覆われ暗さを増す。二人は月光が雲に遮られたのかと思い、空を見上げる。
だが、月光を遮るような雲はない。月の光を受け、影を作ったのは。
 一機の人型をしたロボットだった。


「こんなところに車とバイクだと……?」
人型の機体の中、ヒイロ=ユイが眼下を見て呟く。
数時間前、山間からECSを起動して撤退した彼は、あえてE-7を、禁止エリアになる前に全速で突っ切った。
そして辿り着いたビル街で潜伏しつつ休息を取っていた。
その後、偵察を行っていたときに発見したのが、目の前の車とバイクだった。
ヒイロは通信機を操作しながら思う。
機体が何であれ、彼らもゲームの参加者だ。油断はできない。
 呼びかけようとしたとき、向こうから声が聞こえてきた。
『待ってくれ! こっちは見ての通りバイクと車しかないんだ! 戦おうなんて思ってない!』
叫んだのは黒髪の男だ。ヒイロは考える。彼の言葉通り、あれがただのバイクと車だとしても迂闊に姿を見せるのは危険だ、と。
こちらが降りたところで機体を奪いにくるということも考えられるからだ。
身体能力に自信はあるが、武器なしでバイクや車相手に生身で戦うのは少し厳しい。
だが少なくとも、襲ってきていない者をこちらから攻撃するつもりもない。
「なら、こちらにも攻撃する意思はない」
だから、そう返答する。すると安心したように、黒髪の男が胸を撫で下ろす。
それ以上何も言わず、ヒイロがその場から立ち去ろうとしたとき、銀髪の男が口を開いた。
『待ってくれ。頼みたいことがある』
立ち去ろうとしていたヒイロは、その言葉を聞いて足を止める。
「何だ?」
『前の放送の内容を教えて欲しい。聞き逃してしまってな』
その言葉にヒイロは眉をひそめる。罠だろうかとも思い、索敵を行うがレーダーは彼ら以外の反応は示さない。
少し考え、機体から降りなければ大丈夫だろうと判断する。
もし、いざというときは逃げるという選択肢だってあるのだから。
「……いいだろう」
そう答え、ヒイロは放送内容を告げ始めた。

184 :仇の約束(2):2005/11/24(木) 00:01:52 ID:OnDJkK+e
『死亡者だが、18時の時点で十二人出ている。名前を読み上げるぞ』
十二人という数字に、トウマは少なからずショックを受ける。
だが、それと同時に生き延びられたことに対する幸運も感じた。 
トウマは、続きを読む少年の声に耳を傾ける。
『アラド=バランガ、アルマナ=ティクヴァー、一色 真――』
「ま、待ってくれ!!」
 反射的に、叫んでいた。
荒げられたトウマの叫びに少年は応じ、読み声を止める。
トウマは息を深く吸って、そして、搾り出すように尋ねる。
「アルマナって……。アルマナ=ティクヴァーって、本当なのか!?」
その言葉に対する答えは、すぐに返ってきた。トウマの、僅かな期待を裏切る答えが返ってきた。。
『ああ。放送に偽りがない限り本当だ』
少年の声は現実を告げる。無情な現実がトウマの前に突きつけられる。
 トウマは、体が震え出すのを感じた。その原因となるのは、やり場のない、ぐちゃぐちゃに混ざった感情だ。
 憤怒、悲哀、憎悪、悔恨、後悔。
 それらはトウマの心を埋め尽くしていく。抑えきれなくなったそれは衝動となり、トウマの体を突き動かす。 
 拳を握りこみ、勢いよく振り上げた。
「くそッ!」
内からやって来る衝動に耐え切れず、トウマは壁をぶん殴る。壁に小さなひびが入り、トウマの手の甲に血液が滲む。
 本来なら痛みを感じるはずのそこには、奇妙なくらい感覚がなかった。
 そんな痛みを認識出来ないほど、心が痛みを訴えていた。
「くそぉッ!!」
再び手を振り上げるトウマ。拳は再度壁へと向かおうとして、阻止された。
 クォヴレーが腕を掴んでいた。
「止めろ」
短く言い放たれる言葉に、トウマは力を止める。しかしそれは一瞬のことで、再び腕には力が込められ、動く。
その動きは壁に向かうものではない。前へと行く動きだ。クォヴレーの手が振り払われ、拘束が解ける。
「ちくしょぉぉッ!!」
 トウマは跳ぶ。ワルキューレに一足で近づくと、シートに飛び乗る。
エンジンキーを回し、アイドリングさせる。エンジンが唸り、ワルキューレは動き出す。
「トウマ! 待て!」
クォヴレーの制止の声も聞かず、トウマは地面を蹴る。
強引に方向を変え、加速し、駐車場を出ようとして、
『待て』
少年の声が聞こえた。駐車場の出入り口へと人型機動兵器が動き、道を塞ぐ。
道を塞がれたトウマは止まらざるを得ない。急ブレーキだ。
強烈な摩擦音がし、トウマの体がワルキューレごと横へと吹っ飛ぶ。頬を擦りむいたが、そこにも痛みを感じなかった。
「どけッ!!」
すぐに身を起こし、トウマは怒鳴る。それでも、機動兵器は微動だにしない。
代わりに、少年の声が聞こえてきた。
『何処へ行くつもりだ』
「アルマナの仇を取りに行くんだよッ!」
「何処の誰が殺したのかも分からないのに、か?」
後ろからクォヴレーの声が聞こえてきた。至極真っ当な意見が、トウマの胸に突き刺さる。
急速に意識が冷えていく。足から力がなくなっていき、膝がくずおれ、その場にへたり込む。
「なんで、なんでアイツが死ぬんだよッ! アイツは、戦いなんて望むような奴じゃないのにッ!
 平和な世界を、幸せな世界を作ろうとしていた奴なのにッ! なんで、なんでだよぉッ!!」
感情の奔流が止まらない。やり場のない想いが叫びとなって夜闇に響く。
 気が付けば、涙が流れていた。嗚咽はすぐに慟哭へと変わる。
あらゆる感情を、現実を。押し流すように落涙する。もはや言葉にはならない。
トウマの口から出るのは感情の片鱗だ。それは明確な形を持てず、あたりに撒き散らされる。
声が闇に溶けては生まれ、生まれては溶けていく。
 誰も止められない。
 トウマの悲しみも、憎しみも、怒りも、悔やみも。
 誰も止められない。

185 :仇の約束(3):2005/11/24(木) 00:02:28 ID:OnDJkK+e
 ヒイロは、黒髪の青年の様子をモニター越しに見ていた。彼の感情は真っ直ぐに、ヒイロに向かってくる。
 それは確かな感情だ。嘘も偽りも何もない、強く激しい感情だ。
青年のことも、アルマナ=ティクヴァーのことをヒイロは知らない。
だが少なくとも、青年にとってアルマナが大切な人物であったということは彼の様子を見ればよく分かる。
 そして。
 青年の言葉をヒイロは心の中で反芻する。
 アルマナ=ティクヴァーは戦いを望まない人物だった。平和で、幸せな世界を望む人物だった。
 その姿勢は、ヒイロに一人の人間を思い起こさせる。
 それは、ヒイロにとって大切な人物。守るべき人物。自分に大切なものを思い出させてくれた人物。
 もしも。
 彼女もゲームに参加していたら。いや、問題はそこではない。
 彼女が死んだら。守れなかったら。
 考える。
「そうだったら、俺は……」
考えは思わず声となる。その呟きは小さく、通信機も拾えない。
自分の声を聞くのは自分だけだ。それを聞いて、その続きを考えて。
 ヒイロは震えていた。
 俯き、微かに、震えていた。

186 :仇の約束(4):2005/11/24(木) 00:03:34 ID:vg8ZJy8p
 トウマがなんとか落ち着いてから、ヒイロは放送内容の全てを話した。
他に彼らの知り合いはいなかったようで、二人は黙って聞いていた。
『助かった。感謝する』
「ああ。気にするな」
銀髪の青年の言葉に、ヒイロは短く答える。そして、地面に座っている黒髪の青年に目を向ける。
「それで、お前はどうするつもりだ?」
黒髪の青年がこちらを見る。その目はまだ少し赤く、少し腫れていた。
『仇は取るさ。探し出して、蹴り砕いてやる……!』
「そうか」
ヒイロはそれだけを返す。そしてM9の右腕をゆっくりと持ち上げる。
 その手には、チェーンガンが握られていた。ヒイロは砲身を、黒髪の青年へと向ける。
「なら――俺がお前を殺す」
二人の青年は驚きを見せ、ほぼ同時に身構える。銀髪の青年がこちらを睨んでいるが、ヒイロは気に留めない。
「俺はこのゲームが始まってからいくつかの機体を見てきた。そのどれも、お前たちの機体では太刀打ち出来るものじゃない。
 だから、仇を討つなど考えるな。返り討ちに遭うだけだ」
黒髪の青年が息を詰める。その様子を見て、ヒイロは続ける。
「死に急ぐな。そんなことでは死者も浮かばれない。お前に出来ることは仇打ちじゃない。生きることだ。
 仇なら――探し出して、俺が打ってやる」
それだけ言うと、ヒイロは彼らに背を向ける。一歩、また一歩遠ざかったときだ。
『ま、待ってくれ!』
呼び止められる。黒髪の青年の声だ。その言葉を聞くのは何度目だろうと思いながら、ヒイロは振り向かずに足を止める。
『あんた、名前は?』
「……ヒイロだ。ヒイロ=ユイ」
それを聞いてから、青年は慌てて口を開く。
『あ、俺はトウマ=カノウ。その、すまねぇ。背負わせちまって。
……ありがとう。死ぬなよ。また、生きて会おうぜ』
「ああ。そうだな」
 一度別れれば、また会える可能性は低いことは分かっている。だが、彼らは約束を交わした。
 再会し、共に生きられるよう。彼らは約束を交わした。
 それは、生きようという意志に繋がるから。
 ヒイロは再び歩きかけて、またも動きを止める。
「一つ言っておく。モノアイの、赤い機体には気をつけろ。問答無用で襲ってくる可能性がある」
それだけ言うと、ヒイロは今度こそ歩き出す。そのまま振り向くことなく、その場を立ち去った。

187 :仇の約束(5):2005/11/24(木) 00:04:14 ID:OnDJkK+e
「行かなくてよかったのか?」
ヒイロが去ってから、クォヴレーがトウマに尋ねる。
「正直、あいつの言う通りだと思うからな。バイクじゃちょっと勝てそうにない。
 この手で仇を打てないのは悔しいけど。それに、なんでかな。あいつになら任せてもいい気がしたんだ」
苦笑のような、微笑のような、そんな微妙な笑みをしてトウマは答える。
「そうか」
「でも待てよ。仲間に誘って一緒に行動した方がよかったかな」
「構わないさ。生きて、また会うんだろう? なら、そのときでいい」
「そっか。そうだな」
 それは、ただの楽観思考かもしれない。だが、彼らは疑わない。
 その楽観思考が力を与えてくれるような気がするから。
「トウマ、とりあえず休め。今は俺が見張りをする時間だからな」
クォヴレーの言葉に、トウマは頷いた。
 
 確かな、生きる力を、与えてくれるような気がするから。


【クォヴレー・ゴードン 搭乗機体:ブライサンダー(銀河旋風ブライガー)
 パイロット状態:良好
 機体状態:良好(変形不能)
 現在位置:C-7ビル街
 第一行動方針:トウマと共に仲間を探す
 第二行動方針:なんとか記憶を取り戻したい
 最終行動方針:ヒイロと合流。及びユーゼスを倒す】

【トウマ・カノウ 搭乗機体:ワルキューレ(GEAR戦士 電童)
 パイロット状態:良好、頬に擦り傷、右拳に打傷
 機体状況:良好
 現在位置:C-7ビル街
 第一行動方針:クォヴレーと共に仲間を探す
 最終行動方針:ヒイロと合流。及びユーゼスを倒す
 備考:副指令変装セットを一式、ベーゴマ爆弾を2個、メジャーを一つ所持しています】

【ヒイロ・ユイ 搭乗機体:M9ガーンズバック
 パイロット状態:健康
 機体状況:装甲表面が一部融解
 現在位置:C-7ビル街から移動
 第一行動方針:トウマの代わりにアルマナの仇打ち
 最終行動方針:トウマ、クォヴレーと合流。及び最後まで生き残る】

【時刻:二日目:1:15】

188 :生き抜く理由:2005/11/24(木) 01:32:27 ID:AAdMWjKh
 彼は密林の中で小休止をとっていた。
が、何かが近づいてくる気配を感じ、彼・・・相良宗助はゆっくりと身を起こした。

 ふと、傍らの黒い機体を眺める。それは彼の愛機とはまったく違うものであった。
しかし、元来適応力の高い宗助は、すでに操作のほとんどをマスターしていた。
(この機体のEMCシステムは・・・アーバレストのそれとは比べ物にならん。 これをうまく使えば・・・)
 そして彼はその機体に乗り込んだ。
 
 そして彼はふと回想に浸る。
 宿敵であるガウルンとの決着は着き、奴は海の藻屑と消えた。
 そして、かねてからの約束通りかなめを釣りに連れて行こうと思った矢先、彼はここに連れ去られたのだった。 

 
(千鳥との約束を果たすまで、死ぬ訳にはいかない。土地勘も無い、ここは引く)
 その機体はまさに、隠密、潜伏のために作られているようだった。
 彼はバトルロイヤルの鉄則「極力自分では戦わない」を実行に移すことにした。

【相良宗介:ブリッツガンダム
 現在位置:G-4
 第一行動方針:潜伏
 最終行動方針:生き延びる。場合によっては戦いも辞さない】


(前スレ299、第18話改定です)

189 :仇の約束。修正箇所:2005/11/24(木) 20:06:52 ID:vg8ZJy8p
仇の約束(4)の修正です。

×その手には、チェーンガンが握られていた。ヒイロは砲身を、黒髪の青年へと向ける。
              ↓
○その手には、アサルトライフルが握られていた。ヒイロは砲身を、黒髪の青年へと向ける。

このようにお願いします。

190 :思いを力に:2005/11/25(金) 16:01:35 ID:T3+cGwU7
「エルマ、今何時?」
「そろそろ21時です。ゲーム開始から9時間ぐらいですね」
「あと18時間で二人か・・・なかなか厳しい条件ね」
「どうしてですか?まだ3分の1しか経過してませんけど・・・」
「馬鹿ね、一回目の放送では10人死亡者が出ているわ。残りは45人。既に9時間も経ってるのにまだ一人一人で動いていると思う?
多分半分以上の人間は手を組んでいるでしょうね。わざわざ一人で行動するのは当たり前だけど危険だもの」
<対複数戦闘は一対一より遥かに危険が増すことが予想されます>
「そういうこと。さっすが、アルは頭良いわね〜。なでなでしてあげちゃう!」
「うう、セレーナさん・・・ボクの立場が・・・」
「にしてもアル、結構貴方話せる子だったのね。言っちゃあなんだけどお姉さんびっくりよ」
<私は学習機能を所有しています。マスターとエルマさんの会話から学習させて頂きました>
「セレーナさんの会話で学習したって先が思いやられますね・・・」
「何か言ったかしら?エルマ?」
「な、なんでもないです!」
「・・・話を戻すわ。私達が狙っているのがゲームに乗っている人間よ。
さっき私に啖呵を切ったリュウセイ君じゃないけど、ゲームに乗らない人間だっている。
支給された機体性能には結構差があるようだから、好戦的な人間が勝ち抜いていける程簡単じゃない。
だから時間が経てば経つほど、私達が狙っている類の人間は減っていくでしょうね・・・」
<一日以内に3人殺して情報を得る事よりターゲットの選別条件は優先される事項なのですか?マスター>
「まだアルには分からないかもしれないけどね、私の矜持はそこにあるの。それを失った瞬間にジェルバの仇は討てなくなる。
物理的問題でなく精神的問題なのよ。分かるかしら?」
<理解するよう努めます>
「リオちゃんに覚悟を説いて、リュウセイ君の覚悟を聞いて、私も変わってきてるのかもしれないわね・・・」
(それなら、変わって来てるなら、どうして復讐という茨の道を未だ歩もうとするんですか・・・)
「ん?どうかしたの?エルマ」
「い、いえなんでもないです」
「そればっかりねぇ。そういえばアル、あなたのブラックボックスの中身、まだ教えてくれないの?」
<申し訳ありません、マスター。これは全てに優先される秘匿事項です>
「そんなとこだけは頑固なまんまなんだから・・・」

191 :思いを力に(2):2005/11/25(金) 16:02:27 ID:T3+cGwU7
ラウ・ル・クルーゼは静かに眼を開けた。体にだるさは残っていない。
薬を飲んでから既に3時間、大事を取って長めの休養をしたせいか調子はかなり良くなっている。
ガン・スレイヴを3機失い、Z・Oサイズも紛失したがこれでも充分に戦えるだろう。
忌まわしき存在を産み落とした世界に復讐し、全てを滅ぼす為の格好の舞台なのだ。休むことは許されない。
と、レーダーに赤い点が灯った。クルーゼは口元を歪め、仮面を付ける。
蹲っていたディス・アストラナガンは翼を広げ、森から飛び立った。


「レーダーに反応です!ターゲットは飛行しています!」
「さーて、久しぶりのお客様ね」
<ターゲットから3機の小型熱源が分離。軌道から推測すると自律型兵器と思われます>
「あらら、滅茶苦茶やる気じゃない。エルマ、ちっちゃいヤツの攻撃把握に集中して!アルは本体との戦闘サポート!」
「ラジャ!」
<ラージャ>
ボクサーを持ってアーバレストが地を駆ける。と上空からガン・スレイヴが襲ってきた。
「2時、5時、9時方向にそれぞれ一機です!」
そのうち一機の方へ向け横っ飛びすると、先ほどまでいた地点にバルカンが着弾し土埃を上げる。
<ターゲットとの距離400まで接近>
狙いを外したガン・スレイヴが上空のディス・アストラナガンの周囲に滞空する。
『ハハハ!なかなか良い反応をしているじゃないか!これは楽しめそうだ!』
再びガン・スレイヴが散り、アストラナガンもラアム・ショットガンを構えて滑空してくる。
(この距離はなかなか厳しいわね。ボクサーもグレネードも通用する距離に引き込まなければ・・・)
アーバレストとアストラナガンは非常に相性が悪いことにセレーナは気づく。
リーチが断然違う上に、飛べないアーバレストは対空能力が低いのだ。エルマの索敵能力とアーバレストの速さがあれば
ガン・スレイヴとアストラナガンの連携を避けることはそう難しい事ではないが、攻撃に転じられる程の余裕は無い。
(あっちも勝負を決める為には接近しなければならないみたいね。本体が持ってる武器は形状から考えて散弾銃のようだから
接近しなければ致命傷を与えられない。ならばコンビネーションで決めに来た時が勝負!)

192 :思いを力に(3):2005/11/25(金) 16:03:40 ID:T3+cGwU7
アストラナガンのコクピットでクルーゼは唇を噛んだ。
既に10分以上戦っているが、あの機体にかすり傷程度しか与えられていない。
龍虎王との戦いを経て若干慎重になっているクルーゼは、出来るだけ機体の被害を抑える為、上空から封殺する積もりだった。
しかし相手の腕は予想以上。ガン・スレイヴを自在に動かす集中力も長くは続かない。決定的な一手が必要だった。
「こんなものか、アストラナガン!お前は私の憎しみを糧にするのでは無かったのか?もっと力を、力を寄越せ!」
憎憎しげにコンソールへ向かって叫ぶと、突然クルーゼに黒い気が纏わりついた。ディス・レヴのもたらす憎悪の力がアストラナガンを包む。
クルーゼの身体に憎悪が次々と入り込み、彼の体を憎しみで満たしていく。
体は軽くなり、頭は冴える。産まれた瞬間から彼を蝕んでいた病、薬でも完全に拭えなかったその気だるさは完全に消え去った。
「クククッ、こレはいい。イいぞ、アストラナガン!この力ダ!あレを壊しテ、そして世界を終ワらせる!」

「また三方から来ます!」
ガン・スレイヴが迫り、少しづつ間隔をずらしてバルカンを撃ってきた。三機の動きが更に有機的になっていた。
(動きが良くなってる!?かわし切れない!)
必死の思いで身体を捻るが装甲に着弾。態勢を立て直し方向転換し走り出す。
<右腹部に被弾。損害は軽微>
「さっきまでの動きはブラフだったわけ!?」
全速力で走りつつ、反復横とびのように細かくジャンプを繰り返してガン・スレイヴの追撃を左右にかわす。
<上空からターゲット接近>
「ここしかないわ。仕掛けるわよ!」
素早く後ろを振り向き、ボクサーを撃つ。真後ろに迫っていたガン・スレイヴ一機が直撃を食らって地面に落ちる。
すかさず真横に転がりショットガンをかわす。立つと同時に迫り来るアストラナガンに向けて跳躍した。
(ここまで接近すればあの自律兵器のサポートは受けられない!)
暗闇の空で徐々に近づく二つの機体。今まで逃げ続けていた敵がいきなり自らに向かって飛んで来ることを予想していなかった
クルーゼは一瞬途惑い反応が遅れる。その一瞬を逃さずセレーナはグレネードを投げ、アストラナガンに向けてボクサーを乱射した。
爆音と共にアストラナガンが煙に包まれる。
「やった!?」
「・・・いえ、まだ反応があります!」
落下しつつ振り向き見上げると全く変わらない姿で宙に浮かぶアストラナガンの姿をセレーナも視認できた。
「無傷!?どうして!」
<何らかのバリアが作動したと推測されます>
そうアルが答えると同時にアーバレストは着地する。着地に生じる隙を逃さずガン・スレイヴが突進し、機体に取り付いた。
アーバレストは振り払おうとするが、まるで纏わりつくような細かい制御で思うように動けない。
<ターゲットから大きな熱源反応>
『ハハハハッ!貴様もよク頑張っタがそろそロ終ワりにさせテもらう!
メス・アッシャー マキシマムシュートォォ!」
両肩の背からアーバレストへと伸ばされた砲身から白に虹を混ぜたような光線が放たれた。
「セレーナさん、避けられません!」
次第に白に染められてゆくセレーナの視界―――

193 :思いを力に(4):2005/11/25(金) 16:05:36 ID:T3+cGwU7
仮面を被った奴らにジェルバのみんなが殺されたのはいつだっただろう?たった一人生き残った私は決心した。
命を引き換えにしてもみんなの仇を討つ。その決心の時から私の第二の人生は始まった。
ジェルバでは下っ端だった私はまず経験を積む事から始めなければならなかった。ロボットの操縦技術、
生身での格闘技術、正しい情報を選別する能力、ありとあらゆる状況を想定した訓練を続けた。
そして何年もの情報収集。それでも全く掴めなかった奴らの尻尾がひょっとしたらいま、掴めるかもしれない。
奴らと同じように仮面を被ったユーゼス、奴の言葉は嘘の可能性が高いだろう。でも、ひょっとしたら。
まだ私はチームのみんなの為に何ひとつできていない。なのに、なのにこんなところで死ねる?
死ねるわけがない。私を家族同然に育ててくれたみんな、志半ばで殺されたみんなに顔向けできない。
仇を討つまでは絶対に死ねない!

―――ォォォォォ・・・
静かだが力強い駆動音が身体を包む。何かの接続音。背中と肩から放熱板が展開する。
<ラムダ・ドライバ、イニシャライズ完了>
粉々に消え去る、そうなる筈だったのにあろうことかアーバレストは無傷だった。
「・・・アル、どういうこと?」
<ラムダ・ドライバ、正式名称虚弦斥力場発生システムは搭乗者のイメージを物理的な力に変換する装置です
先ほどはマスターの強い防衛衝動を斥力場に変換してターゲットから放たれた光線を受け止め、左右に逸らしました>
「思いを力に変える装置ってことか。なぁるほど、面白い」
「ええっ、セレーナさん納得しちゃうんですか?」
「勿論よ」
<マスター、僭越ながらお聞きしますがこの装置を疑問に思わないのですか?>
「あら、どうしてそんなこと聞くの?」
<私の前の搭乗者はこの装置の効力を容易に受け入れられないようでした>
「実際それで助かったんだから疑ったってしょうがないわ。それにね、アル。私は思いの力では誰にも負けない自信がある。
なら私に打ってつけの装置じゃない。エルマ、アル!あのゴキブリ野郎と決着をつけるわよ!」


自らの得た新たなる力、メス・アッシャーを直撃させたと確信していたクルーゼは、全く無傷で現れた銀の機体に驚きを隠せなかった。
メス・アッシャーを当てる前に退避させたガン・スレイヴを慌てて撃ち出し、ショットガンを構える。
撃つ時の隙が大きいメス・アッシャーはもう通用しないと考え、ガン・スレイヴと共にアストラナガンは滑空した。
ディス・レヴの力を得たクルーゼによるガン・スレイヴとの絶妙なコンビネーションを展開する。
しかしガン・スレイヴ二機ではさすがにカバーが回らず、また一機ごとの攻撃が展開される見えない壁に阻まれて牽制にならない。
クルーゼを焦燥が包み、彼に生じた弱さを足がかりに急速にディス・レヴが彼の身体を蝕んでいく。
「セカイヲ、ホロボス!ワタシヲキョゼツシタコノセカイヲォォ!」
既に彼の瞳は焦点を結んでいなかった。ただディス・レヴに駆られ前の敵を滅ぼそうと動く。

194 :思いを力に(5):2005/11/25(金) 16:06:30 ID:T3+cGwU7
滅茶苦茶な動きのアストラナガンから放たれる弾をかわしながらセレーナは問う。
「アル、ラムダ・ドライバってのは攻撃にも応用できるの?」
<可能です。マスターのイメージ次第です。ただしラムダ・ドライバはエネルギー消費量が多い為長時間の連続使用はできません>
「一発で決めればエネルギーの心配もないわね」
そう言ってボクサーをアストラナガンに向け、眼を閉じる。
「ターゲット、来ます!」
(イメージしろ・・・!思いを力に。砲弾に意思を。あいつを倒して生き残るッ!)
「これで、消えろっ!」
放たれた弾は唸りながらアストラナガンへと飛ぶ。フィールドを展開し、腕で腹をかばったのを物ともせず装甲を吹き飛ばした。
<二人目ですね、マスター>
「ああっ、アルさんその台詞ボクが言いたかったのに!」
「すっかりお株を奪われちゃったわね」
「うう、酷いです」
「これであと一人。必ずやるわ。でも手札がすっからかんだから補給しないとね。エルマ、近いのはどこ?」
「一番近い補給ポイントはC-5です」
「じゃあそこに行きましょ」


深い森に、アストラナガンが仰向けに倒れこんでいる。
夜の闇に溶け込んでしまいそうなその機体のコクピットは抉り取られ、
赤く飛び散った血だけがかつての搭乗者の面影を残している。
身動き一つしない。
だが。
その機体のアイカメラは輝きを失っていなかった。夜の世界で、煌々と、赤く、輝き続ける。
剥がれた装甲、失った武器、そして、コクピット。それらの損傷部位がゆっくりと再生を開始する。
そうやって、待ち続ける。
ディス・アストラナガンは新たな主を。

195 :思いを力に(5):2005/11/25(金) 16:07:25 ID:T3+cGwU7
【セレーナ・レシタール 搭乗機体:ARX-7 アーバレスト(フルメタル・パニック)
 パイロット状況:健康
 機体状況:ダメージはあるものの、活動に支障はなし エネルギーはかなり消耗
 現在位置:C-4からC-5(補給ポイント)へ
 第一行動方針:ゲームに乗っている人間をあと一人殺す
 最終行動方針:チーム・ジェルバの仇を討つ
 特機事項:トロニウムエンジンは回収。グレネード残弾無し。】

【ラウ・ル・クルーゼ 搭乗機体:ディス・アストラナガン(第3次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状況:死亡
 機体状況:装甲、コクピット、武器(除くZ・Oサイズ)修復中(修復されれば搭乗可能)
 現在位置:C-4の森の中】

196 :すーぱーふぁんたじー大戦1/1:2005/11/26(土) 21:33:09 ID:1s5+q9pr
 嫌味なくらいに綺麗な月明かりの下。
夜目にも映える色鮮やかな機体が、
遮るものも無い大地をゆっくりと移動している。
「無事でいてくれよ、イキマ・・・」
 仲間の無事を案じ、コクピットの青年が呟いた。

 ゼオラと名乗る少女に攻撃を受けてから数時間。
ジョシュアはイキマとの約束を果たすべく、湖へ向けて移動していた・・・
「けど・・・やっぱ、この機体は目立つな」
 わかっていたことだけど・・・と心の中で付け足す。
確かに、この状況で遮蔽物の無い場所にでるなど、危険な行為である。
しかし・・・ジョシュアは悩んだ挙句に、森を出ることを決意したのだった。

(・・・今のところ、レーダーに反応はなしか・・・いや、北から何か来る!?)
森を出て数分。北方からの突然の反応に、ジョシュアは機体を止める。
2号機のモニターには、月明かりを背にして空を舞う、一匹の龍の姿があった。


「ほう・・・ガンダムか。こいつは楽しませてくれそうだ!」
 試作2号機をみつけ、ヤザンは嬉しそうな声を上げる。
そして、そのまま地上へ向けて炎を放った。炎を辛うじて回避するガンダム。
「ま、待ってくれ!俺は戦う気なんて・・・」
 通信機からの男の声を無視し、ヤザンは龍王機を敵に向けて突進させた。


「くそっ!こいつも問答無用か!」
 正面からの突進に回避行動をとりつつ、ジョシュアは叫ぶ。
龍の牙をすれすれでかわすが、そのまま胴の部分に弾かれる。
激しい衝撃とともに、2号機は後方に吹き飛ばされた。
「どうした?ガンダムに乗ってその程度か?失望させてくれるなよ!」
 男の声が通信機を通して、鼓膜を震わせる。
軽くうめきながら、ジョシュアは機体を立て直した。
(く・・・何か、何か勝つ方法は無いか・・・?)
バルカンを撃ちながら、ホバーを駆使して敵機を引き離しにかかる。
が、相手はそれを物ともせず接近してくる。
ジョシュアの努力もむなしく、二機の距離は広がることは無かった。
「つまらん。これで終わりにしてやる、落ちろ!」
 その言葉と共に、龍がそのあぎとを開く・・・
(くっ・・・ここまでか・・・)
ジョシュアが絶望の予感に目を閉じた、その時だった。

「そんな事させるかよっ!」
 突如、戦場に響く男の声。
それと同時に、妖精のような姿をした機体が表れた・・・地面の、下から。
「なっ・・・?」
 完全に虚を突かれるジョシュア。それは、今まで戦っていた相手も同じだった。
動きを止めた青い龍に、第三の機体が手にした剣を突き立てる。
しかし、その刃は龍の鱗にかすかな傷を残しただけだった。

「おい、あんた!今のうちに逃げろ!はやく!」
 通信機から聞こえる男の声に、ジョシュアは我に帰る。
すまない・・・と呟き、ジョシュアは後方へ身を翻した。
 戦闘音を背に森へと向けて加速する。
このまま全速力で行けば、確実に逃げられるだろう・・・しかし・・・
(いいのか?このままで、本当にいいのか?)
 ほんの一瞬の逡巡。
ジョシュアは軽く頭を振ると、意を決したように戦場へと引き返した。

197 :すーぱーふぁんたじー大戦2/3:2005/11/26(土) 21:34:19 ID:1s5+q9pr
「発想は良かったんだが・・・いかんせん、機体がそれではな!」
 コクピットの中で笑みを浮かべつつ、ヤザンは眼下の妖精に向けて炎を放つ。
奇襲で一瞬、虚を突かれたヤザンだったが、
機体の圧倒的な性能差で、眼下の機体を追い詰めるまでにいたっていた。
 攻撃は当たらないものの、相手の消耗は激しく、動きが少しづつ鈍くなっている。
「今度こそ、終わりだ!」
 龍の牙が妖精を襲おうと煌く。それを受けて、身構える妖精。
一触即発のその状態は・・・男の声によって再び、遮られた。

「動くな!動くと撃つ!」
 叫び声と同時に、先ほどの機体が間に割って入る。
その腕には、先ほどの戦闘では確認できなかった、大口径のバズーカを持っていた。
「お、おい、なんで戻ってきたんだよ!?」
 その声を意に介さず、ガンダムのパイロットは続ける。
「攻撃を止めろ。でないと、お前は死ぬことになる」
「ほう・・・確かにそのバズーカは威力がありそうだが・・・」
「これは核だ。撃てば、その機体は確実に消滅する!」
 男の言葉に、ヤザンは動きを止める。
「そんな、はったりに・・・」
「・・・・・・・・・」
 沈黙・・・それを受けて、ヤザンは考える。
(核を搭載したガンダムだと!?そんなもの、存在するわけが・・・いや、しかし・・・)
「・・・・・・わかった、お前達の言葉に従おう」
 悩みぬいた挙句に、ヤザンは降伏を受け入れた。

198 :すーぱーふぁんたじー大戦3/3:2005/11/26(土) 21:35:00 ID:1s5+q9pr
【ジョシュア・ラドクリフ 搭乗機体:試作2号機(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)
 パイロット状況:肉体的、精神的に疲労
 機体状況:全身に損傷(行動には問題なし)
 現在位置:G-3とG-4の境目
 第一行動方針:リュウセイと会話(できればヤザンとも)
 第二行動方針:イキマと合流するため、北の廃墟へ向う
 第三行動方針:主催者打倒の為の仲間、イキマの探し人(バラン、ジーグ)を探す
 最終行動方針:イキマと共に主催者打倒】

【リュウセイ・ダテ 搭乗機体:フェアリオン・S(バンプレオリジナル)
 パイロット状態:精神的、肉体的に疲労。ヤザンに怒り
 機体状態:装甲を大幅に破損。動く分には問題ないが、戦闘は厳しい
 現在位置:G-3とG-4の境目
 第一行動方針:ジョシュアと会話(ヤザンとはあまり話したくない)
 第二行動方針:戦闘している人間を探し、止める
 第三行動方針:仲間を探す
 最終行動方針:無益な争いを止める(可能な限り犠牲は少なく)】

【ヤザン・ゲーブル 搭乗機体:龍王機(スーパーロボット大戦α)
 パイロット状況:健康、捕虜状態、軽い苛立ち
 機体状況:尻尾がない、全身にハンマーの大量のかけらが当たったときのダメージ(中)
 現在位置:G-3とG-4境目
 第一行動方針:ジョシュアの言葉に従う(隙さえあれば攻撃)
 第二行動方針:バラン=ドバンを探す。また、どんな機体でも見つければ即攻撃
 最終行動方針:ゲームに乗る】

【時刻:2:20】

199 :それも名無しだ:2005/11/27(日) 18:05:17 ID:OJjx2lz0
>>196-198をいったん破棄します。
ご意見、ありがとうございました。
参考にします。

200 :それも名無しだ:2005/11/28(月) 12:07:41 ID:7HZOQ09x
hosyu

201 :すーぱーふぁんたじー大戦修正ver1/4:2005/11/28(月) 18:46:47 ID:TX5ewTgS
 嫌味なくらいに綺麗な月明かりの下。
夜目にも映える色鮮やかな機体が、
遮るものも無い大地をゆっくりと移動している。
「無事でいてくれよ、イキマ・・・」
 仲間の無事を案じ、コクピットの青年が呟いた。

 ゼオラと名乗る少女に攻撃を受けてから数時間。
ジョシュアはイキマとの約束を果たすべく、湖へ向けて移動していた・・・
「けど・・・やっぱ、この機体は目立つな」
 わかっていたことだけど・・・と心の中で付け足す。
確かに、この状況で遮蔽物の無い場所にでるなど、危険な行為である。
しかし・・・ジョシュアは悩んだ挙句に、森を出ることを決意したのだった。

(・・・今のところ、レーダーに反応はなしか・・・いや、北から何か来る!?)
森を出て数時間。北方からの突然の反応に、ジョシュアは機体を止める。
2号機のモニターには、月明かりを背にして空を舞う、一匹の龍の姿があった。


「ほう・・・ガンダムか。こいつは楽しませてくれそうだ!」
 試作2号機をみつけ、ヤザンは嬉しそうな声を上げる。
そして、そのまま地上へ向けて炎を放った。炎を辛うじて回避するガンダム。
「ま、待ってくれ!俺は戦う気なんて・・・」
 通信機からの男の声を無視し、ヤザンは龍王機を敵に向けて突進させた。


「くそっ!こいつも問答無用か!」
 正面からの突進に回避行動をとりつつ、ジョシュアは叫ぶ。
龍の牙をすれすれでかわすが、そのまま胴の部分に弾かれる。
激しい衝撃とともに、2号機は後方に吹き飛ばされた。
「どうした?ガンダムに乗ってその程度か?失望させてくれるなよ!」
 男の声が通信機を通して、鼓膜を震わせる。
軽くうめきながら、ジョシュアは機体を立て直した。
(く・・・何か、何か勝つ方法は無いか・・・?)
バルカンを撃ちながら、ホバーを駆使して敵機を引き離しにかかる。
が、相手はそれを物ともせず接近してくる。
ジョシュアの努力もむなしく、二機の距離は広がることは無かった。
「つまらん。これで終わりにしてやる、落ちろ!」
 その言葉と共に、龍がそのあぎとを開く・・・
(くっ・・・ここまでか・・・)
ジョシュアが絶望の予感に目を閉じた、その時だった。

202 :すーぱーふぁんたじー大戦修正ver2/4:2005/11/28(月) 18:47:37 ID:TX5ewTgS
「そんな事させるかよっ!」
 突如、戦場に響く男の声。
それと同時に、妖精のような姿をした機体が表れた・・・地面の、下から。
「なっ・・・?」
 完全に虚を突かれるジョシュア。それは、今まで戦っていた相手も同じだった。
動きを止めた青い龍に、第三の機体が手にした剣を突き立てる。
しかし、その刃は龍の鱗にかすかな傷を残しただけだった。

「おい、あんた!今のうちに逃げろ!はやく!」
 通信機から聞こえる男の声に、ジョシュアは我に帰る。
すまない・・・と呟き、ジョシュアは後方へ身を翻した。
 戦闘音を背に来た方向へと向けて加速する。
このまま全速力で行けば、確実に逃げられるだろう・・・しかし・・・
(いいのか?このままで、本当にいいのか?)
 ほんの一瞬の逡巡。
ジョシュアは軽く頭を振ると、意を決したように戦場へと引き返した。

「発想は良かったんだが・・・いかんせん、機体がそれではな!」
 コクピットの中で笑みを浮かべつつ、ヤザンは眼下の妖精に向けて炎を放つ。
奇襲で一瞬、虚を突かれたヤザンだったが、
機体の圧倒的な性能差で、眼下の機体を追い詰めるまでにいたっていた。
 攻撃は当たらないものの、相手の消耗は激しく、動きが少しづつ鈍くなっている。
「今度こそ、終わりだ!」
 龍の牙が妖精を襲おうと煌く。それを受けて、身構える妖精。
一触即発のその状態は・・・男の声によって再び、遮られた。


「動くな!動くと撃つ!」
 叫び声と同時に、先ほどの機体が間に割って入る。
その腕には、先ほどの戦闘では確認できなかった、大口径のバズーカを持っていた。
「お、おい、なんで戻ってきたんだよ!?」
 その声を意に介さず、ガンダムのパイロットは続ける。
「攻撃を止めろ。でないと、お前は死ぬことになる」
「ほう・・・確かにそのバズーカは威力がありそうだが・・・」
「これは核だ。撃てば、その機体は確実に消滅する!」
 男の言葉に、ヤザンは動きを止める。
「そんな、はったりに・・・」
「・・・・・・・・・」
 沈黙・・・それを受けて、ヤザンは考える。
(核を搭載したガンダムだと!?
 そんなもの、存在するわけが・・・いや、待て・・・確か・・・)
「・・・・・・わかった、お前達の言葉に従おう」
 悩みぬいた挙句に、ヤザンは降伏を受け入れる。
「よし・・・そのまま、ここから離れろ・・・
 少しでも、妙な動きをしたら撃つからな!」
(見逃してやるから、尻尾を巻いて逃げろって事か!)
 男の言葉に屈辱を覚えつつ、ヤザンはその場から離れていった・・・

203 :すーぱーふぁんたじー大戦修正ver3/4:2005/11/28(月) 18:48:04 ID:TX5ewTgS
「けど、あんたも無茶するよな」
 互いの事を色々と話し、落ち着いた頃・・・
ジョシュアは、リュウセイと名乗った青年にそう言った。
「なんだよ・・・お互い様だろ?」
 ジョシュアの言葉に、憤慨したような答えが返ってくる。
それに軽く笑いつつ、ジョシュアは先ほどからの疑問をぶつけた。
「しかし、よく敵味方の判断ついたよな、あの状況で・・・」
「ま、まあな・・・」
 微妙に口ごもるリュウセイ。その様子に、なんとなく思い当たる。
「もしかして・・・最初から見てたのか?」
「・・・わりぃ・・・奇襲のタイミングをうかがっていたんだよ」
「いや、助かったよ・・・ありがとうな」
「いいって・・・困ったときはお互い様だろ?」
 その言葉に互いに笑いあう・・・そして・・・

「これから俺は、仲間のところに向うんだけど・・・あんたも一緒に来ないか?」
「・・・悪いけど、俺は探さなきゃいけない人がいるからよ・・・」
「そうか・・・」
 リュウセイの言葉を残念に思いつつ、言葉をつなげる。
「じゃあな・・・何かあったら、北の湖の廃墟まで来てくれ・・・
 明日の明け方までなら、そこに居ると思うから・・・」
「ああ・・・・・・またな」
「またな」
 再会の約束を交わし・・・二つの機体は歩み始める。互いの目的にむかって・・・

204 :すーぱーふぁんたじー大戦修正ver4/4:2005/11/28(月) 18:48:28 ID:TX5ewTgS
【ジョシュア・ラドクリフ 搭乗機体:試作2号機(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)
 パイロット状況:肉体的、精神的に疲労
 機体状況:全身に損傷(行動には問題なし)
 現在位置:G-2とG-3の境目
 第一行動方針:イキマと合流するため、北の廃墟へ向う
 第二行動方針:主催者打倒の為の仲間を探す
 第三行動方針:イキマの探し人(バラン、ジーグ)を探す
 最終行動方針:イキマと共に主催者打倒】

【リュウセイ・ダテ 搭乗機体:フェアリオン・S(バンプレオリジナル)
 パイロット状態:精神的、肉体的に疲労。ヤザンに怒り
 機体状態:装甲を大幅に破損。動く分には問題ないが、戦闘は厳しい
 現在位置:G-2とG-3の境目
 第一行動方針:イングラムを探す
 第二行動方針:戦闘している人間を探し、止める
 第三行動方針:仲間を探す
 最終行動方針:無益な争いを止める(可能な限り犠牲は少なく)】

【ヤザン・ゲーブル 搭乗機体:龍王機(スーパーロボット大戦α)
 パイロット状況:健康、怒りと苛立ち
 機体状況:尻尾がない、全身にハンマーの大量のかけらが当たったときのダメージ(中)
 現在位置:G-2とG-3境目
 第一行動方針:バラン=ドバンを探す。また、どんな機体でも見つければ即攻撃
 第二行動方針:次に試作2号機と会ったら、確実に仕留める
 最終行動方針:ゲームに乗る】

【時刻:2:50】

205 :それも名無しだ:2005/11/28(月) 23:12:50 ID:CytQ80DI
ラヴレス先生の簡単レポート8
◆『生存者編6』(本スレ2の204「すーぱーふぁんたじー大戦修正版」まで)


●ジョシュア(二日目2:50/G-2とG-3の境目)
  リュウセイの助け受け、ヤザンを撃退。イキマと合流するため北へ向かう

・ジョシュア・ラドクリフ(ガンダム試作2号機)自衛協力型
  基本性能は高いが核を除くと決め手に欠ける。イキマと合流する為、北の廃墟へと向かう。
  真っ直ぐな漢で、イキマを善人属性化する人物その2。


●リュウセイ(二日目2:50/G-2とG-3の境目)
  ジョシュアと共闘しヤザンを撃退するも同行はせず。イングラムを探しを再開

・リュウセイ・ダテ(フェアリオン)自衛協力型
  同作品機だが高起動機の扱いは不慣れか。決め手にかける為、単体運用は厳しいようだ。
  基本的には熱血突撃型だが、ちゃんと戦術を考えているようだ。
  

●ヤザン(二日目02:50/G-2とG-3境目 )
  ジョシュアを襲うもリュウセイに邪魔された挙句、核で脅され逃走する。

・ヤザン・ケーブル★★★(竜王機)無差別
  既に尻尾がなく、全身にダメージ(中)。 機体自体はさほど強くないはずだが、MA感覚で
  乗りこなされているようだ。無差別攻撃だがシッカリと状況判断のできる上級デストロイヤー。

●シロッコ&キラ&ゼオラ(二日目04:00/A-1市街地)
  シロッコがゼオラの説得(洗脳)に成功し、味方に加える。

・パプテマス・シロッコ(ダンガイオー(一人乗り))策士型
  機体右腕消失、サイキック系は使用不可。パイロットの腕でカバーできるかは微妙。
  胡散臭いカリスマ(?)を武器に、強力な部下を従えている。心理戦になれば独壇場か?

・キラ・ヤマト(ゴッドガンダム)協力暴走型
  強力機体だが体術系操縦なので性能を発揮は難しい。種割れ&ハイパーモードなどに期待したい。
  胡散臭い話術に騙され、美少女の涙にドキドキな悩めるお年頃。何気に解析技能持ち。
  なお『やめてよね(r』直後のため、種割れは理性を維持できずバーサークする可能性あり

・ゼオラ・シュバイツァー★(ゼオライマー)猫被り型
  機体左腕に損傷。メイオウ攻撃(弱)など強力だが燃費も悪い。次元連結装置はレプリカ。
  アラド依存症なのか、彼の生前も暴走していたが、死後は精神崩壊を起こし暴れまわっていた。
  それを逆手に取られ、アラドを餌にシロッコに手懐けられてしまった。


●マジンカイザー(初日23:55/A-3海底)
  『魔』モードで独立行動状態に入った。参加者を無差別に襲うらしいが、カイザースクランダーを
  失っているため、飛べない。パイルダーが直ってから乗れば『Z』モードで操れるようだ。


●ラミア・ラヴレス(ずっと/ユーゼスの隣)
  ユーゼスに対する質問役、又はツッコミ役。ジョーカー的な存在だが、今だゲームには参加せず。


以上、生存者43名+1機

206 :205:2005/11/28(月) 23:13:59 ID:CytQ80DI
誤爆しました。すいません

207 :その男 東方不敗:2005/12/02(金) 18:10:12 ID:1sUcDG4U
 アムロ・レイは次なる標的を捜し求め、サザビーを北に向かわせていた。
「あと、どれだけの人間を倒せば、僕は戻る事が出来るんだろう……」
 コクピットの中、アムロは陰鬱な溜息を吐く。だが、それは自分の行いを悔いている声ではない。
 懺悔は全てが終わった後、元の世界に帰ってからと決めた。
 今の自分には、どうしても帰らなければならない場所がある。
 その為ならば他人の血で手を汚す事も厭わないと、そう心に決めていた。
 だから、そう。たとえ相手が何者であっても、アムロ・レイは手を抜かない。
 冷徹な殺戮機械の感情で、すべてを殺し尽くそうとするだろう。
 そう。たとえ相手が傷付き倒れ、既に戦意を失った人間であっても。
「レーダーに反応……? だけど、これは……」
 モニターに映し出された機体の姿に、アムロは一瞬だけ途惑いを覚える。
 それは、瓦礫の中に埋もれて、傷付き倒れた黒の機体。
 乗り手が死んでしまったのか、その場に倒れ伏したままピクリとも動く様子は無い。
 ……だが、ニュータイプであるアムロの直感は、その機体に乗った人間が未だ生きている事を確信していた。
 罪悪感が無いとは言わない。
 意識の無い人間に止めを刺すようなその行いが、どれだけ恥知らずな事なのかは理解している。
 だが、それでもアムロには戦わなければならない理由があった。
 殺し合わなければならない理由があった。
「なら、せめて苦しまないように……狙え、ファンネル!」
 アムロの意思に応える形で、サザビーがファンネルを射出する。
 狙いを定めるは傷付き倒れた黒の機体、ガンダムデスサイズヘルカスタム。もはやパイロットの命は、潰える寸前と思われた。
 だが――

「十二王方牌! 大車併ぃぃぃぃぃぃっ!!」
「なにっ!?」
 突如聞こえた男の声に、アムロは意識を奪われる。
 そして、次の瞬間――

 ドゴォォォォォッ!

「なっ! ファンネルが……!?」
 彼方より飛来した謎の攻撃が、アムロのファンネルを撃ち落していた。

208 :その男 東方不敗:2005/12/02(金) 18:10:43 ID:1sUcDG4U
「……ふぅ。何とか間に合ったようだな」
 右手を前方に突き出した格好のまま、東方不敗は安堵の溜息を吐く。
 意識無い機体に襲い掛かろうとしている赤のMS。それを目視した瞬間にはもう、東方不敗の身体は動き出していた。
 敵機との距離を即座に見切り、行使可能な技を選択。さらには相手が撃ち放ったビットを正確に狙い、その尽くを撃ち落したのである。
 その技量の凄まじさは、それを目にした人間自身が最も良く理解していた。

「くっ……このプレッシャーは……!」
 強い――
 これまで倒してきた相手とは一線を画する強烈な重圧感。それに一瞬だけ怯みはしながらも、アムロは自機の体勢を立て直す。
 片手間で相手に出来るような、生半可な実力を持った相手ではない。
 こちらが全力で倒す気にならなければ、どうあっても倒し切れない強力な敵だ。
 だが、それも機体が万全な状態であっての話である。
 この機体が半損している状態では、倒し切る事は難しい。
 それを肌で感じ取り、アムロは自分の表情が強張るのを感じていた。
「そうだ。良く考えるんだ、アムロ。何も相手を無理して倒す必要はない、倒せる相手だけを確実に仕留めればいいんだ……」
 そう判断してからの行動は素早かった。その場で機体を反転させて、アムロは即座に逃走を図る。

「……ほう。あの機体、逃げるつもりか」
 逃げ出す赤の機体を見て、東方不敗は呟きを洩らした。
 仕損じたと見るや即逃走。この判断の早さは、こういった状況下では強力な武器の一つとなる。
 後の事を考えるなら、あの機体を追うべきではあるのだろう。
 気絶する人間を平気で狙い撃ちにする非常な精神。そして、あの素早く的確な状況判断力。
 この場で仕留める機を逃せば、また他の人間が襲われる可能性は大いにあった。
 だが、それを理解していながらも、東方不敗はこの場を離れる事が出来なかった。
 もし、自分がこの場を離れてしまったとしたら、その間に他の殺戮者が来ないとも限らないのだ。
 だからこそ、この機体の乗り手が意識を取り戻すまでの間、この場を離れるわけにはいかなかった。
 もし、そこまで計算した上で、相手が逃走を行ったのだとしたら……。
「……油断ならん相手よ」
 そう呟いて、東方不敗は遠ざかる赤の機体を睨み付けた。

209 :その男 東方不敗:2005/12/02(金) 18:11:46 ID:1sUcDG4U
【東方不敗 搭乗機体:零影(忍者戦士飛影)
 パイロット状況:良好
 機体状況:良好
 現在位置:E-1廃墟地帯(内陸寄り)
 第一行動方針:気絶中のリオが目覚めるまで待つ
 第二行動方針:ゲームに乗った人間とウルベを倒す
 最終行動方針:必ずユーゼスを倒す】

【リオ=メイロン 搭乗機体:ガンダムデスサイズヘルカスタム(新機動戦記ガンダムW Endless Waltz)
 パイロット状況:気絶中。後悔と謝罪の念。
 機体状況:全体的に破損、武器消失。瓦礫に覆われている。
 現在位置:E-1廃墟地帯(内陸寄り)
 最終行動方針:リョウトを探す】

【アムロ・レイ 搭乗機体:サザビー(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
 パイロット状態:良好
 機体状態:シールド、ファンネル3基破壊。装甲表面が一部融解
 現在位置:E-1を逃走
 第一行動方針:慎重に機を窺い、隙のある相手を確実に仕留める
 第二行動方針:東方不敗に警戒
 最終行動方針:ゲームに乗る。生き残る】

【二日目 2:00】

210 :その男 東方不敗(修正):2005/12/03(土) 01:28:08 ID:QJj3xpy8
 議論の方でも指摘ありましたが、いくつか修正点がありましたので、こちらの方で修正箇所を正させていただきます。
 まずはアムロの状況ですが、正しくは次のようになります。

【アムロ・レイ 搭乗機体:サザビー(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
 パイロット状態:良好
 機体状態:シールド破壊、ファンネルの半数を消失、装甲表面が一部融解
 現在位置:E-1を逃走
 第一行動方針:慎重に機を窺い、隙のある相手を確実に仕留める
 第二行動方針:東方不敗に警戒
 最終行動方針:ゲームに乗る。生き残る】


 続いて、漢字の変換ミスです。208の文章に漢字の間違いがありましたので、そちらも正させていただきます。

 気絶する人間を平気で狙い撃ちにする非常な精神。そして、あの素早く的確な状況判断力。
                   ↓
 気絶する人間を平気で狙い撃ちにする非情な精神。そして、あの素早く的確な状況判断力。


 修正点は以上です。どうも、ご迷惑をお掛けしました。

211 :その男 東方不敗(再修正):2005/12/04(日) 08:45:33 ID:7BlEFEd6
たびたび申し訳ありません。議論の方で再度指摘ありましたので、修正を行わせていただきます。

【アムロ・レイ 搭乗機体:サザビー(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
 パイロット状態:良好
 機体状態:シールド破壊、ファンネル残数1、装甲表面が一部融解
 現在位置:E-1を逃走
 第一行動方針:慎重に機を窺い、隙のある相手を確実に仕留める
 第二行動方針:東方不敗に警戒
 最終行動方針:ゲームに乗る。生き残る】

212 :噛み締める無力:2005/12/06(火) 02:08:05 ID:wylwx97T
「く……あ…………」
 ズキズキと痛む頭を手で押さえながら、イサム・ダイソンは目を開いた。
 目覚めの気分は最悪だった。
 全身を走り抜ける鈍い痛みと、そして重い疲労感。
 そして、何よりも――挫折感。
「俺……は……」
 撃墜時の衝撃によって意識を失ったのだと気付いたのは、意識を取り戻してすぐだった。
 そう、自分は負けたのだ。
 惨敗、だった。
「チク……ショウッ…………!」

 ――ダンッ! 

 パネルに拳を叩き付け、イサムは強く歯を食いしばる。
 情けなかった。自分の無力が、どうしようもなく。
 倒せると思っていた。あの赤い機体を必ず仕留め、仲間の無念を晴らすのだと、そう真っ直ぐに思っていた。
 だが、結果はどうだ。返り討ちにされた挙句、無様に意識まで失った。
 自分が死んでいなかったのは、あくまでも結果でしかない。
 相手が死体の確認を怠り、そして自分は運良く生きていた。ただそれだけの結果でしか。
「すまねぇ……すまねぇ、テンカワ……お前の仇……取ってやる事が出来なかった……」
 苦渋の響きで声を絞り出し、イサムはコクピットで項垂れる。
 自分を信じて二人の救助に向かわせてくれたアクセルに、何と言えばいいのだろう。
 何も知らず周囲の警戒を行っていたマサキに、どう言えばいいのだろう。
 それに、何よりも、あの場で悲しみに暮れていたルリに――自分は何を言えるのだろう。
 絶対に仇は討つと言った、この口で。


「リフターを壊された他には、大したダメージは無いみたいだな……」
 D−3のコンピューターである“マギー”によって、自機の状態をチェックする。
 機体の状況は、思ったより悪くはなかった。
 リフターを破壊されて飛行能力を失った事は痛かったが、それでも機体の運用に支障は無い。
「……とにかく、今は元の場所に戻る事を考えねえとな」
 これからどうするかは決まっている。残して来た仲間の元に戻らなければならない。
 悔いはある。今この瞬間も、苦い感情が身体に残っている。
 だが、この場でいつまでも立ち止まっているわけにはいかない。
 悔やむ事は、後からでも出来るのだから。
「戻るには……歩くしかねえか……」
 仲間と別れた場所は幸いにも遠くない。
 すぐ隣のエリアだ。飛行能力を失ったD−3でも、行き着くのにさして時間は掛からないだろう。
 だが、襲撃を受けた事を考えれば、いつまでも仲間が同じ場所に留まっているとは限らない。
 むしろ安全を確保する為に、あの場所からは離れたと見るべきだろう。
 もちろん、仲間が自分の帰りを待ってくれている可能性はあるだろう。だが、それに過度の期待は掛けられない。
 つまり自分の行動は、全て裏目に出てしまった事になる。
「……なさけねぇ」
 後悔の中、イサムは機体を南に向ける。仲間との合流を目的として。

213 :噛み締める無力:2005/12/06(火) 02:08:59 ID:wylwx97T
 だが――

「……なんだよ、こりゃあ」
 仲間の居場所に戻った彼を待ち受けていたのは、冷たく惨酷な現実だった。
 見る影も無く破壊された、見覚えのある戦闘機。ホシノ・ルリのスカイグラスパー。
 そう、彼女は死んだのだ。
「なんなんだよ……なんなんだよ、こりゃあ!」
 叫ぶ。
 行き場の無い怒りと悲しみが、イサムの中で荒れ狂う。
「あの時……俺が、一人で先走ったからか……」
 憎かった。
 彼女を殺した誰かではなく、自分の無力と浅はかさが。
「あの時……俺が無理に奴を追おうとしていなければ……仲間を守る事だけ考えてればっ……!」

 ――ドンッ!!

「畜生っ……! 畜生っ……!」
 許せなかった。
 こうやって他人の命を簡単に奪える連中が。
 そして何よりも、自分の無力が。
 だから、拳を叩き付ける。この行き場所の無い憤りを、とにかくどこかにぶつけてしまいたいとばかりに。
「俺が……俺がッ! 俺がッ!! 俺がぁぁぁぁぁぁっ!!」
 ……彼は知らない。少女の命を奪った者が、仲間と信じていた男だった事を。



【イサム・ダイソン 搭乗機体:ドラグナー3型(機甲戦記ドラグナー)
 パイロット状況:肉体的には問題無し 精神的には激しい怒り
 機体状況:リフター大破 装甲に無数の傷(機体の運用には支障なし)
 現在位置:E-5
 第一行動方針:アムロ・レイ、ヴィンデル・マウザーの打倒
 第二行動方針:アクセル・アルマー、木原マサキとの合流
 最終行動方針:ユーゼス打倒】

【二日目 3:30】

214 :修羅と少女:2005/12/06(火) 09:58:24 ID:wylwx97T
 夜が明ける。
 数多くの激戦が繰り広げられる中で生き延びる事が出来たのは、殺し合いを勝ち抜いた者ばかりではない。
 戦わない事を選択した者もまた、その数多くが生き残っていた。

 廃墟の中、赤毛の青年は佇んでいた。
 フォルカ・アルバーグ。血塗られた修羅の宿命に異を唱え、修羅の世界を変えるべく戦い続けた男。
 全ての者が飽く無き闘争に浸り続ける修羅界で生まれ育った彼にとって、殺し合いに身を置く事は日常茶飯事であると言えた。
 ……しかし、だからこそ、フォルカは表情に苦渋の色を浮かばせていた。修羅を捨てた、この青年は。

「ユーゼス・ゴッツォ……奴は第二の修羅界を作り出そうとしているとでも言うのか……?」
 修羅。それは戦う事に絶対の価値観を置く、修羅界と呼ばれる異世界に存在する者達である。
 かつてはフォルカも修羅の名に相応しく、戦う事に何の疑問も持たなかった。
 戦い、倒し、そして敗者の命を絶つ。それが修羅にとっての日常であり、そしてフォルカの過去でもあった。
 だが、修羅王の座を巡って行われる聖戦の中で、フォルカは修羅である事に疑問を持つ事になった。
 フェルナンド・アルバーグ。兄弟同然に過ごしてきた男の命を、フォルカは絶つ事が出来なかったのだ。
 それはフォルカが修羅の生き方から外れ、そしてフェルナンドがフォルカを憎む原因にもなった。
 敗者である自分の命が奪われなかった事に、フェルナンドは激しい屈辱を覚えたのである。
 修羅にとって、敗北の上で与えられる死は誇りである。より強き者に倒された事を誇りとし、修羅達は戦いの果て命を落とすのだ。
 だが、その誇りをフォルカは与えなかった。
 それは無様に生き恥を晒し続けろと告げた事となり、だからこそフェルナンドはフォルカを憎み続けたのだ。
 それが、修羅。戦いを絶対とする、人ならざる血塗られた理に生きる者。

 ……だが、かつて自分が過ちに気付いたように、修羅の中にも戦いを好まない者は居た。
 自分が理想とする“戦いの無い修羅界”に賛同し、力を貸してくれる者も居たのだ。
 フェルナンドとも、最後には分かり合う事が出来た。
 だから、そう。この戦いも、きっと止める事が出来るはずだ。
 かつてこの手で修羅王を打ち倒し、戦い続ける修羅界の宿命を変えてみせたように。

 ヒュッ――!

 フォルカの拳が空を切り裂く。それは修羅の名に相応しく、強烈な威力を込めた拳であった。
 機神拳。この拳一つを頼りとして、フォルカは闘争相次ぐ修羅界で生き抜いてきた。
「……あの機体、エスカフローネだったか。あれならば、俺の機神拳を扱う事も出来るだろう」
 強く拳を握り締め、フォルカは廃墟で意を決する。
 この無意味な戦いを、必ず終わらせる事を。
 その為に、あの男を――ユーゼス・ゴッツォを打ち破ってみせると。

215 :修羅と少女:2005/12/06(火) 09:59:30 ID:wylwx97T
 ――夢を、見ていた。
 それは自分にとって馴染みの深い、しかし忌むべき暗い感覚。
 自由を奪われ操られる、忌むべき不快な夢であった。
(いや……だ…………)
 夢の中、少女はもがく。
 全身を泥に絡め取られるような感覚の中、必死で空に手を伸ばす。
 だが、何も掴めない。掴める物などありはしない。
 彼女の手を握り、泥の中から引き上げてくれる人は――リュウセイ・ダテは、この場に居ない。
(リュウっ……!)
 その虚しく伸ばした手まで飲み込まんと、泥は彼女を覆い尽くそうとする。

 だが――泥の中、ふと彼女は“何か”を感じる。
 それは、意思。世界の全てを敵に回しても己が意思を貫き通そうとする、白き鬼神の雄姿であった。
 倒れても、傷付いても、鬼神は立ち上がり再び拳を握り締める。
 強いと思った。力ではなく、その何度も立ち上がる意思そのものが。
 そして戦い続ける鬼神の姿は、ある男のそれを思い起こさせた。
 そう、あれは……あの姿は……。
(……フォル、カ?)
 その白い鬼神の姿が、赤毛の青年と重ね合わされ――

「あ…………」
 マイ・コバヤシ――いや、今はレビ・トーラーと言うべきか――は目を覚ました。
 崩れかけの天井と、埃っぽさが漂う空気。
 ……覚えている。眠りに付く前まで、自分はこの光景を目にしていた。
「レビ」
 自分の名前を呼ぶ声に、レビは振り向き口を開いた。
「フォルカ……」
「もう、身体は大丈夫なのか?」
「ああ……問題、無い……」
「そうか。なら、いいんだが……」
 フォルカの声を聞きながら、レビは周囲が明るくなっている事を感じ取る。
 確か自分が眠りに付く前は、まだ暗かったはずなのに……。
「……そうだ、放送は!?」
 自分が眠っている間に次の放送が流れてしまったのでは――
 そして放送で伝えられる支社の中に、自分の知った名前があったのでは――
 そんな不安が彼女の中で膨れ上がり、レビは思わず大きな声を出していた。
「第二回目の放送は、まだ行われていない。もう一時間もすれば流れるはずだが……」
「そう、か……」
「……不安なのか?」
「…………」
 フォルカの問いにレビは頷く。決まっている、不安でないわけがない。
 もしかしたら――考えたくもない事だが――
 死亡者として放送される名前の中に、彼の名前が――
「……大丈夫だ」
「え……?」
 不安に震えるレビの肩を、フォルカは強く掴んで言った。
「きっと、大丈夫だ。レビ、君の大切な人は生きている」
「フォルカ……」
「だから、探そう。次の放送が終わり次第、君の大切な人を」
 レビの瞳を真っ直ぐに見詰め、フォルカは力強くそう言った。
「う……ん…………」
 ……ああ、そうだ。自分が信じないでどうするんだ。
 きっと無事だ、生きている。
「探そう……リュウを……!」
 そう。リュウセイ・ダテは、こんな所で死ぬような人じゃない。

216 :修羅と少女:2005/12/06(火) 10:00:01 ID:wylwx97T
【フォルカ・アルバーグ 搭乗機体:エスカフローネ (天空のエスカフローネ)  
 パイロット状況:頬、右肩、左足等の傷の応急処置完了(戦闘に支障なし)
 機体状況:剣に相当のダメージ
 現在位置:E-1廃墟内
 第一行動方針:放送後、行動開始
 第二行動方針:レビ(マイ)と共にリュウ(リュウセイ)を探す
 最終行動方針:殺し合いを止める
 備考:マイの名前をレビ・トーラーだと思っている】

【マイ・コバヤシ 搭乗機体:R-1(超機大戦SRX) 
 現在位置:E-1廃墟内
 パイロット状況:良好
 機体状況:G−リボルバー紛失
 第一行動方針:リュウセイを探す
 最終行動方針:ゲームを脱出する
 備考:精神的には現在安定しているが、記憶の混乱は回復せず】

【二日目 5:10】

217 :当たり前の事:2005/12/06(火) 21:52:17 ID:JU3eWE7M
 電車の中、吊革に掴った碇シンジはボンヤリと窓の外を眺めていた。いつも眺める悲しげな夕日。
今何処を走っているのか、終着駅が何処なのか、シンジは知らなかった。別に知る気もなかった。
仮に知ったとしても敷かれたレールを進む以外、自分に選択肢はないと思っていたからだ。
―――この電車は何時でも夕暮れだよな。そういえば街を見るの、久しぶりかもしれない。
 そしてふと思う。普段の自分は座席に座って下を向いていたはずだ。そう、目の前の少年のように。
「また来たのかい。こんな事してるヒマ、君にはないんじゃないかな?」
 目の前に座っていた少年がシンジを見上げ、呆れた様な声を出した。1メートルも離れていないのに
顔は良く見えない。それでもきっと自分と同じ顔をしているんだろうな、とシンジは思った。
―――いつもの事だよ。どうせキミもヒマなんだろ。いつも居るじゃないか。
 シンジの精一杯の軽口に少年は肩をすくめる。『なに言ってんだよ』そう言いたげな態度だった。
「まぁ、いいさ。今日は込んでるみたいだから、またな……」
 少年の言葉の途中、多少の振動と共に電車が停車した。何処へ到着したのか、ホームを見ても駅名は
見当たらないし、人影は無い。気が付くと座席に少年の姿は何処かへ消えていた。

 無人の駅。降車する客に憶えなどないはずだが、見た事のある者が混じっていたような気もした。
降りる者はいても乗り込む者はいない。そして降りた者は何処へとなく姿を消していった。
―――ここが何処だか良く分からないけど、みんな降りてるし、ボクも降りようかな?
 ホームに降りる乗客を見つめながら、そんな事を考えていると背後に気配を感じた。
「何も成さないまま、ここで降りるつもりか」
 聞き覚えのある低い声。ゼンガー・ゾンボルト。交わした言葉は少なかったが、決して忘れはしない。
―――無事だったんですね。良かった、本当に。僕も一緒に行って良いですか?
 彼はシンジの肩を軽く叩き、そのまま横を通りホームへと降りた。
「降りたいなら降りろ。人に頼るな、自分で決めろ」
 その一言だけ言うと悩んでいるシンジを後に、振り向きもせず消えていった。
―――ボクはゼンガーさんみたいに強くはないんです。
 自嘲気味に呟いた。自分で決断する。それはシンジにとって一番の難問だった。

「よぉ! テメェ、シケた面してんじゃねぇーよ!」
 迷っていると突然、無駄に陽気な大声の男にヘッドロックを掛けられ、髪をクシャクシャにされた。
―――何なんだよ一体。そもそも誰だよ、この人?
 顔は良く分からない。見た事はないが、声を聞いた事があるような気がした。
「つまんねぇ事で腐ってんじゃねぇよ。俺はぁ一足お先にリタイアすッけどよぉ、お前は頑張れよ」
 腕を放しながら男はアクの強いアクセントで言い放った。やはり何処かで聞いた気がする。
男が降車するのをシンジは軽く手を振って見送った。男は振り向かず片腕を上げて答えた。
「お前は立派な人殺しなんだからよぉ。一人殺すのも二人殺すのも一緒だぜぇ。ガンガン殺せよなぁ」
 シンジは言葉の意味に、声の主に思い当たった。
―――そうだ。ボクは人を殺したんだ。自分の意思で。
 そして彼らが何処へ行くのか、電車から降りる事が何を意味していたのか、なんとなく理解した。

 電車はまだ動かない。不気味なほど静かで殺風景なホーム。ふと視線を送った駅の外に彼女はいた。
寂しげな街中に、制服を着た赤い瞳の少女が立っている。いつか見た気のする場所だと思った。
―――どうして綾波がそこに? 早くこっち側へ……… 
 良くは分からないが、ここがシンジの想像通りならば『降りていてはいけない存在』のはずだった。
「大丈夫。私は二人目だから。それよりも………」
『ジリリリリリリ………』
 言葉を遮って発車を告げるベルが鳴り響いた。声は聞こえなかったが綾波レイの指差した車両には、
奇妙な格好の乗客に混じって吊革に掴っている金髪の少女の姿があった。赤い髪飾りが特徴的だ。
―――アスカ、こんな近くにいたんだ。綾波も早く乗らないと………
 視線を戻すと綾波の姿は既に無く、どこからか『さよなら』と声が聞こえたような気がした。
悲しくなるから聞きたくない言葉だった。ようやくシンジは綾波のいなくなった場所を思いだした。
それは初めて第三新東京市に来た日、綾波レイと出会う前に彼女を見た場所。
 電車は再び動き始めた。

218 :当たり前の事:2005/12/06(火) 21:57:40 ID:JU3eWE7M

 無様に突っ伏した大雷凰の操縦席でシンジは目を覚ました。森を彷徨う内に倒れたらしい。
「うぐっ」
 体を起こそうとしたシンジは全身に走る痛みに言葉を失った。涙が出るほど痛いが、なんとか我慢
して起き上がる。一応、彼も男の子。
「このくらい………」
 少し涙が出ている。システムLIOHの後遺症などではない。発動しただけで、その隠された力を発揮し
たわけではないのだから。汎用システムと言っても軍人向け、中学生には大きな負担を強いる。
要するに筋肉痛だ。他の参加者に比べ、シンジは根本的に体力が足りない。
「そうだ。昨日は………」
 昨夜の事を思い出すと案の定、悲観的な自分会議で落ち込み始めたが、本格的な鬱モードへの突入は
抗議の悲鳴を上げた腹の虫によって阻止された。
「そういえば、一昨日の夜から何も食べてないんだよな」
 生き抜く。そう決めた矢先に飢え死にしたのでは、流石にゼンガーに会わせる顔がない。軍用機なら
何かあるはず、と操縦席を漁ってみた。どこをどう見ても特機なのだが、EVAとNERVを基準としている
シンジにとっては『ロボット=軍の秘密兵器』なのだ。
「サバイバルナイフに、こっちは救急箱と………薬かな?」
 救急箱には消毒液や抗生物質やモルヒネ他多数が詰め込まれており、Cレーションもあった。
「包帯と注射器くらいしか分からないや。ケンスケなら分かるんだけどなぁ」
 まともな軍事知識を持たないシンジには『見慣れない薬が一杯』としか見えない。折角の非常食も
食べられなければ無いも同じ。仕方なく十分に周囲を警戒してから機体を降りる事にした。
「やっぱり、大きい………よな」
 座らせていても小さなビルほどもある大雷凰を見上げて、人間の大きさを再認識する。護身用に
ナイフを持ってきたが気休めにしかなりそうも無かった。
「美味しい!」
 大き目の葉っぱで草木に付着した朝露を集めて飲んだ。渇いた喉に森の恵みが心地よい。ただの水を
『美味しい』と思ったのは初めてだった。良くも悪くも都会育ちのチルドレンである。

 突然、何かが茂みの中から飛び掛ってきた。シンジの脳裏に『死』が浮かび上がる。
「う、うわあぁぁぁぁ!」
 無我夢中でナイフを振り回したが眼を閉じてしまっていては当たるはず無く、足をもつれさせ派手に
転んだ。ナイフで自分を傷つけなかった事を幸運と言って良い程、無様な転倒だった。
「リス? それともキツネ、かな?」
 倒れたシンジの視線の先で、小さな動物が純真無垢な瞳で見つめている。心底ホッとすると同時に、
自分の間抜けさ加減で全身の力が抜けた。この光景をアスカが見ていたなら、半年は馬鹿にされそうな
滑稽な醜態だったと言えよう。
「ごめんよ。今、食べ物は持ってないんだ」
 危険が無い事が分かって優しく話しかける。しかし活動を再開した腹の虫に危険を感じたのか、
キツネリス(仮)はシンジから距離を取った。腹の虫は全ての生命体に共通する危険信号なのだろう。
(捕まえれば、食べ物が手に入る)
 とっさにそんな事が頭に浮かぶ。生肉はパックの物しか知らない。生の動物を捌いた事は無いが、
生き抜く為にはそうも言ってられない。
「おいで」
 ゆっくり身を起こすと、キツネリスに優しく手招きをした。後ろ手に鈍く光るナイフを隠して。
逃げられたら次のチャンスはないだろう。膝を着いたまま、慎重に間合いを詰める。
(ごめんよ。キミは全然悪くないんだ。でもごめんよ)
 ゆっくり、ゆっくりと近づいて行く。造り笑いは得意だった。自分でも凄く嫌な笑顔を浮かべている
と思う。しかし再び鳴った腹の虫に、キツネリスは茂みの中へと姿を消してしまった。
(逃げられちゃったな。それじゃ、仕方ないよね)
 ゴロンとその場で大の字に寝転がる。残念なはずだがシンジは少しホッとしていた。生きる為には
必要でも、自分の手を汚す事には抵抗があった。エゴなのは分かっている。
(お腹減った。そういえばアスカは何か食べたれたのかな?)
 大の字になったまま、どこかにいるはずの少女を思う。料理など出来ないはずだから、きっとお腹を
減らして文句を言っているに違いない。そんなシンジの想像は、大筋で正解であった。


219 :当たり前の事:2005/12/06(火) 22:02:31 ID:JU3eWE7M
 気が付くと、いつの間にか先程のキツネリスが戻ってきていた。その前足には奇妙な実を抱えている。
「………もうお前を食べようなんて考えないからさ。えっ、くれるの? ぼくに?」
 実を器用に前足で掴んで差し出す姿は、とても可愛らしい。実を受け取るとキツネリスは再び茂みの
中へと消えていった。奇妙な色に光る実は、とても不気味で食べられそうには無かったが、その好意が
嬉しかった。同時に自分の行為が恥ずかしく思えた。
「………生きるって、一人だけで生きてる訳じゃないんだよな」
 なにか当たり前の事を忘れていたような気がする。



【碇シンジ 搭乗機体:大雷鳳(第三次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状態:良好(空腹だが精神は安定)。全身に筋肉痛
 機体状態:右腕消失。装甲は全体的軽傷(行動に支障なし)。背面装甲に亀裂あり。
 現在位置:H-4の森
 第1行動方針:アスカと合流して、守る
 第2行動方針:出来るだけ助け合いたい
 最終行動方針:生き抜く
 備考1:奇妙な実(アニムスの実?)を所持
 備考2:救急箱やレーションを所持(でも使い方を知らない)】

【時刻:二日目:05:30】

220 :薔薇の騎士(ナイト)は斯く語りき:2005/12/09(金) 16:23:08 ID:M4R0AAU3
「静かだな……」
木々のざわめき。吹き抜ける風。そのようなものは、ただ静寂を際立たせるだけに過ぎない。
その静けさの中、私ことマシュマー・セロは一人考え事をしていた。
無論、私とて自分の役目たる見張り役を怠っているわけではない。
ネオジオンの騎士たる者、任された役目は名誉にかけて全うしてみせる。
しかし、宇宙育ちの私にとってこの森も川も全てが馴染み薄いものばかりで、若干ナイーブになっていないでもない。
その上、この戦争ゲームだ。
(こやつらがいなければ、この私とて殺し合いに乗っていたのだろうな)
ミオ・サスガ。ハヤミブンタ。
今、私が行動を共にする者たちだ。
ふざけた事ばかりを言っているが内に芯の通ったミオ。
生真面目で他人への気配りを忘れないブンタ。
戦力として計算するにはいささか心もとないが、この二人には正直助けられている。
勿論、本人達を前にして言うつもりなどないが。騎士のプライドが許さん。


今から溯ること十時間。
食事の後、私はブンタにネオジオン流のモビルアーマーの扱い方をきっちり手解きした。
ブンタは思いのほか飲み込みが早く、最終的には若干優雅さに欠けるものの一通りの動きをマスターした。
私の教え方が良かったのだろうが、この状況であれだけ動かせれば随分助かる。
それにそのモビルアーマー(ドッゴーラというらしい)が宇宙世紀の技術で造られているのも幸いだった。
ただ私のいた時代とは比べ物にならない出力だったが、もしかしたら未来の宇宙世紀で開発された機体かもしれない。
時間や空間を越えてこの私を含む参加者を集めた男。ユーゼス・ゴッツォ、奴は一体何者なのだろうか。
その疑問をわが胸へと押し込め、次に私達がしたのは見張りの順番決めだった。
「じゃあ、初めがブンちゃん、二番目が私、最後がマシュマーさんね」
「了解だ」
「分かりました。では私はこのまま見張りをしますので、皆さんはお休みになってください」
「は〜い。……そうだマシュマーさん、私が寝てるからってヘンなことしちゃ駄目よ?」
「誰がするか」
「え〜、だって男はみんな夜は狼なのよって言うしぃ」
「ネオジオンの騎士たる者、そんな破廉恥な真似などせん!」
「あっ、ていうことはブンちゃん!? おとなしそうな顔してるから大丈夫だと信じてたのに!」
「え、ええっ!?」
「おい、ミオ・サスガ」
「ああ、うら若き乙女の純潔はこんなところで儚く散らされてしまうのね、しくしく」
「ななな何を言ってるんですかミオさん、僕がそんなことするわけ」
「落ち着けブンタ。泥沼に嵌っているぞ」
……結局、いつも通りの展開になってしまったが。

221 :薔薇の騎士(ナイト)は斯く語りき:2005/12/09(金) 16:23:47 ID:M4R0AAU3
そして今。
幸いにも、空が白み始めるまで襲撃など一度も無かった。
たとえゲームに乗っている者でも、放送を聞き逃すリスクを背負ってまで攻撃してくるとは思えん。暫くは安全だ。
「ふあぁ、おはようございますマシュマーさん」
「ハヤミブンタか、早いな。ミオはどうした?」
「まだぐっすり寝てるみたいですね。起こします?」
「そうしてくれ。あと三十分で次の放送が始まる」
「分かりました。ほらミオさん朝ですよ、起きてください」
「むにゃむにゃ……もう食べられない」
「そんな古典的な寝言はいいですから、起きてくださいよ」
「ふっ……」
思わず笑っていた自分に驚く。宇宙にいた頃の自分には、こんな余裕は無かったはずだが。
やはり、あの二人のおかげなのだろうか。
しかしいくら操縦訓練をしたとしても、あの二人は所詮は素人だ。歴戦の戦士であるこの私になどとても及ばん。
つまり、この戦場であの二人を導いてやれるのはこの私だけだという事だ。
このネッサーの性能ではいささか不安だが、やるしかあるまい。私とてあの二人の最期など看取りたくはない。
私は、軍服の胸から外した赤い薔薇を眺めた。
これは我が敬愛するハマーン様から賜ったものだ。瑞々しさを失わぬよう、表面をコーティング処理してある。
(ハマーン様はご無事だろうか)
いくら異なる世界から集められたとはいえ、美しく凛々しくニュータイプの素養もあるハマーン様に勝てる者がいるとは思えん。
ハマーン様のことだ、それどころか他の参加者たちを率いて戦っておられるに違いない。
ならば、この私がすべき事は一つ。
「お待ちくださいハマーン様。マシュマー・セロ、この二人を連れて一刻も早くハマーン様の下へ馳せ参じます」
決意と共に薔薇をまた胸に挿す。それと共に体中に活力が漲るのを感じた。
新たな日が始まる。

【マシュマー・セロ 支給機体:魚竜ネッサー(大空魔竜ガイキング)
 機体状況:良好
 パイロット状態:良好(強化による不安定さは無くなった)
 現在位置:B-5
 第一行動方針:ハマーンと仲間を探す
 最終行動方針:ハマーンを守り、主催者を打倒する】

【ミオ・サスガ 支給機体:ボスボロット(マジンガーZ)
 機体状況:良好
 パイロット状態:良好
 現在位置:B-5
 第一行動方針:仲間を探す
 最終行動方針:主催者を打倒する】

【ハヤミブンタ 支給機体:ドッゴーラ(Vガンダム)
 機体状況:良好
 パイロット状態:良好
 現在位置:B-5水中
 第一行動方針:仲間を探す
 最終行動方針:ゲームからの脱出】

【時刻:二日目05:30】

222 :不敵さを胸の奥に:2005/12/09(金) 18:03:34 ID:x/48JUFi
 東の空が白く輝き始め、朝の兆しが垣間見える。それは、光が天を覆いつくす黒に抗っているようだ。
そんな光景を横目で見て、ギレンは時刻表示に視線を移す。もうすぐ定時放送の時間だった。
彼が次いで行った動きは、コクピットに並ぶ機器を操作する動きだ。手早く、的確に操作を済ませると、まだ暗い草原に跪いたナウシカに変化が生まれる。
フライトユニットが稼動し、低音を立て始めたのだ。ゆっくりと浮上していく機体を、ギレンは地面スレスレで停止させる。
そのままの高さを保ち、ナウシカは移動を開始する。ホバーのような動きで、進むのは南の方角だ。
 山間での戦闘から、かなりの時間が経過していた。とりあえずあの場から撤退してからは、B-7の草原、山地付近に彼は腰を落ち着けていた。
少なくとも夜の間は、下手に身を隠すよりも平原のほうが安全だと彼は判断していたのだ。
夜間は昼間以上に、身を隠せそうな場所に人が集まる可能性が高い。
単純に遭遇率は高くなるし、もしゲームに乗った者が自分のように考えるなら、そういった場所を捜索し、襲撃するはずだ。
そうなった場合、逆に身を隠せるような場所の方が危険になる。こちらが見つかりにくいのと同様に、相手を見つけるのも困難になるからだ。
 だから、ギレンはあえて草原で夜を過ごした。山地寄りの位置を選んだのは、もしもの場合に撤退するためだった。
その考えが正しかったのか、少なくともギレンは誰とも遭遇することはなかった。
 そして今、ギレンは山地を進んでいた。まだあたりは暗いが、禁止エリアのこともあり、定時放送をきっかけに動き出すものは多いだろう。
そのため、今のうちにあたりの偵察をしておきたかった。岩が剥き出しになった地表の上を、ナウシカが滑空する。
山の中腹あたり、正面に見えた大きな岩を東側に避ける。上空の戦艦から散布し続けられているのか、相変わらずミノフスキー粒子が濃い。
 そんな中、レーダーが反応した。すぐさま、ギレンは移動を止める。数は2。彼我距離は近い。
ギレンは油断なく、反応のある方へカメラを向ける。まさにその瞬間。
『そこの機体、応答して頂きたい。こちらに交戦の意志はない。繰り返す。応答して頂きたい。こちらに交戦の意志はない』
聞こえてきた声は、おそらく初老の男のもの。位置は、レーダーが反応を示したポイントからだ。
ギレンはそれを聞き、ゆっくりとそちらへと近づいていく。フライトユニットは使わず、徒歩で距離を詰める。
「そう言われてすぐに信用出来るほど、このゲームは甘くないようだが」
答え、ギレンはナウシカの足を止める。山肌の上、真正面に二つの機影が見えた。
 一つは恐竜のような様相をした、巨大な機体だった。砲塔やブリッジのようなものが見えることから、ギレンは空母のようなものだと推測する。
ほとんどの者は、その圧倒的な存在感を誇る空母に強いインパクトを受けるだろう。だが、ギレンは違った。
それよりもむしろ、その側に佇むもう一機の機体に目を引かれていた。
 トリコロールカラーに、角のようなアンテナ、両眼タイプのカメラが特徴的な機体だ。ギレンはそれに酷似した機体を知っている。
そう、地球連邦が開発した高性能モビルスーツ“ガンダム”だ。ギレンの知っている“ガンダム”とは違った点は多いが、同じタイプのモビルスーツだろう。
認めたくはないが、その性能は身に染みて知っている。
だから、敵には回したくなかった。可能なら、手駒として、あるいは自ら使いたいところだ。
ギレンは油断なく二つの機影の様子を窺う。
 しばらく待ったとき、“ガンダム”のコクピットが開いた。そこから出てきたパイロットは少年だ。
それとほぼ同じ、空母から一人の、眼鏡をかけた男が姿を現した。先ほど通信を送ってきたのはこちらの男だろう。
「これで、信用してもらえますか?」
その言葉は、少年が言ったものだった。その声を聞いて、そして彼らの行動を見て、ギレンは一瞬だけにやりと笑みを浮かべる。
それをすぐに消すと、ギレンはコクピットを開けてその身を晒す。風が少し吹き、目の前の少年、“ガンダム”のパイロットの髪が揺れた。
「すまない。前にいきなり襲撃を受けたことがあってな。少々疑心暗鬼になっていたようだ」
答えると、少年は微笑んで首を振る。視線を男へと向けると、男も頷いていた。
「お聞きしたいことがあるんです。よろしいでしょうか?」
聞こえてきたのは少年の声だ。ギレンはそちらに目を向ける。
「ああ、構わない。こちらも情報は欲しいのでな」
ギレンは、特に表情も変えずに口を開く。だが、心の中では不敵な笑みを浮かべつづけていた。

223 :不敵さを胸の奥に:2005/12/09(金) 18:05:41 ID:x/48JUFi
「――なるほどな。知り合いを探しているというわけか」
二人の話――とはいえ、全て少年が話したのだが――を聞いたギレンは確認を取った。
尋ねられた名前はリオ=メイロン、タシロ=タツミ。
そして、アラド=バランガと関連のある(おそらく)少女。
「残念ながら、誰にも心当たりはないな」
ギレンが首を横に振ると、少年は残念そうに呟いた。
「そうですか……。ありがとうございます」
ギレンは少年に頷く。そして、今度は逆に質問を投げかけることにした。
「貴方方は、共に行動を?」
「ええ。前回の放送後から共にいます。とはいえ、ここに留まっていただけですが」
「では、私も共に行動させて貰えないか? 仲間がいたのだが、別行動している間に殺されてしまってな……」
沈痛な面持ちを作って言った言葉に、少年が反応する。
「あなたも、なんですか」
ギレンは眉を持ち上げ、少年の顔を見る。彼は悔しさを隠し切れないような表情をしていた。
「僕もそうなんです。アラドくんと別れて、その間に、彼は……」
少年はそこで言葉を切る。否、切った、というよりも続けられなかったと言うべきだろう。
「……そうか。君も、か」
 ギレンはいくらか声のトーンを落とす。無念さを声音に乗せるように。
 ギレンは表情に翳りを持たせる。悔恨を目の前の二人に見せるように。
「お互い、辛い想いをしたようだな」
少年が首肯するのを見て、一度言葉を止める。そして少年の方を見据え、続きを告げた。
「これ以上、このような悲しみを増やすわけにはいかんな。急ぎ君たちの仲間を探し出し、それから今後のことを考えようではないか。
もちろん、私は協力を惜しむつもりはない」
一息に言い終えた言葉が、全て真実という訳ではない。
あまり動き回るのは得策ではないと思うし、彼らの探し人が“使える”かどうかは分からないのだ。
だが、ギレンはそういった腹の内を全く感じさせることなく言い切って、少年の返答を待つ。
「ありがとうございます。よろしく、お願いしますね」
それが功を奏したのか、少年は微笑を浮かべていた。彼の言葉に答えることなく、ギレンは少年からもう一人の男へと視線を移す。
 ギレンは気付いていた。男はずっと黙ったまま、こちらの様子を観察していたということに。
眼鏡の奥、こちらを鋭く見つめる瞳と目が合う。それを見て、ギレンは尋ねる。
「私が共に行動するのに、何か異論でも?」
男の答えは、すぐには返ってこない。男の視線を受け止め、怯むことなく視線を返す。
無言の、睨み合いのような雰囲気が少しの間そこに張り詰める。緊迫した様子がその場に作り出される。
 数秒の沈黙。そして。
「……いえ。よろしくお願いします」
それを破ったのはギレンではなく、男だ。だが、言葉とは裏腹に彼の目にはまだ鋭さが残されている。
「感謝しよう。こちらこそよろしく頼む」
そう答えながら、ギレンは思考を巡らせる。
(この男、油断ならんな。だが――)
ギレンはちらりと少年の方を見やる。
(当座、手を出してくることはすまい。少なくともこの少年がいる間は、な)
この少年は、既に自分を信頼しているだろう。そのため、男が下手に手を出してくれば、少年の信頼を失うことになる。
 無論、こちらから手を出すつもりはない。せっかく手に入った手駒なのだ。それをむざむざ失うなど、あってはならないことだ。
例え相手がこちらを信用してなくても、利用出来ないということには繋がらない。
所詮、駒であることに変わりはないのだ。
「では放送が終わり次第、仲間を探しに行くとしよう。
――そういえば、自己紹介がまだだったな。私はギレン=ザビだ」
 ギレンは言いながら、二人に笑みを向ける。
朝日の輝きを受けたその顔には、彼が胸の奥に秘める不敵さは微塵も見られなかった。

224 :不敵さを胸の奥に:2005/12/09(金) 18:06:27 ID:x/48JUFi
【ギレン・ザビ 搭乗機体:RX-7ナウシカ(フライトユニット装備)(トップをねらえ!) 
 現在位置:B-8山地
 パイロット状態:健康
 機体状況:無傷
 第一行動方針:手駒として使うため、放送後にリオ、タシロ、アラドの大切な人(ゼオラ)の捜索
 第ニ行動方針:可能な限り手駒を増やす。
 最終行動方針:まだ決めてない
 備考:副長をやや警戒】

【リョウト・ヒカワ 搭乗機体:ウイングガンダムゼロ(新機動戦記ガンダムW)
 パイロット状態:健康
 機体状態:小破
 現在位置:B-8山地
 第1行動方針:リオ、タシロ、アラドの大切な人(ゼオラ)の捜索
 最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出】

【副長 搭乗機体:メカザウルス・グダ(ゲッターロボ!)
 パイロット状況:健康
 機体状況:外壁一部損傷、砲塔一門損傷、恐竜ジェット機1/4損失
 現在位置:B-8山地
 第一行動方針:リオ、タシロ、アラドの大切な人(ゼオラ)の捜索
 第二行動方針:首輪の解除ができる人物を探す
 最終行動方針:ゲーム脱出
 備考:共に行動はするが、ギレンをやや警戒】

【二日目 5:40】

225 :不敵さを胸の奥に:修正:2005/12/09(金) 18:12:21 ID:x/48JUFi
すみません、状態にちょっと書き忘れがあったので修正をお願いします。

【ギレン・ザビ 搭乗機体:RX-7ナウシカ(フライトユニット装備)(トップをねらえ!) 
 現在位置:B-8山地
 パイロット状態:健康
 機体状況:無傷
 第一行動方針:手駒として使うため、放送後にリオ、タシロ、アラドの大切な人(ゼオラ)の捜索
 第ニ行動方針:可能な限り手駒を増やす。
 最終行動方針:まだ決めてない
 備考:副長をやや警戒】

【リョウト・ヒカワ 搭乗機体:ウイングガンダムゼロ(新機動戦記ガンダムW)
 パイロット状態:健康
 機体状態:小破
 現在位置:B-8山地
 第1行動方針:放送後にリオ、タシロ、アラドの大切な人(ゼオラ)の捜索
 最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出】

【副長 搭乗機体:メカザウルス・グダ(ゲッターロボ!)
 パイロット状況:健康
 機体状況:外壁一部損傷、砲塔一門損傷、恐竜ジェット機1/4損失
 現在位置:B-8山地
 第一行動方針:放送後にリオ、タシロ、アラドの大切な人(ゼオラ)の捜索
 第二行動方針:首輪の解除ができる人物を探す
 最終行動方針:ゲーム脱出
 備考:共に行動はするが、ギレンをやや警戒】

【二日目 5:40】

226 :水面下の情景U:2005/12/11(日) 16:56:27 ID:QTRfYGQw
ユーゼスは森林に落下したディス・アストラナガンの瞳が未だ輝きを保ち続けているのを確認し、
また水中に眠り傷を癒すマジンカイザーを映すモニターに目を移した。
「ディス・レヴ、魔神の力、どちらも侮り難い力を持つ機体だな・・・」
「では次回の放送時に消滅させますですか?」
傍らのラミアが問う。
「それには及ばんよW17。あれらは新たなる搭乗者を受け入れれば、再び戦闘することが可能だ」
そして補給ポイントへと向かうアーバレストをモニターに捉えさせる。
「セレーナ・レシタールはラムダ・ドライバの起動に成功したか。やはり彼女にあれを与えたのは正解だったようだな」
「約束の人数まであと一人でございますですわ。その時はやはり仇の情報を?」
その仇、当人であるラミアは再び問うた。
「私が約束を守らかったことがあるか?」
ラミアの電子頭脳は直ちにユーゼスが約束を破ったケースを検索し、73回という結果を得た。
・・・が、あえて口に出さずに沈黙を返答とする。
「・・・まあいい。補給の準備は整っているか?」
「はい。ポイントで残弾とエネルギ−の補給がどの機体でも受けられるように準備は整っております」
その応えに満足すると、ユーゼスは再びモニターに目を戻した。
「既に3分の1が消えた。なかなか良いペースだな。やはり彼らは戦闘民族として素晴らしい資質を持っている」
「いくつかのグループはゲームからの脱出を画策しているようですが」
「フ、無駄な努力だというのに健気なものだ。
しかしヒトの業の深さが垣間見えた時、同じように仲間を気取っていられるかな?」
そう言うとモニターに背を向ける。
「私は少し休む。何か大きな動きがあれば伝えろ」
「かしこまりましたですわ。ユーゼス様・・・」


【ラミア・ラヴレス 搭乗機体:???
 パイロット状況:健康(言語回路が不調)
 機体状況:???
 現在位置:ヘルモーズ
 第一行動方針:ユーゼスの命令に従う
 最終行動方針:???】

【時刻:22:00】

227 :新しい朝が来た(1/3):2005/12/11(日) 19:57:08 ID:Jx8sqKcQ
地中のコクピットでレーダーのモニターに映る1つの光点を眺めながら
ウルベは腕を組んでいた。
この周囲にいる機体は3機。
自分が乗るガストランダー。
その上でミラージュコロイドを張って哨戒待機している
相良宗介のブリッツガンダム。ほぼゼロ距離でもレーダーに反応が無い
というのは凄まじいステルス性能である。
自機はレーダーの中心であり、相良機は映らない。
では、反応のあるこの光点は――大雷鳳だった。
事前に仮登録していたコードナンバー「4」が光点の横に表示されている。
それはウルベにとっては信じられなくもあるが、
それも当然、と思える反応であった。
7時間ほど前、ガストランダーが宗介に発見された時とほぼ同じ頃に
シンジ達のいた地点で戦闘による爆発が起こった事は確認している。
「unknown」が北部から現れ、ゼンガーを表す「3」がロスト、
続いて「unknown」が一瞬ロスト、その後反応が復活、
暫くその場で停止したあと東に移動してレーダー範囲外へロストしている。
「4」だけがその場でウロウロしている。
どうやったかは知らないが、ゼンガーが死亡し、
シンジが敵を退けたのだろう。
その光点「4」がふらつきながら僅かずつこちらに近づいている。
大雷鳳のサイズと出力なら宗介が気づくのも時間の問題だ。
既に気づいているやも知れない。
合流はまぬがれないか――
ならばひ弱な少年と少年軍曹の二人の出会いを
どれだけ自分に有利に演出するか、それを考えるか。
「相良軍曹、おはよう。今後の方針だが……」
一睡も出来ない仮眠時間が終わろうとしている。

228 :新しい朝が来た(2/3):2005/12/11(日) 19:59:40 ID:Jx8sqKcQ
「戦闘行為跡の探査か。それに何の意味が?」
「確かに、生存を最優先に考えるとすれば戦闘発生を確認した時点で
 すぐに詳細を得るために視認可能な距離まで隠密行動で近づくか、
 一切無視を決めて距離をとるべきだ。
 我々、というか軍曹が選んだ行動は後者でしたな。」
「その通りだ。結果として安全に仮眠をとる事が出来た。」
「ええ、私も軍人ですからその判断の妥当性は実に良く分かるのですが、
 実を言いますとあの戦闘は私の知り合い、
 いや仲間達が何者かと戦ったものなのです。そして恐らく仲間達は全滅……」
「どういうことだ。説明しろ。」
「二人のレーダーの反応も通信チャンネルもね、無くなったんですよ。
 あの爆発と同時に。」
もちろんウルベはシンジ達に通信チャンネルを開いた事など一回も無い。
「それだけで死亡した、と?」
「ええ、確かに早合点かもしれませんが、こういう状況では
 戦闘が戦闘を呼び、傷ついた者だけを狙うハイエナが現れるのは必至。
 そんなところに決定的戦力に欠く私1人で行くのは自殺行為、
 相良軍曹も連れて行くなどということは無茶だと思いあえて黙っていました。」
ステルス性の高いブリッツでもそのような状況に飛び込むのは得策ではない。
「だが、何故、今になって」手遅れな仲間を。
「仲間だからですよ。1日も一緒にいませんでしたが戦友は戦友。
 戦友と共に戦えず、その死を看取ってやれなかった、
 というのは軍人として最も恥ずべき事です。
 私はそれが我慢できないのですよ。」
「そうか」
ウルベという男、口数は多いがこのような考えを持つという事は
正規の軍人なのだろうな。それは宗介にも理解でき、共感できる感覚だった。
「日も昇ってきました。戦闘後あの地点ではこれといった動きは確認できていません。
 ハイエナの心配も薄れているかと。」
「行くぞ。」
戦友――か。ミスリルのメンバーが宗介の頭をよぎる。
ジョシュアは今頃どうしているだろうか。
ブリッツガンダムのミラージュコロイドを解除した。
足元からガストランダーが現れ、ウイングガストに変形した。
コクピットでウルベはブリッツガンダムのレーダー反応を確認し、
「5」のナンバーをつけて登録していた。

229 :新しい朝が来た(3/3):2005/12/11(日) 20:01:49 ID:Jx8sqKcQ
どんなに深い森だといっても、全長40メートルで突っ立っている特機を
空から探す事は誰にでもできるたやすい仕事だった。
ウルベはわざとらしい歓声をわざとらしくあげながら
ブリッツガンダムに通信を送った。
「どうした!?生きていた!?すぐ行く。」
まだブリッツガンダムの視界では確認できていないが、
ウルベに指示された方向に向かって全力疾走する。
そこにはブリッツガンダムの倍以上の大きさのマフラーを巻いた巨人が
右腕が無い事をはじめにそこらじゅう傷ついて立っていた。
ブリッツのコクピットから降りてきた相良が見たのは
「よく生きていてくれたっ!」
破顔し涙を流しながらシンジを抱きしめるウルベだった。
軍人らしくも無い、いや、軍人だからこその顔なのかもしれない。
自分が今まで戦ってきた戦場でもこんな場面が何度かあった。
宗介の知る良い軍人をウルベは演じきっていた。
結果として、ウルベの田舎芝居は受け入れられ、
シンジは自分が見殺しにされかけた事に気づかず、
ウルベが自分の事をこうも考えてくれていたのか、と逆に感謝していた。
シンジはゼンガーが亡くなった事、
その死を決して僕は無駄にしないという決意を語りながら、
ウルベはこれまでの経緯を自分に都合よく辻褄をあわせて二人に話しながら、
宗介は戦況分析とレーションを初めとした
サバイバルパックの基礎的な使い方をシンジにレクチャーしながら
3人は朝食をとった。
(私への警戒は解かないが、
 シンジ君にはなかなかどうして優しそうじゃないか。
 こいつもゼンガーの様にシンジ君をかばって死んで欲しいものだな。)
対照的な二人の少年の交流を眺めながらウルベは次の機会を待つ事にした。


【碇シンジ :大雷鳳(第三次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状態:良好(おなかいっぱい)。全身に筋肉痛
 機体状態:右腕消失。装甲は全体的軽傷(行動に支障なし)。背面装甲に亀裂あり。
 現在位置:H-4
 第1行動方針:アスカと合流して、守る
 第2行動方針:出来るだけ助け合いたい
 最終行動方針:生き抜く
 備考1:奇妙な実(アニムスの実?)を所持 】

【相良宗助 :ブリッツガンダム(機動戦士ガンダムSEED)
 パイロット状況:良好
 機体状況:良好
 現在位置:H-4
 第一行動方針:ウルベには気を許さない
 最終行動方針:生き延びる。戦いも辞さない】

【ウルベ・イシカワ :グルンガスト(バンプレストオリジナル)
 パイロット状態:良好
 機体状態:レーダーもなにもかもすこぶる良好
 現在位置:H-4
 第1行動方針:状況を混乱させる(宗介とシンジを利用する)
 最終行動方針:???】

【時刻:二日目:07:00】

230 :それも名無しだ:2005/12/11(日) 22:27:19 ID:2TPj849S
私もフルメタに詳しいわけじゃありませんが気になったことを。

宗助が感傷的になるかはともかく、夜が明けるまで待ったというウルベのフォローが
あるから多少は付き合う気を見せることも良いのでは? 別行動で保身もしているし。
二つ返事で「よし、行こう!」じゃ不味かったろうけど、細かくウルベとやり取りしてるし。
だから発見後の「生きていた?すぐ行く」には結構違和感があるかも。
私もミラコロについては温存すると思われます(ウルベも存在には気づいていると思う)。
時間については放送前に変更が必要かと。放送後だとゼンガー死亡とシンジ生存が
確定されてる分けなんですな。放送聞いてたら死体回収みたいなことは言えないし。

231 :230:2005/12/11(日) 22:28:11 ID:2TPj849S
>>230
誤爆しました。大変申し訳ありません

232 :新しい朝が来た歌改(1/3):2005/12/12(月) 20:28:52 ID:ZjXo4HQu
地中のコクピットでレーダーのモニターに映る光点を眺めながらウルベは腕を組んでいた。
この周囲にいる機体は3機。
まず地中に潜伏している自分のガストランダー。
そしてその上で哨戒待機している相良宗介のブリッツガンダム。
ガストランダーの砲門は頭上に向けられている。
ブリッツガンダムもグレイプニール、トリケロスを装備した両腕を地面に向けて
トリガーからは指を外さずに座っている。
ウルベと宗介が手を組んでまず決めた事は3時間交代で仮眠を取ることだった。
それがこの相打ち確実なポジショニングとなっている。
仮眠はまず宗介が取り、次にウルベが取る事にした。
仮眠とはいっても、眠るわけではない。感覚は研ぎ澄ましたまま体を休めるだけだ。
ウルベは宗介の機体越し、地面越しの見えない視線をずっと感じていた。
相手も相当訓練された男なのだ。
レーダーに目をやれば、自機を表す中心点に相良機が重なり点滅している。
そして離れた所にもう1つ点が――大雷鳳だった。
事前に仮登録していたコードナンバー「4」が光点の横に表示されている。
それはウルベにとっては信じられなくもあるが、それも当然、と思える反応であった。
7時間ほど前、ガストランダーが宗介に発見された時とほぼ同じ頃に
シンジ達のいた地点で戦闘による爆発が起こった事は確認している。
「unknown」が北部から現れ、ゼンガーを表す「3」がロスト、続いて「unknown」が一瞬ロスト、
その後反応が復活、暫くその場で停止したあと東に移動してレーダー範囲外へロストしている。
「4」だけがその場でウロウロしている。
どうやったかは知らないが、ゼンガーが死亡し、シンジが敵を退けたのだろう。
その光点「4」がふらつきながら僅かずつこちらに近づいている。
大雷鳳のサイズと出力なら宗介が気づくのも時間の問題だ。既に気づいているやも知れない。
合流はまぬがれないか――
ならばひ弱な少年と少年軍曹の二人の出会いをどれだけ自分に有利に演出するか、それを考えるか。
人間が3人いれば社会が出来る、1対1ではともかく、2対1になれば操る道も見つかろう。
「相良軍曹、おはよう。今後の方針だが……」

233 :新しい朝が来た改(2/3):2005/12/12(月) 20:33:05 ID:ZjXo4HQu
「戦闘行為跡の探査か。それに何の意味が?」
「確かに、生存を最優先に考えるとすれば戦闘発生を確認した時点ですぐに詳細を得るために
 視認可能な距離まで隠密行動で近づくか、一切無視を決めて距離をとるべきだ。
 我々、というか軍曹が選んだ行動は後者でしたな。」
「その通りだ。結果として安全に仮眠をとる事が出来た。」
「ええ、私も軍人ですからその判断の妥当性は実に良く分かるのですが、
 実を言いますとあの戦闘は私の知り合い、いや仲間達が何者かと戦ったものなのです。
 そして恐らく仲間達は全滅……」
「どういうことだ。説明しろ。」
「二人のレーダーの反応も通信チャンネルもね、無くなったんですよ。あの爆発と同時に。」
もちろんウルベはシンジ達に通信チャンネルを開いた事など一回も無い。
「それだけで死亡した、と?」
「ええ、確かに早合点かもしれませんが、こういう状況では戦闘が戦闘を呼び、
 傷ついた者だけを狙うハイエナが現れるのは必至。
 そんなところに決定的戦力に欠く私1人で行くのは自殺行為、
 相良軍曹も連れて行くなどということは無茶だと思いあえて黙っていました。」
ステルス性の高いブリッツでもそのような状況に飛び込むのは得策ではない。
「だが、何故、今になって。」手遅れな仲間を。
「仲間だからですよ。1日も一緒にいませんでしたが戦友は戦友。
 戦友と共に戦えず、その死を看取ってやれなかった、というのは軍人として最も恥ずべき事です。
私はそれが我慢できないのですよ。」
「定期放送まで待てないのか。生死を確定させてからでも遅くないだろう。」
「それでは遅いのです。可能性はとてもわずかですが、もしも彼らが生きていたら、
 襲撃者達は放送を聴いて殺し損ねたと思い止めを刺しに戻ってくるかもしれません。
 そうなれば必ず殺されます。
 それには放送前に戦闘跡に行って安否を確認しなければ。それに日も昇ってきました。
 戦闘後あの地点ではこれといった動きは確認できていません。今現在ならばハイエナの心配も薄れているかと。」
宗介にとってウルベの言う軍人としての恥などはどうでも良かったが、現状判断としては妥当なものである。
ウルベの言う仲間が生きているとすれば、それはそれでよし、
死んでいたとしても破損した機体から襲撃者の情報をいくつかは取れるだろう。
「行くぞ。」
戦友――か。ミスリルのメンバーが宗介の頭をよぎる。
地中からガストランダーが現れ、ウイングガストに変形、発進した。
ウルベの乗るコクピットのレーダーではブリッツガンダムにつけた「5」のナンバーが後方に流れ始めた。

234 :新しい朝が来た改(3/3):2005/12/12(月) 20:36:21 ID:ZjXo4HQu
どんなに深い森だといっても、全長40メートルで突っ立っている特機を
空から探す事は誰にでもできるたやすい仕事だった。
ウルベはわざとらしい歓声をわざとらしくあげながらブリッツガンダムに通信を送った。
「こちらウルズ7。了解。詳しい方角の指示を願う」
まだブリッツガンダムの視界では確認できていないが、ウルベに指示された方向に向かって移動する。
そこにはブリッツガンダムの倍以上の大きさのマフラーを巻いた巨人が
右腕が無い事をはじめにそこらじゅう傷ついて立っていた。
ブリッツのコクピットから降りてきた相良が見たのは
「よく生きていてくれたっ!」
破顔し涙を流しながらシンジを抱きしめるウルベだった。
今までに渡って来た数々の戦場で似たような光景を宗介は見ているが、その都度合理性にかける行為だと思えた。
それは今回もそうだが――もしも俺が生きて帰ってきたら千鳥も同じようにしてくれるのだろうか。
結果として、ウルベの田舎芝居は受け入れられ、シンジは自分が見殺しにされかけた事に気づかず、
ウルベが自分の事をこうも考えてくれていたのか、と逆に感謝していた。
シンジはゼンガーが亡くなった事、その死を決して僕は無駄にしないという決意を語りながら、
ウルベはこれまでの経緯を自分に都合よく辻褄をあわせて二人に話しながら、
宗介は戦況分析とレーションを初めとしたサバイバルパックの基礎的な使い方を
シンジにレクチャーしながら朝食をとった。
(私への警戒は解かないが、シンジ君にはなかなかどうして優しそうじゃないか。
 こいつもゼンガーの様にシンジ君をかばって死んで欲しいものだな。)
対照的な二人の少年の交流を眺めながらウルベはまた機会を待つ事にした。
食事中の歓談を止めるように放送が始まった。

【碇シンジ :大雷鳳(第三次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状態:良好(おなかいっぱい)。全身に筋肉痛
 機体状態:右腕消失。装甲は全体的軽傷(行動に支障なし)。背面装甲に亀裂あり。
 現在位置:H-4
 第1行動方針:アスカと合流して、守る
 第2行動方針:出来るだけ助け合いたい
 最終行動方針:生き抜く
 備考1:奇妙な実(アニムスの実?)を所持 】

【相良宗助 :ブリッツガンダム(機動戦士ガンダムSEED)
 パイロット状況:健康 ちょっと寝不足
 機体状況:良好
 現在位置:H-4
 第一行動方針:ウルベには気を許さない
 最終行動方針:生き延びる。戦いも辞さない】

【ウルベ・イシカワ 搭乗機体:グルンガスト(バンプレストオリジナル)
 パイロット状態:良好 ちょっと寝不足
 機体状態:レーダーもなにもかもすこぶる良好
 現在位置:H-4
 第1行動方針:状況を混乱させる(宗介とシンジ、特にシンジを利用する)
 最終行動方針:???】


235 :232-234:2005/12/12(月) 20:37:46 ID:ZjXo4HQu
訂正
>>232のタイトル
誤:新しい朝が来た歌改(1/3)
正:新しい朝が来た改(1/3)

236 :それも名無しだ:2005/12/15(木) 16:32:18 ID:amVCXyge
保守

237 :爽やかでない朝:2005/12/17(土) 13:06:19 ID:EMxiQI5k
早朝、まだ日が昇ったばかりの廃墟をヒュッケバインガンナーとV2ガンダムが慎重に進んでいた。
「本当に大丈夫かね?」
タシロ・タツミは共に行動するラトゥーニ・スゥボータ少尉に声をかける。
「大丈夫です。体調に支障はありません」
気丈に答える。その声は出合った頃の明るさを失っていた。友人から攻撃された心の傷は大きいのだろう。
怪我はたいした事ないと言っていたが、大事を取って夜間は身を隠していたのだ。
「そうではない。再び彼女を前にした時、キミは………」
タシロが懸念するのはゼオラの事。ラトゥーニの親しい友人だったらしいが、恋人に死なれ錯乱状態に陥っていたのだ。
このような状況では無理もないとタシロは思う。しかし放っておくわけにも行かなかった。
「以前にも同じ様な事がありました。みんなに凄く迷惑かけたけれど、ちゃんと立ち直ってくれました。大事な友達なんです。
ちょっと思い込みが激しくて、アラドを大好きなだけなんです。ゼオラは必ず立ち直りますから」
シッカリとはしているが、悲壮な声だった。相手の事を理解している分、尚更辛いのだろう。
「しかし、もし万が一………」
「その時は………私が止めます」
「………そうか。では何も言うまい」
(想像以上に強い意思と責任感を持つ子だ。それが裏目に出なければ良いが)
シッカリした人間ほど自分を追い詰める。そして重圧に押しつぶされた若者をタシロは数多く知っていた。
(こんな状況だからこそ、我々大人が正しく振舞わねばならない。殺人ゲームなどもってのほかだ)
タシロは改めて主催者に怒りを燃やすと共に、他の子供達は無事なのだろうかと思う。
そんな心中を嘲笑うかのように朝の放送が新たな死者を読み上げていった。

238 :爽やかでない朝:2005/12/17(土) 13:06:44 ID:EMxiQI5k
【タシロ・タツミ 搭乗機体ヒュッケバインmk-3ガンナー(パンプレオリ)
 パイロット状況:上半身打撲
 機体状況:Gインパクトキャノン二門使用不可、前面の装甲がかなりはがれる
 位置:B-1廃墟
 第一行動方針:精神不安定なゼオラをどうにかする。
 最終行動目標:ゲームから可能な限りのプレイヤーとともに生還
        (いざというときは、自分が犠牲になる覚悟がある)】

【ラトゥーニ・スゥボータ 搭乗機体V2アサルトバスターガンダム(機動戦士Vガンダム)
 パイロット状況:頭部に包帯(傷は大した事はない)
 機体状況:盾が大きく破損(おそらく使い物にならない) アサルトパーツ一部破損
 位置:B-1廃墟
 第一行動方針:リュウセイや仲間と合流する。
 第二行動方針:精神不安定なゼオラをどうにかする。
 最終行動目標:ゲームから可能な限りのプレイヤーとともに生還】

【2日目 06:00】


239 :◇ラヴレス先生の現状簡単レポートver2.0:2005/12/19(月) 08:20:47 ID:kJM1oLDr
◆ラヴレス先生の現状簡単レポートver2.0
「生存者近況・初日」

●イングラム(初日18:30/G-2)
・イングラム・プリスケン(メガデウス・BIG-O)自衛独力型
  セレーナと接触しリュウセイを埋めた後、単独行動を開始。

●セレーナ(初日21時前後/C-4からC-5へ移動中)
・セレーナ・レシタール★★(アーバレスト)対マーダー型
  クルーゼと戦闘し撃破。ラムダドライバの発動に成功した。補給のため移動中

●フォッカー&司馬遷次郎(初日21:40/D-4)
・ロイ・フォッカー(アルテリオン)自衛協力型
・司馬遷次郎(ダイアナンA)自衛協力型
  死亡したB・Dの首輪を発見し解析作業を開始した

●イキマ(初日23:20/E-3廃墟)
・イキマ(ノルス・レイ)自衛協力型
  ゼオラの攻撃を受けジョシュアと分断された。ジョシュアと合流する為、北へ向かう

●アクセル(初日23:30/F-5)
・アクセル・アルマー(クロスボーンガンダムX1)自衛協力型
  裏切ったヴィンデルを追うが見失う。その間に仲間を失っている事を知らない。

●マサキ(初日23:30/E-5からD-8市街地付近へ移動中)
・木原マサキ★★(強化型レイズナー)策士&猫被り型
  戦闘の隙を突き、ルリ絞殺に成功。首輪を外す為に遺体を持って移動中。

●ヴィンデル&ハロ(初日23:30/E-5から西へ)
・ヴィンデル・マウザー★(ジャスティスガンダム)
  アムロ強襲の隙を突くが失敗。マサキのルリ殺害の一部始終を録画に成功。

●竜馬&ハッター&アスカ(初日23:55/F-5森)
・流竜馬(ダイテツジン)自衛協力型
・イッシー・ハッター(アファームド・ザ・ハッター)自衛協力型
・惣流・アスカ・ラングレー(ダイモス)猫被り型
  ハッターの見張りで休息中。朝まで動く予定なし?

●ベターマン・ラミア(初日23:55/B-3海面)
・ベターマン・ラミア★(機体なし)無関心型
  マジンカイザーに襲われるも撃退に成功し、海面でプカプカ休息中。

240 :◇ラヴレス先生の現状簡単レポートver2.0:2005/12/19(月) 08:21:37 ID:kJM1oLDr
◆ラヴレス先生の現状簡単レポートver2.0
「生存者近況・二日目その1」

●プレシア&ガルド&チーフ(二日目0:00/B-1)
・プレシア・ゼノサキス(グランゾン)平和解決型
・ガルド・ゴア・ボーマン(ブラックサレナ)自衛戦闘型
・チーフ(テムジン747J)対マーダー型
  プレシアの救助活動でチーフ参入。市街地へ到着。二人ともプレシアに頭が上がらないようだ。

●鉄也(二日目01:10/E-1)
・剣鉄也(ガイキング後期型)無差別型
  ヤザンと戦闘し、ボスが死亡。鉄也は戦闘マシーンと化した。
 
●ヒイロ(二日目01:15/C-7から移動中)
・ヒイロ(M9ガーンズバック)自衛戦闘型
  トウマ&クォヴレーと会話し、アルマナの仇討ちと再会を約束した。

●トウマ&クォヴレー(二日目/01:15)
・トウマ・カノウ(ワルキューレ)自衛協力型
・クォヴレー・ゴードン(ブライサンダー)自衛戦闘型
 ヒイロと出会い、アルマナの仇討ちと再会を約束をした

●アムロ(二日目02:30/E-1より逃走)
・アムロ・レイ★★★★(サザビー)無差別型
 気絶したリオを狙うが東方不敗に阻まれる。交戦はせず、冷静に撤退を選択。

●東方不敗&リオ(二日目02:00/E-1廃墟)
・東方不敗マスターアジア★★(零影)対マーダー型
・リオ・メイロン★(デスサイズヘルカスタム)自衛協力型(?)
  気絶したリオを襲ったアムロを東方不敗が追い払った。まだリオは気絶中。
 
●ジョシュア(二日目2:50/G-2とG-3の境目)
・ジョシュア・ラドクリフ(ガンダム試作2号機)自衛協力型
  リュウセイの助け受け、ヤザンを撃退。イキマと合流するため北へ向かう。

●リュウセイ(二日目2:50/G-3とG-4の境目)
・リュウセイ・ダテ(フェアリオン)自衛協力型
  ジョシュアと共闘しヤザンを撃退するも同行はせず。イングラムを探しを再開。

●ヤザン(二日目02:50/G-2とG-3境目 )
・ヤザン・ケーブル★★★(竜王機)無差別
 ジョシュアを襲うもリュウセイに邪魔された挙句、核で脅され逃走する。

●イサム(二日目03:30/E-5)
・イサム・ダイソン(ドラグナー3型)自衛戦闘型
  意識を取り戻し仲間と合流を図るが、大破した仲間の機体が転がっていた。

241 :◇ラヴレス先生の現状簡単レポートver2.0:2005/12/19(月) 08:22:30 ID:kJM1oLDr
◆ラヴレス先生の現状簡単レポートver2.0
「生存者近況・二日目その2」

●シロッコ&キラ&ゼオラ(二日目04:00/A-1市街地)
・パプテマス・シロッコ(ダンガイオー(一人乗り))策士型
・キラ・ヤマト(ゴッドガンダム)協力暴走型
・ゼオラ・シュバイツァー★(ゼオライマー)猫被り型
  シロッコがキラの掌握とゼオラの説得(洗脳)に成功し、味方(配下)に加える。

●フォルカ&マイ(二日目05:10/E-1廃墟内)
・フォルカ・アルバーグ(エスカフローネ)自衛協力型
・マイ・コバヤシ(R-1)自衛協力型
  フォルカはマイの信用を得たと思われる。恋愛フラグは立つだろうか?

●マシュマー&ミオ&ブンタ(二日目05:30/B-5)
・マシュマー・セロ(ネッサー)自衛戦闘型
・ミオ・サスガ(ボスボロット)自衛協力型
・ハヤミブンタ(ドッゴーラ)自衛協力型
  早朝、マシュマーの回想と独白。ハマーンへの熱い思いが語られている。
 
●副長&リョウト&ギレン(二日目05:40:30/B-8)
・副長(メカザウルス・グダ)自衛協力型
・リョウト・ヒカワ★(ウイングゼロカスタム)協力暴走型
・ギレン・ザビ(RX-7ナウシカFユニット装備)策士型
  合流、協力体制を取った。副長とギレンは互いに警戒しあっている。

●宗助&ウルベ&ウルベ(二日目06:00/H-4森)
・相良宗助(ブリッツガンダム)自衛戦闘型
・ウルベ・イシカワ★(グルンガスト)策士&猫被り型
・碇シンジ★(大雷凰)協力暴走型
  シンジと合流。宗助はウルベを信用していないが、シンジには多少優しい。

●タシロ&ラトゥーニ(二日目06:00/B-1廃墟)
・タシロ・タツミ(ヒュッケバインmk-3ガンナー)自衛協力型
・ラトゥーニ・スゥボータ(V2アサルトバスターガンダム)自衛協力型
  昨夜は休息を取った模様。決意新たに行動再開。


●ラミア・ラヴレス(今の所ずっと/ヘルモーズ内)
・ラミア・ラヴレス(??????)待機中
  ユーゼスに対する質問役、又はツッコミ役。ジョーカー的な存在だが、今だゲームには参加せず。

●<マジンカイザー>(初日23:55/A-3海底)
  『魔』モードで独立行動状態に入った。参加者を無差別に襲うらしいが、カイザースクランダーを
  破壊されている為、修復まで飛べない。操縦者が乗れば『Z』モードで操れるようだ。

●<ディス・アストラナガン>(初日21時前後/C-4森の中)
  セレーナに破壊されたが現在修復中。装甲、コクピット、武器(除くZ・Oサイズ)修復中。
  新たな操縦者を迎えたなら脅威になること間違いなし。

以上、生存者43名+2機

242 :廃墟の夜明け:2005/12/21(水) 17:06:18 ID:5WzTQdkZ
 広がる廃墟の向こう、東の空が明るみを増していく。
昇り始めた朝日は妙に輝いていて、殺し合いが繰り広げられているこの場所には
全く似つかわしくなかった。
 暗闇が減っていく廃墟の上空、銀色のシルエットが少しずつ世界を満たしていく光を受けている。
 その中、ロイ=フォッカーは周囲を警戒しながらも考え事をしていた。
 “戦場”と呼ばれる世界を、フォッカーは幾度も抜けてきた。
それも人間との戦いではなく、戦闘種族と呼ばれるゼントラーディとの激戦を潜り抜けてきたのだ。
 そんな戦場を共に抜けた部下の一人は、いとも呆気なく命を奪われた。
 軍人、それも前線で戦う兵士である以上、死がすぐ隣に存在することは理解している。
だが、それは戦場での話だ。こんな理不尽なことに巻き込まれ、
訳の分からないまま命を落とすなど余りにも馬鹿げている。性質の悪い悪夢とも思いたくなる。
 しかし、これは現実だ。紛れもなく、確かに存在する現実だ。
 そう。現実に部下、柿崎は死んだ。
 柿崎速雄は、目の前で首を吹っ飛ばされたのだ。
何も出来なかった。そんなフォッカーを責め立てる者は、あの状況を知る者なら誰もいないだろう。
だからといって納得出来るはずも、諦められるはずもない。仲間だったのだから。
 それなら、この手で仇を討つ。それがただ一つ、柿崎のためにフォッカーが出来ることだった。
 改めてそう思ったのは、柿崎と同じように首が吹き飛んだ――その原因は違ったが――
死体を目にしたからだろうか。
名も知らない誰かが死んでいたおかげで、自分たちは助かるかもしれない。
非常に気分の悪い話だが、やはりそれは朗報なのだろう。
何度かそうしたように、フォッカーはその人物の冥福を祈ったとき、通信ウィンドウが開いた。

243 :それも名無しだ:2005/12/21(水) 17:07:23 ID:5WzTQdkZ
ウィンドウに映っているのは中年の男性、司馬遷次郎だ。
彼は映像の中、口を開いて言葉を送ってくる。
「どうかね、フォッカー君。そちらの方は何もないかね?」
その音声とは別に、文字を示したウィンドウが開く。
フォッカーは言葉を聞きながら文字に目を走らせる。
『出来る限りの解析は終了した。とはいえ、このボディに搭載された解析装置では
六割ほどの解析しか不可能だったがね。
 どうやらかなり複雑なシステムのようでな。見たことのない技術も使われている。
 これ以上の解析や解除には相応の機器が必要だ』
フォッカーはそれに頷いて答えると、会話を合わせるために口を開く。
「ええ。かなり前に北東から戦闘のような音が聞こえてきましたが、それ以外は何も。
 もうすぐ放送がされる時間でしょうし、そちらに向かいます」
「ああ、そうしよう」
フォッカーはアルテリオンを廃墟地帯へ降り立たせ、そのうちの一つへと向かう。
ダイアナンAの側で停止すると、声が聞こえてきた。
「ご苦労だったな、フォッカー君」
「司馬先生の方もですよ」
声の主、司馬遷次郎へとカメラを向け、フォッカーは返事を返す。
最初見たときは面食らったが、無骨なメタリックボディにもいい加減慣れてきたと思う。
そのモニター部分には遷次郎自身の顔が映っており、下半分にはウィンドウが開かれて文字が並んでいる。
『予測通り、この首輪には盗聴機能が備わっているようだ。これまで通り会話には注意を払ってくれ』
それを読んだフォッカーは首を縦に振る。続いて、慎重に言葉を選んで口を開く。
「これからどうします? 移動でもしますか?」
「うむ。放送後に移動しよう。南東の基地へ行きたい。このボディの調子が今ひとつ悪くてな」
『機器が充実した所へ行きたい。南東の基地が一番いいだろう。禁止エリアにならなければ、だが』
ボディの調子とか言うのが嘘だというのは、下に表示されている文字を見れば分かった。
フォッカーは遷次郎の意見に眉を持ち上げる。
「遠いですが……仕方ないですね。襲撃者に出会わないことを祈りましょう」
「そうだな。万が一のときは頼むぞ」
「了解です」
 やがて放送の時間だ。おそらく、死者は増えているだろう。
 それは全て、この馬鹿げたゲームの被害者だ。
 だが、首輪の解析が終わって解除出来ればそれも終わらせることが出来る。
 フォッカーは視線を空へと向ける。明るくなり始めた空高く、
悠々と浮かぶヘルモーズを射抜くように睨みつける。
そんな彼を嘲笑うかのように、ヘルモーズは宙を泳いでいた。

244 :廃墟の夜明け:2005/12/21(水) 17:08:45 ID:5WzTQdkZ
【ロイ・フォッカー 搭乗機体:アルテリオン(第二次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状態:良好
 機体状況:良好
 現在位置:D-4
 第一行動方針:放送後、遷次郎を護衛しつつG-6基地へ向かう
 第二行動方針:ユーゼス打倒のため仲間を集める
 最終行動方針:柿崎の敵を討つ、ゲームを終わらせる】

【司馬遷次郎(マシンファーザー) 搭乗機体:ダイアナンA(マジンガーZ)
 パイロット状態:良好。B・Dの首輪を入手。首輪解析済み(六割程度)
 機体状態:良好
 現在位置:D-4
 第一行動方針:放送後G-6基地へ向かい、首輪の解析及び解除を行う
 第二行動方針:信用できる仲間を集める
 最終行動方針:ゲームを終わらせる】

備考:首輪の解析はマシンファーザーのボディでは六割が限度。
   マシンファーザーの解析結果が正しいかどうかは不明(フェイクの可能性あり)。
   だが、解析結果は正しいと信じている。
 
【二日目 5:40】

245 :廃墟の夜明け:修正:2005/12/21(水) 20:58:18 ID:5WzTQdkZ
すみません、>>243で会話の流れがおかしいところがあるので修正お願いします
「ああ、そうしよう」ではなく「ああ、了解した」としてください

246 :それも名無しだ:2005/12/23(金) 00:34:15 ID:QQzIvaDw



247 :矛盾と心配(1):2005/12/23(金) 16:57:22 ID:macIqIdD
地図のC5地点にあるという補給ポイントに向かう為、セレーナ・レシタールの駆るアーバレストは森を進む。
「・・・ねぇ、エルマ、おかしいと思わない?」
唐突に発せられたセレーナからの質問にエルマは訝る。
「何がですか?」
「この森よ。地球の森で、こんな風に木が生えている森ってあったかしら?」
「ここの木は大体30から50メートルで、地球でも確認されているとデータにありますが・・・」
そうエルマが返すと、セレーナはエルマの頭(?)をぴしっと叩いて諭すように言う。
「木の種類の話をしてるんじゃないわよ。これが地球にある木かどうかは私は専門家じゃないから分からないけど、
まるで“戦闘ロボット同士の戦いに邪魔にならないように”間隔を取って木が並んでいる森ってあるの?と聞きたいの」
そう言われてエルマは、周囲の景色をデータと照合してみる。
「確かにおかしいですね。この種類の木は一般的に3から5メートルおきに生えるものとデータにはあります」
「やっぱりね・・・この森に入ってから、視覚的にはほとんど一定に木が生えてる。間隔は四方の木と大体40メートルほどで、
まるで升目を作るように綺麗に並んでるわ。多分この森林の中で戦闘行動を取っても、それが特機でなくてPTレベルなら
何の問題もなく戦えるでしょうね。勿論木が邪魔にはなるだろうけど、戦略的に選ぶ価値は充分にある“戦場”に仕立て上げられてる」
歩みを止めて改めて周囲を見回すと、確かに目眩がするかのように整然と木が並んでいる。
「一体ここはどこにあるのかしらね・・・」
そう呟いてセレーナは嘆息する。と、黙っていたアルが口を開いた。
<マスター、先ほどの会話で出てきた『PT』とは何の略称ですか?>
「へ?パーソナルトルーパーの略称だけど・・・何であんた知らないのよ?じゃあこのアーバレストって何?特機だったの?」
<ARX-7。通称「アーバレスト」はAS、つまりアームスレイブですが・・・>
アルの返答に首を捻るセレーナ。

248 :矛盾と心配(2):2005/12/23(金) 16:58:02 ID:macIqIdD
「そういえば、アームスレイブってトリセツにも書いてたわね。そん時は読み流してたけど・・・
ねぇ、エルマ。データベースに「アームスレイブ」って単語はある?」
「・・・。ありません、セレーナさん」
「あれれ、どういうことかしら・・・ねぇアル、アームスレイブって何?」
<一般的にアームスレイブとは、主に全高8メートル前後の、人体を模した機械に、武装・装甲した攻撃用兵器です。
この略称は操縦システム、『アーマード・モービル・マスター・スレイブ・システム』が語源となっています。
八十年代末期に開発・・・>
「ちょ、ちょっと待ってよアル、八十年代っていつの話よ?」
アルの説明を遮って、驚いたセレーナが問う。
<西暦1980年代の話ですが・・・>
「西暦1980年代って人類が宇宙に出る前の話じゃないですか!」
エルマも驚いて目を(本当に)白黒させる。
<宇宙に出る、とはロケット打ち上げの事を指しているのですか?>
「何言っちゃってるのよ、アル。人類は山ほど宇宙にコロニー作ってるじゃないの」
<それは宇宙ステーションの事ですか?国際宇宙ステーションの開発はあまり捗々しく無いようですが・・・>
両者の会話が全くかみ合っていない事に、セレーナは気づく。少し考えてからエルマに確かめる。
「エルマ、“私達の歴史”では西暦1980年代に既に人型兵器は開発されている?」
「・・・。そんな記録はありません。その頃の戦争で使われていた兵器は戦闘機や戦車が主ですよ」
今度はアルに話を向けて
「アル、“あんたの歴史”でアームスレイブは一般的な兵器なの?」
<ほとんどの国の正規軍はアームスレイブを配備しています。加えて、上等なテロリストも>
セレーナは腕組みして首を捻る。
「どうも私達は全然違う世界から来ているみたいね。さっきの『ラムダ・ドライバ』も聞いたこともない兵器だと思ったけど
そう考えたなら納得が行くわ・・・」
「そういえば、ゲーム開始前に集められた部屋には見慣れない服装の人もいましたね」
<今までに戦った5機はどれもデータベースに無い機体でした>
セレーナの言葉を受けてエルマとアルが答える。

249 :矛盾と心配(3):2005/12/23(金) 16:58:59 ID:macIqIdD
「どういうことなんでしょうか?」
「うーん・・・これは通常の認識で測れる話ではないわね。SF小説を参考にした方が早いかも。パラレルワールドってヤツかもね」
<平行世界という事ですか?>
「そう。“在り得る筈の未来”、その枝分かれの結果よ。
もしそう仮定するなら、このゲームの主催者は平行世界に干渉できる事になるわね・・・」
「平行世界に干渉するなんて・・・!ボク達の時代じゃ全く辿り着いていない技術ですよ!」
「ま、あくまで仮定の話だけどね。でも私達とアルの歴史が全く違うのも事実。これは次誰かに会った時、確かめた方がいいかもしれないわね。」
そう言ったセレーナは、ふっと今までに出会った人々を思い出す。
(・・・そういえば、リオちゃんやリュウセイ君は元気かしら?次の放送で彼らの名前が流れなければいいけど・・・)
ふと物思いに沈んでいると、アルが声を掛けて来た。
<マスター、そろそろ指定のポイントに着きます>
そう言うや否や整然とした森が開け、月明かりに照らされる広場のような空間に出た。
周囲はぐるりと森に囲まれ、家のような建造物がいくつか見える。メインカメラの望遠機能で遠くを見ると、先には川が流れている。
そんな広場のど真ん中に、四角い箱がポツンと置いてある。近寄ってみると箱の隣に天辺にボタンのついた台が設置されていた。
「これを押せってことかしら?」
「そうじゃないですか?回りには熱源反応もありませんし、罠ってことはないと思われます」
「こういう所不親切よねぇ。あのユーゼスってヤツ、レディーにはモテなさそうね」
セレーナがボヤきながらボタンを押すと、四角い箱から小さいロボットがミサイルのように撃ち出され、わらわらとアーバレストにまとわりついた。
電池やネジに頭と手足がついたような外観をしている。それぞれが役割分担をし、素早く補給作業をしているようだ。
<ENの完全回復を確認。銃器・火器の弾薬も全て補充されました>
アルが報告すると同時に、ロボット達は続々と四角い箱へ戻っていく。
「これはまためちゃくちゃ早いわね。こんなの見たこと無いけど、データベースにはある?」
「ありません」<ありません>
「やっぱり。こんな優秀な補給装置があったら戦況は劇的に変わりそうなものだもの・・・。ま、いいわ。行きましょうか」
アーバレストは川の方へ進路を向ける。
「セレーナさん、これからどうするんですか?」
「そうね、獲物を探さなきゃならないわ。今日は休みなしで行くわよ」
その答えにエルマは異議を唱える。
「ボクは休んだ方がいいと思います。もう13時間動き通しですよ?さすがに休まないと・・・」
「何を言ってるの。時間が無いのよ?」
撥ね付けるセレーナに、今度はアルが忠告する。
<お言葉ですがマスター、『ラムダ・ドライバ』は高度な集中力が要求される装置です。疲れによる集中力低下で
満足に装置が使えない場合、マスターがお困りになるのではないでしょうか?>
「アルも言う様になったわね。まぁそうまで二人に言われちゃ仕方ないか。この先の森の中で4時間だけ仮眠を取ることにする」

250 :矛盾と心配(4):2005/12/23(金) 16:59:51 ID:macIqIdD
セレーナが寝息を立て始めたのを確認すると、エルマはアルに接続して直接話しかけた。アーバレストはECSを稼動させ姿を消している。
(アルさん、さっきはありがとう)
<アル、と及びください、エルマさん。私もマスターは張り詰めておられるよう感じたので、差し出がましいようですが
エルマさんのお口添えをさせて頂きました>
(セレーナさん、ここに来てからずっとピリピリしてるから・・・それから、ボクのこともエルマって呼んでね)
<ラージャ。それでエルマ、一つ聞きたい事があります>
(何でも聞いて)
<マスターの復讐の事です。マスターは復讐に並々ならぬ執着があるように思うのですが、それは何故ですか?>
(・・・。これはセレーナさんには言っちゃダメだよ)
そう前置きしてエルマは説明をした。チーム・ジェルバの事、彼らが全滅したミッション・ドールの事、
一人生き残ったセレーナが過ごしてきた日々の事・・・
(本当はセレーナさんに仇討ちなんてして欲しくない。ボクだってジェルバのみんなが殺されていくのを見たし、
みんなの事はとても好きだったから本当に悔しい。でも・・・復讐を誓ってからのセレーナさんを見てると痛々しいんだ。
セレーナさんは今でも結構笑うけど、どこか茶化すような笑いでさ。ジェルバに居た時はもっと素直に、心から笑ってた)
半ば独白するように、思いの丈をぶつけるエルマ。
<そういう背景があったのですか。確かに、マスターを見ているとどこか余裕の無さを感じます>
(リオさんや、リュウセイさんにここで出会って、ちょっとずつセレーナさんも影響を受けてる気がする。
昔のセレーナさんなら、多分リオさんを見逃したりはしなかった。だからこのまま、変わって行って欲しい)
<しかしエルマ、『ラムダ・ドライバ』が発動したのは、やはり復讐の情念が並外れたものだったからです。
もしマスターが復讐を諦めたら、もう『ラムダ・ドライバ』は使えないかもしれません>
(そう、だよね。互いに殺しあうなんてゲームに、何でセレーナさんは選ばれてしまったんだろう・・・
セレーナさんはあんなに苦しんで、今も苦しんでいるのに、どうして・・・)
エルマは険しい表情で休息を取っているセレーナの顔を見詰めた。物音でもすれば、一瞬で目覚め戦闘態勢に移れるだろう。
それが特殊部隊として鍛え上げられ、また孤独な戦いを数年間続けてきて身についたセレーナの睡眠法である。
(セレーナさん・・・)
例え眠りが浅くても、せめてこの時だけはゆっくりと休ませてあげたい。
エルマとアルは彼女の眠りを守る為、周囲に警戒を張り巡らせ続けた。

251 :それも名無しだ:2005/12/23(金) 17:01:00 ID:macIqIdD
【セレーナ・レシタール 搭乗機体:ARX-7 アーバレスト(フルメタル・パニック)
 パイロット状況:健康(睡眠中。起床予定5時)
 機体状況:活動に支障が無い程度のダメージ
 現在位置:C-5(補給ポイント)近くの森
 第一行動方針:ゲームに乗っている人間をあと一人殺す
 最終行動方針:チーム・ジェルバの仇を討つ
 特機事項:トロニウムエンジンは回収。グレネード残弾3、投げナイフ残弾2】

【時刻:二日目AM01:00】

252 :それも名無しだ:2005/12/25(日) 00:56:43 ID:EMH89Vk9
hoshu

253 :戦友:2005/12/25(日) 10:44:32 ID:d/YBEc0h
 暗闇の中、北に向かって走り続ける機体があった。
 独特の女性的なフォルムが印象に残るその機体は、魔装機ノルス・レイである。
「ジョシュア・ラドクリフ……無事でいるといいのだが……」
 仲間の無事を願いながら、イキマは合流を誓い合った地点目指して機体を走らせる。
 目指すは北に存在する廃墟。お互い無事であったのならば、そこで再び出会う手筈となっている。
 幸いにも、これまで機体を走らせる最中、イキマが他の参加者に出会う事はなかった。
 このノルス・レイ、サポーターとしては優秀な能力を持っているが、お世辞にも前線向けの機体ではない。
 自分以外の参加者全てを殺さなければならないバトルロワイアルのルールにおいては、不利な感を否めない機体である。
 だが、それは別に構わない。
 自分の目的は、あくまでも仲間と共に主催者を打ち倒す事だ。たった一人で戦い続けなければならない理由は無い。
 そう。今の自分には、仲間がいる。
 ……奇妙なものだ。
 ほんのつい数日前までは、人間に仲間意識を持つ事になるなど夢にも思っていなかった。
 だが、今はどうだ。人間の安否を本気で案じている自分に、何の疑問も感じてはいない。

「今の俺を奴が見たら、どんな顔をされる事やら……」
 苦笑と共に、見知った顔を思い出す。
 鋼鉄ジーグ。かつて自分の居た世界で、何度も死闘を演じた相手。
 自分が人間と手を組んでいる事を彼が知ったならば、どんな反応を返される事か。
 どうせ、後で裏切るつもりに決まっている――
 そう、決め付けられる気もしないではない。
 そんな事を考えながら、イキマは機体を北上させる。
 仲間との合流を目的に、彼方に見える廃墟を目指して。


【イキマ 搭乗機体:ノルス・レイ(魔装機神)
 パイロット状況:良好
 機体状況:右腕を中心に破損(移動に問題なし)
 現在位置:E-3北部
 第一行動方針:ジョシュアと合流するため、北の廃墟へ向う
 第二行動方針:主催者打倒の為の仲間を探す
 第三行動方針:バラン、ジーグを探す
 最終行動方針:ジョシュアと共に主催者打倒】

【二日目 0:00】

254 :歪む世界:2005/12/25(日) 18:35:28 ID:d/YBEc0h
「リュウセイ……生きていろよ……」
 リュウセイ・ダテの無事を祈りながら、イングラム・プリスケンは荒野を歩き続けていた。
 その瞳に宿る感情は、この戦いを終わらせるという強い決意。
 ――ユーゼス・ゴッツォが何を企んでいるのかは知らないが、奴の目的は必ず打ち砕いてみせる。
 そう心の中で呟きながら、イングラムは四角く区切られたエリアの端を目指し、その機体を前に進ませ続けていた。
 このゲームを正規の手段である“皆殺し”以外で終わらせるにあたって、その障害となる事柄は二つある。
 一つは参加者各員に取り付けられた首輪の存在。
 ユーゼスの胸先一つで爆破装置が働くこの首輪を取り除かない事には、ユーゼスに逆らう事が不可能となる。
 首輪の解除方法を見付け出す事は、ユーゼスに反逆する上で大前提と言える事だった。
 ……だが、もう一つ。恐らくは首輪の解除以上に困難な障害が、ユーゼス打倒の前には立ち塞がっている。
 それが、これ。イングラムの前に存在する、光り輝く障壁である。

「…………」
 H-2エリアの東端で、イングラムは言葉無く佇んでいた。
 彼の前には、薄い輝きを放つ光の壁。歪んだ次元を繋ぎ合わせ、別の空間に繋げる超技術である。
 メガデウスの腕を輝く壁に触れさせる。腕は何の抵抗も無く壁を通り抜け、そして別の空間へと繋がった。
 A-2エリア。現地点とは遠く離れた場所に位置するはずの地域。
 歪んだ空間を通り抜け、メガデウスは遠く離れた場所に一瞬で転移を遂げていた。
 この世界に自分達参加者を引き入れたのは、この空間操作とでも言うべき技術を使っての事なのだろう。
 それはつまり自分達が首輪の解除方法を見付け出した所で、それだけでは反攻に移れない事を意味している。
 もし、この空間操作を、ヘルモーズを対象に行われたとすれば――
「こちらの攻撃は届かない……いや、それどころかヘルモーズに辿り着く事さえ不可能だろうな……」
 それだけではない。
 ユーゼスはゲームを始めるにあたって自分を含めた数多くの参加者を意識無い内に拘束し、自爆装置付きの首輪を装着させた。
 一旦首輪を解除した所で、それと同じ事が再び行われない保障など無いのだ。
 首輪の再装着。考えたくも無い事だが、それが行われる可能性は決して低くない。
 ……だが、空間操作の技術を無効化してしまえば、恐らく首輪の再装着を防ぐ事は出来るはず。
 自分の考えが正しければ、首輪を取り付けたカラクリはこうだ。
 空間を捻じ曲げて参加者をヘルモーズに召集する際、ユーゼスは自分達の意識を奪っていた。
 意識の無い人間に首輪を嵌める事など簡単だ。この首輪を嵌めた方法は、あくまでも手作業であるに違いない。
 となれば、話は簡単だ。首輪を解除した上で空間操作を無効化すれば、ユーゼスと戦う事が出来るようになる。
 しかし、どうやれば。どのような手段を用いれば、この空間操作を無効化する事が出来るのだろうか。

255 :歪む世界:2005/12/25(日) 18:36:12 ID:d/YBEc0h
 ……確証は無いが、推測は出来なくもない。
 この空間を歪める大掛かりな技術を常時展開させるには、とてつもないエネルギーと“基点”のようなものが必要となるはず。
 そして、それはヘルモーズではない。このゲームの会場となった世界のどこかに、空間を歪めている装置が存在しているはずだ。
 その根拠は、ヘルモーズ自体が空間の壁を飛び越えて別地点に転移する様子が見られた事である。
 空間を歪めている基点自体が、その歪んだ空間に飛び込んで行くとは考え難いのだ。
 もし空間操作を司っているのがヘルモーズであるならば、その動作を不安定にさせるような真似はすまい。
 となれば、このゲームが行われている会場のどこか。なるべく人目に付かない場所に、空間を歪めている装置が存在するはず。
 そして、その候補は幾つか既に掴んでいる。
「……E-7、D-3。特に怪しいのは、この二つか」
 ユーゼスが真っ先に進入禁止区域とした、この二つのエリア。
 大規模な戦闘に巻き込まれて装置が破壊される事を危惧するならば、まずは装置の護りを固めるはず。
 となれば、怪しい場所は現在禁止エリアに指定されている二つの区域。
 この地点に空間操作を打ち破る鍵が存在すると考えるのは、決して的外れな憶測ではないはずだ。
 ……だが、現状では打つ手が無い。このエリアに侵入した途端、首輪の爆破装置が機能してしまう。
 と、なれば……。

「…………禁止エリアが増える前に、いくつか調べ上げておかなければならないエリアがあるな」
 首輪の解除方法を探り出すにしても、サンプルと施設の無い現状では打つ手が無い。
 かくして、イングラムは動き出した。ユーゼス打倒を志す他の参加者とはまた違った方法で、この悪趣味なゲームを終わらせるべく。

256 :歪む世界:2005/12/25(日) 18:36:55 ID:d/YBEc0h
【イングラム・プリスケン 搭乗機体:メガデウス(ビッグオー)(登場作品 THE BIG・O)
 パイロット状態:健康
 機体状態:装甲に無数の傷。だが、活動に支障はなし
 現在位置:A-2
 第1行動方針:空間操作装置の発見及び破壊
 第2行動方針:出来うる限り争いを止める
 最終行動方針:ユーゼスを殺す】

【初日 22:00】

257 :リーダーは誰だ?:2005/12/25(日) 19:58:29 ID:jcYcCZzU

 気が付けば惣流=アスカ=ラングレーは台所に立っていた。目の前には食材と調理具が並んでいる。
しかし今まで家事を全て人任せにしていた彼女に料理が出来るはずもなく、その手は全く動いていない。
それなら素材のまま口に入れれば良いと思うのだが、彼女の高いプライドがそれを許さなかった。
「二、三日くらい食事を抜いたってどうって事ないわよ」
 料理が出来ない事わけじゃない、必要ないから作らないだけだとアスカは自分に言い聞かせる。だが
その言葉に反論するかのように胃袋が控えめな声を上げた。口では強がれても身体は正直なものである。
(誰にも聞かれなかったでしょうね?)
 僅かに顔を赤めたアスカが周囲を見渡すと、すぐ真後ろのテーブルで碇シンジが食事をしていた。
まるで背中合わせのように直ぐ後ろの椅子に座っている。
「あんた一体、ここで何してるのよ!」
 アスカが顔を真っ赤にして怒鳴り声を上げる。なぜシンジがいるのかを疑問に思うより、先程からの
失態を誤魔化す事の方に意識が向いていた。シンジは大声に驚きもせず、落ち着いた様子で振り向くと
アスカの顔を見つめ、静かに溜め息をついた。
「見て分からないの?」
 そう答えると興味無さそうに背を向け食事を再開した。もう一度怒鳴りたい欲求に駆られながらも
アスカは深呼吸して自分を落ち着かせる。少なくとも台所という戦場においてはシンジの方が有能なの
は承知していた。背に腹は代えられないと判断し、猫なで声をシンジにかける。
「美味しそうじゃない。アタシの分も作ってくれない?」
「自分で作れば?」
 シンジは振り向きもせずに即答する。下手に出たつもりが冷たく返され、アスカは自分が小馬鹿に
されたように感じた。
「こういう時くらい役に立ちなさいよ! アンタ、家事以外は何の取柄もない愚図なんだから!」
「うるさいな。だったらアスカは何にも出来ない役立たずじゃないか」
 次の瞬間、アスカは逆手に持った包丁を振り上げていた。

258 :リーダーは誰だ?:2005/12/25(日) 19:59:09 ID:jcYcCZzU


 朝の光を浴びて惣流=アスカ=ラングレーは目を覚ました。薄く目を瞑って休憩するだけのつもりが
熟睡してしまったらしく、少し自己嫌悪に駆られる。夢を見たような気もするが覚えていない。
「あいつ等は………」
 外部モニターに目をやる。流竜馬の乗るダイテツジンは索敵されにくいよう巨体を伏せている。動き
のない所を見ると眠っているのだろうか? 一方、見張りをかって出たイッシー=ハッターは少し離れ
た所でラジオ体操をしていた。ここでラジオなど受信できるのだろうか? それらの疑問を深く考える
事もなく、アスカは時計に目を移した。針は朝の放送まで後一時間程を示していた。
「………今なら平気かも」
 アスカは寝汗でベタ付く服を気にしつつ席を立った。放送前のこの時間なら他の参加者も行動を自粛
しているだろうと判断し、近くにある河で汗を流そうというのだ。そっとダイモスの搭乗口を開ける。
他の二人に伝える気はない。同行しているだけで信用したわけではない。わざわざ『水浴びに行きます』
と伝えるのは、『覗きに来てね』と言っているのと同じ馬鹿げた行為だ。少なくともアスカ本人は男性
全般を全く信用していなかった。静かにタラップを降り始める。しかし―――
「グッドモーニングだ!ガール!」
 突然ハッターに声をかけられた。よく扉が開くのに気が付いたものだ。体操などして遊んでいるよう
に見えたが、真面目に周囲を警戒していたのだろう。
「グ、グーテン………モーゲン………」
 物凄く驚いたが何とか無様な姿を晒さず笑顔を返す事に成功した。その笑顔は少し引きつっている。
「朝の散歩かい? 確かに早朝の散歩は気分が良い。しかし今の状況下では感心しないな」
 竜馬の声も聞こえた。どうやら起きていたようだ。アスカは熟睡していたのは自分だけだと思って
少しプライドが傷ついた。
「放送まで、後少しだ! 食事でも取りながら、今後の方針を、熱く話し合おうじゃないか!」
 ハッターは細かい事を気にせずに続ける。食事と聞いてアスカはゲッソリとした。賞味期限を大きく
過ぎた(と思っている)ものなど、食べれたものではない。だが、名案を思いたのか笑顔が戻る。
「竜馬さん。ソーセージが沢山あるんだけど、流石に飽きちゃったから何かと交換しませんか?」
 アスカは猫なで声で食料交換を竜馬に持ちかけた。
「そうだな。こっちも同じものばかりでは飽きるから交換しようか」
 交渉は成立し、アスカはパック入りカレーライスの入手に成功した。子供向けのイラストが書いて
あるが気にはしない。手順にそって作ると、どういう原理かホカホカのカレーライスが出来上がった。
「うむ、やはりソーセージは魚肉に限るな。シール付きというのもナカナカだ」
「ゲキガンカレーとかいう名前の割には甘口ね。そういえばハッターは食べなくて平気なわけ?」
 のん気に食事を取りつつも、ハッターの事を多少は疑問に思ったらしい。
「必要ない。というか、そういうのは食べられないから、気にしないで食べてくれ」
「ふーん。便利なんだか不便なんだか」
 その程度の説明であっさり納得してしまった。人間、自分達に有利な事は深く追求しないものだ。


259 :リーダーは誰だ?:2005/12/25(日) 20:00:09 ID:jcYcCZzU


「ユーゼス打倒には、もっと仲間がいる!信頼できる参加者に、心当たりはあるか?」
 再びハッターが話題を出す。気にしないで食べろとは言ったが、黙々と食べられると間が持たない。
「信頼できる参加者か。そうだな、彼らなら………きっと頼もしい仲間になってくれるはず」
 竜馬は集められたメンバーの中に、見覚えのある人物がいた事を思い出した。一人は偉大な勇者、
剣鉄也。一人は陽気なムードメーカー、ボス。かつて強敵・宇宙怪獣ギルギルガンとの戦いで協力し、
平和の為に力を合わせると誓った仲間だ。こんな殺戮ゲームに乗るわけがないと、竜馬は信じている。
「………アイツは戦力にはならないし、直ぐ逃げ出すから信用も出来ないし」
 アスカがそっぽを向いて答える。流石に殺す為にシンジを探しているとは言わない。
「指導指導と口うるさいが、頼りになる頑固者に、心当たりがある!結構、協力者は、いそうだな!」
 たった三人でもこれだけ心当たりがいるなら、他にも協力的な者は多いだろうと結論付けた。
「で、放送後に取るルートについてだが、このまま河沿いに………」
「いや河沿いは危ない。水中戦に持ち込まれると不味い」
 ハッターの意見に竜馬が異議を唱えた。水中戦の重要性と恐ろしさを竜馬は良く知っている。
「水中にいるなら河ごと凍らせれば良いじゃない。楽勝よ、楽勝」
「なるほど瞬間的に絶対零度まで下げるフリーザーストームなら、色々使い道がありそうだな」
 竜馬がソーセージのオマケシール裏面の解説を何枚か読み上げながら、ダイモスの武装の豊富さに
感心する。アスカは教えていない武装ついて知られた事に頭を抱えたかったが、それでも自分の優位は
崩れないと判断し笑顔を取り繕った。結果的にアスカは説明書には記載されていない必殺技をいくつか
知る事となる。もっともアスカにとっては「長い名前のただのパンチ」程度の認識であったが。

「話を戻すが、ルートについては、このまま河沿いに、西へ向かうという事で………」
 竜馬の必殺技ネーミング講座を強引に打ち切り、ハッターが話題を戻そうとする。
「ちょっと待ってよ!さっきから疑問だったんだけど、なんでハッターが仕切ってるわけ?」
 今度はアスカが異議を唱えた。どうにも話が進まない。
「なんで、って言われても………なぁ」
 思わずハッターは竜馬と顔を見合わせる。
「だから、なんでハッターが勝手に『リーダー』してるのかって聞いてるの。リーダーって言ったら
正義の色、レッド。つまり赤い機体のアタシに決まっているでしょ!」
 強引かつ適当なリーダー宣言だった。
「うーむ。赤い機体だからリーダーというのは一理ある………のか?」
 竜馬が困惑気味に呟く。流石に想定外の理由だったらしい。
「友よ!冷静に考えろ!色で決めるなど、言語道断!リーダーは、熱血漢と決まっているだろう!」
 ハッターの反論も少しピントがズレている気がする。
「熱血漢なんて流行らないわよ。ハッターはお笑い担当、色で言えば黄色がお似合いよ」
「ノォ! さっきカレーを食べていた、ガールこそが、お笑い担当に相応しい!」
 もはや子供の口喧嘩である。だがどんな些細な事が原因であれ、仲違いしたチームが危険である事を
竜馬は身をもって知っていた。何とか仲裁せねばならない。
「まあまあ、ここは公平にだな………」


260 :リーダーは誰だ?:2005/12/25(日) 20:00:51 ID:jcYcCZzU


「それではリーダーとして、今後の方針についての意見を述べる。まず………」
 竜馬が今後について再度説明と意見を述べ始める。それを聞きながらアスカはギュッと握った拳を
見つめている。ハッターも拳を握り締めていた。
「なんで、アタシがリーダーじゃないのよ………」
「そりゃあ、我が友がパーを出したからさ」
 ヒョイと肩をすくめる。そもそもハッターは誰がリーダーであっても気にはしない。どうせやる事は
同じだからだ。正義の色が赤と言われ、少し熱くなっただけだ。こんな事で喧嘩する気は無い。
(絶対、実力で誰が一番だか教えてやるんだから)
 一方、アスカは納得していなかった。どいつもこいつも自分の邪魔をする。そんな風に考えていた。
明確な方針は定まらないまま、朝の放送が流れ始めた。


【流竜馬 搭乗機体:ダイテツジン(機動戦艦ナデシコ)
 パイロット状態:良好
 機体状況:良好
 現在位置:F-5の森で休憩中(放送後鼓動開始予定)
 第一行動方針:他の参加者との接触
 第二行動方針:剣鉄也の捜索
 最終行動方針:ゲームより脱出】

【イッシー・ハッター 搭乗機体:アファームド・ザ・ハッター(電脳戦記バーチャロン)
 パイロット状態:良好
 機体状況:良好(SSテンガロンハットは使用不可、トンファーなし)
 現在位置:F-5の森で休憩中(放送後鼓動開始予定)
 第一行動方針:仲間を集める
 第二行動方針:チーフの捜索
 最終行動方針:ユーゼスを倒す
 備考:ロボット整備用のチェーンブロック、鉄骨(高硬度H鋼)2本を所持】

【惣流・アスカ・ラングレー 搭乗機体:ダイモス(闘将ダイモス) 
 パイロット状態:良好
 機体状況:良好
 現在位置:F-5の森で休息中(放送後鼓動開始予定)
 第一行動方針:碇シンジの捜索
 第二行動指針:邪魔するものの排除
 最終行動方針:碇シンジを嬲り殺す
 備考:竜馬&ハッターを信頼していない】

【二日目 06:00】

261 :冥王と巨人のダンス:2005/12/28(水) 11:45:46 ID:rZ8LBJ8F
闇を切り裂き、流星が空を翔る。
眼下に広がる街並みに、ほとんど明かりはない。
道路沿いの街灯だけが照らす街並みを見下しながら、流星の中に座す男、木原マサキは呟いた。
「レイ、付近に反応はあるか」
『索敵範囲内ニ、反応ハミツケラレズ』
自身の駆る蒼き流星―――レイズナーを司るコンピュータ、レイからの返答に、マサキは表情一つ変えることなく、新たな指示を送る。
「引き続き索敵を続行しろ。何かあれば、逐一報告するんだ」
『レディ』
レイの短い返答を確かめると、マサキは肩越しに後ろを見遣った。
マサキの視界に、窮屈そうに身体を包ませた体勢でコクピットに押し込まれたルリの死体が映る。
赤い一つ目の機体に襲撃を受け、イサム達が散り散りになってから既におよそ三時間。
ルリの首輪を取り外すために、マサキはD-8付近の市街地に訪れていた。
道中、他の参加者に遭遇するようなこともなく、さしたる障害もないまま目的地に到着したのが一時間前。
今はC-8とC-7の境界付近を飛行している。
既に首輪を外せそうな場所も、ある程度の解析が出来そうな場所も目星をつけてあるが、マサキはまず周囲の偵察を行っていた。
首輪を取り外すにしても、取り外した首輪を解析をするにしても、機体から降りなくては始まらない。
もしも、近隣に参加者が潜んでいて、その隙に襲撃をかけられでもしたらたまったものではない。
事を成すのは周囲の安全を確認してからだ。それに、出来れば今のうちに補給も済ませておきたい。
『10時方向ニ、補給ポイントヲ発見』
不意に発せられたレイの機械音声に、マサキは視線をルリの死体から外しコンソールに目を移す。
すぐに新たな指示を飛ばそうとして、続けて告げられたレイからの報告に遮られた。
『並ビニ、ソノ近隣ニ二機ノ機影ヲ確認。戦闘ノ形跡、オヨビ機体ノ損傷確認デキズ』
「ふん…」
報告を耳にしたマサキはそうやって鼻を鳴らすと、口元に手をやって思考を開始する。
戦闘の形跡がないのなら、その二人の参加者は手を組んでいるとみて間違いない。
重要なのはそいつらが果たして使えるクズかどうかだ。
丁度手駒となるクズを失った現状では、早急に使えるクズを集める必要がある。
まぁ、たとえ使えないクズだったとしても、最低限首輪を解析する間の護衛にでもなればそれでいい。
こちらには首輪のサンプルと、俺の頭脳というカードがある。
仮に下らん正義感を振りかざしている偽善者が相手だったらとしたら多少厄介だが、
それでも言い包めようと思えばいくらでも言い包められる。
その辺りの言い分は、相手と接触してタイプを見極めてから使い分ければいい。
「進路変更だ、レイ。そいつらに接触するぞ。」
『レディ』
レイの返事と同時に、冥王を乗せた蒼き流星は方向を変え加速を開始した。

262 :冥王と巨人のダンス:2005/12/28(水) 11:46:17 ID:rZ8LBJ8F
「…ん」
背後から聞こえた微かな唸りに、クォヴレーはシートの後ろを覗き込んだ。
見ると、後部座席で横になっていたトウマが身を起こし、首や背中の間接を鳴らしている。
「…目覚ましもないのに、よく時間ぴったりに起きられるものだな」
視線を前に戻して時計を確認しながら、クォヴレーが言う。
時刻は午前三時。二人が決めた、見張りの交代の時間だ。
「フリーター生活長いんでね。寝坊で遅刻でもしたら、クビになっちまう」
手櫛でざっと髪を整えながら、トウマはクォヴレーにそう返した。言いながらドアを開け、外に出る。
トウマがワルキューレに跨ったのを見届けて、クォヴレーも休息を取るべくシートに身を預けた。
一つ息を吐いて何気なく窓の外へと視線を向け、そしてシートに預けたばかりの身体を跳ね起こす。
月をバックに、一つの影が見えた。青い光を纏った、まるで流星と見紛うようなそれは高速でこちらへと接近してくる。
「何か近づいてくる、気をつけろ!」
「何!?どっちだよ!?」
すぐさま開けっ放しにしてあった窓からトウマに向かって叫ぶ。言われて辺りを見回すトウマに、月を指差し方向を示した。
「あっちだ!とにかくエンジンをかけろ、すぐ動けるようにしておくんだ!」
「わ、わかった!」
二人が迫る機影に備え、慌ててエンジンをかける。
しかし、相手の速度は彼らの予想を越えていた。エンジンが掛かった頃には、すでにその機体は彼らの目前へと着地する寸前だった。
着地の衝撃を和らげる為のバーニアが巻き起こす熱風を腕をかざして遮りながら、
トウマが敵意が無いことを伝えるために声を張り上げようとする。
だが、それは着地した青い機体からの通信機越しの声に遮られた。
「待ってください!こちらに攻撃の意思はありません!話を聞いてください!」
降りかかってきた声は、トウマが叫ぼうとした言葉そのままだった。

263 :冥王と巨人のダンス:2005/12/28(水) 11:47:13 ID:rZ8LBJ8F
「…そうか、あんたもあいつに襲われたのか」
「はい…」
トウマの言葉に、マサキは言葉少なく頷いた。
マサキは機体から降り敵意が無いことを示した上で、イサム達にそうしたように本性を隠したまま今まで起こったことを話していた。
どうも最初に戦ったあの赤い可変機は、自分と遭遇する前にこのトウマと名乗った青年を襲撃していたようだ。
思わぬところであの時の戦闘が功を奏した。同じ相手に襲われたということで、知らず自分の境遇と重ねて信用を得ることが出来る。
その後イサムと合流し、アキト、アクセルとも合流したが、赤い一つ目の機体に襲われバラバラになってしまったことを続けて伝える。
だが、ルリのことだけは伏せておいた。
幸い、彼らの視点からではレイズナーのコクピットは死角になる。こちらから見せようとしない限り、死体に気付かれることは無い。
ルリのことを打ち明けるのは、彼らに利用価値があるかどうか確かめてからでも遅くはないだろう。
「ところで、お二人の機体ですが…さっき、ただの車とバイクだって言ってましたけど…」
「言葉の通りだ。それとも、こいつがロボットに変形するようにでも見えるか?馬鹿馬鹿しい。アニメじゃあるまいに」
二人の戦力を測るべくそう切り出したマサキに、ブライサンダーの座席からクォヴレーがハンドルを叩きながら吐き捨てた。
「それじゃぁ、本当にただの車とバイク…?」
「あぁ」
腕を組み、苦虫を噛み潰したようなしかめ面で心底忌々しそうにクォヴレーが肯定する。嘘を付いてるようには見受けられない。
「ま、こんなんじゃ頼り無いって思われても仕方ないけどさ。
それでも、頭数が揃ってるってのは心強いだろ?そっちさえ良かったら、一緒に行動しないか?」
ワルキューレに跨ったトウマの言葉に、マサキはそちらへ顔を向ける。
「はい、僕で良ければ、一緒に行かせてください」
笑顔を浮かべ、口ではそう言いながら、内心でマサキは舌打ちをした。
使えないクズと遭遇する可能性も考慮してはいたが、
まさかただの自動車とバイクを支給されているクズがいるとは流石に思ってはいなかった。
もしかすると何か使える機能でもあるのかと思って話を聞いてはみたが、
話し振りから察するに本当にただの車とバイクらしい。全く、あの主催者もいい性格をしている。
これでは使う使えない以前の問題だ。
トウマとかいう男はともかく、クォヴレーとやらはパイロットとしては多少有能そうだが、機体がこれでは話にならない。
わざわざこいつらでも戦える機体を探すより、
最初からまともな機体を支給されているクズを手駒にする方が戦力増強として手っ取り早いのは明白だろう。
こんな奴らと遭遇するとわかっていれば、解析に役立ちそうなルリを殺すこともなかったと言うのに。
(…まぁ、いい)
結果的に多少裏目にはなったが、そもそもルリを殺していなければこいつらと遭遇することも無かった。
過ぎたことをいつまでも引きずったとして、今の状況が好転するわけでもない。
それに、クズはクズなりの使い道がある。
なにせあの主催者のことだ。首輪に何か仕掛けを施してある可能性も充分考えられる。予備の一つがあってもいいだろう。
邪魔をされないようにどちらかを殺し、残った方の首輪を奪うとしよう。
方針は決まった。ならば後は行動を起こすのみだ。
「そうだ。この辺りに、補給ポイントはありませんか?出来れば補給を済ましておきたいんですが…」
殺意を内に潜ませたまま、マサキは二人にそう切り出した。この辺りに補給ポイントがあるのは確認してある。
場所を示されれば補給をしに行く、と言って機体に戻ればいい。
仮に場所を知らなかったとしても、もう少し辺りを見回してくるとでも言えば済むことだ。
「ああ、それならすぐそこだ」
マサキの目論見どおり、トウマが顎をしゃくって少し離れた場所を示す。
「わかりました。それじゃぁ、今のうちに補給をしてきます」
本性を隠した口調の裏でほくそえみながら、マサキはレイズナーへと駆け出した。

264 :冥王と巨人のダンス:2005/12/28(水) 11:48:09 ID:rZ8LBJ8F
その後ろ姿を見送って、トウマは改めてレイズナーを見上げる。
初めにこんなバイクを支給されてどうなることかと嘆いたが、クォヴレーに続いてまた一人仲間を得ることが出来た。
しかも、今度は俺達と違ってまともな機体を支給されている。
楽観視するわけではないが、この調子で行けばアルマナの仇を討つことも、あの主催者を打倒する事も出来るかもしれない。
マサキが乗り込み、レイズナーの双眸に光が灯る。
その光を、トウマは期待と希望を込めて見つめ―――。
「…え?」
―――次の瞬間、その想いは自らに向けられたレーザード・ライフルの銃口に打ち砕かれた。
銃口の奥に、光が集まっていくのがひどくゆっくりと見える。
まさにその光が放たれんとした刹那、後方からニ条の光線がレイズナーに襲い掛かった。
咄嗟に宙へと逃れ、レイズナーはその光線をかわす。
射撃の直前に姿勢を乱されたレイズナーのライフルは、トウマのすぐ脇へと着弾した。
「逃げるぞ、トウマ!!」
その声と共に、先ほどの光線―――ヘッドライトビームを放ったブライサンダーが、トウマの脇をすり抜けて行った。
「あ、ああ!」
遅れて、トウマもワルキューレを発進させる。次の瞬間、それまでトウマのいた位置へとレーザーが撃ち込まれた。
「くそ…猫被ってやがったのか、外道め!」
駐車場を飛び出し、道路を併走しながらトウマが吐き捨てる。
ぎり、と音が鳴るほどに奥歯を噛み締め、苛立ちをぶつけるかのようにワルキューレをさらに加速させた。
「おそらく、俺達を利用しようとしたんだろう。機体が使えないとわかって、手の平を返したんだろうさ」
「けど、お前よくあいつが俺達を騙してるって気付いたな?」
隣を疾駆するクォヴレーに、ふとトウマが問いかけた。
「確信があったわけじゃない、最初から信用などしていなかっただけさ。
信頼できる相手だとわかるまでは、警戒を続けるつもりだった。気付かなかったか?お前の時もそうしてたぞ」
「何!?そうなのか!?」
その言葉にトウマが声を荒げる。
「そのおかげで助かったんだ、文句は言うなよ!来るぞ!」
バックミラーには、既に追いすがるレイズナーの姿が映っている。
咎めるようなトウマの口調にそう切り返し、クォヴレーはハンドルを切った。
「ええい、くそ…!」
トウマも同様にハンドルを切って、放たれたレーザーをかわしていく。
「ふん、ただの車ではなかったと言うわけか」
レイズナーのコクピットで、射撃を掻い潜り逃走する二人を見下ろしながらマサキがごちる。
先ほどのビームもそうだが、この動き。ただの車と言うには運動性が高すぎる。
尤も、その程度でこちらの優位は揺らぎもしない。
言ってしまえば、これは狩りだ。
大きすぎる戦力の差は、何が起ころうと覆りはしない。その戦力差の中で行われる行為は、戦闘ではなく狩りでしかない。
「…くく」
唇を吊り上げ、冥王が笑みを浮かべる。
ならば楽しもうではないか。無様に這いずり回って、精々俺を喜ばせるがいい。
「ふははははは!さぁ、逃げろ逃げろ、逃げ惑え!
けっして抜け出せぬ泥の中で足掻くだけ足掻き、俺の足にすがって惨めに命乞いをして見せろ!!」
冥王の凄惨な叫びが夜の闇にこだまする。
それに呼応するかのように、レーザーが逃げる二人に向かい撒き散らされた。

265 :冥王と巨人のダンス:2005/12/28(水) 11:49:01 ID:rZ8LBJ8F
「ちぃ…!奴め、こっちが手を出せないと思っていたぶるつもりか!」
車体を掠めて着弾するレーザーを、クォヴレーは巧みなハンドル操作でどうにか切り抜けていく。
だが、それも長くは続きそうもない。このまま逃げても、いつかはやられる。
「こっちだ、クォヴレー!」
降り注ぐレーザーの雨の中を掻い潜り、トウマはビルとビルの間の狭い路地へと逃げ込んだ。
それを追って、ブライサンダーも路地へと入っていく。
壁にぶつかり、サイドミラーが吹き飛んだ。だが、今はそんなことに構ってなどいられない。
「遅いぞ!もっとスピード出せよ!!」
「無茶を言うなッ!」
車体を壁にこすり付けながらも、アクセルを限界まで踏み込んで前方を走るワルキューレに叫び返す。
あの機体も相当な小型機だが、人間でさえ狭く感じるこの路地までは追ってこれないだろう。
追いかけるには、ビルを越えてくるしかない。僅かだが、時間が稼げるはずだ。
「通りに出たら、またすぐ同じような路地を見つけてそこに逃げ込むぞ!!それを続けて撒くしかない!」
「わかった!」
咄嗟に立てた逃げる算段をトウマに伝えると同時に、路地を抜けた。
二人はすぐさま、ブライサンダーが通れる幅の裏路地を探すため目を光らせる。
「よし、あそこだ!」
クォヴレーが次に逃げ込む路地に目星をつける。
そして二人がその路地へ向かって進もうとした次の瞬間、左手のビルの壁が吹き飛んだ。道路一面に瓦礫が撒き散らされる。
「何!?」
何が起きたか判断する前に、瓦礫を避けるためクォヴレーは咄嗟にブレーキをかけた。
ほぼ最高速に近い状態からの急ブレーキに、自然と身体がつんのめる。
半ばハンドルに頭を押し付けるような格好でどうにか堪え、車は停止した。
「く…一体何が…!?」
そう言って顔を上げたクォヴレーの視界に移ったのは、崩れ落ちるビルをバックに宙に佇む、冥府の王を乗せたレイズナーの姿だった。
「野郎…ビルの壁をぶち抜いて、追ってきたのか…!」
悠然と浮遊するレイズナーを睨みつけ、トウマが呟く。
「ふん。所詮はクズか、もう終わりとはな。茶番はここまでだ」
先程までの気弱な態度から一変したマサキの声と共に、レイズナーの腕がゆっくりと上げられ、
手にしたレーザード・ライフルの銃口がブライサンダーへと向けられる。
そして、トウマが何かに気付く。だが、それは僅かな違和感。そして、今の状況は余計な事に関心を払うことを許さなかった。
その異変に、まだ誰も気付かない。
(まずい…)
ハンドルを握り締め、自らに向けられた銃口を睨みながらクォヴレーはこの状況を打破するための考えをめぐらせた。
反転するにも、時間が掛かりすぎる。こんな状況ではいい的だ。
だからと言ってこのまま突っ込んでも、倒壊したビルの瓦礫が邪魔でこれ以上進むことが出来ない。
(くそ…どうする。どうすればいい…!)
なんとか出来ないか。何か手は無いのか。
この状況をひっくり返す何かを探し、クォヴレーは辺りを見回して、その異変に気付く。
僅かだが、地面が揺れていた。そしてその揺れは、段々と大きくなっていく。
(なんだ…?何が起こっている!?)
そしてその異変に、空中のマサキもまた気が付く。
『近隣一帯ニ振動ヲ感知。並ビニ、新タナ機影ヲ確認』
「何!?場所は何処だ、方角は?」
『距離ハオヨソ30M。方角ハ―――』
レイからの報告に、マサキは目を見開く。そして、続けて語られた報告に言葉を失った。
『―――私達ノ真下デス』
「な―――!?」
レイの言葉が終わると同時。レイズナーの真下にあったマンホールが、突如として吹き上がった。
「ッ!?レイ、後方に下がれ!避けろ!」
『レディ』
マサキの咄嗟の指示に、レイズナーはとんぼ返りをして後方に下がる。
そのレイズナーを掠めるようにマンホールは天高く舞い上がり、そして甲高い音を立て地面へと落下した。
次の瞬間、それは轟音と共にマンホールの落ちた地点の道路を突き破って出現した。
灯の落ちた街中にあって、煌々と輝く二つの眼光が照らす、鉄の貌。
瓦礫を纏うその身は、鈍く彩られた鋼の肉体。
鉛色の拳を握り締め現れたそれは、正に鋼鉄の巨人。
呆然とこちらを見上げる車とバイク、そしてこちらへと銃を向け宙に佇む青い機体を交互に見比べ、巨人の中に座す男は呟いた。
「―――ビッグオー、ショータイム」

266 :冥王と巨人のダンス:2005/12/28(水) 11:49:43 ID:rZ8LBJ8F
たまたま地下道の入り口を見つけ、その中を探索していた折に地上の騒動に気付いたのは僥倖だった。
見れば、青い機体の背後に倒壊したビルがある。地下にまで聞こえてきたのは、あのビルの倒壊する音だろう。
「ま、待ってください!僕は戦うつもりはありません!話を聞いてください!」
青い機体から通信が入る。頭部のキャノピー越しに、気弱そうな少年が見えた。
「騙されるな!そいつはそう言っといて、いきなり襲い掛かってきたんだ!」
その声を聞き、今度はバイクに乗った青年が叫んだ。敵意を剥き出しにして、青い機体を睨みつけている。
「騙そうとしているのはそっちだろう!僕を仲間に誘って油断させておいて、いきなり攻撃してきたくせに!!」
「何だと外道!出鱈目を言うな!」
メガデウスを挟んだまま言い合いを始めた二人に頓着せず、イングラムは青い機体に向け通信を開く。
「戦うつもりが無い、と言ったな。それは、ゲームに乗っていない、ということか」
「はい!僕はこんな馬鹿げたゲームなんて…」
マサキが全てを言い終えぬうち、イングラムは通信機の声を遮って言い放った。
「ならば、その少女の死体はなんだ」
「…っち!」
途端、それまでの大人しい印象を受ける表情をかなぐり捨て、
邪悪そうに両目を吊り上げるとマサキはメガデウス目掛けてレーザーを撃ち放った。
キャノピーに遮られただけのコクピットが仇になった。
咄嗟に状況を混乱させようとしたが、この相手は予想以上に周りをよく見ている。これ以上何を言ったとて無駄だろう。
ならば、仕方ない。邪魔をするというなら、あのクズ二人諸共殺してやる。
しかし、放たれたレーザーはメガデウスの掲げた右腕に易々と弾かれた。
続けて飛来するレーザーを全て受け止めながら、イングラムは背後のクォヴレー達に通信を開く。
「行け!こいつは俺が引き受ける!」
「く…すまん!」
その声を受けて、トウマはそう言うとワルキューレを反転させ逃げようとする。
だが、その声を受けてもクォヴレーは額に手を押し当て俯いたまま、微動だにしなかった。
「おい、どうしたクォヴレー!」
「早くしろ!巻き込まれるぞ!」
動かないクォヴレーに業を煮やしたイングラムとトウマが叫ぶ。
それにクォヴレーは漸く顔を上げ、一瞬だけ何か躊躇するような素振りを見せた後、メガデウスに向かって声を張り上げた。
「あんたの名前は!?」
「クォヴレー!?こんな時に何言ってんだ、早く逃げるぞ!」
しかし、そのトウマの言葉を無視して、クォヴレーは続けて叫ぶ。
「名前だ!答えてくれ!」
「イングラム・プリスケンだ!早く行け!」
逃げようとしないクォヴレーに半ば苛立ちをこめて、イングラムが答える。
「イングラム・プリスケン…。俺は…俺はクォヴレー・ゴードン!死ぬなよ、イングラム・プリスケンッ!!」
その名を反芻するようにもう一度呟き、次いで自分の名を名乗るとクォヴレーはようやく車を反転させ、逃走を開始した。

267 :冥王と巨人のダンス:2005/12/28(水) 11:51:24 ID:rZ8LBJ8F

「ち、クズ共が…!」
メガデウスの目から発射されたビームを避けながら、マサキは遠ざかっていくワルキューレとブライサンダーを睨みつけた。
再び飛来したビームをまたも避けると、今度はイングラムと名乗った鉄の巨人を操る男に向かって叫ぶ。
「あんなクズを助けるということは、犠牲者を出さずにこのゲームを止めるつもりか!?
甘いな!そんな事では生き残れんぞ!そんな理想論が、本当に実現できるとでも思っているのか!!」
叩きつけた言葉とともに、手にしたレーザード・ライフルからも幾条ものレーザーを発射する。
だが、それもまた両腕を構えて防御の体制を取ったメガデウスの重圧な装甲の前に虚しく弾かれた。
眼前に翳していた両腕を下ろし、イングラムはモニターに映る青い機体を見据えて通信機に向けて口を開く。
「…手の掛かる部下がいてな。お前のいう理想論を本気で振りかざして、このゲームを止めようとしている」
言いながら、イングラムは脇のコンソールを拳で叩く。その衝撃でカバーが開き、その下から規則正しく並んだいくつものボタンが現れる。
手の平全てを使ってそれを押すように、開いた手をボタンに叩きつけながらイングラムもまた叫んだ。
「ならば、部下のために手本を示してやるのが、教官としての勤めというものだろう!」
メガデウスの胸が展開する。次いで、無数のミサイルがレイズナーへと向かって発射された。
「…クズがッ!」
吐き捨てると、マサキは飛来するミサイルの雨に突っ込んでいく。
速度を落とすどころか、更に加速してミサイルの雨を潜り抜け、レイズナーはメガデウスに肉薄する。
接近してくるレイズナーを迎撃するべく、メガデウスが拳を振りかぶった。
しかし、その迫り来る腕をもすり抜けるように回避してナックルカバーを展開させると、レイズナーはメガデウスの顔面を殴りつけた。
額から頬にかけて、右目を横断するように傷が走る。
(損傷はあれだけか…武装を一つ奪ったのはいいが、これでは接近するリスクに釣り合わん!)
追撃の拳を避けて距離を離しながら、マサキは歯噛みした。
相手はかなりの重装甲。レイズナーの武装では、倒すことはおろかまともな傷をつけることさえ難しい。
たった一つ。切り札を除いては。
なるべくならば温存しておきたい切り札だったが、背に腹は変えられない。それしか通用する武装が無いというのなら、躊躇いはしない。
「レイ!!V−MAX発動だ!!」
『レディ!』
両腕を掲げるメガデウスを睨みつけ、マサキはレイに叫ぶ。
その言葉に呼応して、レイズナーが青い光を放ち輝き出す。そして、眩いばかりの光を纏い、レイズナーは蒼き流星と化した。
大きくバク転をするように宙を旋回し、輝く粒子を撒き散らしながらメガデウスへと向かっていく。
(―――速い!?)
その速度は、ただでさえ素早かった今までの比ではない。
離れたはずの距離を一瞬にして詰めてきたその光景に、イングラムは目を見開いた。
クロム・バスターを放つべく掲げていた左腕を咄嗟に防御へと回す。
蒼き流星と、鉄の巨人が激突した。
その衝撃に、巨人の足が後ろへと下がる。流星を受け止めた左腕の装甲が、メキメキと音を立て抉られていった。
(バカな…これだけのサイズ差がありながら、押し負けている!?)
三分の一程度のサイズでしかないレイズナーに、メガデウスが押し戻されている。信じられない光景だった。
だが、たとえ信じられない光景だったとしても、それは目の前で起きている紛れも無い事実だ。
このままでは左腕がもっていかれる。いや、それどころか、左腕をぶち抜いて胴体にまで風穴を開けられてしまう。
「く…やらせるかッ!」
惚けている時間など無い。叫ぶと同時、左腕を右腕で押し退けるようにして、力任せにレイズナーの体当たりを受け流した。
金属の抉れる耳障りな音と共に、レイズナーがメガデウスの脇を擦れ違う。
いなされたレイズナーは、体勢を立て直すこともせず勢いそのままにいくつものビルをまるで無いも同然のようにぶち抜くと、
大きく旋回し再びメガデウスへと突っ込んできた。

268 :冥王と巨人のダンス:2005/12/28(水) 11:52:02 ID:rZ8LBJ8F
(何らかのエネルギーフィールドを張った体当たりか!?しかしあの速度と破壊力…並じゃない!)
凄まじい速度で迫る蒼き流星に戦慄を覚えながらも、イングラムは足元のペダルを蹴りつけた。
すぐさま、シートの後ろから別なペダルの載った新たな床がコクピットに展開される。
確かにあの破壊力は危険だ。だが、この武装ならば、あれにも対抗することが出来るはず。
問題は、その速度。あれだけの速度であれば、下手に放ったところでかわされるのがおちだろう。
だからといって引き付け過ぎては、こちらの切り札が発動するより早く体当たりの直撃を食らうことになる。
全ては一瞬、刹那のタイミングで決まる。その瞬間を、逃すわけにはいかない。
メガデウスの腕と肩が展開した。
そして、メガデウスを中心として赤い球状の光が広がっていく。
『警告、目標ニ高エネルギー反応』
赤い光を纏ったメガデウスに、レイが警告を発する。
「この期に及んで何をするつもりかは知らんが、もう遅い!そんなものでV-MAXは止められん!」
だが、マサキはその警告を無視し、巨人へと向かっていく。
(―――今だ!)
その動きに合わせ、イングラムは新たに出現したペダルを踏み込んだ。
メガデウスがレイズナーへと両の拳を向け、その展開された腕から紅の光が溢れ出す。
「何―――ッ!?」
その不敵な表情を驚愕に歪めたマサキを嘲笑うように、メガデウスを包んでいた光が膨れ上がった。
自らの立つ道路も、規則正しく並ぶ街路樹も、周りを取り囲むビルをも飲み込んで、光は膨張を続けていく。
迫り来る流星を飲み込まんとするために。
「レイ!全速で右へ旋回しろ!」
『レディ!』
危険を察知したマサキが、すぐさまレイへと指示を飛ばす。光の壁を避けるため、青き流星はその進路を右へとずらした。
だが、更に膨れ上がる光の壁がそれを許さない。
青い光を纏った流星と、巨人を中心とした赤い光の壁が接触した。
二つのエネルギーフィールドが相反し、バチバチと音を立て火花を散らす。
それでも、光の膨張は止まらない。
(いかん…!このままでは飲み込まれる!)
V-MAXの光がどうにか赤い光を抑えているが、それも今に破られる。
「レイ!左足のカーフミサイルを放て!反論は許さん、やれッ!!」
マサキの叫びの後、すぐさま左足からカーフミサイルが放たれた。
放たれたカーフミサイルはすぐに光の壁と接触し、レイズナーのすぐ脇で爆発を起す。
その爆風の助けを借り、レイズナーは赤い光の檻から辛くも脱出した。
「この空域を離脱するぞ、レイ!最大速度だ!」
『レディ』
揺れるコクピットの中、マサキはレイに撤退を指示した。
こちらの武装はこれで出し尽くした。通用するのは、V-MAXのみ。
だが、それも向こうにあのような武装があるのでは勝つことは難しい。悔しいが、ここは退くべきだ。
素早く現状を判断し、マサキはその結論へと到達した。
そして流星は、最初の突進を受け流されたときと同じように、
体勢を立て直すことも無くそのまま夜の闇を切り裂いて飛び去っていった。

269 :冥王と巨人のダンス:2005/12/28(水) 11:52:32 ID:rZ8LBJ8F
「…あのタイミングで、避けるとはな」
メガデウスのコクピットで、イングラムは緊張を解き、息をつく。
既に豆粒ほどの大きさになったレイズナーの後ろ姿を見送った後、メガデウスの左腕に視線を向けた。
無残にも装甲を抉られ、ボロボロになった左腕が見えた。これでは防御に使うのは厳しいだろう。
試しに操縦桿のスイッチを押してみると、ギギ、と金属の擦れる音を立てたものの、ストライク・パイルはきちんとせり上がってくれた。
サドン・インパクトを使う分には、問題はなさそうだ。
反応もやや鈍くなったように感じるが、幸い駆動系自体にも損傷はないらしい。
(あと少し押し退けるのが遅れていたら、腕ごと持っていかれたな)
もしメガデウスにプラズマ・ギミックが搭載されていなければ、やられていたのはこちらだっただろう。
今回は機体の性能に助けられた。
撤退した方こそあの青い機体だが、殆どの武装を無効化出来、
かつこちらを打倒し得る切り札にも明確な対応策を持っていながらもこれだけの損害を受けた。
これでは痛み分けというにも程遠い。こちらの敗北と判断してもいいくらいだ。
恐るべきは、あのパイロット。
持てる武装の殆どが通じないと判断するや否や、躊躇無くジョーカーを切り、
かつ、必殺のタイミングで放ったはずの反撃を、自らはなったミサイルの爆風を利用して回避する。
そして、自分の戦力では勝つことは難しいと見切ってからの即時撤退。
その全てが素早く、そして的確な判断だ。
あの参加者を放置すれば、おそらくは更なる被害者が出る事になるだろう。
だが、メガデウスでは奴の機体について行くことは出来ない。
ゲームに乗った人間を放置するのは気がかりだが、初めから追いつけないとわかっている相手を追うよりも、今は他にやるべきことがある。
ここですべき事は終わった。そう言わんばかりに、イングラムはメガデウスの踵を返す。
そして、重奏な足音を奏でながらメガデウスは夜の街へと消えていった。

「…ちっ」
V-MAX発動後の放熱を行うレイズナーのコクピットの中で、マサキは幾度目になるかもわからない舌打ちを漏らした。
腕を組み、先程の戦闘を振り返る。
あのまま突っ込んでいれば、やられていた。それをミサイルの爆風を浴びただけに抑えられたのは幸いだろう。
その爆風も、直撃したわけではない。V-MAXも発動していたし、損傷らしき損傷はないと言っていい。
全く、厄介な機体を支給された参加者もいたものだ。先程の車とバイクとは雲泥の差ではないか。
だが、それでも恐れるには足りえない。
確かに厚い装甲と強力な火力を有した機体ではあったが、反面機動性はかなり低い。
もし次に出会ったとしても、レイズナーの機動力なら逃げることは簡単だ。
撤退を余儀なくされたことは癪ではあるが、その程度の事で命を危険に晒すつもりはさらさら無い。
何も、俺自身が手を下す必要は何処にも無いのだ。
極端に言ってしまえば、周りの参加者全てが敵となり得るこのゲームで、相性の悪い相手に執着するなど愚の骨頂。
自分の手で倒すことが難しいのであれば、他のクズにやらせればいい。
幸い奴の名は知ることが出来た。これから出会う奴らに適当なデマでも吹き込んでやれば、後々効果をあげてくれるだろう。
それに、クォヴレーとトウマと言ったか。
奴らがもしイサムやアクセルと接触すれば、少々面倒なことになるおそれがある。
だが、機体があれではどうしようもあるまい。放っておいてもそう遠くないうちに野垂れ死ぬだろう。
念の為、イングラムと同様にこれから会う連中にデマを吹き込んでおけばいい。
そんなことよりも、今成すべき事は決まっている。
腕を組んだままマサキは背後を振り返り、ルリの死体を確かめた。
そう。まずは、ルリの死体から首輪を外すことが先決だ。
解析を終わらせ首輪を外すことが出来れば、それを餌にクズを釣る事も出来る。
考え事をしている間に、どうやら機体の放熱も済んだようだ。地図を広げ、この市街地以外で首輪の解析が可能そうな場所を探す。
(近いのはE-1の廃墟だが…首輪を取り外すことならともかく、解析できるかどうかとなると疑問が残るな。
だが、先に首輪を外すだけ外しておくというのも手か。他には、A-1の市街地とG-6の…これは、基地か?
この二箇所か。さて、どこに向かうか…)
明確な目的地を定めぬまま、冥府の王を乗せた流星は空を駆け抜けていく。

270 :冥王と巨人のダンス:2005/12/28(水) 11:53:27 ID:rZ8LBJ8F
「ここまでくれば、大丈夫だろ」
そういってトウマはワルキューレのエンジンを切り、コンクリート剥き出しの天井を仰ぐ。
突如として現れた鋼の巨人に助けられ、マサキの手から逃げ出したトウマとクォヴレーは、
途中で発見した身を隠すことの出来そうな地下駐車場にいた。
「なぁ、クォヴレー。さっきは一体どうしたんだ?らしくなかったぜ」
それにならってブライサンダーのエンジンを切ったところで、トウマがそう問いかけてきた。
あの時、逃げようともせず無理に名前を聞き出したことを言っているのだろう。
「…名前を知っていれば、放送で生死がわかる」
ハンドルに身を預け、額に手を押し当ててクォヴレーはそれだけ言った。
「そりゃぁそうだが…何も、あんな状況で無理に聞きだそうとしなくたって…」
「あの男の声を、どこかで聞いたような気がするんだ」
呆れたようにトウマが言うのを聞かず、半ば独り言のように呟く。
「それって…」
「…確信は無いがな」
あの時、イングラムと名乗った男の声を聞いたときのことを思い出す。
酷く懐かしいような、まるで、他人とは思えないような声だった。
「あの男なら、俺の記憶の手がかりを持っているかもしれない」
ハンドルから身を起し、クォヴレーは駐車場の奥―――今、二人で逃げてきた方向を見据える。
「声に聞き覚えがあるんだろ?記憶を失くす前の知り合いとかかもしれないじゃないか」
「…どうだろうな」
希望の込められたトウマの言葉に、しかしクォヴレーはかぶりを振った。
「知り合いだったと言うなら、俺が名乗ったときに何かしら反応があってもよかったはずだ。
だが、あの男は俺の名を聞いても何のリアクションも示さなかった。知り合いだった、という線は薄いだろうな」
「そうか…。でも、知り合いじゃないんなら、一体…」
「俺が一方的に知っていただけ、と言う可能性もある。どの道、もう一度ヤツと会わねばなるまい」
「そうだな。なら、とりあえずこれからの方針はあのイングラムって奴を探す、って事か」
「あぁ。だが…」
「だが?」
途中で言葉を切ったクォヴレーをいぶかしんで、トウマがその続きを促す。
「もう一度彼に会うために行動すると言うことは、必然的にゲームに乗った相手と遭遇する危険が高まると言うことだ。
もし、またそういった相手に遭遇すれば、逃げ切れる保証など無い」
真面目な顔でトウマを見つめ、クォヴレーはそう切り出した。
「だから、ここから先は俺一人で―――」
「バカ言うなよ」
クォヴレーの言葉を遮り、トウマはそう言って笑い飛ばした。
「ここまで首を突っ込んじまったんだ。今更引けるわけが無いだろ。
それに、あんたの記憶には、あの主催者を倒す鍵があるかもしれないんだろ?
あんたの記憶を取り戻すって事は、引いては主催者打倒に繋がるかも知れないんだ。多少の危険くらい、覚悟の上さ」
そして、信頼の篭った眼差しで、クォヴレーに笑顔を見せる。
「…すまない。恩に着る」
「気にするなよ、仲間だろ?俺達」
それにつられ、クォヴレーもまた微笑を浮かべ頭を垂れた。

271 :冥王と巨人のダンス:2005/12/28(水) 11:54:11 ID:rZ8LBJ8F
【クォヴレー・ゴードン 搭乗機体:ブライサンダー(銀河旋風ブライガー)
 パイロット状態:良好
 機体状態:サイドミラー欠損、車体左右に傷(変形不能)
 現在位置:C-8地下駐車場
 第一行動方針:放送を聞いた後、イングラムを捜索する
 第ニ行動方針:トウマと共に仲間を探す
 第三行動方針:なんとか記憶を取り戻したい
 最終行動方針:ヒイロと合流。及びユーゼスを倒す】

【トウマ・カノウ 搭乗機体:ワルキューレ(GEAR戦士 電童)
 パイロット状態:良好、頬に擦り傷、右拳に打傷
 機体状況:良好
 現在位置:C-8地下駐車場
 第一行動方針:放送を聞いた後、イングラムを捜索する
 第ニ行動方針:クォヴレーと共に仲間を探す
 最終行動方針:ヒイロと合流。及びユーゼスを倒す
 備考:副指令変装セットを一式、ベーゴマ爆弾を2個、メジャーを一つ所持しています】

【木原マサキ 搭乗機体:レイズナー/強化型(蒼き流星レイズナー)
 パイロット状態:やや苛立ち
 機体状態:ほぼ損傷なし
 現在位置:D-7草原上空
 第一行動方針:ルリから首輪を外す
 第二行動方針:はずした首輪を解析する
 第三行動方針:使えるクズを集める
 最終行動方針:ユーゼスを殺す】
 備考:これから接触する相手にはイングラム、クォヴレー、トウマを貶める嘘を吐く
     コクピットにはルリの死体を乗せてある

【イングラム・プリスケン 搭乗機体:メガデウス(ビッグオー)(登場作品 THE BIG・O)
 パイロット状態:健康
 機体状態:装甲に無数の傷。左腕装甲を損傷、反応がやや鈍っている。
        額から頬にかけて右目を横断する傷。右目からのアーク・ライン発射不可
 現在位置:C-7ビル街
 第1行動方針:空間操作装置の発見及び破壊
 第2行動方針:出来うる限り争いを止める
 最終行動方針:ユーゼスを殺す】

【時刻:二日目04:30】

272 :放送(第2回):2005/12/28(水) 20:42:21 ID:g9EXErq5
シ゛ャカシ゛ャカシ゛ャンシ゛ャン!シ゛ャシ゛ャン!
戦場に再び、奇妙なほど軽快な音が鳴り響く。
それはさらなるゲームの進行を告げる音。
参加者達が主催者の掌の上で踊らされている事を改めて認識させられる、忌々しい音。


「さあ、お待ちかねの第二回放送だ。諸君も次の放送を聞きたくて居ても立ってもいられなかっただろうが、
 焦る事はない。ひとつひとつ順を追って発表していくから、興奮しすぎて聞き逃す事など無いようにしてくれたまえよ」

「まずは死亡者発表だ。果たして諸君の知っている名前は呼ばれるかな?」

…司馬宙
…ゼンガー・ゾンボルト
…テンカワ・アキト
…バグ・ニューマン
…ハチロー
…ハマーン・カーン
…バラン・ドバン
…プリンス・ハイネル
…ホシノ・ルリ
…ボス
…ラウ・ル・クルーゼ
…ラッセル・バーグマン

「以上12名だ。実に順調な展開と言って良いだろう。
 諸君もようやくこのゲームの趣旨を理解してくれたようだな、喜ばしい限りだ」

「次は禁止エリアの発表だ。D-3とE-7に加え、新たにH-8とC-2が二時間後に禁止エリアに追加される。
 十分気をつけてくれたまえ、頭が吹き飛んだ後では後悔する事すら出来ないだろうからな」

「それから、諸君の支給品――この場合は機動兵器のことだが、どうやらイレギュラーが発生したものがあるようだ。
 もちろんゲームの続行に支障はないし、諸君等は何が起こったか知る必要は無い。
 万が一出くわしたときには、せいぜい注意することだな」

「忠告しておくが、このゲームは最後の一人を除いた全ての参加者が死亡するまで続行される。
 徒党を組むのは勝手だが、情を移しすぎていざという時に殺せない、などということは無いようにしてくれたまえよ
もちろんだが、逃げ出すのは無駄だ。あがくのもかまわんがほどほどにしておきたまえ」

「それでは、楽しいバトルロワイアルの再開だ。張り切って殺し合いに励んでくれたまえ」
悪意に満ちた笑い声と共に、第二回放送は終わりを告げた。

【二日目 06:00】

273 :炎のロンリネス:2005/12/28(水) 20:43:17 ID:g9EXErq5
「ふむ……」
もうこの時間では禁止エリア周辺には人はいないだろう
人間とは危機から無意識的、潜在的に離れようとするという習性を知っているマサキは、
ほぼクルーズのスピードでは全速でG-6へと向かう事が出来た。
言うとすれば、レイのセンサーにただ一度もひっかかることもなくすんだのは、予想外の成功であった。
しかし、今回死んだ12名…その中には、トウマ、イングラム、クヴォレー、イサム、アクセルといった名前はない。そこがまぁ不満ではあった。
カチン
目の前のスイッチを踏み込む。
小さい工具の外見のマシンが飛び出し、レイズナーを補給する。
もともと無傷に近かったようなものだ。ほぼスタートのときに戻ったと言ってもいいだろう。
「レイ、自己診断モード。弾薬も含め、チェック」
「READY……ALL OK 装甲表面ヲ除キスベテ最高ノ状態」
「よし……」
先ほど高高度より基地周辺の偵察は行っている。
降りて物を探す。あたりに武器などが転がってはいるが、それは後回し。解析のための道具探しが最優先事項だからだ。
基地内を探せば、意外にそれらは簡単に見つかった。工場だけあって、MSやSPTなどの間接を覆うためのビニール。ノコギリを含めた一般工具から絶縁カッターなど特殊工具まで。装甲のゆがみを直すための修理道具。軍手。間接に使うチューブゴム等…
そして――なかなかに性能がよさそうなPCマシン。整備用だろうが、さすがは工業用、自己診断を含めた分析機能もついている。それを少しばかりいじってからマサキはレイズナーに戻る。

274 :炎のロンリネス:2005/12/28(水) 20:43:47 ID:g9EXErq5
死体を持ち出した彼は、返り血を避けるため死体にビニールをかける。それからそのビニールの下から軍手をし、ノコギリを持った腕を差し込む。
ゴォリ…ゴォリ…
肉と骨を刻み折る異音が無人の工場に響く。
ゴトン…
すこし、何かが転がる音。首が完全に離れた証だ。すこし時間を置いてからビニールをゆっくりとはがす。
血はもう勢いよく噴出すことはなく、子供のおもちゃのようにもれるだけだった。
それを何の感慨もないかのように首を拾い、首輪をはずす。
見つめる視線は、どこまでも冷ややかだった。
軍手をはずし、手を浄化水槽で洗ったあと濡れた布で首の血をとる。そして、ゆっくり、ゆっくりと修理道具で削っていく。ついに表面の薄い膜がはがれ、機械の中が現れる。それをゆっくり広げていく。
30分もしたころには、全てはがれ、完全に機械の輪となっていた。それを専門的な出力機械につなげようとするが、
「ちっ、端子が合わんか。」
しぶしぶマサキは端子を引きちぎり、紐状にしたものを首輪に差し込んでいく。顔に似合わず器用な奴である。
カチカチと機械を操作していくマサキ。
「やはりこれは集音マイクか。盗聴とはやってくれるな」
外を剥いた時点で何か集音マイクかと思ったが、解析してみれば案の定集音マイクであった。しかし、この小型の装置に爆発物も含みこれだけの仕掛けを打ってあるせいか、精度は低い。
マサキは首輪の上に見つけたゴムを切ったものとフィルムを置き、テープでそれを固定した。
「まだ時間がかかるな…レイズナーを奥に誘導させておこう。」
レイズナーを奥から解析装置の近くまで持ってくる途中、何時間か落ちていたものに目を通すが、どれも機体に直結するタイプの武装ばかり。レイズナーでは役に立たないものしかない。
仕方がないので奥の解析装置のすぐそばまでレイズナーを移動させて下りる。
「レイ、何か接近が確認されたら外部マイクで伝えろ」
「READY」

275 :炎のロンリネス:2005/12/28(水) 20:44:34 ID:g9EXErq5
ゆっくりとレイズナーを下り、ディスプレイに目を通す。解析率は46、6%と記されていた。それに目を通したマサキは、
「ふん、マシンなどは異世界から引っ張ってはいるが、爆弾などはそう変わらんか。」
まだまだ解析してないところが多いが、必要だった爆弾回りはできている。もっとも、解析とはいっても不明瞭なところは多かったが…バーストンなどで培った自分の知識を組み合わせれば、そう難しくない
首輪でやるべきことは、爆発の無力化。この一点。これさえ出来れば、首輪を引きちぎることも出来るからだ。
それ以外は、そう重要ではない。この首輪がなんであろうと関係ないし、知らなくても問題ない。
全てを知る必要などないからだ。
信管式。爆薬を凍結した上で、物質が振動する周波数を首輪に伝えて爆発させる。これなら爆破に使われる周波数が読まれる心配もなく、無理に引きちぎれば爆発する…。
マサキの頭で情報が疾走する。
それをまとめ、ルリの首輪で実験する。安全装置などない。もし、解析と推論が間違っていたら…もし手順を失敗したら…
マサキの首に汗がまとわりつく。
様々な工具を使い、ゆっくりと、静かに指が動く。
カシャ…カシャ…
「よし、外れたようだな…」
一息つき、汗をぬぐうマサキ。彼は――賭けに勝ったのだ。
そのまま自分の首輪もはずしていく。
「……しかし、解せんな」
解析し、はずすところまでたどり着いた。あとひとつの手順で自分の首輪も外れる。
なのに、緊張が緩んだ隙を襲う急激な違和感。
なぜさまざまな世界の技術を使い、絶対に解けないようにしない?
このサイズでも、ダミー線は入れられるのに、なぜいれない?
「首輪が無くなってもかまわないとでも言うのか?」
答えはNO、のはずだ。情報の収集と脅し、という圧倒的なアドバンテージが失われるというのは、並みのことではない。
「まさか…」
誰かが首輪がはずすことさえ、考えの及ぶ範囲であり、全ては奴の掌の上とでも言うのか?
「・・・・・・・・・だからどうした」
ガチャン
ゴムをはさまれ、信管を失い、動きを止めた首輪が崩れ、大地に落ちる。軽い爆発。
かまわない。今はまだ奴の掌でも。だが、かならず奴を殺す。俺が掌で踊っていると笑うなら、その笑いをかき消すような…奴の首を吹き飛ばすようなショーを見せてやろうじゃないか。
マサキは薄く笑い、レイズナーに乗り込む。
さぁてクズ集めだ。もう禁止エリアに俺は入ることが出来る。もしものとき、そこに逃げればいい。
暗い工場からでて、顔に当たる日の光がまぶしいが、気持ちいい。
「レイ!行くぞ!」
「READY」
顔は確かに邪悪だったが…どこか晴れ渡った顔でマサキはつげた。

276 :炎のロンリネス:2005/12/28(水) 20:45:33 ID:g9EXErq5
【木原マサキ 搭乗機体:レイズナー/強化型(蒼き流星レイズナー)
 パイロット状態:絶好調
 機体状態:ほぼ損傷なし
 現在位置:G-6
 第一行動方針:D-3
 第二行動方針:使えるクズを集める
 最終行動方針:ユーゼスを殺す】
 備考:これから接触する相手にはイングラム、クォヴレー、トウマを貶める嘘を吐く
    首輪から開放された

【10時20分】

277 :咲く花散る花(1)冥府に蒔く種:2005/12/29(木) 19:20:35 ID:DOhp1D21
「大丈夫。みんな助かるから。みんな、みんな、最後には助かるから。大丈夫、安心して」
「そう……だね。みんな助かるんだよね。そうだよ、だから……だからみんな、許してくれるよね」
  殺戮ゲームの二日目、昼。命は羽の様に舞い、心は脆く砕け散る。ここはそんな世界。

 市街地の一角にあるオープンカフェ『That Is Me(それも私だ)』。その店の一席でキラ・ヤマトと
ゼオラ・シュヴァイツァーが軽い食事を取っていた。店員などはいるわけもないが、勝手に各店から
集めた食料を広げ、話に花を咲かせていた。
「それはもう大好物でね、アラドったら八杯もおかわりしちゃって」
「へぇ、本当に大好きなんですね」
「やだぁ、キラってば! それからアラドはねぇ………アラドは………ア…ド」
 言葉を乱したクマさんマグカップを持つゼオラの手が小刻みに震え始める。
「大丈夫!」
 その手をキラはシッカリと両手で包み、大きな声で断言した。
「大丈夫。必ずアラドさんは助かります。ゼオラさんと僕達で助けるんです。大丈夫です!」
 涙で潤む瞳を見つめハッキリと断言する。中途半端な言葉は逆効果だと学習していた。
「そう………だよね。大丈夫だよね。きっと助けられるよね」
 キラの力強い言葉で、ゼオラに落ち着きと笑顔が戻った。もう『発作』への対応には慣れている。
目覚めてから既に十回以上、主にアラドの話題になると精神不安定に陥った。最初の数回はシロッコが
対処し、キラはそれを真似ているだけだ。しかし効果は十分だった。手を握るのは多分、キラの好み。

 数時間前、キラとシロッコは目覚めたゼオラから情報を聞き出した。ゼオラが殺したというタシロと
ラトゥーニ、この二人の首輪と機体を入手すれば状況を好転できると考え、その下準備をしているのだ。
 キラはゼオラの面倒を任され、彼女を補給ポイントに案内し、一緒に注文された食料品と解析に使う
工具の確保に回った。その後コッソリ食事を取っている。良く言えばデート、悪く言えば使いパシリ。
 その間、シロッコは二人の機体の仕様書を熟読していた。『敵を知り己を知れば』と言っていたが、
本当は自分が機体を奪った時の予習であり、未知の技術に対する知識を増やすためだった。
 もちろん二人を一緒に行動させている事にも彼なりの理由がある。ゼオラには『アラド救出の為に
シロッコやキラは絶対必要』と不安定な精神に刷り込む為、キラには『守るべき者』を与え明確な行動
意思を持たせる為。カリスマとは水面下の努力によって保たれているものだ。

「それで……ラトは大事な友達なの。妹みたいなものなの。それなのに……私が……殺し……」
 ゼオラは朝の放送を聞いていない。キラの記憶では『ラト』はいう名前は無かった様な気もするが、
やぶ蛇になると面倒だったので聞き返したりはしなかった。
「大丈夫! その子もアラド君と一緒に助ければいい! 大丈夫、絶対に助けるから!」
 なんだか『助けられる』と連呼していると本当に助けられる気がしてくるから不思議だった。
死んだ人間は生き返らない。当たり前の事だ。それでもシロッコは主催者を倒せば助けられると言う。
(それまでゼオラは僕が守らなきゃ。そう、守るんだ)
 ゼオラの手を握りながらキラは決意していた。それらが仕組まれた事だとは想像もしていない。

278 :咲く花散る花(1)冥府に蒔く種:2005/12/29(木) 19:21:43 ID:DOhp1D21
 B-8地区南端へ飛行してきた副長、リョウト・ヒカワ、ギレン・ザビは互いに顔を見合わせた。
前方に淡い光を放つ障壁があった。方向は真南。下は大地から、上は目の届く限りに広がっている。
―――もちろんだが、逃げ出すのは無駄だ。
 放送の内容を考えるとまず思いつくのはバリアの類。試しにグダが軽く砲撃をしてみるが手応えは
無かった。続いて恐竜戦闘機を向かわせると、やはり手応えは無く反応はロストした。
「ロストの際に特殊な反応も見られませんし、相転移系のトラップでしょうか?」
 リョウトが以前の大戦で見知ったETOを例に技術屋らしい意見を述べる。
「取り合えず、入っても出られるようですよ」
 副長が淡々のした口調で答えた。先程の恐竜戦闘機が戻ってきている。予め一定距離を進んだら引き
返すように命令していたのだ。常に最悪の事態に備えて打てる手は打っておく主義らしい。

「ほう、こちら側はB-2の市街地か。技術の無駄づかいだな」
 三人は光る壁を通過していた。ギレンがレーダーを照合し悪態を付く。
「凄い技術ですよ。実用化できれば様々な問題が解決できます」
 リョウトは感動しているが、今はそんな場合ではない。
「まず市街地の近くに参加者がいるかを確認しましょう。協力者が身を潜めている可能性があります」
 副長の提案の元、周囲を警戒しながら市街地上空を通過して行く。
「ふん。敵対者の待ち伏せの可能性の方が大きいと思うがな」
 ギレンが愚痴をこぼしたその時、通信機が鳴った。全周波数での通信のようだ。
『私はSDF艦隊エクセリヲン艦長のタシロ・タツミである。貴官の名前と所属を求む。繰り返す……』
 副長の良く知る声が通信機から聞こえていた。

市街地に身を潜めながら進むヒュッケバインMK3ガンナーとV2アサルトバスターガンダムは
突然に現れた巨大な恐竜型飛行物体を見つめていた。北の空が不自然に光っている事にも関係があるの
かもしれない。その大きさは戦艦程もあり、無数の異形の兵器を周囲に向けている。
「何ですか、アレ? 見るからにって感じですけど………やり過ごしますか? それとも……」
 ラトゥーニ・スゥボータが上空を警戒すると機体に戦闘態勢を取らせる。どこをどう見ても悪役、
百歩譲って異星人の戦艦です、とラトゥーニは断言する。爬虫類が苦手なのだろうか?
「いや待ちたまえ。周囲に別系統の機体が見える。複数で行動しているという事は友好的な可能性が高い。
少なくとも話し合いの余地くらいはあるだろう」
 タシロ・タツミは落ち着いて答える。上空に現れた戦艦の周囲に良く知るマシーン兵器とガンダムが
見えたからだ。気が立っているようなラトゥーニを制止して、タシロは全周波数で通信を試みた。
「私はSDF艦隊エクセリヲン艦長のタシロ・タツミである。貴官の名前と所属を求む」


279 :咲く花散る花(1)冥府に蒔く種:2005/12/29(木) 19:22:35 ID:DOhp1D21
「タシロ艦長、私です」
「おお、その声は副長か!」
 ピリピリとした緊張は和やかな歓迎ムードとなった。ギレンはV2アサルトバスターガンダムを
見て『またガンダムか』と舌打ちし、リョウトはヒュッケバインMK3ガンナーを見て驚いている。
「MK3? まだ基礎フレームが完成したばかりなのに、しかもAMガンナーまで……」
「その声はリョウトさん? でも自分の機体を忘れるなんて、どうしちゃったんですか?」
 リョウトの声を聞いたラトゥーニがV2ガンダムを上昇させウイングゼロの前へ移動した。
「ラトゥーニ? 良かった、無事だったんだね。でも僕の機体って?」
「なにを言ってるんですか? リョウトさんとリオさんが二人で乗っていた機体じゃないですか」

 リョウトはL5戦役後(OG1)、ラトゥーニはシャドウミラー事件後(OG2)召還された為、
時間軸がズレているのだった。その為、リョウト&リオはアラド&ゼオラと面識が無かったである。

 四人はグダを中心に再会できた喜びを分かち合った。そしてまだ見つからぬ仲間の安否を気遣う。
和気藹々とするムードの中でただ一人、ギレンだけは寂しく蚊帳の外だったので、冷静に新参2人を
値踏みしつつ周囲の警戒をしていた。
(なんだ、このザラつく感じは…………!!!)
 周囲に漂うノイズのような気配が殺気に変わった瞬間、ギレンは叫ぶと同時に機体を動かしていた。
「来るぞ! 散れ!」
 次の瞬間、閃光がグダを直撃していた。ギレンの警告が功を成したかリョウトとラトゥーニは素早く
回避し、若干反応の遅れたタシロも辛うじて避け切った。しかし戦艦サイズのグダにまで緊急回避を
しろと言うのは無理というものだ。回避と叫ぶだけで回避できれば苦労はない。
「副長、被害状況は!」
「推進部に被弾。飛行制御系統に問題発生。高度維持不能。なお被弾時の射角から砲撃地点は………」
 グダが黒煙を上げて落下してゆく中、危険な状況の割に冷静な副長の声が響いた。
「今の攻撃は!! 私、行きます。副長さんを頼みます」
 ラトゥーニは閃光の撃たれた方へ機体を向けた。副長の救助を考えつつも『次を撃たれる前に止めな
きゃいけない』と自分を納得させる。ラトゥーニの身を案じたリョウトも後に続く。
「戻れ! 迂闊に分散するな!」
 ギレンの指示を無視し、ガンダム達は砲撃地点へと速度を上げていた。



280 :咲く花散る花(1)冥府に蒔く種:2005/12/29(木) 19:23:48 ID:DOhp1D21
【副長 搭乗機体:メカザウルス・グダ(ゲッターロボ!)
 パイロット状況:???
 機体状況:飛行制御系統に問題発生、墜落中、恐竜戦闘機1/4損失
 現在位置:B−1廃墟
 第1行動指針:タシロをサポートする
 最終行動指針:ゲームから可能な限りのプレイヤーとともに生還 】

【ギレン・ザビ 搭乗機体:RX−7ナウシカ(フライトユニット装備)(トップをねらえ!) 
 パイロット状態:良好
 機体状況: 無傷
 現在位置:B−1廃墟
 第1行動方針:手駒として使うため、リオ、アラドの大切な人(ゼオラ)の捜索
 第2行動方針:可能な限り手駒を増やす。
 最終行動方針:まだ決めてない
 備考:副長をやや警戒】
 
【リョウト・ヒカワ 搭乗機体:ウイングガンダムゼロ(新機動戦記ガンダムW)
 パイロット状態:健康
 機体状態:小破(行動には支障なし)
 現在位置:B−1廃墟
 第1行動方針:リオ、アラドの大切な人(ゼオラ)の捜索の捜索
 最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出】

【タシロ・タツミ 搭乗機体ヒュッケバインMK3ガンナー(パンプレオリ)】
 パイロット状況:上半身打撲
 機体状況:良好
 現在位置:B−1廃墟
 第1行動方針:他の参加者との合流
 第2行動方針:ゼオラをどうにかする。
 最終行動目標:ゲームから可能な限りのプレイヤーとともに生還 】

【ラトゥーニ・スゥボータ 搭乗機体V2アサルトバスターガンダム(機動戦士Vガンダム)
 パイロット状況:頭部に包帯(傷は大した事はない)
 機体状況:盾が大きく破損(おそらく使い物にならない)アサルトパーツ一部破損
 現在位置:B−1廃墟
 第一行動方針:リュウセイや仲間と合流する。
 第二行動方針:精神不安定なゼオラをどうにかする。
 最終行動目標:ゲームから可能な限りのプレイヤーとともに生還】

備考:各人の砲撃への対応は行動指針から抜いてあります。

281 :咲く花散る花(1)冥府に蒔く種:2005/12/29(木) 19:24:49 ID:DOhp1D21
 タシロがグダを発見した頃、西へと移動を開始していたシロッコ達もグダの姿を確認していた。
しかし接触を躊躇している内に先を越されてしまっていたのだ。そしてタシロ達の通信が全周波で筒抜け
だった為、静観する事にした。そもそもタシロ達の死体から首輪と機体の回収を考えていたのだから、
作戦を考え直さねばならない。
「放送に名前が無いので、もしやとは思っていたが」
 シロッコが苦笑する。生きていても3対2。ゼオラ一人で倒せる程度の強さで更に手負い状態ならば
少ないリスクで首輪を回収できると考えていたのだ。他の3人は予想外だ。
「ラトが………助かってたの?」
「良かったじゃないですか! 無事だったんですよラトさん!」
 キラにとってもゼオラの友達が生きていた事は嬉しい事だったのか、自分の事の様に喜んでいる。
「良かった。ラトが助かって本当に良かった。シロッコ様、これならアラドも助かりますよね」
「そうだな。アラド君も同じように助けられるさ」
 無邪気な二人に対し、シロッコは思案を巡らせながら答える。考えるまでもなく3対5。戦艦と
小型機(ナウシカ)を抜けば同数だが、相手はガンダムタイプだ。その上、二人の志気も低いのでは
勝算は低い。当然の事だが分の悪い賭けは好きではない。
「僕達も合流しませんか? 」
 キラが常識的な意見を述べた。シロッコとしても失う物はリーダーとしての立場程度であり、得られ
るものは多数の味方と情報だ。悪い話ではない。
「………ギレン・ザビがいる。奴は肉親でさえ戦争の道具にする非情で危険な男だ。十分に警戒しろ」
「知り合いなんですか?」
「有名人だからね。コロニーを地球に落とした軍の総帥で、戦争を始めた人間の一人だよ」
「コロニーを落として、戦争を始めた? そんな人が………」
 合流をしたくない訳ではない。先に相手への不信感を植え付けて置く事で、今後を有利に運ぶ。
ちょっとした心理操作だった。
「あれ………ゼオラさん、どうしたの?」
 そんな話をしている内にゼオラが遅れている事に気がついた。遅れているというよりも立ち止まって
いる。キラの背筋に冷たいものが流れ落ちた。
「………あいつがリョウト、リョウト・ヒカワ! あいつが………あいつがぁぁ!!」
「しまった! リョウトって確か!」
 ゼオライマーに光が収束してゆく。ゼオラにとってリョウトは『アラドを殺した女の恋人』なのだ。
「勝手な事を……」
 閃光がグダに吸い込まれてゆく。シロッコの溜息と同時に爆発と黒煙が上がった。

282 :咲く花散る花(1)冥府に蒔く種:2005/12/29(木) 19:25:24 ID:DOhp1D21
【ゼオラ・シュバイツァー 搭乗機体:ゼオライマー(冥王計画ゼオライマー)
 パイロット状況:身体的には良好。精神崩壊(洗脳状態)
 機体状況:左腕損傷
 現在位置:A−1
 第一行動方針:アラドを助ける為にシロッコとキラに従う
 第二行動方針:アラドを助ける事を邪魔する者の排除
 最終行動方針:主催者を打倒しアラドを助ける
 備考1:シロッコに「アラドを助けられる」と吹き込まれ洗脳状態
 備考2:ラト・タシロ・リオを殺したと勘違いしている
 備考3:リオがアラドを殺したと勘違いしている】

【キラ・ヤマト 搭乗機体:ゴッドガンダム(機動武道伝Gガンダム)
 パイロット状況:身体的には良好。
 機体状況:損傷軽微
 現在位置:A−1
 第1行動方針:ゼオラと自分の安全確保
 第2行動方針:シロッコに従う
 最終行動方針:生存】

【パプテマス・シロッコ 搭乗機体:ダンガイオー(破邪大星ダンガイオー)
 パイロット状況:良好(良い保護者を熱演中)
 機体状況:右腕は肩から損失、全体に多少の損傷あり(運用面で支障なし)
 現在位置:A−1
 第1行動方針:戦力増強
 第2行動方針:首輪の入手
 最終行動方針:主催者を打倒し、その力を得る
 備考1:コクピットの作りは本物とは全く違います。
 備考2:基本的にサイキック能力は使用不能】

【時刻:二日目:11:00】

283 :それも名無しだ:2005/12/29(木) 19:32:29 ID:DOhp1D21
>>278
278の11行目のギレンの台詞に間違いがありました。訂正します

誤:「ほう、こちら側はB-2の市街地か。技術の無駄づかいだな」
修正:「ほう、こちら側はB-1の市街地か。技術の無駄づかいだな」


284 :それも名無しだ:2005/12/29(木) 20:19:00 ID:sdxdYDV+
スパロボキャラバトルロワイアル3

http://game10.2ch.net/test/read.cgi/gamerobo/1135854981/

次スレです

285 :それも名無しだ:2005/12/30(金) 19:03:47 ID:wc2ZHb1M
あら

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>>797 ヽ∬´▽`∬人∬`▽´∬ノ おてんば同盟 Part27
>>811 − 解脱と俗世からの乖離 −part27
>>814 「マコトのとこのま」

さ、どれにする?もうこれ以上増やすのはやめよ。 自体濃い馴れ合いっぽいのでその可能性も無きにしも非ず。 rget="_blank">>>72 火星に行こう。
>>73 耳でなら出来るけどなぁ。
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